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6月13日(月) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「不信任案で「野党分裂」 大メディアのトンチンカン報道」

 予想通り、内閣不信任案も、衆院議長不信任案も、あっさり否決されてしまった。

 それにしても異様だったのが、大手メディアの報道ぶりだ。<内閣不信任 割れた野党><立民 際立った「孤立感」><「切り札」野党を分断>などと、2つの不信任案を提出した立憲民主党を一斉にヤユしていた。まるで立憲民主党が、とんでもない失態を犯したかのような報道だった。

 たしかに、日本維新の会と国民民主党が内閣不信任案に反対したため、野党が分断されたのは間違いない。立憲民主党のやり方も、相変わらず稚拙だった。

 しかし、大手メディアが問題にすべきポイントは、“立憲の孤立”や“野党の分断”ではないはずだ。メディアが焦点にすべきは、不信任案の提出が的を射ているのかどうか、なのではないか。内閣不信任案を提出した理由について、立憲民主党は「国民に安心を届ける機会だった補正予算案においても経済無策をつづけ、国民生活の苦境を放置している」と、物価高に対する岸田内閣の無策をあげていた。

 客観的に見て、立憲民主党の主張は正しいのではないか。ところが、不信任案の中身の是非に焦点を当てた大手メディアの報道は皆無だった。

 「大手メディアの報道は、ピントがずれています。維新と国民民主が不信任案に反対したことを、さも一大事のように“野党分断”と報じていますが、もともと2党は、与党みたいなものでしょ。不信任案に反対した一件は、2党の立ち位置がハッキリしたということ。それこそがニュースでしょう。一番の問題は、参院選が近いのに、野党第1党を批判する報道が結果的に自民党を利することになることを、大手メディアが分かっているのかどうか、ということです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 大手メディアは、不信任案を提出した立憲民主党をヤユするのではなく、議長不信任案に反対し、細田を守った自民党こそ批判すべきなのではないか。

 おかしいのは、週刊文春の記事によれば、大手メディアの女性記者がセクハラ被害を受けているはずなのに、大新聞テレビから「告発報道」がまったく出てこないことだ。少なくても、週刊文春の記事が事実なのかどうか、自社の女性記者全員から聞き取り調査をして結果を公表すべきなのに、実施するそぶりもない。

 「岸田内閣のインフレ対策と細田議長のセクハラ疑惑は、自民党にとって大きなアキレス腱であり、夏の参院選で争点になりうるテーマです。ところが、大手メディアは、2つの問題で不信任案を提出した立憲民主党に問題があるかのような印象を与えている。いったい大新聞テレビは、どこを目指して報道しているのか疑問だらけです」(五十嵐仁氏=前出)

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