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7月1日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』6月30日付に掲載されたものです。〕

*記事「岸田政権また愚策…酷暑8月の「節電ポイント」開始で高齢者の命を危険にさらす」

 節電ポイントは、先週の物価・賃金・生活総合対策本部の初会合で岸田首相がぶち上げた“目玉”政策。電気代の負担軽減と節電推進を狙った「一石二鳥」の奇策だ。電力会社の節電プログラムに参加登録すれば、2000ポイントが付与される。また、国は電力会社が各家庭の節電量に応じて支給するポイントをさらに上乗せする。

 しかし、このクソ暑い中の節電は健康上、問題がある。公明党の山口代表も「いま心配なのは暑さだ。無理して節電して熱中症になったら元も子もない」と疑問を呈している。

 熱中症で死に至るのはほとんどが高齢者だ。厚労省の人口動態統計によると、2020年の熱中症による死亡者のうち、86%が65歳以上である。 

 総務省消防庁によれば、昨年5~9月の熱中症による救急搬送は高齢者が最多。消防庁は「高齢者は暑さを感じにくいため、適時に水分を補給しなかったり、エアコンをつけずに熱中症に至るケースがあると考えられます」(救急企画室)と答えた。高齢者の熱中症を防ぐには、先手先手でエアコンをつける必要があるのだ。

 「暑さに気づきにくい高齢者を熱中症から守るには、躊躇なくエアコンを使えるように環境を整えるのが政府の責任です。“ポイ活”に絡めて節電を呼びかけるのは、高齢者の命や健康を何だと思っているのでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 自民党の茂木幹事長は「(消費税を)下げるとなると年金財源を3割カットしなければならない」と年金生活者を恫喝している。

 「6月支給分から年金が減額されて高齢者の節約志向はすでに高まっているでしょう。生活費の足しにしようと、節電ポイント狙いで、エアコンを我慢する高齢者も出てくるはずです。岸田政権の“高齢者イジメ”は目に余ります」(五十嵐仁氏)

 若い世代の支持が高かった安倍、菅政権と異なり、岸田政権は高齢者の支持が高い傾向がある。岸田首相の当初の経済政策は「分配」を前面に出し、年金生活者などの支持が広がったとみられている。

 ところが、フタを開ければ高齢者に酷な政策ばかり。高齢者の支持層が離れれば、岸田自民への逆風になるはずだ。

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