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7月2日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「何をNATOまでノコノコと 岸田首相の恐るべき勘違い」

■際限なく戦争のできる国へ

 軍拡がさらなる軍拡を呼び、軍拡競争に陥るのは必然。安全保障のジレンマだ。バイデン大統領に呼び出されるがままにノコノコとNATOまで出張っていって、「米欧との連携強化で日本の抑止力が高まる」と本気で考えているのだとしたら、岸田の恐るべき勘違いである。

 外交努力を放棄し、世界の分断に加担、軍事的対立を先鋭化させる“ハト派”の首相はあまりにも危険だ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「集団安全保障体制をとるNATO拡大がウクライナ戦争の引き金となったことから明らかなように、軍事同盟との距離は慎重に見極めなければ国の行く末を危うくします。これまでの日本は、憲法9条の制約によって安全保障を軍事同盟や軍事力増強に頼まず、対話や交渉といった外交努力を重ねてきた。ところが、岸田首相はいかにも時流に乗って、成り行きで国是を変えようとしている。きちんとした議論の積み上げや熟慮などの形跡は見えない。なし崩しで平和主義と専守防衛を捨て去ろうとしているのです。岸田首相自身、事の本質を理解しないまま、国のあり方を大きく変える方向へ舵を切ろうとしているようにも見え、ある種の軽薄さに恐ろしさを感じます」

 自民党は参院選で改憲勢力の3分の2維持を既定路線とばかりに、憲法改正に向けてギアを上げている。選挙後にできるだけ早く憲法改正の原案を国会提出し、発議を目指すと公言する茂木幹事長は「例えば、1年以内、2年以内にやろうということも含めて、主要政党間でスケジュール感を共有することが重要ではないか」と踏み込んだ。大型国政選挙のない「黄金の3年間」に一気呵成にやってしまおうという腹だ。

 自民の改憲項目にある「自衛隊明記」によって集団的自衛権の無制限行使が可能となり、「緊急事態条項創設」で政府は憲法を超越した措置を取れるようになる。2027年までに台湾有事発生を想定するバイデン政権に唯々諾々として、米国と一緒に際限なく戦争のできる国に突き進もうとしているが、選挙結果次第でまだ止められる。

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