SSブログ

7月7日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月7日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「選挙前に正体露呈 チンピラみたいな議員ばかりの自民党」

 山際経済再生相が3日の応援演説で「野党の人から来る話はわれわれ政府は何ひとつ聞かない。生活を本当に良くしようと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と発言。「民主主義を理解していない」と猛批判を浴びている。

 5日の閣議後会見で、山際は発言について「地域の意見を国政に反映させたいと強調する文脈の中で、誤解を招く発言になった」と釈明したが、明確に「野党の話は聞かない」と言っているのだから、誤解でも何でもない。しかも、発言の撤回はしないというから確信犯だ。批判されたので「誤解だ」と火消ししているだけで、「野党の話は何ひとつ聞かない」は本音なのだろう。

 「野党の話を聞かないということは、野党議員の背後にいる国民の声も無視すると言っているに等しい。あまりに選挙と有権者をバカにした発言です。しかも、この人は閣僚ですよ。行政は自民党支持者だけでなく、すべての国民に対して責任を負う。公平中立な立場で、広く国民の意見に耳を傾ける必要があるのに、自分たちは不偏不党ではないと公言したのです。松野官房長官は厳重注意したといいますが、注意で済む失言ではなく、閣僚辞任に値する暴言です。それに、山際大臣は『われわれ政府は』と言いました。こんな暴言大臣を辞めさせないのなら、野党の話は聞かず与党支持者のためだけの政治をすることが岸田首相をはじめとする政府の統一認識ということでしょう」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 力の信奉はプーチンと同じ、国民も弱者は切り捨てられる

 戦争の原因は、宗教やイデオロギーの対立、あるいは経済的な損得勘定が発端になることが多い。少なくとも自国民を納得させるだけの口実は必要で、現代社会において、「あの国は軍事力が弱いから戦争を仕掛けてやろう」なんて理由で始まる戦争はないのだ。

 日本が他国に侵攻の口実を与えるとすれば、軍事力が弱いからではなく、逆に軍拡が周辺国にとっての脅威とみなされた時だろう。他国との宗教的な対立も抱えていない。資源に乏しい日本には、侵攻される経済的な理由もない。

 「麻生副総裁の理屈で言えば、ウクライナは弱いから侵攻されたことになる。核を放棄したウクライナが悪いとでも言うのでしょうか。強ければ攻められないという力の論理の信奉は、プーチン大統領の蛮行を正当化することになります。軍事力が強大な米国に盾突くのは怖いから従順に尻尾を振って、米国の威を借りているのも、いじめの対象にならないための処世術なのか。いずれにせよ、自民党の質の低下を象徴するような人物です。麻生氏はこれまでも『ナチスの手口に学べ』など舌禍は数限りなく、本来なら何度クビになっていてもおかしくないのに、何を言っても『またか』とスルーされて治外法権のようになってしまった。あり得ないような暴言を厳しく批判せず、“麻生節”などと言って甘やかしてきた大メディアにも大きな問題があります」(五十嵐仁氏=前出)

 麻生は1日にも、選挙応援の講演で「『政治に関心がないのはけしからん』と偉そうに言う人もいるが、政治に関心を持たなくても生きていけるというのは良い国です」などとドヤ顔で言っていた。

 かつて自民党の森喜朗首相(当時)は、選挙で「無党派層は寝ててくれればいい」と口をすべらせて猛批判されたものだ。政治に関心がなくていいという麻生発言も根っこは同じ。政府・与党が決めることに国民は異を唱えず、黙って従っていればいい。それが自民党の本音なのである。


nice!(0)