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7月9日(土) 自民・公明の与党と維新の会を勝たせてはならないこれだけの理由(その2) [参院選]

 安倍晋三元首相に対する銃撃・殺害という驚天動地の事件が勃発しました。参院選での選挙演説中での事件であり、言論に対するテロ、民主主義への挑戦にほかならず、満腔の怒りを持って糾弾するものです。凶弾に倒れ、犠牲となられた安倍元首相のご冥福をお祈りしたいと思います。
 同時に、安倍元首相はモリカケ桜前夜祭などを通じて政治・行政の私物化や虚偽答弁、公文書の偽造と改ざん、忖度と追従のまん延を招くことで政治への信頼を大きく傷つけ、批判する人々を「こんな人たち」と言って分断・敵視し、ウクライナ侵略に便乗して敵基地攻撃論や核共有論を叫び、力対力の論理を振りかざして大軍拡と9条改憲を主張するなど、暴力による言論の圧殺に道を開くような風潮を強める役割を演じてきました。このような自由と民主主義を敵視する右傾化や力づくで問題を解決しようとする社会風潮を強めた責任の一端は安倍元首相自身にもあったことは否定できず、その結果とも言える凶弾に倒れることで自ら先導してきた社会変容がどれほど大きな問題を抱えているか、身をもって示す形となったのは皮肉と言うほかありません。
 選挙の自由を犯す犯罪行為を防ぎ、新たな悲劇を繰り返さないためにも、社会の分断と敵意を扇動してきた安倍元首相の主張や志を受け継いではならず、その仲間である自民・公明の与党と維新を勝たせてはなりません。参院選最終盤に勃発したこのような事件が選挙の結果にどう影響するかは不明ですが、少なくとも卑劣な蛮行に屈するような形で選挙活動を自粛・自制したり、「弔い合戦」などと言って安倍元首相の死を政治的に利用したりすることは許されず、有権者も感情に流されることなく冷静な判断に基づいて投票していただきたいと思います。

 ということで、昨日の続きです。

 第4に、スキャンダルだらけの政党・政治家の居直りと逃亡を許して良いのかという問題があります。今回の選挙に至るまでもそうでしたが、選挙期間中も「政治とカネ」の問題や政治家としての資質に疑問符がつくような暴言が相次いでいるからです。
 つい最近も、自民党の茂木幹事長が消費税の減税をめぐって「年金財源を3割カットしなければならない」「社会保障を3割カットしなければいけない」などと恫喝発言を繰り返し、舌禍の常連で「ナチスの手口に学べ」でよく知られる麻生副総裁が「子どもの時にいじめられた子はどんな子だった。弱い子がいじめられる。強いやつはいじめられない」と、プーチンに侵略されたウクライナの方が悪かったかのような発言を行っています。山際経済再生相も「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞きませんよ。だから皆さんの生活を本当に良くしようと思うなら、やはり自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と言い放ちました。
 大臣は公職ですから、公平で中立的な立場から国民全体の話を聞かなければならないのは当然でしょう。暴言では維新も負けておらず、このような「本音」の人を大臣や議員・候補者にして政治の場でのモラルの崩壊を放置し、安倍元首相の桜を見る会前夜祭をめぐる「政治とカネ」についての疑惑の数々を放置し隠ぺいしてきた責任を今回の選挙できちんと問わなければなりません。

 第5に、翼賛体制づくりが進んでいることにもはっきりとした異議申し立てを行い、与党化を阻まなければなりません。この点では、野党の分断と与党へのすり寄りを強めてきている維新の会とそれに引きずられている国民民主党の責任を問う必要があります。
 野党であるにもかかわらず自民党以上に右翼的でタカ派、改憲をたきつけて新自由主義を推進する勢力となっているのが維新の会です。「身を切る改革」と言いながら収入の8割の30億円は政党助成金頼みで、これについては口をつぐんでいます。
 松井代表は「原子力潜水艦は非常に大きな防衛力強化になる」「核共有」の「議論は当然だ」「日本は資本主義」だから「格差は受け入れるべきだ」などの発言を繰り返し、原発についても岸田首相に「再稼働の決断を」迫り、改憲についても「発議までのスケジュールをしっかりと」示すように求めています。政権が交代しても、このような政党が加わったものであれば、それは政治が前に進むのではなく後に退く政権「後退」にしかならないでしょう。

 第6に、このような争点について正しい活路を示すことができるのは立憲野党による共闘しかありません。野党共闘を再建し、次の総選挙に向けての新たな展望を開くためにも、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社会民主党の立憲野党を勝利させる必要があります。
 与党と翼賛体制づくりに手をかす補完野党に対抗し、それとは異なるもう一つの選択肢を提示するまともな野党、9条をはじめとした憲法条項を忠実に守り政治と生活に活かす立憲野党の勝利によって日本の政治を立て直さなければなりません。すでに壊れ始めている日本を救う道は、一日も早く野党連合政権を樹立することです。
 強すぎる与党とそれにすり寄る補完野党の増大は、政治の緊張を損ない国会での議論を低調なものにしてしまいます。行政府と立法府の間の緊張関係を取り戻し、行政に対する国会のチェック機能を回復するためにも、参議院における強い野党の存在と効果的な行政監視、鋭い問題解明、厳しい責任追及が不可欠です。

 参議院選挙も、安倍元首相への銃撃と殺害という悲劇によって情勢は混とんとしてきました。いつでも選挙情勢は最終盤でがらりと変わる可能性がありますが、今回は特に最終盤での取り組みが大きな意味を持つように思われます。
 戦争に引きずり込むような政治ではなく、暮らしに希望が持てるような政治の実現に向けて、気候危機打開やジェンダー平等に関心を持たない政党・政治家の退場を求めて、ぜひ一票を投じていただきたいと思います。政治に関心を持たず、今まで投票してこなかった政党支持なし層などの「沈黙の艦隊」が政治の転換を求めて動き出すとき、そこにこそ希望が生まれるのですから。

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