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7月21日(木) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』7月20日付に掲載されたものです。〕

 9条改憲阻止
 安倍「遺志」で正当化許されず

 最高位の勲章の授与や国葬の決定など、選挙中に銃撃され死亡した安倍元首相礼賛を極限まで推し進める中で、安倍改憲継承を「正当化」する異常な動きが強まっています。文字通り「安倍なき安倍改憲」を急ぐ動きです。

 「安倍元総理の思いを受け継ぎ、特に情熱を傾けてこられた拉致問題や憲法改正など、ご自身の手で果たすことができなかった難題に取り組んでいきます」
 岸田文雄首相・自民党総裁は参院選の投開票翌の翌11日の記者会見でこう述べました。
 会見で岸田氏は安倍氏を「世界から愛された偉大なリーダー」と礼賛。同日の持ち回り閣議では、安倍氏に最高位の勲章である大勲位菊花章の頸飾、大勲位菊花大綬章の授与を決め、14日には岸田首相が安倍氏の国葬を行うと発表しました。
 この動きついて五十嵐仁法政大学名誉教授(政治学)は、「憲法の問題は最終的に国民の意思に委ねるべきこと。安倍さんがどういう業績をやったか、有名人であるかということと全く無関係で、一人の政治家の遺志によって憲法の問題が左右されるということはあってはならない」と指摘。「それこそ憲法の主権在民の主旨に反します。国民投票の制度を設けているのも民意に委ねるためだし、改憲の発議権も国会の権限だ」と語ります。

 政治的に利用

 選挙後に示されている改憲問題での国民の意思はどうか。時事通信社が投票日に実施した出口調査では、有権者が最も重視した政策で「景気・雇用対策」30・2%、「年金・介護・医療」が15・7%などの一方、「憲法改正」は4・7%にとどまりました。参院選の結果をうけて共同通信社が実施した世論調査では、「憲法改正を「急ぐべきだ」37・5%に対し、「急ぐ必要はない」の58・4%が上回りました。
 五十嵐氏は「人の死、不幸を政治的に利用して、特定の目的を達成するという死者への冒とくだ」と批判。「安倍政治の正当化と美化、偶像化で安倍さんを引っ張り上げ、自分も引っ張り上げ、評価を高めてもらおうという意図が透けて見える。しかし、安倍政治には『功罪』などというものはなく罪ばかりだ。こういう人の遺志を継ぐことで憲法に手を付けるのは二重三重に間違っている」と述べます。
 集団的自衛権行使容認の解釈・立法改憲の強行で立憲主義の破壊した安倍元首相。その人に改憲を語る資格はないと、野党が「安倍改憲阻止」のスクラムを組み、草の根の世論と結んで2018年から21年の通常国会まで9国会連続で自民党改憲案の憲法審査会での実質審議を阻んだ経験もあります。
「安倍改憲の継承」は、再び大きな国民的反発を引き起こす可能性もはらんでいます。

 岸田首相はロシアのウクライナ侵略に乗じて、憲法9条の改定を声高に主張。外交・安全保障に対する国民の関心は高まっています。
 法政大名誉教授の五十嵐仁氏は「ウクライナ危機を契機にして国内で、きな臭い軍事主導論の雰囲気が高まりました。世論調査でも軍備増強が高まりました。そういう点では安全保障に対する不安感が高まっているという事はある」と指摘。「だからこそ、真の安全保障、軍事対軍事で戦争に結びつかないような形で国の安全をいかに確保するか。そこを冷静に議論しなければならない時点だ。戦争を準備すれば、戦争を引きよせることになってしまう。だから『軍事力対軍事力』の罠にはまってはならない」と語ります。

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