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9月29日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月29日付に掲載されたものです。〕

*記事「安倍氏国葬で「得をしたのは菅前首相だけ」 弔辞がSNSで大絶賛、評価うなぎ上りの想定外」

■紹介した本はアマゾン1位に

 菅氏が紹介した岡義武著「山県有朋」(岩波文庫)は弔辞の後、大手書店で売り切れ続出。アマゾンの売れ筋ランキングでも突如1位に躍り出て、早くも「ガースー感動効果」が表れている。

 「6割の国民が反対する空虚な儀式を象徴するように、形式的で口先だけの岸田首相の弔辞の後でしたからね。多くの人々が冷ややかな目で見ていただけに、情に訴え、気持ちのこもった菅さんの弔辞は余計に良く映ったのでしょう。結局、国葬強行で得をしたのは唯一、菅さんのみ。混乱と分断を招いた岸田首相の責任が問われます」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 ここまで再評価されると、菅氏が安倍氏を銀座の焼き鳥屋で口説いたように党内から首相再登板を求める声が上がりかねない。菅氏は今後の政界を「いかにせむ」と考えているのか。

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9月27日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月27日付に掲載されたものです。〕

*記事「安倍氏「国葬」武道館はガラガラ危機! G7首脳参列ゼロ、“大票田”の各界代表がソッポ」

 経済界では国葬出席が企業イメージにマイナスに働くとの懸念から、欠席したり、出席を隠す企業も出ているという。

 世論調査の国葬の賛否を時系列に並べたのが別表だ。反対世論の高まりがよくわかる。これでは、出席に二の足を踏む招待者が出てくるのも仕方ない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「政府が一方的に国を挙げた国葬と言っているだけです。実際は、世論調査で6割が国葬に反対しており、国民に支持されたものではありません。経済界に限らず、各界の代表が案内状をもらっても、参列したくないと思うのが普通の神経でしょう。そう考える人が少なくなく、参列者が集まらないのだと思われます。それでも、あえて参列するのは、よほど安倍元首相を支持しているか、お世話になった人に限られるのではないか」

 安倍国葬が行われる武道館の最大収容人数は約1万5000人。吉田国葬や佐藤国民葬の出席者は約6000人だった。定員1万5000人に4000人余りでは、27日の武道館はガラガラになるんじゃないか。

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9月18日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「ついに「岸田辞めろ」ツイート 国葬が世紀の赤っ恥になる恐れ」

国民の分断を招いてでもメンツや保身を優先

 「何事も検討して先送りばかりの岸田首相が、珍しく素早く決断した国葬が支持率下落の要因になったのは皮肉ですが、そもそもの発端が党内の安倍派や岩盤支持層をつなぎ留めるためであったり、弔問外交で点数を稼ぐというヨコシマな発想から来ているから、こういうことになる。すでに世界各国に通知して出席者が決まりつつある以上、今さら中止にはできないという現実も重くのしかかっています。こういうタイミングで英国のエリザベス女王が亡くなり、19日に国葬が執り行われることになった。安倍氏の国葬より後に決まったのに、日本には来ない米国のバイデン大統領も参列するなど、各国の国家元首クラスが勢ぞろいしますから、彼我の差を見せつけられることになる。二階元幹事長が言うように『やってよかった』とは、決してならないでしょう。エリザベス女王の国葬の1週間後では、よりどころだった弔問外交も成果などない。ますます法的根拠や正当性が問われかねません。国葬直後の10月初旬からは臨時国会も始まり、岸田首相は真正面から追及を受けることになる。戦国時代の武将ではなく平時の公家タイプの岸田首相に乗り切る力量や胆力があるでしょうか」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 各国元首が参列するエリザベス女王の国葬は、所要約1時間を予定しているというが、安倍の国葬は5時間にも及ぶ。その間、給水所の水しか飲めず、途中退席もできない。海外からの要人もそうだから、なんだか申し訳ないような気持ちになってくる。こんな国葬を強行して、誰が喜ぶのだろうか。

 7月8日に安倍が凶弾に倒れ、わずか6日後の7月14日に岸田が国葬の実施を発表。その後、国会の議論もないまま閣議決定だけで実施を決めてしまったのだが、この2カ月の間に撤回する機会はあったはずだ。

 そうでなくても、国葬と言うからには国民の代表である国会の議決を得るとか、少なくとも三権の長の了承を取り付ける必要はあっただろう。閣議決定だけで決めた国葬なんて、実態は政府葬か内閣葬でしかない。それは、「多大な功績を残した」安倍に対しても失礼じゃないのか?

 「いったん閣議決定を撤回して、国会で議決することからやり直せば体裁は保てたかもしれません。国会は自公与党が多数派なのだから、やろうと思えばできたはずです。そうはせず、閉会中審査に出席して通り一遍の説明をすればOKと考えていたとすれば、あまりに見通しが甘いし、閣議決定で何でも決められるというおごりがあったと言わざるを得ない。第2次安倍政権からの悪しき前例を踏襲したことが、つまずきの原因となった。閣議決定で何でも決める強権手法だけでなく、急激な円安による物価高はアベノミクスの副作用だし、統一教会の問題も安倍元首相の置き土産で、ここへきて岸田首相はことごとく安倍元首相の負の遺産に苦しめられている。それもこれも、政権維持のために党内政治を優先して、安倍シンパにおもねってきたせいです。民意に対して自慢の『聞く力』を発揮すれば、ここまで窮地に陥ることもなかったでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 今から国葬を中止するのは大変なことだが、それは「一時の恥」で終わる。このまま突っ込めば、世紀の赤っ恥で、未来永劫語り継がれることになる。そんな目に遭わされる安倍がかわいそうだ。

 もちろん、国葬を決めた岸田本人は自業自得で、支持率下落で危険水域に突入という民意の「辞めろ」コールを突きつけられることになる。



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9月17日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「スポンサー企業の全てに国民の疑念 賄賂を要求されたのは角川とAOKIだけなのか」

■いよいよ検察の本気度が問われる

 スポンサー企業にしろ広告代理店にしろ、とにかく東京五輪でひと儲けしようと高橋に群がり、そこに目をつけた高橋が賄賂を懐に入れた、という構図なのか。それは、安倍政権下で、東京五輪が政府肝いりの「国家プロジェクト」のような位置づけになったことも無関係ではないだろう。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「利権のかたまりの五輪には、金銭的な利益だけでなく『箔』や『格』のようなものもあったと思います。AOKI前会長が『高橋さんのおかげで、地元で聖火リレーを走れた』と言っていたというのが象徴的です。五輪のスポンサーになれれば、創業家出身らしい名誉欲が満たされ、企業としての格も上がると考えたのでしょう。そこには“見返り”が発生する。東京五輪はいまだ費用の使途も不透明。そのトップにいたのが森元首相です。政界までメスを入れなければ真の疑惑解明にはなりません」

 東京五輪を巡っては、スポンサー選定以外でも怪しい疑惑がある。招致当時の菅官房長官が、安倍とも近いセガサミーホールディングスの里見治会長に「アフリカ人を買収するのに4億~5億円の工作資金が必要」「嘉納治五郎財団に振り込んでくれれば会長に迷惑はかからない。この財団はブラックボックスだから足はつかない」などと持ちかけ、実際に3億~4億円が財団に入ったと「週刊新潮」が報じた一件だ。裏金のトンネルになった疑いがあるこの財団の代表理事は森元首相だった。

 さらに森が、新国立競技場建設にともなう「神宮外苑地区の再開発」を目的に暗躍していたことは、知る人ぞ知る話。今後、建設業界ルートも出てくるのか。


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9月16日(金) どのような転換点なのか―積み重なって押し寄せてきた潮目の変化 [政局]

 昨日アップした『しんぶん赤旗』でのコメントで、私は「かなり大きな転換点で、潮目が変わりました」と指摘しています。それは沖縄県知事選でのデニー知事の再選に関するものでした。
 しかし、「かなり大きな転換点」で潮目が変わったのではないかという思いは、それだけに限りません。沖縄での勝利は、積み重なって押し寄せてきた潮目の変化の一部ではないかと思っています。
 ここしばらくの出来事は、いずれも国の内外における大きな転換の始まりを示しているのではないでしょうか。それは戦後史を画するほどの大きな分かれ道になっているように見えます。
 
 第1は、戦後政治の第3段階が始まったのではないかということです。以前から、私は戦後政治の第2段階が最終局面を迎えていると指摘してきました。
 典型的なのはアメリカのトランプ政権の登場であり、各国における新自由主義的な右派ポピュリズムの隆盛でした。それがどのような形で終了し、次の第3段階がどのように始まるのかは、その時点でははっきりしていませんでした。
 しかし、今では明確に指摘することができます。アメリカにおけるトランプ大統領の落選とバイデン新政権の登場による共和党から民主党への政権交代、それに続くドイツやオーストラリア、中南米などでの右派ポピュリズムから左派リベラリズム政権への転換と新自由主義の見直しです。

 戦後政治の第1段階が修正資本主義的な公共の関与であったとすれば、第2段階は官から民への転換、規制緩和や自己責任を特徴とする弱肉強食の新自由主義でした。その見直しによる第3段階は公共の復権という形で始まっています。
 その契機となったのは新型コロナウイルスによるパンデミックでした。資本主義の限界と新自由主義の弱点が人々の命と健康への脅威という形で明確になり、とりわけケア労働やエッセンシャルワーカーの役割とそれへの公的な支援体制の必要性が痛感されました。
 人々の健康を守り、命と暮らしを支える公的な役割の重要性が浮き彫りとなり、それを軽視し削減してきた新自由主義の罪が自覚されたのです。日本でも新型コロナウイルスによる死者は累計で4万人を超え、ウクライナ戦争での戦死者に匹敵するほどの数になっています。

 第2の大転換は、近代史の見直しによる歴史的汚点の解消、差別と人権無視に対する異議申し立てと是正の動きです。これはアメリカでの黒人差別に反対するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動を契機に始まりました。
 その後、ジェンダー平等や女性差別撤廃、LGBTQ(性的少数者)の人権擁護へと波及し、気候危機への対応や核兵器の廃止など地球レベルの問題解決に向けての動きへと広がってきています。このような世界的流れは不可逆的であり、それに合流できなければ国際社会で生き残ることはできない状況が生まれました。
 近代史の見直しは欧米諸国における人種差別や奴隷貿易への反省を呼び起こし、アメリカでは南北戦争の再審が進み、ヨーロッパでは過去の植民地との関係が見直されています。イギリスのエリザベス女王の死去がこのような動きを促進する可能性もあります。英連邦を構成するカリブ海諸国で独立の機運が高まっているようです。

 このような国際的な流れは、日本でも近代史の見直しと加害の歴史への反省を促すことになるでしょう。朝鮮や中国に対する侵略戦争と植民地支配の過去と問題点が明確にされ、改めて責任と反省が示されなければなりません。
 安倍元首相が言っていた「歴史戦」による侵略の歴史の美化は全く逆の動きでした。このような歴史修正主義が修正されなければ、世界の潮流から取り残される局面が生じたのです。
 このような観点から日韓の歴史を見直し、両国の関係改善に向けて新たな対応が求められることになるでしょう。安倍元首相の死と韓国にルーツを持つ統一協会の暗躍も、このような関係を転換させる大きな契機になる可能性があります。

 第3は、アベノミクスの破綻とその転換です。これは第1の大転換として指摘した戦後政治の第3段階の日本国内における始まりに結び付く動きです。
 今となっては、アベノミクスが大失敗したことは明らかです。実質賃金が停滞し、国民の生活が豊かになるどころか中間層が没落して貧困化が進み、格差が拡大しました。
 岸田首相は昨年の総裁選に立候補したとき「成長」だけでなく「分配」を強調し、「新しい資本主義」や「新自由主義からの転換」を主張しました。新自由主義に基づく成長路線やこれまでの「古い資本主義」が行き詰まっていることを自覚していたからです。

 しかし、総裁選で安倍元首相に頼ったところに岸田首相の弱点と限界がありました。その後、安倍さんからねじ込まれてアベノミクスからの転換路線を再び転換して元に戻してしまったからです。
 その安倍元首相は銃撃死によってこの世を去りました。異次元の金融緩和による「黒田円安」によって経済は大混乱に陥り、物価高の大波が押し寄せてきています。
 もはや猶予はならず、アベノミクスから転換して物価高を抑えることは緊急課題となっています。しかし、もともと異次元金融緩和からの「出口戦略」は極めて困難だと見られていましたから、その前途は容易ではありません。

 第4は、専守防衛から先制攻撃へという安全保障政策の大転換です。60年安保闘争後、自民党は明文改憲路線から解釈改憲と実質改憲を組み合わせた軽武装路線を選択してきましたが、それを根本的に転換しようとしています。
 必要最小限度の実力組織である自衛隊は、いまや不必要最大限度の国軍になろうとしています。専守防衛による自衛路線は、「反撃(敵基地攻撃)能力」の保有とそれに向けたGDP比2%を目標にした大軍拡によって投げ捨てられつつあります。
 国境を越えて敵基地を攻撃できるような能力を獲得すれば、それはもはや「自衛」隊ではなくなります。わが国が攻撃される前に、着手された段階で指揮統制機能を破壊するために敵国の中枢部を攻撃すれば、それは国連憲章で禁止されている「先制攻撃」にほかなりません。

 総批判を浴びて国際社会から孤立するような安全保障戦略の大転換が着手されたということになります。明文改憲をちらつかせながら、実質的に憲法9条の内実を掘り崩すという実質改憲の極限形態が訪れようとしているのです。
 憲法9条が維持されているから、ということで安心してはなりません。9条を隠れ蓑に、その存在を目くらましとして使い、内外の批判をかわしながら平和憲法の下での軍事大国化を目指そうとしているのです。
 岸田首相はハトの仮面をかぶった獰猛なタカです。その本質を見極め、9条の書き換えと改憲発議を許さないだけでなく、憲法9条の空洞化を許さず、平和国家としての実質を守ることの重要性を忘れてはなりません。

 第5は、戦後一貫して支配政党であった自民党の全般的危機と瓦解の兆候です。統一協会との癒着の露見によって、自民党は中央と地方で音を立てて崩れ始めています。
 日本は韓国に奉仕するべきだと言って多額の献金を吸い上げる、家庭を大切にと言いながら信者の家庭をぶっ壊す、選択的夫婦別姓に反対だと言いながら文鮮明と韓鶴子の教祖夫妻は別姓であるなど、その主張や「教義」をめぐっては数々の矛盾があります。それに目をつぶって「愛国」よりも「反共」を優先して統一協会との癒着を深め、その「信者」を戦力として利用してきたのが自民党でした。
 その「売国政党」の哀れな末路を、私たちはこれから目にすることになるのではないでしょうか。自民党は「点検」結果を公表して幕引きを図ろうとしていますが、「そうは問屋が卸さない」と思われます。

 「点検」は自己申告ですから漏れがあり、「正直者が馬鹿を見る」形となって、その後も五月雨式に事実が判明しています。しかも、癒着の中心にいた安倍元首相も、その前の清和会の代表だった細田衆院議長も除外され、地方議員は最初から対象になっていません。
 ボロボロと事実が明らかになるのはワイドショーなどのテレビ番組や雑誌などにとっては「おいしいネタ」で、これからも追及は続くでしょう。10月からは臨時国会が始まり、来年になれば通常国会もあって「逃げられない」状態で、自民党は次第に窮地に追い込まれていく可能性があります。
 通常国会が開かれている最中の4月には統一地方選挙があり、地方での自民党と統一協会の癒着や暗躍の実態が争点になるのは避けられません。時事通信の調査では、内閣支持率(9月9~12日調査)が前月比12ポイント減の32.3%に急落して政権発足後最低(不支持は11.5ポイント増の40%)で、ひょっとすると解散に追い込まれるかもしれません。

 これらの「大転換」が積み重なり、時代を画す劇的な変化が生まれる可能性が高まっているように思われます。その結果、これまで考えられなかったような全く新しい政治と社会が生み出されるかもしれません。
 主体的な面でも、政治を変える唯一の活路である野党共闘の再建・復活に向けての芽が出て来ました。沖縄県知事選挙の最終盤、デニー候補を支援する立憲野党4党と沖縄社会大衆党の党首が勢ぞろいして支持を訴えた場面は象徴的でした。
 統一協会や国葬問題についてのヒアリングでも野党共闘による成果が生まれてきています。野党連合政権の樹立に向けての再スタートが切られたということでしょうか。

 ぜひ、そうあって欲しいと思います。そうでなければ、日本も世界も救わないのですから。

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9月15日(木) 『しんぶん赤旗』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『しんぶん赤旗』9月14日付に掲載されたものです。〕

 政治考 政権行き詰まり加速 
 大きな転換点 潮目変わった

 岸田内閣の支持率の急落が止まりません。安倍晋三元首相の「国葬」強行や自民党と統一協会との癒着など政権への不信や批判の広がりが背景にあります。こうしたなか、日投開票の沖縄県知事選では「オール沖縄」の玉城デニー知事が勝利し、岸田政権に痛打を与えています。参院選から2カ月。政権は深刻な行き詰まりに直面しています。五十嵐仁法政大名誉教授は、「かなり大きな転換点で、潮目が変わりました。沖縄の選挙は象徴的です」と主張します。

 ゆるがぬ民意

 沖縄県知事選は、デニー知事が岸田政権丸抱えの佐喜真敦氏に約6・5万票の差をつけて圧勝。知事選では「オール沖縄」が3連勝し、「辺野古に米軍新基地いらない」のゆるがぬ民意が示されました。日本共産党の志位和夫委員長は知事選結果を受けた記者会見で、政権ぐるみの沖縄の民意つぶしは通用しなかったと述べ、「岸田政権に大きな痛打になった」と指摘しました。
 直近の世論調査では内閣支持率の急落が続いています。「NHK」の調査(9~11日)では、支持が8月の前回調査から6ポイント下がって40%と内閣発足以来最低に。不支持は12ポイント上がって40%となり、支持と不支持が並びました。

 説明ができず

 五十嵐仁氏は、岸田首相の対応が「ことごとく世論の反発を買うような形になってしまっています」と述べます。
 岸田首相は「国葬」では「ていねいに説明する」として閉会中審査(8日)に出席したものの、憲法論上も政治論上も「国葬」を行う理由をまったく説明できませんでした。五十嵐氏は「岸田首相は同じ説明を繰り返すだけで、国民の疑問に答えていません。結果的に『説明できない』という事がわかっただけです」と指摘。「国葬」について「戦後の憲法からすれば、特定の人物を特別扱いし、弔意を強制することは、法の下の平等や内心の自由に抵触せざるを得ない」と言います。
 統一協会問題では、8日に自民党所属国会議員379人中179人が協会と接点を持ったとする点検結果を公表。ところが日には木原誠二官房副長官が関連団体の集まりに参加していたと報告もれを公表するなど、点検のずさんさが早くも露呈。協会と安倍元首相との関係の調査も「限界がある」(岸田首相)と拒否するなど、徹底解明にはほど遠い現状です。

 五十嵐氏は「『国葬』への反対運動はますます大きくなる。統一協会問題では、点検の不十分さが出てくる。臨時国会で本格的な追及を受ける。『黄金の3年』などと言われていましたが、金メッキが剥げ落ちている。岸田政権は追い込まれています」と強調します。


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9月14日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月14日付に掲載されたものです。〕

*記事「9.27安倍国葬に地方で反対世論に火がつく 自治体の首長・議会から「NO」が続々」

■佐久市長は「世論は二分」と半期掲揚せず

 話題となっているのが、長野・佐久市の柳田清二市長。元自民党国会議員の秘書だ。7日付の自身のツイッターで半旗の掲揚をしない方針を表明。〈政治家に対しての評価と批判は常に存在します。安倍元総理も同様です。現在、国葬の実施について世論は二分されています〉と投稿している。

 「国葬反対論が強まり、首長の対応も問われています。国葬出席や半旗掲揚を巡って、国が決めた国葬に唯々諾々と従うのか、それとも住民の声を踏まえて慎重に判断するのか。住民も注視しているはずです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 国葬に反対するデモも各地に拡大している。先週末は首都圏のほか、岡山、新潟、高知、大分、熊本などでデモや集会が行われた。

 柳田市長は、毎日新聞の取材に、銃撃直後は「(市民が)みんなで弔意を示そうと思っていると理解した」が、安倍元首相をはじめ政治家と旧統一教会を巡る問題が出てきたことによって、「今は国民、市民全体で弔意を示そうという空気はないと判断した」と答えている。

 「閉会中審査での岸田首相の“説明”を聞いて、ますます安倍国葬に対する国民の不信は深まったはずです。もともと無理がある法的根拠は説明できるはずもなく、経費についても曖昧だった。安倍元首相と統一教会との関係調査は取り合わなかった。来春は統一地方選挙もある。反対世論の拡大を受け、国葬に異論を唱える首長や議会が増えるのではないか」(五十嵐仁氏)

 反対の嵐が吹き荒れる中の国葬。来日する要人の目にはどう映るのだろうか。



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9月13日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「【沖縄県知事選】自民党大惨敗 この国でマトモな民意は沖縄だけ」

 午後8時に「当確」の“ゼロ打ち”──。11日、投開票された沖縄県知事選は、野党勢力が支持する現職の玉城デニー氏が圧勝で再選を決めた。

 政府が進める辺野古の新基地建設に反対する玉城は、立憲民主、共産、れいわ新選組、社民、地域政党・沖縄社会大衆が推薦。前回、前々回の知事選と同様に、「オール沖縄」が、前宜野湾市長で自公推薦の佐喜真淳氏と元衆院議員の下地幹郎氏を下し、自公政権が推し進める基地移設に「NO」の民意を突きつける結果となった。

 「沖縄に基地負担を押し付ける政府に対する県民の怒りは、投票行動で繰り返し示されてきた。しかし、県民が何度も『基地NO』の意思を示しているのに、政府は聞く耳を持たず、辺野古基地建設を進めてきました。国政選挙に勝てば何をやっても許されるという政権の驕りです。国民を愚弄している。それでも諦めずに『NO』を突きつけるところに沖縄の民主主義の底力を感じます。今回の県知事選の結果で、この国の民主主義も首の皮一枚残りました」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 共同通信の出口調査によれば、玉城は立憲支持層の89%、共産の95%、社民の91%、れいわの75%を固めたが、自民党支持層でも佐喜真に投票したのは66%にとどまった。公明支持層も61%だった。反日カルト教団とズブズブの自民候補には任せられない。それが有権者の率直な気持ちだろう。無党派層では62%が玉城に投票し、佐喜真は27%だった。

 「選挙戦最終日に、県庁前で玉城知事と立憲、共産、社民、れいわ、社大のトップが勢ぞろいした光景は象徴的でした。野党が力を合わせて政権与党の横暴を厳しく批判し、民意に訴える。それで勝利したことが教訓です。沖縄は別格ですが、本土の国民だって、自公政権にさんざん虐げられてきた。その怒りを正面から政府に向けて、全国の選挙で自公政権に『NO』を突きつければ政治を変えることができるのです。もっとも、沖縄は地元紙が権力に屈せず健闘していることが、野党が足場を固める素地になっている。全国的には政府・与党の広報機関に成り下がった大メディアが自公政権をアシストしている面がありますが、今はネットメディアで情報を得る有権者も増えています。今回の沖縄県知事選が、1強多弱の政治状況を終わらせる端緒になる可能性は十分あるでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 来春には統一地方選がある。ニッチもサッチも行かなくなった岸田政権が局面打開の解散総選挙に打って出る可能性もある。その時に、国民がどういう判断をするのか。旧統一教会とズブズブの自民党に国の未来を託して本当にいいのか? 有権者が真面目に考えれば、選挙結果は変わってくるはずだ。今回の沖縄県知事選が分水嶺だったと、振り返ることになるかもしれない。


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9月11日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「何からなにまでトンチンカン 岸田・黒田コンビと日本は沈んでいくのか」

■“負の遺産”の清算にビビる情けなさ

 庶民が苦しんでいるのに、さらなる物価高を目指す悪魔のような黒田に対し、手も足も出ない岸田は情けない。そんなにアベノミクスという安倍元首相の“負の遺産”を清算するのが、怖いのだろうか。

 安倍の国葬だって構図は一緒だ。8日の閉会中審査でも「丁寧な説明を尽くす」とキバったくせに、従来通りの説明を丁寧に繰り返しただけ。何より、反社会的教団の広告塔で教団票を差配したインチキ選挙の司令塔だった安倍の疑惑にフタをし続ける限り、国民の理解は得られない。

 教団と関係を断つという自民党の方針を強調しながら、本人が亡くなっていることをいいことに、安倍と教団との関係の実態把握には「限界がある」と逃げ回る。惨めな姿を世間にさらすほど、国葬反対の声は高まっていく。このままでは「国葬」とは名ばかりで、むしろ社会に亀裂を残すイベントになりかねない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「国民の多数の意思に反した“国葬”を強行すれば、世論は必ず反発します。そんな分断した光景を見せつける事態になれば、日本国民のために弔意を表明し、よかれと思って参列する海外要人たちも不本意に感じるでしょう。そんな世界で恥をかくイベントで終わらせたくなければ、岸田首相が行うべきは、ただ一つ。内閣・自民党合同葬に修正すると閣議決定すればいい。やるべきことはハッキリしているのに、岸田首相はいつも何もしない。問題の重大性と事態の厳しさを常に見誤り、対応する力のなさが最大の弱点です」

 屁のツッパリにもならない物価高対策に、逆効果のアベ隠しとは何から何までトンチンカン。こんな惨めな男と日本が沈んでいくのだけは御免である。


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9月8日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月8日付に掲載されたものです。〕

*記事「岸田政権“コンパクト国葬”アピールは逆効果 16.6億円ようやく公表も過少試算すぐバレバレ」

 2019年の天皇代替わりの儀式では、警備費に約38億円、「即位の礼」の接遇などに50億円が計上された。来年5月の広島サミット関連経費は、外務省が約197億円、警察庁が約127億円の概算要求をしている。規模や内容が違うとはいえ国葬の16億円はあまりに少ない。野党は他のイベントとの比較も追及する方針だ。

 「国葬の開催に批判が強まる中、費用を少なく見せ、“コンパクト国葬”をアピールしようとしたのでしょう。実際には、数倍の経費がかかっても、実施してしまえば“後の祭り”と踏んでるのではないか。しかし、根拠が乏しい“過少試算”であることはすぐにバレるはず。国葬反対の世論はさらに高まると思います」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 8日にも開催される閉会中審査で、野党は国葬や旧統一教会問題で攻勢を強める。「首相は従来通りの答弁を繰り返す」(官邸関係者)とみられ、防戦一方になりそうだ。

 岸田首相は6日の党役員会で国葬について「説明責任をしっかり果たしたい」と語ったが、役員会を終えた萩生田政調会長や高木国対委員長は憮然とした暗い表情だった。逆風はやみそうにない。

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