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11月30日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「どうやら4人目も同じパターン これほど学習しない総理がかつていたか」

 すでに更迭された寺田前総務相も「疑惑の見本市」と揶揄されたが、秋葉の疑惑のバリエーションは寺田を上回るのではないか。

 とうとう、公務にまで支障を来しはじめている。復興相として27日、福島県を視察する予定だったが、国会答弁の準備に追われ、ドタキャンしてしまった。さすがに本人も「国会の審議で丁寧に説明をさせていただく必要があった」と謝罪したが、自らの疑惑のために公務不能に陥るのは前代未聞のことだ。

 さすがに自民党内からも「もう秋葉はもたない」との声が上がっている。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「どうして岸田首相は、即刻、秋葉を更迭しないのか不思議です。この期に及んで『説明責任を果たしてもらいたい』などとのんきなことを口にしている。もし『そのうち国民も忘れる』と考えているなら甘すぎます。自民党内からは『大臣辞任は予算成立と引き換えにしたらどうだ』との声もあるようですが、疑惑大臣を一日、放置したら、その分、国民の支持を失い、内閣支持率も下落していくことに、なぜ気づかないのか。岸田首相も自民党も正常な判断力を失っています」


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11月27日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「敵基地攻撃だけは着々 看過できない「泥舟政権」の憲法破壊」

 政府の有識者会議は22日、敵基地攻撃能力の保有は「不可欠だ」と結論づけ、岸田首相に「報告書」を提出している。しかし、会合は4回しか開かれていない。

 しかも、反対意見はまったく出なかったという。メンバーは元駐米大使や金融関係者、報道関係者ら10人だった。最初から賛成者だけを集めた「結論ありき」の有識者会議だったのではないか。

 「有識者会議の報告書を受け取った岸田政権は、自公の合意を得た後、年末に改定する『安保関連3文書』に敵基地攻撃能力の保有を書き込む方針です。しかし、敵基地攻撃能力の保有は、日本は火の粉を払う『盾』に徹し、相手国の本拠地を攻撃する『矛』は米軍に任せるという安保政策を大きく変えるものです。どうしても保有したいのなら、国会で議論し、その上で解散総選挙で信を問うのが当然でしょう。有識者会議の結論や自公の合意だけで既成事実化するのは、おかしいですよ。安保政策は憲法問題に直結するのに、有識者会議のメンバーに憲法学者が入っていなかったことも不可解です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 多くの国民が気づかないうちに、日本の安保政策は大きく変えられようとしている。

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11月26日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月26日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「今や岸田内閣は疑惑の巣窟 こんな政権が戦争大増税を企む悪辣」

■驕り高ぶり、有権者を見くびる

 確定申告や国税庁の税務調査など、一般国民の領収書は正しく記入することが求められているのに、国会議員は不記載でも不問なのか。義務を果たさなくとも特権階級だから許されるとでも言うのか。国民感覚との乖離は甚だしい。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党の末期症状ですよ。統一教会問題にしろ、政治とカネの問題にしろ、正常ならばやってはならないことに手を染めて、選挙での当選を維持する。長期政権の上にあぐらをかいて、驕り高ぶり、多少のことなら問題ないと有権者を見くびっているのです」

 こんな悪辣内閣から、戦争のための増税を要求されて、素直に応じる国民がどこにいるというのか。それでなくとも、医療費や介護などの社会保障費はどんどん削られ、所得の中から税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す国民負担率は5割近くに達している。来年度の公的年金は、急激な物価上昇に伴いマクロ経済スライドが発令され、給付額が物価上昇分を補えず実質目減りするのが確実だという。まさに「#岸田に殺される」である。

 「円安や物価高で3食ありつけず苦しんでいる人が続出している中で、軍拡のために増税し、国民の支持を得られると考えているとしたら、全く理性が足りないし、狂気としか言いようがありません」(五十嵐仁氏=前出)

 25日から衆院で予算委員会だ。さらなるドミノ辞任候補に首相までが連なるようなサイテー内閣は、戦争増税どころか、内閣総辞職が当たり前だ。

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11月20日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「辞任ドミノ、党内に反旗 帰国後の岸田首相を待ち受ける生き地獄」

 先月24日の更迭から、たった4日後。山際を自民党のコロナ対策のトップに就けた萩生田政調会長を含め、政権の足を引っ張るのは、なぜか党内最大派閥・安倍派の中核を担う議員だ。

 岸田は党内第4派閥の領袖に過ぎず、政権の安定には他派閥の協力が欠かせない。グラグラの足元を見透かし、失点続きの岸田に対し「他派閥の政権だから、もう助けたくない」という最大派閥の本音を暗ににおわせているのだろうか。

 統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の被害者救済新法の各党との調整にシャシャリ出て、露骨に「ポスト岸田」を意識し始めた茂木幹事長の動きを含め、泥舟から逃げるがごとく、党内には岸田に見切りをつけたムードが充満しているかのようだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「岸田首相は、誰がどう見てもリーダーシップに欠け、無能・無策・無責任の三拍子。その尻ぬぐいに辟易している与党議員は多いはず。『この人についていって大丈夫か』との不安を募らせ、国民の信任を失った政権とは『自分は違うぞ』と別の方向性を示し、岸田首相と手を切ることで生き残りを図る動きが活発化しそうです。それを裏付けるのは、党内で寺田稔総務相の早期辞任論が浮上していること。補正予算案の審議中に『政治とカネ』を巡る疑惑がさらに拡大。辞任ドミノが続けば政権は持たない。岸田首相も日本に帰ってきたくないはずで、孤独は深まるばかりです」

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11月18日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月18日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「自民党と統一教会の闇は? 被害者救済法で疑惑にフタではたまらない」

 日本の政界から「反日・宗教団体」の影響力を一掃するには、もはや政権を交代させるしかないのではないか。永田町では、岸田首相が12月に「破れかぶれ解散」に打って出る、という情報も飛びかっている。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党政権は、年内に“被害者救済新法”を成立させることで統一教会問題に幕を引くつもりのようですが、国民は絶対に納得してはいけない。少なくても来春の統一地方選では、統一教会と関係を持っていた自民党議員には、明確にノーをつきつけるべきです。地方議員ほど、統一教会に汚染されているという実態もあります」

 たとえ、統一教会に解散命令が下されても、税制上の優遇措置を失うだけで宗教団体としては生き残る。50年間、タッグを組んできた自民党は、解散が命じられた後も統一教会との関係をつづけるのではないか。

 「救済新法」と「解散命令」で統一教会との癒着を隠そうとしている岸田自民党にだまされてはいけない。

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11月14日(月) 『しんぶん赤旗』日曜版に掲載された談話 [コメント]

〔以下の談話は『しんぶん赤旗』日曜版11月13日付に掲載されたものです。〕

 岸田政権は国民の方を向いていない

 自民党議員らと統一協会の「推薦確認書」などズブズブの関係が連日明らかになるのを見ていて、「自民党はどこの国の政党なのか?」という思いを強くしています。
 統一協会は外国=韓国にルーツを持ち、そこに本部がある団体です。そういう団体と選挙で事実上の「政策協定」を結ぶこと自体が問題です。外国勢力による内政干渉で国民主権に反します。
 しかも、この団体は日本国民を洗脳し、「霊感商法」で高額な商品を売りつけ、多額の献金を強要し、その財力で韓国に大宮殿を建てています。「集団結婚」で多数の日本人を韓国に連れ出し、家庭を破壊し、宗教二世の子どもたちの人生を狂わせてきました。これは宗教団体というより〝反社会的カルト集団〟と呼ぶべきです。
 自民党議員らはこういう団体と密接な関係を持ち「広告塔」の役割を果たす代わりに、選挙応援や運動員派遣をしてもらっていた。自民党はこの国と国民を「守る」つもりがあったのか、根本的に問われる重大問題です。

 統治政党の資格喪失―自民党の歴史的役割は終わった

 「政策協定」の中身も重大です。「憲法を改定し、安全保障体制を強化する」「国内外の共産主義勢力…の攻勢を阻止する」という。徹底した改憲反共集団です。
 統一協会と一体の勝共連合が示した改憲内容は、自民党の改憲案(4項目)と瓜二つですが、内容はさらに露骨です。政府の権限を強化した緊急事態条項の創設とか、「強い国家」をめざす9条への自衛隊明記だとか、自民党が2012年にまとめた「日本国憲法改正草案」と似通っています。
 「家庭教育支援法」や「青少年健全育成法」を国会で制定しろともいいます。中身は個人の尊重・尊厳を否定する伝統的家族観です。ジェンダー平等に反し、少数者の人権無視の態度も貫かれています。
自民党は「自由と民主主義」とか「法の支配と人権」とかをよく口にします。しかし、自民党と統一協会がめざす国家像、社会像がどういうものであるのか。その正体は、この「推薦確認書」が鏡のように映し出しているのではないでしょうか。
 統一協会と密接な関係をもった自民党議員らが、防衛、法務、文部科学、消費者問題などを、大臣や副大臣として担当していること自体戦慄すべきことです。国政の中枢で行政がゆがめられてきたのではと、疑念を抱かざるを得ません。
 岸田首相は調査もしないで統一協会の「影響はない」と言っていますが、何の保証も説得力もありません。
 戦後、自民党は日本政治に一定の役割を果たしてきたかもしれませんが、いまや憲法に対する規範意識もない。外国勢力と通じ、憲法を順守しないというのは、統治政党としての資格喪失です。韓国の〝反社会的カルト集団〟の手先のようになっている自民党の歴史的役割は終わったと思います。


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11月13日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「また後手後手で悶絶の蟻地獄 次に辞めるのは寺田総務相か岸田首相か」

 誰がどう考えたって葉梨の「死刑はんこ」発言は一発アウトだろう。9日夜、同僚議員のパーティーでスピーチに立ち、法相の職務について「朝、死刑執行のはんこを押す。昼のニュースのトップになるのは、そういう時だけという地味な役職」と口にしたのだから信じられない。

 たとえ犯罪者だとしても、国家が人の命を奪うということの重さをどう考えていたのか。確定死刑囚の多くは、いつ刑が執行されるか常に怯え、平日の朝、廊下を歩く看守の足音に神経をとがらせるのだという。拘置所の朝は異様な静けさに包まれるそうだ。人ひとりの命を絶つことの重さを考えたら、とてもじゃないが死刑を笑いのネタにはできないはずだ。「死刑はんこ」発言は笑いが取れたらしく、東京のパーティーなどで4回以上、繰り返し使っていたという。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「民主党政権の時、千葉景子法相は、サインをするだけでは無責任だと、執行に立ち会っています。また、谷垣禎一自民党元総裁は、法相を務めた時、大臣室の引き出しに仏像と数珠を入れていたといいます。死刑執行を命じる法相とは、そういうものでしょう。ところが、葉梨前大臣には覚悟のかけらも見えなかった。スピーチでは『法務省は票とカネに縁がない』と発言したともいいます。彼にとって大臣とは、票とカネを集めるものだったのか。どうして法相を引き受けたのか理解に苦しみます」

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11月10日(木) 岸田政権を覆う統一協会の闇 癒着議員抜きでは組閣できず(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『治安維持法と現代』No.44、2022年秋季号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

なぜ自民党と統一協会との癒着が生じたのか

 霊感商法や洗脳による巨額献金などを繰り返してきた反社会的カルト団体と自民党との癒着がなぜ生じ、これほど深く幅広いものになったのでしょうか。その最大の理由は、双方に利用価値があったからです。
 そして、その土台となっていたのが、反共主義というイデオロギーであり、家父長的な家族主義に基づく古臭い政策や主張です。このような時代の趨勢に反する考え方が共通していたからこそ、改憲案が似通っていたり、その実態への警戒心や違和感を抱くことのない自然な接近が可能となったのです。
 自民党議員の側からすれば、選挙での票とマンパワーの提供は魅力的であり、集会へのメッセージや挨拶、会費の支払い、イベントへの名義貸しや参加などは「お安い御用」だったでしょう。協会のメンバーは熱心でまじめに活動する支持者であり、まとまって支援を期待できる重要な戦力だったのです。
 統一協会の側からすれば、詐欺的犯罪によって失墜している社会的信用を回復し、「信者」獲得のための「広告塔」や当局の取り締まりへの防波堤として、あるいは自らが掲げている「勝共主義」や「家庭」政策の実現のために政治家を利用しようとしたのです。
 しかし、虚偽や恫喝によって高額な壺や印鑑などを売りつけ、法外な巨額献金を強要するなどの犯罪行為が多くの被害者を生み、裁判でも有罪判決などが出るに及んで大きな障害に直面します。この壁を乗り越えるための打開策が名称変更であり、取り締まり当局への働きかけだったと思われます。
 この点で、第2次安倍内閣時代の2015年の名称変更の認証は大きな意味を持ちました。名前が変わったために統一協会とは知らずに、あるいは関連団体とは気づかずに関係を持ったり協力したりした人もいたでしょう。
 この名称変更に対する下村博文文科相の関与、オウム真理教の後に最重要監視対象から外された経緯、公安調査庁の報告書から「統一協会」が消えた事情、子ども庁が子ども家庭庁に変更された背景など、政治が歪められたのではないかという数々の疑惑が生じており、その解明が待たれます。

極右勢力に取り込まれた岸田改造内閣

 8月10日に発足した第2次岸田改造内閣は、自民党を取り巻く極右靖国派との癒着の深さを改めて示すものとなりました。統一協会とその関連団体との接点のある議員が8人もいたのをはじめ、岸田首相以下19人の自民党議員全員が日本会議国会議員懇談会(日本会議議連)と神道政治連盟(神政連)国会議員懇談会のいずれかに加盟していたからです。統一協会と接点のある大臣・副大臣と政務官は33人もおり、改造内閣の43%を占めていました。
 また、8月31日に決められた自民党の新しい役員や部会長らにも会合への参加や祝電の送付など統一協会との接点のある国会議員が少なくとも18人が確認されています。74人のうちの24%に当たることになります。
 岸田内閣はまさに極右勢力に取り込まれた形になっています。統一協会や日本会議、神政連などと関係のない議員だけで組閣することも、自民党の役員を選任することも不可能であることが改めて明確になりました。
 当初、実態の解明に消極的だった自民党は、批判の高まりに押されて所属国会議員へのアンケートを実施し、その結果を発表しました。「調査」ではなく自主申告による「点検」ですからどこまで正直に答えているかは疑問ですが、それでも379人のうちの179人(その後、180人)、半分近い47%が接点を持っていることが明らかになっています。選挙で支援を受けたり会合に出席したりした121人の実名も公表されました。
 そればかりではありません。このような統一協会との癒着は中央だけでなく地方政界にも広く深く浸透しています。『朝日新聞』の調査では、都道府県議、知事のうち統一協会と接点があったことを認めた都道府県議は290人で8割が自民党だったといいます。知事は宮城、秋田、富山、福井、徳島、鹿児島の7県が接点を認めていました。予想を上回るほどの幅広さだというべきでしょう。

政治・行政の歪みを正すために

 反社会的犯罪集団の広告塔となり、その社会的信用の回復に手を貸し、政治的な影響力によって間接的に加担する結果になった罪は、どのように言い逃れしても消えることはありません。統一協会との関与が深かった議員は責任を明らかにして辞職すべきです。
 数々の疑惑に対しても事実を解明することが必要です。宗教を隠れ蓑として反社会的活動や犯罪に手を染めていた統一協会に対しては、宗教法人としての認可を取り消すべきでしょう。違法行為に対して行政処分を行い、行き過ぎた場合に解散命令を出し、カルト団体に対する法的規制も検討すべきです。
 地方自治体レベルでの統一協会の暗躍に対しても光を当て、その実態を解明して政治・行政の歪みを正すことが急務です。自治体の首長や議員と統一協会との接点を明らかにし、関係議員を一掃しなければなりません。来年4月の統一地方選を、そのための機会として活用すべきです。
 地方行政が統一協会によって歪められていないかという検証も欠かせません。その働きかけによって家庭教育支援条例や青少年健全育成条例などが制定され、関係者が学校教育にかかわっている例も判明しています。ロードレースなどのイベント後援や社会保障協議会への寄付などで関係を結んでいる例もあります。
 地方の自治体や首長、議員などと統一協会及び関連団体との関りを徹底的に調査し、それを逐一切断していかなければなりません。国政と地方政治の裏面で暗躍していた統一協会や国際勝共連合などの関連団体の活動の実態を明るみに出し、中央と地方の政治・行政の歪みを正すことが緊急にして重要な課題となっています。

厳しい対応を迫られる自民党

 統一協会との関りにおいて、もっとも大きな責任を問われているのが自民党です。反社会的カルト団体との接点があっただけでなく、党ぐるみで協力関係を持ち、社会的信用の回復と犯罪行為の隠ぺい、影響力の拡大に手を貸してきたからです。
 自民党はまず第1に、時代遅れの反共主義から脱皮し、伝統的家族観や反夫婦別姓・反LGBTQ(性的少数者)など協会と同様の考えを変え、ジェンダー平等や少数者の人権を認めるまともな政党へと生まれ変わらなければなりません。政治的な立場や考え方の共通性を改めなければ、統一協会との親和性を拭い去ることができないからです。
 第2に、統一協会とどのような関係にあったかについて、事実を明らかにしなければなりません。アンケートによる「点検」だけでは不十分です。中立的な第三者機関による客観的な事実に基づく調査を行い、洗いざらい明らかにして膿を出し切る必要があります。清和会の会長として中心的な位置にいた細田博之衆院議長や安倍元首相についての調査も欠かせません。
 第3に、統一協会による高額な物品購入や寄付、集団結婚や洗脳によって家族を崩壊させられ、人生を狂わされた被害者に対する謝罪と救済が必要です。自民党の政治家が関わることによって生じた被害者に対して、加担し「お墨付き」を与えた立場から謝罪することは当然でしょう。
 第4に、統一協会との関りの深さに応じて処分することが必要です。実質的に活動を支援し支援されていた議員に対しては、役職からの解任、党からの除名、議員辞職の勧告や次の選挙では候補者としないことなどの厳しい対応が求められます。このような形で責任を明らかにし、反社会的なカルト団体と完全に絶縁しないかぎり、自民党に明日はありません。
 岸田首相は「旧統一教会との関係を断つ」と国民に約束しました。それならまず、井上義行議員のように統一協会の組織票で当選した議員に辞職を促し、山際大志郎経済再生相と萩生田光一政調会長を罷免し、下村博文議員らのように深く癒着している議員を処分するべきです。そうしなければ、国民の信頼を取り戻すことはとうてい不可能でしょう。


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11月9日(水) 岸田政権を覆う統一協会の闇 癒着議員抜きでは組閣できず(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『治安維持法と現代』No.44、2022年秋季号、に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

はじめに

 参院選の最終盤。驚天動地の事件が勃発しました。7月8日に遊説先の奈良県近鉄大和西大寺駅前で安倍晋三元首相が銃撃され、その後死亡が確認されたからです。
 選挙戦の最中、衆人環視の下で発生した白昼公然たる重大犯罪です。決して許されないものですが、その結果、明らかになった事件の背景も許されざるものでした。
 逮捕された山上徹也容疑者は「母親が宗教団体にのめり込んで破産した。家庭をめちゃくちゃにした団体を、安倍氏が国内に広めたと思って狙った」と述べたからです。世界平和統一家庭連合(統一協会)によって家庭を崩壊させられ個人的に恨みを抱いており、その関連団体にビデオメッセージを送って「広告塔」の役割を果たしていたのが安倍元首相だったので狙ったというわけです。
 その後の展開も驚愕の連続でした。これほど深い闇がかくも幅広く長い期間にわたって日本の政界を覆い、政治と行政を歪めてきたのかと、驚くほどの事実が次々と明らかになってきたからです。その中枢にあったのが自民党の清和会(安倍派)であり、安倍元首相でした。
 
安倍銃撃死で急変した参院選

 安倍元首相が倒れたのは参院選投票日の2日前です。この銃撃殺人は選挙の結果にも大きく影響したように見えます。事件に衝撃を受けた有権者は同情を寄せ、自民党は「弔い合戦」と位置付けて攻勢を強めたからです。メディアは当初、「特定の宗教団体」というだけで「統一協会」の名前を隠していました。
 参院選についてはすでに皆さんご存じのとおり、残念な結果に終わりました。与党の自公が多数を維持して立憲民主・共産の両党が議席を減らし、改憲勢力が3分の2を超えています。もともと選挙情勢は野党にとって厳しいもので、自民党の圧勝が予想されていました。
 安倍・菅政権の下で貧困化と格差の拡大が進み、中間層の没落を背景に社会の保守化と右傾化が深まりました。2月に始まったウクライナ侵略の影響で好戦的雰囲気が高まり、岸田新内閣に対する支持率も堅調に推移していました。
 これらの「逆流」に対して、野党は本気の共闘で巻き返す必要がありました。しかし、総選挙後に高まった「野党は批判ばかり」という批判にたじろいで追及を手控え、共闘についても32ある一人区での一本化は11選挙区にとどまりました。「漁夫の利」を得た自民党は有利な形で選挙を迎えることになったのです。
 しかし、選挙が始まってから、コロナ対策の失敗や医療崩壊、収入減や物価高騰への無策などもあって自民党は苦戦し始めました。この選挙情勢を一変させたのが、安倍元首相に対する銃撃事件です。失われかけていた支持が一気に回復し、再び与党優勢に転じたように思われます。

あぶり出された統一協会との癒着

 参院選に勝利した岸田首相は、解散・総選挙が無ければ国政選挙での審判を免れ、改憲発議などの諸課題の実現に専念できる「黄金の3年間」を手に入れました。岸田首相としてはじっくりと組閣構想を練って長期政権の基礎を固めるつもりだったでしょう。
 しかし、安倍銃撃事件を契機に統一協会と政治との癒着の闇に光が当たり、次々と新事実が明らかになるに及んで事態は急転しました。岸田内閣への批判が強まり始めたのです。危機感を強めた岸田首相は安倍元首相への弔意を支持回復に利用するために「国葬」とすること、統一協会と関係のある閣僚を排除するために内閣改造を早めることを決断しました。
 ところが、事態はさらに暗転します。とりわけ大きな批判を呼び起こしたのは安倍首相に対する「国葬」でした。戦前の国葬令は廃止され、憲法に反し、法的根拠はなく、国会での議論も議決もなしに閣議決定だけで決めてしまったからです。法に基づかない財政支出は財政民主主義に反します。特定の個人に対する特別扱いは法の下の平等に反し、弔意の強制は内心の自由を犯します。
 しかも、特別扱いされる対象が数々の批判と疑惑にさらされてきた安倍元首相でした。アベノミクスによって収入は減り、円安と物価高をもたらし、国民生活を苦しめています。特定秘密保護法や「共謀罪」法、戦争法(平和安全法制)の制定などによって憲法を踏みにじり、コロナ対策でも「アベノマスク」と一斉休校などの失政を繰り返してきました。
 アメリカの言いなりに武器を爆買いし、北方領土の「2島返還」論でプーチンに取り入り、拉致問題は利用するだけで一歩も動かず、モリカケ桜前夜祭については国会で118回も嘘の答弁を繰り返し、公文書の改ざんを苦にした自殺者まで出しています。このような人をなぜ17億円もかけて「国葬」し美化しなければならないのでしょうか。
 多くの疑問や批判が寄せられるのはあまりにも当然です。その後も「国葬」に対する国民の反対は高まるばかりで、改造されたにもかかわらず支持率はほとんど増えず、中には減ったものさえありました。
 最も象徴的なのは『毎日新聞』の世論調査で、内閣支持率は改造前から16ポイントも激減し、36%になってしまいました。通常の内閣改造では「ご祝儀」として支持率が上昇しますが、今回は「罰金」を取られたようなもので、3割台の「危険水域」に入り込んでしまったというわけです。

統一協会をめぐる政治の闇

 ところで、統一協会とはどのような団体なのでしょうか。1954年に文鮮明によって韓国で設立され、「世界基督教統一神霊協会」と名乗っていたように、キリスト教系の新興宗教の一種と見られています。2012年に教祖の文鮮明が死去した後は、妻の韓鶴子がその跡を継いで組織全体の責任者になりました。
 統一協会の発足にあたっては、アメリカのCIAや韓国のKCIAなどの支援があったとされています。日本に進出して以降は、岸信介元首相、笹川良一や児玉誉志夫などの右翼の巨頭と結びつきました。安倍元首相が深いつながりを持っていたのは、祖父の岸や父親の晋太郎と続く「3代の因縁」があったからです。
 一般のメディアなどで統一協会は「旧統一教会」と表記されていますが、その本質は反日謀略工作機関であり、反共・改憲推進団体にして反社会的詐欺集団です。宗教団体としての仮面はこの本質を隠すための隠れ蓑にすぎず、「教会」という表記は正しくありません。
 協会は1994年に「世界平和統一家庭連合」と名称を変更し、日本では2015年に文化庁が改称を認証しました。しかし、この名称変更は世論を欺いて批判をかわすためのものにすぎず、「協会」の本質は何も変わっていませんから「旧」をつけるのも正しくありません。
 その実態は宗教団体ではなく、反社会的なカルト団体です。したがって、「信仰の自由」の名で霊感商法や巨額献金、集団結婚や信者へのマインドコントロールを弁解することはできません。政治家との癒着や持ちつ持たれつの腐れ縁も「宗教と政治」との関係ではなく、政治家と反社会的カルト団体との結びつきが許されるのかという問題なのです。
(続く)

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11月8日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月8日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「とことん国民を舐めている自民党 山際の「形だけ謝罪」「復権」が象徴だ」

■瀬戸際めぐる狂気の三拍子

 責任政党を名乗るのであれば、山際を閣外に追い出すと同時に議員辞職を迫るのが筋だろう。ところが、いまだ国会に対しても、国民に対しても説明の任を果たさない山際を要職にあてがうのが岸田自民だ。事実上の更迭からわずか4日で、党の新型コロナウイルス等感染症対策本部長に抜擢。岸田は国会で「経歴や経験を踏まえ、総合的に判断した」と答弁していたが、岸田政権発足以降は党高政低だ。不祥事を起こした事業会社の役員が持ち株会社の役員にスライドしたようなものである。資料を1年で廃棄し、記憶障害を頻発する男に国民の命と暮らしに直結する問題を任せる感覚はマトモじゃない。支持率はダダ下がりだ。政権寄りの読売新聞の世論調査(4~6日実施)でも、内閣発足以降最低の36%に下落。前回10月調査から9ポイントも落ち込み、不支持率は4ポイント上昇して50%に達した。

 そうした中、厚顔無恥の山際は5日、地元の川崎市高津区で支援組織の役員を集めて一連の不祥事について謝罪。約2時間、非公開で行われた説明会では統一教会との関係について「当時は教団の人とは分からなかったが、名簿を精査したらいた。きっぱり縁を切らせてもらった」などと釈明し、「社会にも党にも迷惑をかけた。初心に返って一生懸命やる」と詫びたという。バッジを外し、「一から出直す」と言わないあたり、往生際の悪さは当代随一と言っていい。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「岸田首相も、自民党も、山際議員も狂っている。山際議員の処遇は政府・自民党が民意とかけ離れていることを象徴しています。議員辞職してしかるべき人物が形式的な謝罪で居座り、党はそれをいさめないどころか、重要ポストに就けるのだから呆れます。本来、教団によって人生を狂わせられた人たちに罪滅ぼしに励まなくてはならないところでしょう。岸田首相は〈丁寧に説明する〉と言って頭を低くしている間に、批判の矢が頭上を通り過ぎるとタカをくくっているのでしょう」


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