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12月13日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「やり方決め方すべてが姑息 国と国民を守りたいなら岸田首相よ、辞めてくれ」

■民意にコソコソ隠れた防衛政策の大転換

 確かに敵が「着手」した時点でミサイル拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有は日本の防衛政策の歴史的な大転換だ。相手から武力攻撃を受けたときに初めて必要最小限の防衛力を行使し、保持する防衛力も必要最小限に限る。この平和憲法の精神にのっとった「専守防衛」という戦後日本の国是をなし崩しにし、「着手」の判断を見誤れば国際法違反の「先制攻撃」に問われる危険な道にカジを切る資格が、はたして岸田にあるのか。法政大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「支持率が6、7割と世論を味方につけた政権ならいざ知らず、調査によって支持率が30%に満たず、ほとんど国民に見放された泥舟政権が防衛政策の基本を覆すことに、正当性はない。しかも、国会での議論ナシ。16日には敵基地攻撃能力の保有を盛り込んだ安保関連3文書を拙速に閣議決定してしまうのだから、なおさらです。夏の参院選でも公約に掲げていなかった増税を推し進めることも含め、やり方、決め方、すべてが民意に隠れてコソコソ。あまりに姑息すぎる。歴史的な大転換を行うのなら、選挙で公約に掲げて堂々と国民の信を問うべきです」

 現在、米国や中国ではマッハ5以上で飛ぶ極超音速ミサイルの開発が急ピッチで進み、実験にも成功。間もなく運用に入るとみられる。1発約3億円、500発で計1500億円とされるトマホークを米国から購入しても、5年もすれば時代遅れになっている可能性が高いのだ。

 「防衛力増強は米国への忖度ありき。日本は『盾』に徹し、相手国の領土を攻撃する『矛』は米国に委ねてきたのに、日本も『矛』の役割を担うことで、膨らみ続ける国防費の抑制を目指す米国のバイデン政権にこびる。日本が自前で長距離ミサイルを研究・開発しようにも、技術者が不足しており、今後も米国の兵器に頼らざるを得ない。その負担を国民に押しつければ『軍』栄えて『民』滅ぶです。抑止力で守るべき社会や国民生活をブッ壊すだけですよ」(五十嵐仁氏=前出)

 10日の会見で岸田は「今、国際情勢は不安定化、流動化している。わが国をめぐる安全保障環境も厳しさを増している」と語ったが、米国にすればシメシメだろう。自国が攻撃されるのはごめんだが、遠く離れた東アジアで緊張感が高まれば時代遅れのミサイルや兵器の在庫一掃。それこそ日本が“言い値”で買ってくれればウハウハだ。


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