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12月27日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「岸田首相もイカれていたか 「有事の宰相」をいきがる愚かさ」

 この国における「有事」とは、在日米軍を含むアメリカ軍と日本の周辺国との戦争に巻き込まれる「波及有事」だけだ。政府は中国と北朝鮮、ロシアの脅威をあおるが、彼らとの衝突を避けるための外交努力はみじんも感じられない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「ロシアとはウクライナ侵攻を機に制裁を科した対抗措置として、日本は『非友好国』に指定され、北朝鮮とは没交渉。対面では実に3年ぶりとなった11月の日中首脳会談も大きな成果はなかった。周辺国との外交は手詰まり状態です。専任として歴代最長、4年8カ月の長きにわたり外相を務めた岸田氏なら、外交の重要性を理解していなければ困る。麻生氏が岸田氏を『有事の宰相』とおだてあげたのは『公家集団』と揶揄される宏池会のトップに『タカになれ』とハッパをかけたようなもの。この言葉を圧力と感じ、普段は優柔不断な“お公家さま”が柄にもなく、防衛政策を次々と大転換。外交努力を蔑ろにした大軍拡と、その財源となる大増税を背負うのは国民の責任だと押し付ける姿は異様です」

 戦争とは血を流す政治、外交とは血を流さない政治であり、日本は永久に血を流さない政治を守るべきだ──。歴史的な「有事の宰相」を粋がる愚かな岸田には肝に銘じて欲しい言葉である。06年に亡くなるまでそう訴え続けたのは、かつて自民党きってのタカ派と呼ばれた箕輪登・元郵政相。旧北海道1区選出で衆院議員を8期23年務め、90年の政界引退まで防衛政務次官や自民党国防部会の副会長を歴任した。

 引退後は民間から防衛政策に苦言を呈し、04年にはイラクへの自衛隊派兵は「違憲」として、差し止め訴訟を札幌地裁に提訴した。日本が軍事国家になることを危惧していた保守政治家だ。

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