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1月21日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』1月21日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「【防衛費倍増】財源問題にすり替えれば狡猾・自民党の思うツボ」

 「1兆円分を増税で賄うことは決まったとはいえ、増税の時期は未定。まだまだ紆余曲折があるだろう。世論は増税に反対している。5月の広島サミット後、夏以降に岸田首相が追い詰められる可能性もある」(自民党関係者) 

 だが、自民党内のコップの中の争いにだまされちゃいけない。防衛費倍増を財源問題にすり替えられてしまったら、狡猾自民の思うツボだ。

 そもそも防衛費については、来年度の1年分だって、まだ予算案は成立していないし、国会審議にすら入っていない。バイデン米国に報告しただけで、43兆円ありきはおかしい。

 「岸田政権がやろうとしていることは、日米の盾と矛の役割分担を変えるものであり、平和憲法の下での戦後日本の防衛政策の大転換です。財源や必要な装備といった各論ではなく、なぜ防衛費を倍増しなければならないのか、日本のあるべき安全保障政策とはどういうものなのか、といった総論から始めるべきでしょう。自民党が根本の議論を避けるのは、軍拡と戦争のリアリティーを国民が真剣に意識しだしたらまずいので、意図的に財源論に矮小化しているのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 とどのつまり、いま岸田政権が進めている憲法破壊の軍備増強は、国民生活を安全にするというより、むしろ戦争に近づけるものだということだ。岸田はその説明をすっ飛ばしているし、国民にもその覚悟ができているとは思えない。

 「メディアは自民党が言うことを垂れ流し、野党も自民党の土俵にのっかって、財源論の議論をしている。軍拡をしなければ、防衛費を増額する必要はないのです。野党には国会で、軍拡の妥当性を問う議論を期待したい」(五十嵐仁氏=前出)

 「新しい戦前」なんて、誰も来て欲しくないはずだ。この国は正念場にある。

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