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2月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「国民だってお見通し 児童手当をめぐる茶番劇は防衛増税の目くらまし」

■肝心なことは隠して既成事実化

 「児童手当は、それだけで子育てができる額ではないし、児童手当拡充を理由に増税なんてされたら、子育て世帯の家計はかえってマイナスになりかねない。本当に少子化対策を考えるのなら、所得制限の撤廃でお茶を濁すのではなく、まずは子育てを社会の中でどう位置づけるかという全体像を示し、子どもや女性の権利を守りながら社会進出を支援する取り組みが必要です。取ってつけたような児童手当問題は、統一地方選を意識したバラマキでしかない。内閣支持率の下落が止まらず焦った岸田政権が、人気取りの政策をあれもこれもと打ち出しているだけなので、どれも場当たりで一貫性がなく、長期的ビジョンも理念も感じられないのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田は防衛費を倍増、子ども予算も倍増と風呂敷を広げるが、その財源はどうするのかというと、増税しかない。あるいは、社会保障費の大幅カットだ。そこをきちんと説明しないで「あれもやる、これもやる」とリーダーぶっているのは、不誠実極まりない。

 高騰する電気代が国民生活を圧迫していることについて、岸田は1月30日の衆院予算委で「必要な対応は躊躇なく取り組む」と表明。国はすでに今年1月使用分から電気料金は1キロワット時あたり7円、ガス料金は1立方メートルあたり30円を補助していて、標準家庭では電気・ガス料金が2割ほど安くなる計算だというが、東電は6月から電気料金を3割値上げするから焼け石に水だ。しかも、補助は期間限定で、9月からは減額される。

 「燃料価格の高騰と円安のダブルパンチで電気代が急激に値上がりしている。食料品などの物価高も、アベノミクスの異次元緩和による円安誘導が元凶です。岸田首相は賃上げも口だけで、この物価高にはとても対応できません。それなのに、日銀の金融政策という根本的な原因には手をつけず、あちこちの傷口に絆創膏を貼ってしのぐような場当たりでごまかしている。それどころか、電気代高騰に国民が苦しんでいることを利用して、原発推進に舵を切ろうというのだから悪辣です」(五十嵐仁氏=前出)

 岸田政権は昨年末に策定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」で突然、原発回帰に舵を切った。議論を避け、国会を閉じた途端に勝手に決めるのは防衛費増額と同じやり口だ。


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2月3日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月2日付に掲載されたものです。〕

*記事「岸田首相長男「公用車で土産購入」問題に官邸“犯人捜し”血眼の笑止…躍起になるほど墓穴」

 岸田首相が「全閣僚に」と言ったため、31日の閣議後会見では土産関連の質問が続出。松野官房長官や林外相、加藤厚労相ら多くの閣僚が岸田首相から土産を受け取ったことを明らかにした。ただ、何をもらったかについては一様に歯切れが悪い。

 「中身につきましては、プライベートに関わることでありますので……」(鈴木財務相)

 「言ったら角が立つのではないか」(高市経済安保相)

 「他の閣僚が何を頂いているか分からない」(河野デジタル相)

 「プライベートなことなので、お答えは控えさせていただきたい」(後藤経済再生相)

 土産は高級ネクタイやハンカチだったとも報じられているが、「ポケットマネー」で「プライベート」なのに公務と言い張るのは、やはり無理があるのではないか。

 「外遊の土産を配る慣習は昔からあるし、民主党政権時代でもやっていたでしょう。しかし、それは公務ではない。土産を買ったことが悪いのではなく、公用車を観光やショッピングに使っていたことが問題なのです。岸田首相自身が、長男を秘書官に就けるという公私混同をして官邸を私物化しているわけで、“この親にしてこの子あり”だと呆れます」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 経験不足の長男を箔付けのために秘書官に抜擢した岸田首相の親バカ人事が元凶なのだが、官邸は週刊誌に情報をリークした“犯人”捜しに躍起というから笑止千万だ。

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2月1日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「子どもをダシに票集め とことん信用できない口先・場当たり自民党」

■「子育ては家庭でなされるべき」

 2010年当時、子ども手当を批判する自民党は、こんな政策を掲げていた。

 <民主党政権には「自助」の考えが欠如しています>

 <自民党の進める政策は、「自ら努力する人を、国が応援する」ことが基本であり、子育ても、一義的には家庭でなされるべきものです>

 <民主党は「子どもを社会全体で育てる」ことを第一義とし、家庭における子育てを軽視しており、私たちと考え方が大きく違います>

 つまり、社会全体で子どもを育てるという民主党政権の理念は間違っている、子育ては各家庭の自助で行うべきだと主張していたのだ。

 「世の中の価値観は変わっているのに、女性は家庭に入って子育てをするべきだという伝統的な家族観を重視して、女性の権利を抑圧してきたのが歴代自民党政権です。女性が子育てをしながら働きやすい社会制度を整備することも、社会全体で子育てを分かち合うことも拒否して、家庭の問題に押し込めてきた。その結果、取り返しのつかない事態になってしまったのではないですか。口先だけの反省ではなく、自民党的な考え方を根本的に考え直さなければ、少子化問題は解決しないでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田政権は少子化対策の一環と言って4月から「出産育児一時金」を増額することを決めたが、それで出産費用を引き上げるクリニックが続出では家庭には何の恩恵もない。児童手当の所得制限撤廃も、塾などの教育産業が価格をつり上げるインセンティブになるだけではないのか。結局、自民党の政策は利権がらみでしかない。

 「そもそも、具体策は今の通常国会が終わる6月にまとめると言っている時点で、この政権が少子化対策に本気ではないことが分かります。バラマキをにおわせて、春の統一地方選を優位に進めようという計算でしょう。子育て政策が有権者にウケると思って、支持率アップ狙いで言っているだけなのです。待ったなしの最優先課題と言うのなら、今国会で進めるべきではないですか」(五十嵐仁氏=前出)

 防衛費倍増もそうだが、子どもをダシにすれば増税も受け入れられるという計算もあるのだろう。

 育児休暇中のリスキリングとかとんちんかんなことを言って子育ての苦労と無縁なことがバレた岸田首相と、とことん人望がない幹事長。打算で動く連中が言う「異次元の少子化対策」は、とことん信用ならない。


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