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2月15日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「日銀総裁人事でもチラつく影 今なお国を歪める安倍の亡霊」

■権力に溺れたナルシズム

 ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは著書「職業としての政治」で、「権力に溺れたナルシシズム、要するに純粋な権力崇拝ほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」と断言した。権力に溺れたナルシシズムとは岸田か、あるいは安倍の亡霊なのか。

 「外交安保も金融政策も原発推進も、安倍路線を継承し、拡大させていますが、これらは本当に岸田首相がやりたかったことなのでしょうか。宏池会らしさはどこにもありません。安倍元首相がやりたかったことを実現させて成仏させてあげるのならば、岸田首相である必要はない。安倍派から後継を出せば済む話です。結局、岸田首相にはビジョンが何もなく、ただ長く権力を維持することしか考えていないのでしょう。だから、長期政権を築いた安倍元首相の真似をしている。1に米国、2に安倍派に媚を売り、タカ派的な政策を強行して安倍支持層に迎合すれば長期政権になると考えているのでしょう。岸田首相が気にしているのは国民生活でも日本経済でもなく、自身の政権維持だけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田は10日、自衛隊の任務に不可欠な防衛装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合は、生産ラインを国有化できるようにする法案を閣議決定。13日は2027年度までに500発を購入することにしていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」を23年度に一括購入することも決めたという。

 なぜ、そんなことをする必要があるのか。国民に説明がないまま喜々として戦争国家へ邁進しているように見えるが、これも「安倍元首相の遺志」に突き動かされてのことなのか。岸田自身のナルシシズムがそうさせるのか。

 もっとも、安倍の亡霊に操られているのは自民党にかぎった話ではない。13日の衆院予算委で、立憲民主党の3議員が先週発売された「安倍晋三 回顧録」を手にし、「この記述は事実か」と現閣僚に質問していたのも不思議な光景だった。残念ながら、彼はもういないのだ。異次元緩和の宴も終わった。安倍の呪縛から解き放たれないかぎり、この国は狂気から抜け出せないことを与野党議員は自覚すべきだ。

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