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4月30日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「あれよあれよで天下の悪法が次々通過 メディアが無批判で暴政加速」

 入管法だけではない。23日に統一地方選の後半戦と衆参5補選を終えてからというもの、この1週間で重要法案が続々と仕上げに入り、怒涛の勢いで成立に向けて突き進んでいる。

 25日に衆院の特別委員会で、保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化する「マイナンバー法改正案」が可決。26日には衆院経産委で、60年を超える原発の運転延長を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が可決。どちらも、自公と維新、国民が賛成した。入管法改正案と同じ枠組みだ。

 これら2法案は27日の衆院本会議で可決され、衆院を通過。今国会中の成立が確実視されている。

 だが、マイナンバー法案ひとつ取っても問題は山積だ。マイナンバーカードの取得は「任意」と政府は言いながら、保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化するなんて、実質的な強制ではないか。

 だったらいっそ取得を義務化して全国民にマイナカードを配ればいいのに、あくまで「任意」の建前を崩さないのは、個人情報流出などのトラブルが起きた際に国が責任を負いたくないからだろう。申請は任意だから、何か起きても自己責任という理屈だ。

 「マイナンバーカードがなければ病院にもかかれない状態に国民を追い込んでおいて、任意を強調するのは詭弁というほかない。原発60年稼働にしても、総論では反対しにくい脱炭素の束ね法案に紛れ込ませるという姑息なやり方です。このような悪法が、まともな審議もないまま続々と可決されていく。ひとたび閣議決定すれば、自公維国の4党が法案に賛成して何でも通ってしまうのだから、統一地方選で維新が躍進したところで、岸田政権には痛くもなんともないということです。むしろ、国会審議から逃げてのらりくらりゴマカしさえすれば、維国の賛成で苦労なく法案成立できるようになったと喜んでいるんじゃないですか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 国会の会派別勢力を見ると、すでに「自公維国」で衆院、参院とも7割を超す議席を擁している。この4党で何でも通せる状況なのだ。次期国政選挙では、維新がさらに議席を増やし、野党第1党に躍り出るという観測もある。令和の大政翼賛体制である。25日から、防衛装備品の輸出ルールを定めた「防衛装備移転三原則」の制限緩和を巡る自公の実務者協議が始まった。国会では、防衛産業の生産基盤強化法案も審議入りしている。この調子では軍拡も、そのための国民負担も4党の合意であっさり決まってしまいそうだ。

 「立憲は入管法でもGX法でも迷走し、維新に主導権を奪われてしまった。反対なら反対と、最初から覚悟を決めて対決すべきでした。協力体制を築けないかと維新に色目を使っている場合ではなかったのです。野党第1党の立憲がフラフラしているから、岸田自民がやりたいことを維新が煽り、国民がたきつけ、立憲と共産を蚊帳の外に置いて悦に入る国会になっている。数の力で押し切る暴政が加速しています。そのうえメディアが腐敗しきっている状況ですから、国民も真実を見抜く目を培う必要がある。このままでは、国民が事情をよく分からないうちに既成事実がつくり上げられ、戦争国家に一直線ということにもなりかねません」(五十嵐仁氏=前出) 

 国民の玉木代表は「憲法と安全保障、エネルギー政策では、われわれにもっとも近い政党だ」と、維新との連携に意欲マンマンだ。

 自公維国の枠組みが完成すれば、改憲も時間の問題だろう。止まらない岸田暴政を放置している大マスコミの機能停止は度し難い。

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4月25日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月21日付に掲載されたものです。〕

*記事「また露わになった岸田政権「こども政策」のデタラメ」

 要は、岸田が衆院補選や統一地方選向けの人気取りで、突如「異次元の少子化対策」をブチ上げたことが混乱を招いているのだろう。「こども大綱」の策定は、昨年6月に成立した「こども基本法」に盛り込まれている。

 一方、骨太のための「こども未来戦略会議」はにわかづくりのうえ、事務局は「全世代型社会保障構築本部」。つまり、年金や雇用保険などの社会保険料や医療費などを含めた〝カネ〟の話が、こども政策の基本方針より優先されているということなのだ。

 「進め方の順序が完全に逆転しています。岸田首相の打ち上げ花火に引っ張られ、官僚が右往左往しているからでしょう。それに本来、こども基本法は、こどもの人権を守り、こどもの育成を社会全体で支えていくというもの。それが『生めよ増やせよ』の少子化対策に集約され、グチャグチャになってしまった」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田政権のデタラメがまたしても露わになった。

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4月22日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月22日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「補選の重大注目点 世襲・岸信千世の当落と、この国の民主主義の行方」

■世襲候補は勝率8割

 だが、政治を変えたくとも、小選挙区制では現職が有利だし、「地盤」「看板」「カバン」の揃った世襲議員は選挙にめっぽう強い。一昨年の衆院選公示直前の日経新聞の記事によれば、小選挙区制導入以降の8回の衆院選で、延べ8803人が小選挙区に出馬し、うち13%が世襲。驚くのは、比例復活を含めたその勝率の高さである。ナント8割に達する。非世襲候補の勝率は3割だ。ちなみに世襲候補は7割が自民党から出馬しているという。

 ま、世襲候補を簡単に当選させてしまう有権者の側にも問題はあるが、これでは庶民感覚と乖離した特権階級の政治が延々と続く。当選回数を重ねる世襲議員が力を持つから、非世襲議員の発言力や影響力は低下し、自民党内は右へならえだ。自民党政権は安泰だろうが、この国の政治はますます劣化する。

 国会では数の論理を振りかざして野党の質問にノラリクラリでまともに答えない。それどころか、GDP比2%に大増額する防衛政策の大転換や運転期間を60年超に延ばす原発回帰への大転換を、閣議決定で強行したように、国の形を変えるほどの重大政策もどんどん勝手に進めるだろう。国会なんてなきがごときありさまが固定化していくのである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「血筋で職業が決まるのは封建制であり、民主主義社会とは言えません。伝統文化の歌舞伎ならともかく、議員は公職ですよ。世襲の横行によって新規参入を狭め、多様性のある政治が阻害されている。山口2区で世襲候補が当選したら、『やっぱり日本は後進国』だと世界に誤ったメッセージを発信することになってしまう。国民一人一人が主権者として、政治のあり方と今後の日本の進路を示すべき時です」

 果たして、山口の選挙民はどんな審判を下すのか。亡国の政治をさらに前に進めるのか、それとも風前のともしびとなっている民主主義を取り戻すのか。まさに分水嶺の選挙になる。

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4月16日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月16日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「Jアラートは大丈夫か いよいよ漫画的になってきた対北朝鮮ミサイル防衛」

 昨年10月には、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが青森県上空を通過した際、通過とほぼ同時刻に「発射」情報を出し、その13分後に「通過」情報を発出しているのだから話にならない。しかも、飛来するはずがない東京にまで「発射情報」を流しているのだから、デタラメがすぎるというものだ。

 翌11月には、ミサイルが「太平洋へ通過したものとみられる」と発表したが、40分後、報道各社に「実際には通過していない」と文書で訂正する始末だった。日本列島の上空を通過したかどうかさえ分からないとは、いくらなんでもレベルが低すぎるだろう。

 ここまで「誤報」つづきだと、国民もJアラートを信用しなくなるのではないか。なのに、岸田首相は「発出の判断は適切だった」と開き直っているのだから度し難い。まず国民に謝罪すべきだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「かつて安倍首相は、北朝鮮の脅威を煽り、Jアラートを鳴らしつづけ、選挙に勝利しています。ひょっとして岸田首相も同じ発想なのではないか。これから国会は、防衛費増税が一大テーマになる。国民が北朝鮮に恐怖感を抱いたほうが、防衛費増税を受け入れてもらいやすいと計算したとしても不思議ではありません」

 こうなると、日本の「対北朝鮮ミサイル防衛」は、ほとんどマンガである。これまで自民党政権は、北朝鮮の危機を煽り「ミサイル迎撃システム」に巨額な防衛費をつぎ込んできたが、ミサイルの軌道も正確にキャッチできないのに、どうやって迎撃するのか。迎撃システムを高いカネでアメリカから買うより、地下シェルターを建設した方が、よほど国民の生命を守れるのではないか。

 「さすがに国民も、Jアラートには疑問をもちはじめているはずです。もし、北朝鮮が本気で攻撃してきたら、逃げる時間などないでしょう。日本には安全なシェルターもない。それに、北朝鮮は日本のことなど相手にしていないと思う。対峙しているのは、あくまでアメリカですよ」(五十嵐仁氏=前出)

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4月11日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月11日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「本番は次の補選だが下馬評通りの統一選 圧政、暴政に麻痺してきたか、選挙民」

 自民党が政権を奪取し、第2次安倍政権発足以降というもの、弱肉強食の新自由主義が猛威を振るい、弱者が露骨に虐げられるようになった。圧政、暴政に有権者の感覚は麻痺してきたのか。だから、こんな結果になったのか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「投票率が低く、選挙に民意が反映されているとはとても言えない。地方行政のみならず、国政に対しても有権者が物申す絶好の機会を統一選の前半戦では生かしきれなかった。歯がゆいです。国民の責任は非常に大きいと思いますよ。コロナ禍では住んでいる自治体によって、健康や命が左右される問題が露呈した。維新が牛耳る大阪では医療費などをムダだと削減し、多くの犠牲を出したにもかかわらず、無能なトップが再び選出された。そういう意味では、後ろ向きに変化していると言えるでしょう。自公与党に維新もくっつき、この国は大軍拡路線を突き進んでいる。後半国会では防衛費倍増を裏付ける財源確保法案が審議されています。民意も国民の暮らしもないがしろでいいのでしょうか」

 円安物価高に苦しめられる中、防衛増税のみならず、少子化対策費が社会保険料に上乗せされようとしているのに、どうしたことか。欧州ではインフレや年金改悪などに怒った市民が、連日のようにすさまじい抗議運動を展開している。とりわけ激しいのがフランスで、英国のチャールズ国王の訪仏が延期されるなど、影響は多方面に広がっている。




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4月8日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月8日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「社会保険料という実質増税 とことんフザけている自民党の少子化対策」

 “異次元”の対策と胸を張るなら、せめて「高等教育の無償化」くらい打ち出したらどうだ。子育てにかかる最大の出費は大学や専門学校の学費といわれているからだ。

 文科省がまとめた「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大の年間授業料は平均93万円。入学金を含めれば4年で500万円を超える。重い教育費負担を恐れ、2人目の子どもを諦める夫婦は多い。高等教育が無償化されれば、子どもを持つことを考える夫婦が出てくる可能性もあるだろう。なのに、岸田が無償化に動く様子はない。

 しかも、岸田政権の「異次元の少子化対策」には、肝心な点がすっぽり抜けている。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「たたき台のメニューは『夫婦ともに正社員』『すでに子どもがいる』など、ある程度、恵まれた世帯が支援の対象になっている。少子化対策ではなく、実態は子育て支援策です。それが不要だとは言いませんが、少子化対策としてより重要なのは、多くの国民が安心して結婚し、子どもを生み育てたいと思える環境をつくることでしょう。そのためには、雇用と収入の安定が必須です。なのに、たたき台には、若者が結婚し、子どもを持ちたくなるような対策が欠けている。今さら、小粒でピント外れな対策をやっても、ただの統一地方選対策のバラマキにしか見えません」

 出生数を増やすには、女性が仕事と子育てを両立でき、安心して暮らしていける社会につくり替える必要がある。

 しかし、家父長制や男尊女卑の枠組みで政策を考えてきた自民党には、そんな発想は出てこないだろう。

 実際、1日に発足した「こども家庭庁」は、もともとは「こども庁」になるはずだったのに、自民党議員が、「子どもは家庭で育てるものだ」と騒ぎ立て、「家庭」の2文字が加えられてしまった。「子どもは社会全体で育てる」という発想は皆無だ。

 かつて、安倍元首相が、女性活躍の一環として「3年間抱っこし放題」と女性の育休延長を打ち出したことに象徴されるように、自民党議員には、「男は仕事、女は家庭」という家族観が染みついている。こんな“家父長体質政党”に任せていたら、女性だけに子育てを押し付けるという社会は変わらない。少子化の解消は不可能だ。

 「30年間も続く少子化をストップさせるには、岸田政権が打ち出しているような小手先の対策では無理です。社会システムそのものを大転換するくらいの覚悟が必要です。女性が活躍できる環境を整えることも必要でしょう。岸田首相は口では『社会全体の意識を変えることが重要』と言っていましたが、女性が社会で活躍するための第一歩である『選択的夫婦別姓制度』の実現にも消極的なのだから、本当にやる気があるのかも疑わしい。この30年間、少子化問題を放置してきた歴代自民党政権の責任は重いでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 自民党の少子化対策はとことんフザけている。即刻、退場してもらうしかないだろう。

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4月4日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月4日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「たたき台のメニューも総花的 少子化放置の自民党が「ラストチャンス」と力む大笑い」

 児童手当の所得制限撤廃や高校卒業までの支給期間延長、多子世帯への支給増額、育児休業給付率の引き上げ、出産費用の保険適用、学校給食の無償化、高等教育費の授業料後払い制度、保育サービスの利用拡大……。あれもこれもと列記してはいるが、果たしてこれのどこが“異次元”なのだろうか。

 「所得制限の撤廃や給食費無償化など、ほとんど野党が訴えてきた政策ばかりです。それを今ごろ出してくるなんて、民主党政権を潰してから自民党政権が少子化対策を10年間も停滞させてきたと言える。そもそも少子化問題は30年前から指摘されていました。それを放置してきたのが歴代自民党政権です。その結果、少子化問題はどうにもならない崖っぷちまで追い込まれてしまった。今回の『たたき台』で示されたような小手先の対症療法では、もはや回避することはできません」(法政大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

■意識改革が最も必要なのが自民党

 子どもを社会全体で育てるとは、どういうことなのか。真剣に考える必要があるが、社会を変える政策の総動員が必要なのだが、家父長制や男尊女卑の枠組みで政策を考えてきた自民党には、時代の変化に応じたドラスチックな少子化対策など期待のしようがない。

 「古くさい家族観、ジェンダー観、差別主義、そして利権まみれの自民党政権では、少子化問題は解決できないでしょう。女性活躍だってお題目で、統一地方選での女性候補擁立は自民党が際立って低く、10%にも満たない。1日に発足した『こども家庭庁』にしても、当初は『こども庁』になるはずだったのに、旧統一教会など宗教右派の影響なのか、後から“家庭”の文字が入った。子どもの問題は家庭に委ねるということで、女性に負担を押し付けることになりかねない。岸田政権の少子化対策は異次元でも何でもないし、従来策に少し色をつけただけの“やってるフリ”です。統一地方選向けのバラマキでしかない。国難の少子化より、目先の選挙が大事なのです。こんな自民党政権に任せていたら、少子化はますます進んで徴税が厳しくなり、国が滅んでしまいますよ。意識変革が最も必要なのが自民党議員なのです。統一地方選では、少しでも痛い目を見せなければなりません」(五十嵐仁氏=前出)

 岸田政権は少子化対策の「たたき台」で2024年度から3年間を「集中取り組み期間」と位置づけたが、詳細な制度設計は先送り。優先事項として現金給付の強化を掲げた。笑ってしまうほど、ロコツな選挙向けのバラマキ政策なのである。

 そんなまき餌に騙されて、統一地方選で自民党を勝たせたら、岸田自民も財務省も調子に乗るだけだ。国民はさらなる負担を押し付けられ、少子化が加速することは目に見えている。それでも自民党に投票するのか? 有権者にとって、この統一地方選は「ラストチャンス」かもしれないということを肝に銘じるべきだ。


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