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4月8日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月8日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「社会保険料という実質増税 とことんフザけている自民党の少子化対策」

 “異次元”の対策と胸を張るなら、せめて「高等教育の無償化」くらい打ち出したらどうだ。子育てにかかる最大の出費は大学や専門学校の学費といわれているからだ。

 文科省がまとめた「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大の年間授業料は平均93万円。入学金を含めれば4年で500万円を超える。重い教育費負担を恐れ、2人目の子どもを諦める夫婦は多い。高等教育が無償化されれば、子どもを持つことを考える夫婦が出てくる可能性もあるだろう。なのに、岸田が無償化に動く様子はない。

 しかも、岸田政権の「異次元の少子化対策」には、肝心な点がすっぽり抜けている。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「たたき台のメニューは『夫婦ともに正社員』『すでに子どもがいる』など、ある程度、恵まれた世帯が支援の対象になっている。少子化対策ではなく、実態は子育て支援策です。それが不要だとは言いませんが、少子化対策としてより重要なのは、多くの国民が安心して結婚し、子どもを生み育てたいと思える環境をつくることでしょう。そのためには、雇用と収入の安定が必須です。なのに、たたき台には、若者が結婚し、子どもを持ちたくなるような対策が欠けている。今さら、小粒でピント外れな対策をやっても、ただの統一地方選対策のバラマキにしか見えません」

 出生数を増やすには、女性が仕事と子育てを両立でき、安心して暮らしていける社会につくり替える必要がある。

 しかし、家父長制や男尊女卑の枠組みで政策を考えてきた自民党には、そんな発想は出てこないだろう。

 実際、1日に発足した「こども家庭庁」は、もともとは「こども庁」になるはずだったのに、自民党議員が、「子どもは家庭で育てるものだ」と騒ぎ立て、「家庭」の2文字が加えられてしまった。「子どもは社会全体で育てる」という発想は皆無だ。

 かつて、安倍元首相が、女性活躍の一環として「3年間抱っこし放題」と女性の育休延長を打ち出したことに象徴されるように、自民党議員には、「男は仕事、女は家庭」という家族観が染みついている。こんな“家父長体質政党”に任せていたら、女性だけに子育てを押し付けるという社会は変わらない。少子化の解消は不可能だ。

 「30年間も続く少子化をストップさせるには、岸田政権が打ち出しているような小手先の対策では無理です。社会システムそのものを大転換するくらいの覚悟が必要です。女性が活躍できる環境を整えることも必要でしょう。岸田首相は口では『社会全体の意識を変えることが重要』と言っていましたが、女性が社会で活躍するための第一歩である『選択的夫婦別姓制度』の実現にも消極的なのだから、本当にやる気があるのかも疑わしい。この30年間、少子化問題を放置してきた歴代自民党政権の責任は重いでしょう」(五十嵐仁氏=前出)

 自民党の少子化対策はとことんフザけている。即刻、退場してもらうしかないだろう。

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