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4月22日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』4月22日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集「補選の重大注目点 世襲・岸信千世の当落と、この国の民主主義の行方」

■世襲候補は勝率8割

 だが、政治を変えたくとも、小選挙区制では現職が有利だし、「地盤」「看板」「カバン」の揃った世襲議員は選挙にめっぽう強い。一昨年の衆院選公示直前の日経新聞の記事によれば、小選挙区制導入以降の8回の衆院選で、延べ8803人が小選挙区に出馬し、うち13%が世襲。驚くのは、比例復活を含めたその勝率の高さである。ナント8割に達する。非世襲候補の勝率は3割だ。ちなみに世襲候補は7割が自民党から出馬しているという。

 ま、世襲候補を簡単に当選させてしまう有権者の側にも問題はあるが、これでは庶民感覚と乖離した特権階級の政治が延々と続く。当選回数を重ねる世襲議員が力を持つから、非世襲議員の発言力や影響力は低下し、自民党内は右へならえだ。自民党政権は安泰だろうが、この国の政治はますます劣化する。

 国会では数の論理を振りかざして野党の質問にノラリクラリでまともに答えない。それどころか、GDP比2%に大増額する防衛政策の大転換や運転期間を60年超に延ばす原発回帰への大転換を、閣議決定で強行したように、国の形を変えるほどの重大政策もどんどん勝手に進めるだろう。国会なんてなきがごときありさまが固定化していくのである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「血筋で職業が決まるのは封建制であり、民主主義社会とは言えません。伝統文化の歌舞伎ならともかく、議員は公職ですよ。世襲の横行によって新規参入を狭め、多様性のある政治が阻害されている。山口2区で世襲候補が当選したら、『やっぱり日本は後進国』だと世界に誤ったメッセージを発信することになってしまう。国民一人一人が主権者として、政治のあり方と今後の日本の進路を示すべき時です」

 果たして、山口の選挙民はどんな審判を下すのか。亡国の政治をさらに前に進めるのか、それとも風前のともしびとなっている民主主義を取り戻すのか。まさに分水嶺の選挙になる。

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