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7月31日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月31日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:広島出身の岸田首相 「核なき世界」を踏みにじる亡国軍拡の二枚舌

■平和の祭典も平和憲法も形骸化

 29日誕生日を迎えた岸田は、官邸でブリンケン国務長官、オースティン国防長官と面会。2+2は「有意義だった」と評価し、「さまざまなレベル、分野の協力を通じて同盟の抑止力、対処力をより一層強化していきたい」と前向きだ。

 自らの手で米国の戦争に参画する可能性を高めた悲壮感や、自身が訴える「核なき世界」との矛盾を露呈してしまった恥辱、双肩に国の未来を背負って決断を下すに至った懊悩はどこにも見えない。そういう能天気だから、秋の総裁選での再選にも自信を持っていられるのだろう。この手の大将は敵より怖いというヤツだ。

 「秋の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、再び在日米軍を無駄なコストと言い出す可能性がある。その前に同盟強化を進めてしまうのが岸田首相の狙いでしょう。『核の傘』で米国に守ってもらうために進んでスリ寄り、自衛隊を米軍の下請け組織に差し出した。中国との外交努力を放棄して危機をあおり、有事の際には自ら橋頭堡になろうとするのは、自民党内でも国民世論にも不人気の岸田首相がすがるのは米国という後ろ盾しかないからです。保身のために日本の主権も、自衛隊の独立も、国民の安全も米国に売り渡した。こんな亡国政権はありません。それも、国民にしっかり説明することがないまま、五輪に気を取られている間に密約まがいの交渉が進められている。大メディアも五輪報道にかまけていないで、こういう安全保障上の重要な問題を大きく報じて警鐘を鳴らすべきでしょう。いつもの後出しジャンケン批判で済ませるのは、あまりに無責任です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


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7月30日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月30日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:バリ五輪で騒いでいるのは無節操なテレビ局だけ どこか空疎な「パンとサーカス」

 国際刑事裁判所(ICC)から7つの戦争犯罪や人道に対する罪で逮捕状請求を明言されているネタニヤフ首相のイスラエルが堂々と行進しているのに、どこもそのおかしさを指摘しない。かつてヒトラーに利用された五輪は、その負い目があるからだろうが、かくも五輪の「平和」なんて欧米の事情によって左右されるということだ。ここもまた偽善の極みである。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「この瞬間にも激しい戦闘が繰り広げられ、そうした映像が次々に中継されてくる。世界は分断されていますが、欧米側も一枚岩でなく、極右が台頭し、政治的混乱が続いている。この間、TVや大新聞の報道は五輪一色になるのでしょうが、その裏側の混乱がかくも不気味な五輪も異常です。五輪中継も無理やりナショナリズムを煽るような報道にならないことを祈るばかりです」

 日本の政治に目を転じても、「五輪しめしめ」とほくそ笑んでいる連中が大勢いるような気がする。
 海自の潜水手当不正受給では昨年11月に警務官によって、4人の隊員が逮捕されているのに、大臣に報告が上がらなかった。文民統制もへったくれもない。事務次官や海自トップなど218人が処分され、川崎重工からの賄賂疑惑まで噴出しているのに、木原防衛相はしがみつき、28日は日米韓の防衛相会議に出席。米国に言われるがままに軍事同盟強化にシャカリキだった。この問題を巡る国会の閉会中審査はようやく30日に開かれるが、衆参で1日だけ。それも五輪でかき消されてしまうのは見えている。本来であれば、大臣は即刻、辞任ではないか。

 「それをしないのは、総裁選前後の内閣改造も視野に入れると後任のなり手がいないからです。時間稼ぎしてゴマカすしかない」(政界事情通)というからふざけた話だ。

■誰もが「俺がこう変える」とは言わない

 その総裁選もさながら「五輪休戦」ではないか。

 「米国では11月の大統領選に向けて、活発な集会、議論が繰り広げられています。日本は9月に事実上、日本のトップが決まる選挙があるのに、この期に及んで、誰が出てくるのかすらわからない。それは与党・自民党だけでなく、野党・立憲民主党も同じです。候補者の名前は出てくるが、“意向を固めた”という報道だけで、本当なのか、わからない。本来であれば、このタイミングで候補者が揃って、活発な議論を展開し、メディアもそれをきちんと報じる。それこそが民主主義のあるべき姿なのに、五輪をコレ幸いにして、皆が息をひそめている。こうして、国民の忘却を待っているのだとしたら、とんでもない話です」(五十嵐仁氏=前出)


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7月28日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月28日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:3年前の悪夢を忘れたか? テレビが煽る五輪と猛暑、その裏で進む愚民政策

 安倍元首相ほど、五輪を政権浮揚や国威発揚に利用しようとした総理はいなかったのではないか。この馳発言で我々は、汚れた五輪を嫌というほど思い知らされたはずだ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。

 「五輪自体のあり方が曲がり角に来ているのは誰の目にも明らかです。商業化に巨大化。カネがかかりすぎる。もはやアスリートのための大会ではなくなっています。そして、別の問題としてあるのは、五輪と政治の関係。今ごろ自民党は、パリ五輪を『パンとサーカス』にしようとしていますよ。これからテレビはニュース番組まで五輪にジャックされ、重要なニュースはますます報じられなくなる」

 その通りで、パリ五輪の期間中、自民党はシメシメだろう。華やかな開会式やメダルラッシュ報道で着々と進む「パンとサーカス」。権力者が民衆にパン(生活の糧)とサーカス(娯楽)を与え、政治に対する批判精神を忘れさせてしまう。そうした状況を意味する古代ローマの言葉である。

 「どんなにたくさんの金メダルを取っても、日本の行く末には関係ありません。自民党の裏金事件や防衛省・自衛隊のスキャンダルなど、国民が目を光らせていなければならないことがまだまだある。国のお金の使い方に関わる問題ですから」(五十嵐仁氏=前出)

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7月20日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月20日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:よくもまあ、次から次へと…自民党の不正底なし沼はかくも必然

 裏金をつくっていたのは85人もいた。ところが、なぜか裏金総額500万円未満は不問に付され、処分を下されたのは半数以下の39人だけだった。しかも、処分された39人のうち、「離党勧告」や「党員資格停止」といった比較的重い処分を受けたのは5人しかいない。つまり、残りの約80人は、ほとんど実害がなく、次の選挙も「自民党公認候補」として堂々と出馬できるということだ。これで処分したことになるのか。

 しかも、トップの岸田首相は、まったく責任をとっていない。岸田派も「裏金」をつくり、会計責任者は立件もされているのに、岸田本人は「自民党の歴史のなかで現職の総裁が処分された例はない」などと、勝手な理屈を並べて平然としている。

 これでは、自民党議員のモラルは下がる一方なのではないか。不正が底ナシになるのも当たり前というものだ。

 そのうえ、自民党議員からは「9月の総裁選に若手を出せば党のイメージは一新される」「総裁選で党刷新だ」などと、調子のいい声が聞こえてくる始末だ。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党の裏金事件は、ある意味、自民党が再生する絶好のチャンスでした。キーマンと目された森喜朗元首相を国会に呼び、誰が裏金づくりをはじめたのか、全容を解明し、徹底的に膿を出せば、少しは国民の支持も戻ったはずです。安倍派の裏金づくりを解明することは、岸田首相にとってはリスクも小さかったはずだし、支持率をV字回復させる数少ないチャンスだったはず。なのに、すべてウヤムヤに終わらせるという最悪の決着にしてしまった。政治資金規正法の改正も、結局、目に見える成果はなかった。多くの国民は『もはや自民党に自浄作用を期待しても無駄だ』と確信したはずです。それもこれも、いまだに自民党の危機感が薄いからでしょう。もう一度、野党に転落させないと自民党は気づかないのだと思います」

 はたして、あと何人、強制捜査されることか。

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7月13日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:岸田すら代えられない自民党「党刷新の顔」で小泉進次郎が出てくるポエム

 しかし、政権政党から人材が枯渇し、その結果、国民の支持を失った岸田が9月の総裁選で再選されたり、小泉進次郎のような男が総理総裁に就くようなことになったら、この国は、いよいよ政治の底が抜けてしまうのではないか。

 石丸伸二・前安芸高田市長のようなトリックスターが、都知事選で支持を集めているだけに、日本の民主政治は瓦解する恐れがある。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党の支持率は、16%にまで落ち込んでいます。もはや自民党を支援してきた有権者すら、自民党を見限っているということです。イギリスでは、政権政党だった保守党が国民の信頼を失って総選挙で大敗を喫し、野党の労働党が地滑り的な勝利を収め、14年ぶりに政権交代が起きています。労働党が支持されたというより、保守党が国民から怒りと不信を買ったことが原因でした。日本でも、イギリスと同じ現象が起きれば、政権交代となるでしょう。しかし、日本では、自民党に対する不信感が、いまや既成政党全体への不信感に拡大している状況です。都知事選で2位になった石丸氏のような勢力が議席を伸ばす可能性があります」

 この状況になっても、自民党議員は「9月の総裁選に多くの若手が出馬して、メディアジャックすれば、自民党の支持率は回復する」と、甘く考えているという。末期的である。


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7月9日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月9日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:すべてが異様だった都知事選を総括・分析 悪夢のような結末は歴史の分岐点になる予感

 公務を理由に政策論争から逃げ回り、噴出する疑惑への質問を封じるためにオンライン会見などで記者を制限、公開討論に応じたのも2回だけだった。その一方で、選挙直前の6月に低所得者層に1万円の商品券を配るなど、“買収まがい”のようなことをした。

 そんな小池を自公は支援したが、裏での票固めに徹し、表には出ないように身を潜めた。つまり、まっとうな審判を避けるために、現職都知事が、ありとあらゆる策を弄し、民主主義の“当たり前”を踏みにじった選挙戦だったのである。

 それなのに、フタを開ければ小池の圧勝、開票と同時に当確が出る「ゼロ打ち」だった。政治を真剣に考えている有権者ほど、この結末には暗澹たる気持ちになったのではないか。

 「何から何まで異様な都知事選でしたね。国民から猛烈な批判を受けている与党が候補者を出せずに、小池氏にステルスで抱きついた。それなのに、野党は批判票を受け止められずに、無党派層は分断された。ネット社会の若者は石丸氏に流れ、マトモな政策論争もないまま、目立たない戦術に徹した小池氏が消去法の雪崩現象で圧勝した。56人もの候補者が出て、選挙を金儲けにしたり、面白がる風潮の中で、民主主義が流動化していく懸念を強く感じる選挙でした」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)


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7月6日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月6日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:都知事選の争点はシンプルだ インチキ、ごまかし、嘘つきに政治家の資格なし

 この都知事選で公開討論会が行われたのは、告示前に1回、告示後に1回と、たったの2回だけである。蓮舫から直接「テレビ番組が企画した討論会に一緒に出ていただけないか」と求められても、小池は頑なに拒否している。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「候補者同士の討論会は、選挙への関心を高めるためにも、有権者に判断材料を与えるためにも必須なものです。もし、蓮舫さんの要求を聞き入れ、連日、テレビで討論会が開かれていたら、選挙戦も盛り上がり、2人の違いが明確になり、選挙の争点も煮詰まったはずです。小池知事だって、2期8年の実績を訴えるチャンスだったはず。なのに、なぜ拒否したのか。候補者同士の討論会がほとんど行われないために、有権者はなにが争点なのか、投票する時、なにを判断基準にすればいいのか、最後までモヤモヤしているのではないでしょうか」

 小池は「卒業証書」を見せ、「卒業はカイロ大が認めている」と訴えているが、たとえホンモノの「卒業証書」だとしても、後からエジプト政府やカイロ大に便宜をはかってもらったものなのではないか──という疑いは残ったままだ。

 都民の多くは、小池が高卒だろうが大卒だろうが、どうでもいいと思っているに違いない。問題は、嘘をついているのかどうか、ということだ。もし、嘘をついているとしたら、都知事の資格も、政治家の資格もない。さすがに、平気で嘘をつくような人物を首都のトップにするわけにはいかないだろう。それが選挙の争点なのではないか。

 「小池知事の一番の問題は、かけられた疑惑について、丁寧に説明して、有権者の疑問を解消しようという姿勢が見えないことです。学歴詐称疑惑にしても、疑惑を解消したいのなら、卒業した時の詳細なディテールをアラビア語で語るなど方法はいくつもあるはずです。なのに『卒業は大学が証明している』の一点張りです。マトモに答えようとしない。こうした姿勢は、学歴詐称疑惑だけではありません。神宮外苑の再開発問題について、蓮舫さんから『再開発業者からパー券の購入を受けていませんよね?』と問われた時も、『法にのっとった形で公表している』と曖昧に答え、イエス、ノーで明確に答えようとしなかった。小池知事が公開討論会への出席を拒否しているのは、こうした疑惑について聞かれることを嫌がったからでしょう。実際、連日、討論会が開かれていたら、大きなテーマになり、学歴詐称疑惑が選挙の争点になっていた可能性があります」(五十嵐仁氏=前出)

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7月3日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』7月3日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:ステルスで圧勝など、そうは問屋がおろさない 百合子の失速、蓮舫の猛追「最終攻防」

■小池3選は岸田自民党の容認

 小池の「カイロ大卒」が学業実態を伴わず、紙ペラ1枚の後付けであれば、半世紀もウソをつき続けてきたことになる。減らず口の女帝は演技力においても何枚も上手だ。裏金自民と同様に、政治資金パーティーをめぐる政治資金規正法違反の疑いが報じられても頬かむり。それでいて票集めにつながるアピールには余念がない。告示前に「物価高騰対策臨時くらし応援事業」と銘打ち、住民税非課税など約190万世帯に1万円分の商品券や電子ポイントの配布を発表。露骨な選挙買収だ。先月末には中小企業が経営統合するための支援をする「TOKYO白馬の騎士・ファンド」や、後継者に悩む企業と開業したい若手をつなぐ「TOKYO版事業承継マッチングプラットフォーム」の創設などへの取り組みを打ち出した。ふざけた選挙戦と付け焼き刃のバラマキで逃げようなんて、都民をナメるにもほどがある。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「小池氏の戦い方は『横綱相撲』なんて評されていますが、横綱は平幕と同じ土俵に上がる。現職の強みを最大限に利用し、自分だけができる選挙運動にかまけているのはフェアではありません。公明正大に政策を競い合ってほしいもの。2期8年の小池都政でわれわれの暮らしが上向き、豊かになったという実感があるのか。東京の合計特殊出生率(2023年の人口動態統計)が0.99に低下し、出生率と出生数がともに8年連続のマイナスとなったのは手をこまねいていたからではないのか。明治神宮外苑再開発に伴う樹木伐採では、住民の合意形成はおざなりではないのか。関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式典に7年連続で追悼文を送っていない。検証しなければならない問題は山積みです」

 小池の勝利は自民党の連敗ストップとイコール。つまり、内閣支持率がつるべ落としの岸田政権の勝ちになる。ヨタヨタ政権を浮揚させていいのか。

 岸田降ろしの急先鋒となっている菅前首相は、横死した安倍元首相の三回忌法要後のしのぶ会で、アベノミクスによって日本経済が持ち直したと称賛していたというからア然だ。加速する円安、それが引き起こす物価高騰に追い詰められている国民の暮らしは眼中にないと言ったも同然である。尊厳も守られない。沖縄県で米兵が起こした複数の性犯罪事件の隠蔽は、米国隷従の自民の体質を改めて浮き彫りにした。小池3選はそんな政治を了とするということだ。これ以上の悪政はとてもじゃないが受け入れられない。そう思うのは、決して一部ではないはずだ。


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