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9月29日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月29日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:自民党はどこまで行っても自民党 石破新総裁、ウンザリの全舞台裏と今後

 1カ月半もメディアジャックし、食傷気味だった今回の総裁選で、改めてよーく分かったのは、「自民党はどこまで行っても自民党」だということ。裏金事件を受け「派閥解消」「脱派閥」だとか叫んでいても、選挙戦の最終盤で見せつけられたのは、「最後はボス頼み」という醜悪。小泉進次郎元環境相(43)だけじゃなく、石破も最後は“麻生詣で”して頭を下げた。それでも麻生は高市へ。なりふり構わぬキングメーカー争いで、麻生派の河野太郎デジタル相(61)の票まで引きはがした。

 「相当、票を動かさないと高市氏にあんな数字は出ない。麻生氏はとにかく非主流派に落ちたくないと必死だった。懲りない自民党の象徴です」(政治評論家・野上忠興氏)

 もっとも、麻生が敗れ、誰が勝者かといえば、岸田首相と菅前首相だ。旧岸田派の議員や1回目で小泉を推した菅に近い議員、旧二階派が決選で石破に投票したとみられる。今後、主流派として政権運営に関わるのだろう。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「今回は派閥の締め付けがない総裁選なんて最初言われましたが、締め付けがないように見せかけていただけ。我も我もと手を挙げたのは売名行為であり、派閥領袖の了承を得た上での立候補でした。最後の決選投票にしても、派閥の合従連衡が勝敗を左右した。自民党が変わらず派閥の論理で動いていることが皮肉にも浮き彫りになった」

 ドッチラケの舞台裏にマトモな国民はウンザリだ。


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9月27日(金) 政権担当能力を失った自民党にさらなる追撃を(その2) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No. 854、2024年10月号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 自民党は何を狙っているのか

 岸田政権の行き詰まりによって自民党は窮地に追い込まれました。裏金事件や統一協会との癒着は岸田政権になってからのものではなく、長年にわたる自民党政治によってもたらされたからです。端的に言えば、金権化という宿痾を治癒できず、憲法の国民主権や平和主義原則を軽んじ、基本的人権を踏みにじってきた歴代自民党政権による反憲法政治の行き着いた先にほかなりません。
 私は27年前に『徹底検証 政治改革神話』(労働旬報社、1997年)という本を出しました。その帯には、「『政治改革』やり直しの提言」と書かれています。この「提言」は実行されませんでした。今回の裏金事件は、そのツケが回って来たということです。
 その結果、政治的危機に直面した自民党は岸田首相を切り捨て、危機を乗り切ってきた「成功体験」に学ぼうとしました。たとえばロッキード事件での「ダーティー田中」から「クリーン三木」への転換、森喜朗首相から小泉純一郎首相への交代という「小泉劇場」による幻惑、そして、直近ではコロナ対策の失敗から政権を投げ出した菅義偉首相から岸田首相への交代による総選挙での勝利です。
 いずれも「振り子の論理」による「疑似政権交代」を演出することで支持を回復しましたが、実際には自民党政治の枠内での政権たらいまわしにすぎません。今回も同様の狙いの下に、総裁選挙に国民の目を引き付け、報道機関を利用したメディアジャックによって支持率の回復を図ろうとしました。
 総裁選の期間は過去最長となり、石破茂元幹事長など過去最多の10人以上もの議員が立候補の意思を表明しました。いずれも総裁選への注目を高めるための策謀です。多数の出馬表明は派閥の縛りがなくなったからではなく、派閥の縛りがなくなったかのように装うためでした。旧派閥の領袖の支持を取り付けるために躍起となり、水面下での合従連衡によって多数派工作がなされたのはこれまでと変わりません。
 候補者が多くなれば、それだけメディアの注目を浴び、露出度も高まります。こうして国民の関心や興味を引き付けようというのが、自民党の狙いでした。それを知ってか知らずか、テレビなどは完全にハイ・ジャックされ広告塔状態に陥ってしまいました。NHKが高校野球を中断して小林鷹之議員の出馬表明を生中継したのは象徴的な事例です。

 解散・総選挙のプロセスはすでに始まっている

 岸田退陣は総選挙での敗北を避けるためのものでした。自民党の狙いは、総裁選への注目度を高めて危機を乗り切ろうというものです。いずれも、焦点は総選挙に向けて結ばれています。岸田退陣表明以降、すでに総選挙への取り組みは始まっており、総裁選はそのプロセスの一環にすぎません。
 立候補の意思を表明した12人は、いずれも世論の反応を見るための「観測気球」でした。「選挙の顔」選びですから、政治家としての力量などの中身ではなく、選挙で票を集められる人気のある人が選ばれるでしょう。拙著で指摘したように、小泉進次郎元環境相による「『小泉劇場』の再現を狙っている」(『追撃 自民党大軍拡・腐敗政治』学習の友社、115頁)ように見えます。
 10人以上も声を上げたのに、誰1人として憲法を守るという人はいませんでした。改憲論の大合唱です。憲法尊重養護義務を定めた99条に違反する人ばかりです。続投を断念した岸田首相が改憲の論点整 理を指示し、早期の発議に向けて縛りをかけたのも異常です。
 岸田首相退陣の理由が裏金事件や統一協会の問題であったにもかかわらず、その再調査や統一協会との絶縁を表明する人も、これらの問題に厳しい対応を打ち出す人もいません。みな「臭いものにふた」をする「同じ穴のムジナ」にすぎないのです。
 新総裁の選出と新内閣の成立によって「刷新感」を演出し、「ご祝儀相場」で支持率を引き上げ、ボロが出ないうちに解散を打って総選挙になだれ込む作戦だと思われます。それがどのような経過をたどるかは不明ですが、2021年の菅首相から岸田首相への交代が参考になります。
 菅首相は9月3日に退陣を表明し、総裁選は今回より2日遅い9月29日に実施されました。その後、10月4日の臨時国会召集、岸田内閣発足、所信表明演説と続き、解散は10月14日、総選挙の投票日は31日でした。「2匹目のドジョウ」を狙って似た経過をたどるとすれば、総選挙の投票日は早ければ10月27日、遅くても11月10日になる可能性が高いと思われます。

 追撃戦の課題と展望

 岸田首相の退陣によって、政権交代に向けての歴史的なチャンスが生まれました。解散・総選挙に向けての追撃戦を展開することで、このチャンスを活かさなければなりません。大軍拡・腐敗政治によってやりたい放題の悪政を押し付けてきた自民党に、その罪を自覚できるだけの強烈な罰を与えるには政権から追い出すのが最善です。
 とはいえ、それは簡単なことではありません。1割台にまで支持率を低下させた森元首相から政権を引き継いだ小泉首相が「自民党をぶっ壊す」と言って自民党を救った前例があります。3割台にまで支持率を減らして退陣せざるを得なくなった菅元首相から政権を引き継いだ岸田首相も、劇的に支持率を回復させて総選挙で勝利しました。この「成功体験」を繰り返そうとしているのが今の自民党です。
 この自民党の狙いを見破り、国民に幅広く知らせることが何よりも重要でしょう。情報戦で勝利しなければなりません、メディアに対する監視と批判を強め、私たち自身の情報リテラシーを高めてだまされないようにすることも大切です。SNSなどを通じた情報発信力や都知事選で注目を集めた「1人街宣」、集団でのスタンディングなども有効でしょう。
 また、野党には政権交代を視野に入れた幅広い連携を求めたいと思います。通常国会で実現した裏金事件での真相究明のための連携を総選挙でも継続してもらいたいものです。裏金事件や統一協会との腐れ縁に怒りを強めている保守層にも、今度だけは自民党にきついお灸をすえなければならないと訴えるべきでしょう。イギリスでの政権交代は、労働党への支持の高まりというより、保守党に対する失望によるものだったのですから。
 市民と共産党を含む野党の共闘を再建するための働きかけを強めることも必要です、立憲民主党には改憲と戦争法に反対した立党の原点を忘れず共闘の立場に立つ代表の選出を求め、各選挙区だけでなく可能な限り全国的な「連携と力合わせ」によって有権者の期待を高める必要があります。支持団体の連合には共闘を妨害したり足を引っ張ったりしないように働きかけ、選挙は政党に任せて余計な口出しはするなと言うべきです。
 たとえ自民党が議席を減らしても、維新の会のような「第2自民党」がすり寄るのでは政権交代を実現できません。議席の減らし方によっては国民民主党や前原グループ(教育無償化を実現する会)が加わる可能性もあります。このような形で自民・公明の連立政権を助けないようにけん制する必要もあります。
 絶好のチャンスをどう生かすかが問われています。腐れ切った自民党大軍拡・腐敗政治に対する追撃戦で勝利し、政権交代に向けて希望の扉を開かなければなりません。そのための決戦が間もなくやってくるにちがいないのですから。



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9月26日(木) 政権担当能力を失った自民党にさらなる追撃を(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No. 854、2024年10月号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 はじめに

 全国戦没者追悼式が開かれる「終戦の日」の前日、8月14日の午前に岸田文雄首相は急きょ記者会見を開いて、9月の自民党総裁選挙に立候補しないことを表明しました。突然の退陣表明は驚きをもって迎えられましたが、むしろ遅きに失したと言うべきでしょう。
 岸田内閣の支持率は昨年末に3割を下回って以降、一度も回復しませんでした。国民の2割しか支持せず、6割以上が不支持を表明している内閣が半年以上も居座ってきたことの方が異常です。政権担当能力を失った岸田首相の退陣表明は当然でした。
 これによって、自民党大軍拡・腐敗政治に対する追撃戦は、新たな局面に突入することになりました。岸田首相の出馬断念は、総裁選で勝利できても総選挙で勝てる展望を見いだせなかったからです。首相は側近に電話をかけ、「総裁選で勝っても、衆院選で勝つのは難しい」と説明していたそうですから。
 これで安倍晋三元首相、菅義偉前首相、岸田文雄首相と、3代続いて政権投げ出しになりました。安倍元首相の場合は持病の悪化を理由としていましたが、新型コロナウイルス対策やアベノミクスの失敗による政権批判の高まりも背景にありました。菅前首相と岸田首相の場合は明らかに政権の行き詰まりと内閣支持率の低下によるものです。
 岸田首相が総裁選立候補を断念した背景には何があったのでしょうか。自民党はどのような延命策を講じようとしているのでしょうか。それに対して私たちはどう対応し、自民党政治への追撃戦をどのように展開したらよいのでしょうか。岸田不出馬の背景と自公政権打倒の課題について検討したいと思います。

 岸田首相はなぜ行き詰まったのか

 岸田首相が続投断念を決断した最大の理由は、国民の信頼を失って行き詰ったからです。なぜ、政権を放り出すほどに信頼を失ってしまったのでしょうか。その最大の理由は、裏金事件への対応と処理にあります。
 この事件に対する岸田首相の対応は小出しで後手に回り、実態解明は不十分、関係者の責任追及も処分も中途半端でした。政治改革規正法の改正も抜け道だらけで、肝心の企業・団体献金や政治資金パーティー、政策活動費は温存されたままです。これでは国民の理解が得られるはずがありません。
 岸田政権では裏金事件以外にも政治スキャンダルが相次ぎました。不祥事などの問題が発覚した政務三役や議員は約30人に上ります。最近でも、勤務実態のない公設秘書給与を詐取した広瀬めぐみ参院議員や有権者に香典を違法に配ったりした堀井学衆院議員が辞職しています。このような政治腐敗事件が相次いだのも、岸田首相が「政治とカネ」の問題に真剣に取り組まなかったことの反映でしょう。
 安倍晋三元首相の銃撃事件を契機に注目された統一協会と自民党との長年にわたる腐れ縁についても、岸田首相は真正面から向き合いませんでした。統一協会との癒着は岸田政権と自民党への不信をかきたて、その実態と責任を明らかにしないまま逃げ切ろうとしたのは裏金事件への対応と同様の問題をはらんでいます。

 岸田退陣は世論と民主主義の勝利

 岸田首相は前任の安倍・菅政権との違いを際立たせるために「聞く力」をアピールし、「民主主義の危機」や「新しい資本主義」を強調しました。しかし、これらは単なるポーズにすぎませんでした。安倍元首相の「国葬」の強行にみられるように、民意を軽視し、反対意見に耳を傾けず、数の力で押し通すやり方は変わらなかったからです。閣議決定の多用という国会無視の政治運営、力づくでの安倍的政治手法も踏襲されました。
 このような強権的姿勢は国の根本にかかわる重要政策で顕著です。専守防衛政策を空洞化させる「敵基地攻撃(反撃)能力」の保有、殺傷兵器の輸出や攻撃的兵器の取得、防衛費の倍増を盛り込んだ安保三文書の策定などによって安全保障政策を大転換してきました、
 また、宏池会の会長だった岸田首相はハト派でリベラルという印象を悪用して大軍拡に着手し、「拡大抑止」によって核の傘への依存度を高め、グローバルパートナーシップを宣言して日米同盟の強化と米軍との軍事的一体化を進めてきました。保守派に取り入るために憲法の条文を書き換えることに執念を燃やし、実質改憲の具体化との「二刀流」による憲法破壊(壊憲)に狂奔してきたのです。
 原発の最大限活用への転換、「処理水」の海洋放出、辺野古新基地建設の大浦湾側での着工、マイナ保険証の強制などは安倍政権以上の悪政の連続です。アベノミクスの失敗と増税による国民生活の破壊、2年連続の実質賃金の低下と物価高、生活苦の増大と人口減少なども大きな問題になりました。このような政権が国民から見放されるのは当然です。岸田首相を退陣に追い込んだのは世論と民主主義の勝利だというべきでしょう。

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9月19日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月19日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:統一教会総汚染 改めて自民党は下野しかない

■過去にフタをする限り関係は絶てない

 北村の当選で味を占めたのか、その後も安倍自民と統一教会との関係は深まるばかり。16年の参院選では宮島喜文・前参院議員が、19年は再び北村がそれぞれ教団の支援を受けて当選。「安倍1強体制」の一翼を担った。安倍の首相退陣後も、22年の参院選は第1次安倍政権時代の首相秘書官だった井上義行・現参院議員が支援を受け、当選。関連団体の集会での「投票用紙の2枚目は~?」「いのうえよしゆき~!」の掛け合いのインパクトは記憶に新しい。

 自民が持ちつ持たれつの関係を強めていった間も、教団による被害は相次ぎ、「宗教2世」の問題は深刻化。安倍は22年7月、教団に強い恨みを持つ山上徹也被告の放った凶弾に倒れた。その端緒が銃撃事件の9年前、総裁応接室での教団トップとの密約だったのなら、ゾッとするような安倍1強の裏側と禁断の腐敗政党の宿痾である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党と統一教会との半世紀以上にも及ぶ蜜月の背景には、選挙資金の問題もあるはず。教団創始者の文鮮明氏は1986年、中曽根政権下の衆参同日選挙で『60億円を使った』と振り返っていたほど。その原資は日本の信者から巻き上げた財産です。カルト犯罪集団に選挙の金やマンパワー、組織票まで長年あてがわれた結果、今の自民党は『反共』のみならず、多くの思想が教団と一致しています。家父長制的な家族観を重んじ、性的マイノリティーの権利は軽んじる。選択的夫婦別姓の議論開始から約30年。総裁選でいまだ『争点』にとどまる要因も、教団との共鳴抜きには語れません。看過できないのは、いずれも自由や民主主義、人権尊重など憲法が掲げる進歩的理念に反していることです。完全なる戦前回帰の発想です」

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9月15日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月15日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:自民党はマトモじゃない 裏金議員の推薦人に国民の驚愕

 本来「政治とカネ」が最大の争点になるはずなのに、総裁選の候補者は全員、裏金議員に対して、腫れ物に触るような態度をとっている。

 出馬会見の時、裏金議員の公認について「責任を持って有権者にお願いできるかどうか、厳正に判断されるべきだ」と、正論を唱えていた石破茂・元幹事長(67)も、すぐに「一律に公認を取り消す意味ではない」と慌てて釈明し、告示日の12日は、公認問題に触れもしなかった。

 それもこれも、75人の裏金議員が、総裁選のキャスチングボートを握ってしまったからだ。総裁選びの「投票権」を持つ国会議員は367人。裏金議員は、ざっと4分の1を占める。裏金議員の不興を買ったら当選はおぼつかない状況なのだ。

 しかし、そもそも、犯罪行為に手を染めるような裏金議員に「投票権」を与えたことが間違いだったのではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「自民党内の理屈だと、裏金を多く集めた議員ほど、政治力のある有力議員ということになるはずです。力があるからパー券を大量にさばけた、ということでしょうからね。もし、裏金議員に総裁選の“投票権”を与えていなかったら、総裁選の候補者も思い切った政治改革案を掲げられ、自民党が生まれ変わるチャンスになったかもしれない。しかし、もはや、総裁選の候補者9人に裏金問題への切り込みを期待しても難しいでしょう。新総裁になるためには、裏金議員の顔色をうかがいながら総裁選を戦うしかないからです。勝敗を決することになりそうな上位2人の決選投票になったら、裏金議員75票は、決定的な力を発揮しますからね」

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9月13日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月13日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:「保身か」「国の行方か」のジレンマだとさ 票読みを難しくさせている「小泉の不安」

 何から何までグロテスク。前代未聞の総裁選で目下、党内を覆うのは優勢の見方が強まる進次郎への「不安」だ。経験・実力不足は誰もが知るところ。例のセクシー発言など「進次郎構文」から資質そのものが疑われ、同僚だった金子恵美元衆院議員には「地頭が悪い」と身もフタもない評価を下されている。

 進次郎本人が「早期解散」を表明し、最も早くて10月27日投開票説も取り沙汰される。裏金やスネ傷議員、選挙に弱い議員にすれば見栄えの良い進次郎に「表紙」を替え、ボロが出る前に選挙を乗り切りたいのがホンネ。「神輿は軽くて」の論理だが、あまりにも軽すぎると政権運営が危うい。「保身」を取るか、それとも「国の行方」か。進次郎の軽薄さが多くの議員を疑心暗鬼に陥れ、総裁選の票読みを難しくさせているに違いない。何たるジレンマか。

 「ウクライナやパレスチナで戦争が続き、米大統領選では大国の分断をみせつけられる世界の現状において、自民党議員は『あすの日本』より『あすの選挙』を優先。溺れる者は藁をも掴むの言葉通りに資質は度外視で進次郎氏の人気にすがる。総裁選の候補たちも目先の勝利が大事。野党の政策をパクって国民受けのする政策を並べ立てるだけです。そこには政治哲学もなければ、日本が今後進むべきビジョンやグランドデザインもない。この国の将来への責任を放棄し、もはや政権担当能力を失っています。今回の総裁選は最後の宴です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 告示の12日から総裁候補たちは民放各局を行脚し、電波ジャックも始まる。


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9月11 日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月11日付に掲載されたものです。〕

*記事:小泉進次郎氏「死ぬまで働け」戦慄の年金プラン “標準モデル”は萩本欽一…なんでそうなるの?

 進次郎氏は「65歳以上は『高齢者』なんてナンセンス」と年齢前提の社会保障制度の見直しや、現在16~64歳の「現役世代」の定義を「18~74歳」に変更などと講演やインタビューで繰り返す。年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったこともある。

 意味するところは「死ぬまで働け」──。いつも標準モデルに掲げるのはタレントの萩本欽一(83)だ。

 18年3月には地元・横須賀市の「0歳児からの国政報告会」にサプライズゲストとして招き、70代で大学に通った欽ちゃんを「人生100年時代をすでに体現している」と持ち上げた。

 「欽ちゃんの生き方は素晴らしいが、実践できる高齢者は少ない。特殊なケースを例に挙げ、一般の高齢者の尻を叩くのは言語道断。いかにも『銀のさじ』をくわえて生まれてきた世襲議員の発想で、光を浴びている人しか見ようとしない。中間層以下を置き去りにし、誰もが豊かで希望あふれる老後とは真逆の発想です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 進次郎氏のいじめの対象は解雇規制緩和の労働者だけではない。仮に総理になれば、老人いじめも加速。「欽ちゃん化」を求められる高齢者じゃなくとも「なんでそうなるの?」と突っ込みたくなる。

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9月10日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月10日付に掲載されたものです。〕

巻頭特集:これは壮大な国民騙し…「首切り加速」の進次郎が総裁選大本命の悪夢

 そもそも、進次郎が新総裁に選ばれるのは、労働者にとっては悪夢でしかない。公然と「首切り法案」の成立を掲げているからだ。

 銀座で行った街頭演説でも「私が総理になったら」と連呼しながら、出馬会見で打ち出した「政治改革」「聖域なき規制改革」「人生の選択肢拡大」──の3つの改革を「1年以内にやります」と強調していた。

 このうち「聖域なき規制改革」の本丸が、解雇規制の見直しである。6日の出馬会見でも「労働市場改革の本丸、解雇規制を見直す」と明言していた。

 労働問題に詳しい法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「解雇規制の見直しとは、要するに、金銭を払えば労働者を解雇できるようにするということです。現行制度は、整理解雇するには、人員削減の必要性など4条件を満たす必要があります。企業は簡単に社員をクビにできない。労働者にとっては、雇用を守ってくれる生命線ともいえます。解雇規制を見直そうというのは、まさに新自由主義の考え方です。ただでさえ日本の雇用は、小泉純一郎政権が進めた『聖域なき構造改革』によって大きく揺らぎ、いまや労働者の4割が非正規社員という状況です。もし、解雇規制を見直したら、日本の雇用制度は崩壊しかねない。貧富の格差も拡大してしまうでしょう」

 本当に進次郎が新総裁に選ばれてしまうのだろうか。大手メディアは、どこまで分かって、自民党と一緒になってお祭り騒ぎをしているのか。


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9月4日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』9月4掲載されたものです。〕

+巻頭特集:出揃う自民党総裁選の候補者たち…「刷新茶番劇」高揚なき虚ろな1週間

 裏金事件で立件されたのは安倍派、二階派、岸田派だけだが、麻生派も同じやり方でカネをちょろまかしていたのは疑いようがない。そうでなくても、国会質疑などでたびたび指摘されてきた。還流したカネの「出と入り」が18年分以降の派閥・議員双方の収支報告書に記載されている一方、17年以前はないからだ。いつだって保身第一の岸田がブチ上げた派閥解散宣言を無視し、表向き唯一存続している麻生派は、17年7月に山東派などと合併。「為公会」から「志公会」に名称変更した。これを契機に収支報告書への記載へ転じ、裏金事件でシラを切り通した可能性が極めて高いのだ。自民党のアンケート調査が対象期間を18年以降の5年分としたのは、麻生への忖度だったのか。そう勘繰りたくなる。

 総裁選に1票を投じることができる自民党議員は衆参両院合わせて367人。そのうち、80人あまりが裏金議員だ。麻生派も裏金づくりに手を染めていたとすれば、これに50人超が乗っかる。全体の4割近くを占める裏金議員票が決選投票でモノを言う「刷新茶番劇」。それが総裁選の実態だ。高揚なき虚ろな1週間となること請け合いである。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう指摘する。

 「われもわれもと声を上げ、挙党態勢で刷新感を懸命に打ち出しているのは、人材はいると取り繕っているに過ぎず、刷新できない裏返し。立候補予定の面々は一様に世論が求める裏金事件の再調査に腰が引けていますが、麻生派をめぐる新たな事実が判明した以上、新総裁が着手するのは当然です。自民党全体が、そのあり方を問われている。岸田首相が中途半端に終わらせた政治資金規正法改正についても、踏み込んだ対応をする必要がある。金権腐敗の温床となっている企業団体献金、政治資金パーティー、政策活動費は禁止する。この程度のことができなければ、国民の理解は得られないし、信頼回復なんて到底できません。自民党は国家を食い物にし、詐欺を働いてきた犯罪者集団と言っていい。本来であれば、国民に謝罪し、解散するのが筋なのです」


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