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11月29日(木) リベラル第3極による「卒原発民主連合政府」の実現をめざそう [政局]

 リベラル第3極の嘉田新党「日本未来の党」が注目を集めています。ニュースの最初に、石原さんや橋下さんの鬱陶しい顔ではなく、嘉田さんの爽やかな笑顔が出てくるのは大歓迎です。
 「未来」が「維新」に対するカーテンの役割を果たしているというわけです。これだけでも、「未来」を結成した意味があったと言えるでしょう。

 もちろん、「未来」に対しては懸念がないわけではなく、一定の問題点も指摘されています。「未来」には不安が付きものですから、それも当然でしょう。
 たとえば、選挙前の急ごしらえという印象はぬぐえません。実際には、場当たり的な離合集散ではなく、数か月前から準備が進められていたもので、石原さんと橋下さんが野合した「維新」とは違うんですが……。
 また、当選目当ての野合だとか「選挙互助会」だという批判もありうるでしょう。実際には、卒原発・脱原発という重要政策での一致があり、これを「ささいなこと」として妥協してしまった「維新」とは違うんですが……。

 それでは、原発以外の他の政策ではどうなのかという問題があります。消費増税、TPPなどに対しては多少のニュアンスの違いがあり、「小異」は残っているようです。
 外交や安全保障の問題でも、政策的な一致は充分詰められていないのではないかという懸念はあります。その点では、急ごしらえの新党だという弱点は免れないでしょう。
 それに、参加しているメンバーがあまりに個性的だという点も心配です。当面、小沢さんは無役になりそうですが、亀井さんや河村さんはどうするのでしょうか。
 政党の指導者としての嘉田さんのリーダーシップも未知数です。それに、代表代行となった飯田さんは橋下さんのブレーンだった人で、それに対する批判もあります。

 しかし、これらの懸念や問題があるにしろ、差し当たり、大同団結するべきでしょう。新党に加わらない政党なども、原発政策で一致するのであれば、連携や協力の道を模索するべきではないでしょうか。
 来る総選挙では、何よりも原発依存からの脱却、改憲阻止を最優先するべきだからです。原発の維持や再稼働、憲法の改正をめざす極右勢力の野望を打ち砕き、最悪のシナリオの実現を阻んで最善のシナリオの実現をめざすことが、総選挙の最大かつ最重要な課題だと言うべきでしょう。

 それでは、総選挙後にあり得る最悪のシナリオとは何でしょうか。それは、安倍晋三さんが率いる自民党と石原慎太郎・橋下徹さんの日本維新の会との極右連立政権の樹立です。
 これに対抗できる最善のシナリオとは、リベラル第3極による「卒原発民主連合政府」の実現です。これには、日本未来の党だけでなく、共産党や社民党、新党大地や新党日本も含まれるでしょう。
 このような政府こそ、東日本大震災と原発の過酷事故後の日本にふさわしいものです。卒原発民主連合政府ができ、脱原発基本法を成立させてはじめて「3.11後」の人類的課題に誠実かつ真摯にこたえることできたのだと、日本人は世界に向けて胸を張ることができることになるでしょう。

 そのような機会として、「3.11後」初めて実施される総選挙を活用したいものです。この時代に生きるものとして、その可能性が出てきた歴史的瞬間を無駄にすることは許されないのではないでしょうか。

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11月12日(月) 自滅路線を進もうとしている野田首相 [政局]

 野田首相は、どうして菅前首相と同じような自滅路線を進もうとするのでしょうか。重要な国政選挙の前に、国民が望まない政策を争点として掲げようとするなんて……。

 いよいよ野田首相は、解散・総選挙に向けての腹を固めたようです。マニフェストの検証結果を報告するための集会を名目に国民と接触する機会を増やし、衆院予算委員会での質疑を2日間も受け入れ、党首討論に望み、新しいマニフェストを作成して争点を明らかにしようとしているからです。
 すでに、11月中の解散、12月末の投開票という日程が囁かれています。11月22日解散、12月16日投開票という可能性が最も高いと見られていますが、それより一週間ほど遅れるかもしれません。
 どうせ総選挙をやるなら、早い方がよいでしょう。来年度予算を組んでから民主党が政権を去り、再び予算案を作り直すなどという手間をかけずに済むのですから……。

 「近いうち」に実施される総選挙で、新たな争点として野田首相が打ち出そうとしているのが環太平洋経済連携協定(TPP)への参加です。日本維新の会とみんなの党以外の野党は、自民党を含めて全て慎重または反対という立場をとっていますから、民主党の差別化を訴えやすいと考えたのでしょう。
 しかし、これは参院選の直前に消費税の10%への引き上げを打ち出した菅前首相と同じような間違いです。そのために、民主党は参院選で大敗しましたが、今回も同様の結果になることでしょう。
 TPPへの参加に対しては、民主党の中にも強固な反対勢力が存在しています。このような政策をマニフェストに掲げて選挙に打って出れば分裂することになるかもしれませんし、少なくとも分裂状態で総選挙を闘うことになるのは明らかです。
 ただでさえ、野田内閣の支持率は低く、民主党の評判は地に墜ちています。加えて、消費増税を決め、原発を再稼働させ、オスプレイ配備を強行したうえでのTPP参加ですから、選挙をすれば地方で惨敗することは目に見えています。

 そもそも、こんな時にTPP参加などはとんでもありません。関税がなくなれば、安い外国製品がどっと日本に入ってくるからです。
 物価が安くなるデフレで苦しんでいるのに、さらに物価を引き下げるような政策が合理的な選択なのか。TPPへの参加を主張している方々に聞いてみたいものです。
 韓国や中国、台湾、フィリピン、インド、インドネシア、タイなど、アジアの成長を牽引している国々が一つも加わっていないのに、どうして「アジアの成長力を取り込む」などと言えるのか。これについても、是非うかがってみたいところです。

 TPP参加によってさらにデフレは悪化し、国内の農業と中小企業は壊滅的な打撃を受け、消費増税で税金は増え、「一体改革」によって社会保険料も増大する一方で年金は削られ、原発の脅威は依然として続く。これが、野田首相の作り出そうとしているこれからの日本です。
 それを受け入れるのかどうか。その答えを出す機会が次第に近づいて来ていることだけは確かだと言えるでしょう。
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10月31日(水) 石原知事が都知事を辞職した本当の理由 [政局]

 石原さんはどうして、突然、都知事の辞職を発表したのでしょうか。新党を結成して党首になるにしても、横浜市長でありながら社会党の委員長になった飛鳥田さんや、大阪市長を辞めずに新党「日本維新の会」の党首に就任している橋下さんのように、兼務することも可能だったのに。

 昨年11月に「石原新党」構想を明らかにし、その後、袂を分かった亀井静香さんは、新党結成について次のように説明しています。

 「あれはね、石原が橋下(徹=大阪市長)に『維新の会を全部やる』って言われて舞い上がっちゃったんだよ。『そんなこた、あるわけねーよ』って(石原に)言ったんだけどね。オレとか平沼(赳夫〈たちあがれ日本〉代表)の肩車に乗った新党じゃ新鮮味がないってんで、シロウト集めてバーンとやろうと思ったわけですよ」(山田孝男「風知草」『毎日新聞』10月29日付)

 しかし、この亀井さんの説でも、都知事辞職の理由は分かりません。「維新の会を全部やる」と言ったとされる橋下さんは大阪市長のままなのですから、石原さんだって東京都知事のまま新党の党首になることは可能だったはずです。
 もともと石原さんは知事職にそれほど熱心ではなく、週に3日しか都庁に出勤していなかったと言われています。このような「片手間」の知事職が、党首の職務の邪魔になるとは思われません。

 それなら、どうして都知事を辞職したのでしょうか。一般には、国政進出のために新党を結成し、それに専念するための辞職と受け止められています。
 私は、逆だったのではないかと思います。都知事を辞めようと考えた方が先で、国政進出や新党の結成は、そのための口実、あるいは方便にすぎなかったのではないかと。
 4期目になってそれほど都知事の椅子に執着を持っていなかった石原さんは、ある時点で、その椅子から逃げ出すことにしたのではないでしょうか。その原因となったのは、尖閣諸島の国による購入だったと思われます。

 4月に都による尖閣諸島の購入計画を発表した石原さんは、同時に購入のための寄付を幅広く呼びかけました。その結果、巨額の購入資金が寄せられ、その総額は10月24日までに14億8000万円になっています。
 しかし、国が尖閣諸島を購入してしまったため、この寄付金の扱いが宙に浮いてしまいました。思いつきで発案し、それが図に当たって大量に集まったものの、石原さんはその扱いに困ってしまったのではないでしょうか。
 船溜まりなどを作る資金にすると言っていますが、島の購入のために集められたお金を別の形で使えば目的外使用となり、裁判に訴えられるかもしれません。本来は返却すべきものですが、その作業量は膨大でそのためにお金を使えば都に大きな損害を与えることになり、その場合も行政訴訟を起こされる危険性があります。

 都の責任者である限りこのようなリスクから逃れられないと考えた石原さんは、都の責任者であることを辞める道を選択したのです。つまり、逃げ出したわけです。
 しかし、この14億8000万円が都の所有となっている限り、上記のような問題はいつまでも残ります。次に都知事になる人は、このお金も引き継がなければなりません。
 石原さんは辞職会見で後継者として猪瀬直樹副知事の名前を挙げましたが、それはこの問題を処理する責任とリスクを猪瀬さんに押しつけたということを意味しています。猪瀬さんは、そのことを分かっているのでしょうか。

 石原さんが都による尖閣諸島の購入を打ち出した狙いの一つは、国民の危機感を高めて改憲気運を醸成することにあったと思われます。中国内の反日デモの高揚と暴徒化、それによる日中両国関係の悪化、国内における「弱腰」批判とナショナリズムの高まりは、石原さんの狙い通りであったでしょう。
 しかし、それは短期間に収束し、尖閣諸島の領有問題は石原さんの手を離れました。自民党の総裁選候補者に公開質問状を出して圧力をかけたものの、事態は鎮静化に向かいます。
 都知事の座から逃げだそうとしていた石原さんは、直接、国政に関与することによって尖閣諸島をめぐる日中間の対立の拡大を図り、「憲法破棄」に向けての世論を高めようと考えたにちがいありません。辞職会見でも、「国自身の発意で解決してもらいたい大きな矛盾をいくつか抱えている。最たるものは、占領軍が一方的に与えた、あの醜い日本語でつづられた憲法だ。いろいろな悪い影響を日本に与えてきたし、(評論家の)吉本隆明氏ではないけれど一種の「共同幻想」を培った。絶対平和という日本人独特のパシフィズム(平和主義)を、ですね。さらに、あの憲法の非常にいびつな、権利と義務のインバランス(不均衡)が日本人に我欲を培い、国民全体がセルフィッシュ(利己的)になってきた。それに政治が迎合せざるをえない今日の状況を作った」と、真っ先に現行憲法を批判していました。

 ここに、石原さんが都知事を辞職した本当の理由があるように思われます。このような「石原新党」結成をめぐる狂想曲の背後に隠されている背景と真の狙いを、きちんと見抜くことが今こそ必要なのではないでしょうか。


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9月12日(水) 民主党の代表選、自民党の総裁選、橋下「維新」新党の結成はどれも古い政治の枠組みの中での争いにすぎない [政局]

 9月1~8日の中国旅行の間、完全な情報遮断の状態にありました。当然ながら、政治の動きについても、全くの白紙状態でした。
 帰国して久々に見る日本の政治ですが、以前にも増して荒涼たる風景が広がっているように見えます。政治の変革を求める民衆の願いと、権力闘争にうつつを抜かす永田町政治との分断と乖離は、ますます拡大しているとしか思われません。

 9月8日まで延長された通常国会は、私が帰国した日に静かに幕を閉じました。中国旅行中も国会の空転が続いていたからです。
 その結果、マスコミ報道の焦点は、民主党の代表選挙、自民党の総裁選挙、そして橋下徹大阪市長の「維新の会」による新党結成と国政進出にしぼられることになりました。相も変わらぬ政局報道のオン・パレードです。
 そして、このいずれにおいても、オスプレイ配備に反対する沖縄の県民大会や脱原発、消費増税やTPP参加反対という民衆運動の願いを政治の場で 具体化する可能性はほとんどありません。不毛な選択を問う政治ショーにすぎないというほかないでしょう。

 民主党の代表選挙は一昨日公示されましたが、始まった途端に終わってしまったようなものです。野田首相に対抗して3人が立候補したものの、その ために野田批判票は分散してしまったからです。
 以前、私が予想したように、細野原発事故相を担ぐという動きもあったようです。民主党議員としては、泥船から脱出するための「救命ボート」として少しでも見栄えのする人にすがりたかったのでしょう。
 しかし、代表になって使い捨てにされてはたまらないと考えた細野さんは不出馬を表明し、この構想は費えました。野田さん自身に、自らの失政の責任を取ってもらいたいと考えたのかもしれません。

 他方の自民党の総裁選挙の方では、予想外の展開がありました。再選を目指していた谷垣現総裁が、突如として不出馬を表明したからです。
 この報に接して、河野洋平さんのことを思い出しました。同じように、自民党総裁でありながら首相になれず、再選への出馬を辞退しました。
 「近いうち」に総選挙を実施するという口約束で野田首相に騙され、うまく利用されてしまったという点が決定的でしょう。しかも、野田首相はプー チン大統領と12月訪ロの約束をして今年中に総選挙を実施する気がないことを示唆したため、進退に窮してしまったのではないでしょうか。

 このような2大政党の混迷の間隙を突く形で注目を集めているのが、橋下「維新」新党です。ただそれが、大阪以外の国民全体にどれだけ浸透しているのかは未知数です。
 綱領とされている「維新八策」は、新党にはふさわしくないような古くさい政策や目新しさはあっても荒唐無稽な政策の羅列です。こんなもので、国民をだませるとでも考えているのでしょうか。
 注目度が増して情報量が増えれば、一方では知名度が増すものの、他方では本当の姿が良く見えるようにもなります。今は、虚像や幻想がピークであるように思われますが、それはこれからも続くのでしょうか。

 民衆の願いに沿った政策転換に向けての動きは政権与党の内部からは生ぜず、与党になるかもしれない野党第1党では誰が総裁になっても政策転換は期待できず、注目度の高い「維新」新党も政策転換を領導できない。政治を担う主体をめぐる争いが、所詮は3党合意などの古い政治の枠組みの中でのものでしかないところに、日本政治の不毛性が象徴されているように思われます。

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8月23日(木) 新潟への帰省から帰ってきた途端に政局は激動 [政局]

 約1週間のふる里・新潟への帰省から、2日前の21日(火)に帰ってきました。その途端に、仕事に追われ、政局も激動する様相を見せています。

 帰省中は、温泉巡りなどで遊びほうけ、美味しい山海の珍味に越後の地酒と、「酒池肉林」(後者は嘘)の毎日を過ごしてきました。食べ過ぎ、飲み過ぎでさらに太ってしまい、これから元に戻すのが大変です。
 新潟も昼間は酷暑でしたが、朝晩は涼しく、寝苦しいということはありませんでした。早朝、散歩に出ると、まるで雨が降ったかのように、草花が朝露に濡れていました。
 帰省した当日は雨が降りましたが、後は好天続きです。お陰様で、のんびりゆったりと、楽しく充実した休暇を過ごすことができました。

 ところで、「近いうちに」とされた解散・総選挙ですが、逃げる民主党に追う自民党という構図になってきました。終盤国会の焦点は、ここに絞られてきています。
 選挙をすれば敗北が確実と見られている民主党は、可能な限り先に延ばしたい、できれば来年の衆参同日選挙に持ち込みたいと考えています。これに対して、選挙をすれば議席増が確実だと見られている自民党は、可能な限り早く、できれば9月8日の会期切れまでに解散させたいと狙っています。
 民主党の野田さんにしてみれば、解散・総選挙が早まれば「野田降ろし」が」生じ、9月の代表選での再選が難しくなるかもしれないと考えているでしょう。他方、自民党の谷垣さんからすれば、解散・総選挙を勝ち取ることができなければ党内の信任を失い、9月の総裁選挙での再選は困難だという事情があります。

 こうして、解散・総選挙の時期をめぐって両者の綱引きが始まりました。痺れを切らした自民党は、来週中にも首相に対する問責決議案を提出する見通しだといいます。
 もし、そうなれば、野田首相問責決議案は少数与党の参院で採択されるでしょう。その後の国会は空転します。
 最終盤での重要法案とされた選挙制度改革関連の法案や特例公債(赤字国債発行)法案は宙に浮いてしまいます。そのまま国会は閉会になり、政局の焦点は民主党の代表選挙と自民党の総裁選挙に移るでしょう。

 こうなると、民主党の野田代表、自民党の谷垣総裁の再選は、いずれも微妙になります。解散・総選挙の時期がどうなるかが、不明なままなのですから……。
 とはいえ、今のところ両者共に有力な対抗馬はいません。再選される可能性の方が大きいと思われます。
 こうして、10月には臨時国会が召集されることになるでしょう。特例公債(赤字国債発行)法案が成立しないと、年後半の予算執行が困難になるからです。

 しかし、臨時国会が始まっても、おそらく野党は審議に応じません。野田政権は窮地に陥ることになります。
 ということで、解散・総選挙ということになるのではないでしょうか。この総選挙では、消費増税を決めた民自公の談合3党はもちろん、民主・自民の悪いところをごた混ぜにしたような「維新八策」を掲げ、両党からこぼれたカスやゴミのような候補者をかき集めた橋下維新の会などではなく、「国民は怒っているんだぞ」というメッセージが確実に伝わり、最も効果的で劇的な異議申し立てとなるような政党や候補者に投票すべきでしょう。

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8月10日(金) 「近いうち」についての綱引きが始まった [政局]

 こんな内閣が信任できるのでしょうか。一方で「不信」を言い立てながら、他方で「不信任」案に反対したり棄権するなどという対応が、誠実なものだと言えるのでしょうか。

 新党「国民の生活が第一」など野党6党が提出した内閣不信任決議案は昨夜の衆院本会議で否決されました。賛成は86票、反対は246票で、自公両党は、野田内閣の信任につながる反対票は投じない一方、一体改革法案の早期成立を期すとした8日の3党首合意を受けて棄権しました。
 民主党に離党届を出した小泉俊明、小林興起両衆院議員は不信任案に賛成し、鳩山由紀夫元首相ら民主党議員6人は欠席しています。また、中川秀直元幹事長ら自民党議員7人は、他の同党議員が退席した後も議場内に残って賛成しました。
 民主党からも、自民党からも、ともに「造反」が出たことになります。このような「造反」は、参議院での消費増税法案の採決に当たっても避けられないでしょう。

 8日の3党合意は、二大政党制の破綻を意味しています。二つの大政党が政権をかけて競う合うどころか、裏で取引をして合意してしまったからです。
 また、それは議会制民主主義の完全な破壊を意味しています。国会でどのような議論があろうと、二つの大政党が合意してしまえば、そのような議論は全く無意味になってしまうからです。
 国会は何のためにあるのでしょうか。議場を離れた密室での取引と談合を追認し、それに「合法性」を与えるためにあるとでもいうのでしょうか。

 ところで、この合意の「核心」であった「近いうち」に信を問うという文言が注目を集めています。新聞などでは色々と解釈されたりしていますが、それは無意味です。
 野田首相にとっては、谷垣さんを丸め込んで合意さえ得られれば、どのような言葉でも良かったのですから……。
 「密約」があったかどうか詮索されたりしていますが、これも無意味です。「密約」とは「秘密」の「約束」ですから、あることを認めた途端に「密約」ではなくなってしまいます。

 しかし、谷垣さんは、具体的な「密約」があったかのように振る舞うでしょう。解散・総選挙についての確約があったかのように装わなければ、「利用されただけだ」という党内での批判が強まり、9月末の総裁選挙での再選が危なくなりますから……。
 野田さんは解散時期をできるだけ曖昧にし、可能な限り先延ばししようとするでしょう。不信任案の否決と消費増税法案の成立に協力が得られれば、それで当面の目的は達成されたわけで、早期の総選挙をおそれる党内をできるだけ刺激したくないでしょうから……。
 解散時期についての合意を曖昧にして解散を先延ばししたいというのは、民主党執行部も同様です。民主党の輿石幹事長は「『近いうち』にこだわる必要はない」と述べ、「9月にお互いに代表選がある。2人とも代わってしまうことはまずないと思うが、2人がいなくなったら話は終わりだろう」と牽制しているのは、そのためです。

 この輿石発言に対して、自民党の谷垣禎一総裁は同日、都内で記者団に「与党の幹事長ともあろう人が、よくそんなばかなことを言えると思う。もう政治家失格だ」と非難していますが、8日の合意に輿石さんが同席しなかったのは、後からこう言うためだったのです。「そんなことは知らないよ」と……。
 それを予見できなかったわけですから、「政治家失格」はどちらでしょうか。「永田町の子泣き爺」(というより、私は「妖怪ヌラリヒョン」だと思いますが)に、谷垣さんは化かされてしまったのかもしれません。
 他方で、この輿石発言は民主党内の離党予備軍に対する懐柔でもあるでしょう。野田さんを代えれば「話は終わり」だから、代表選までは党内にとどまりなさいよ、という意味での……。

 このような綱引きは、これからも続くでしょう。「近いうちに」という決着が玉虫色である限り、その解釈をめぐる紛糾は避けられないのですから……。

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8月8日(水) 民自公3党は消費増税法案の成立と「近いうちに」解散・総選挙を行うことで合意した [政局]

 注目されていた民自公3党の動向ですが、今日一日の折衝を通じて決着したようです。消費増税法案を成立させ、「近いうちに」解散・総選挙を行うということで……。

 野田佳彦首相は今日の夜、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表と国会内で会談し、消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連法案について「3党合意を踏まえて早期に成立を期す。成立した暁には近いうちに国民に信を問う」ことで合意しました。
 自民党は法案成立に協力する条件として衆院の解散・総選挙の確約を求めていました。これについて首相は、「近いうちに」が指す時期については明言せず、「首相として解散時期を明示することは控えなければならない」と語りました。
 これで、野党6党が提出した内閣不信任案と問責決議案の否決、一体改革関連法案の成立が確実になりました。しかし、これらの採決に当たって、民主党内から造反が生まれる可能性が高く、分裂劇が再演される可能性があります。

 しかも、ここで合意された「近いうちに」とはいつのことなのか。この点が明らかにされていません。
 最も早ければ、今国会の会期中、9月8日までということになります。しかし、その可能性は低いでしょう。
 解散・総選挙があまり早いと民主党はもたず、あまり遅いと自民党がもちません。常識的には、9月に予定されている民主党の代表選と自民党の総裁選でそれぞれが再選された後、10月に臨時国会を開いて解散・総選挙ということになる可能性が高いと思われます。

 ヒョッとしたら、3党首の会談で解散の時期について具体的な約束があったのかもしれません。もし、野田首相が解散を先延ばししようとしても、自公両党にとっては公債特例法案を「人質」にとっておけば、再度、解散を迫ることが可能です。
 輿石東幹事長などの民主党執行部としては、解散をできるだけ先に延ばしたいと考えています。この会談の始めには、野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表、樽床伸二民主党幹事長代行、井上義久公明党幹事長、石原伸晃自民党幹事長が同席しましたが、輿石民主党幹事長が顔を出していないところに、民主党の党内事情をかいま見ることができます。
 野田首相は、解散時期を早めるように求める自民党と、先延ばしを計ろうとする民主党執行部の板挟みになりました。3党合意を優先して解散へと突き進もうとすれば、「野田おろし」などの動きが強まる可能性もあり、当面の危機を乗り切ったように見える野田首相にとって、容易ならざる状態は今後も続くでしょう。

 急転直下、事態がこのような形で決着した背後には、マスコミと財界からのすさまじいまでの巻き返しがあったと思われます。昨日の新聞各社の社説は、「3党合意と自民党 法案成立の責任どうした」(産経新聞)、「一体改革法案 党首会談で事態を打開せよ」(読売新聞)、「最優先すべきは消費増税法案の成立だ」(日経新聞)、「民主と自民 改革潰しは許されない」(朝日新聞)、「消費増税法案緊迫 合意の破棄は許されぬ」(毎日新聞)というように、東京新聞を除いて、自民党の対応を批判し、3党合意の順守と消費増税法案の成立を求めるものばかりでした。
 また、経団連の米倉弘昌会長は今日の午前、消費増税法案の早期成立が政局の緊迫化で見通せなくなっている現状について、「党利党略に走らず、国の将来のために3党合意通り粛々と進めてほしい」と苦言を呈していました。スポンサーである財界から自民党に対して、強力な圧力がかかったにちがいありません。
 公明党が最後まで3党合意の破棄に抵抗したのも大きかったでしょう。このような包囲網に屈服した結果が、当初は受け入れを拒否していた党首会談への出席であり、「近いうちに」という玉虫色での決着だったのです。

 今回の合意で、消費増税法案の成立は確実になりました。そして同時に、民主党の瓦解と総選挙での惨敗も、ほぼ確実になったと言って良いのではないでしょうか。

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8月3日(金) 共産・社民・みんな3党の内閣不信任案提出合意で新たな展開を示し始めた「政界三国志」 [政局]

 民主・自民・小沢グループによる「政界三国志」は、新たな展開を示し始めたようです。小沢グループに「援軍」が駆けつけ、民主・自民を牽制し始めたからです。

 昨日、共産・社民・みんなの3野党が、参院で消費増税法案を採択する前に、野田内閣不信任案を提出することで一致しました。小沢グループの新党「国民の生活が第一」も共同提出に応ずる方向だそうです。
 今日、自民・公明両党を除く野党の党首会談を開き、提出時期などを調整するといいます。消費増税法案を葬り去る一筋の「光明」が見えてきたということでしょうか。
 これに対して、自民党は昨日の幹部会で、民主党が来週中の消費増税関連法案の採決に応じなければ、参院に首相の問責決議案を提出することで一致しました。一方で内閣不信任案、他方で問責決議案提出の動きが始まったというわけで、民主党にとっては、前門の虎、後門の狼ということになるでしょう。

 このような動きは、以前から予想されていました。しかし、いくつかの点で、注目すべき変化があります。
 その一つは、内閣不信任案の提出が消費増税関連法案の採決後ではなく、その前に行われようとしていることです。もう一つは、その動きが、小沢グループによってではなく、共産・社民・みんなという別の野党から始まったことです。
 いずれも、内閣不信任案の成立と消費増税関連法案の成立阻止にとって、プラスになる変化だと言えるでしょう。不信任案が通れば消費増税は吹っ飛びますし、小沢グループが突出しなければ全野党の協調を得やすくなると思われるからです。

 問題は、自民・公明の連合軍と民主党内での別働隊の動きです。自民党は問責決議案を提出すると言っていますが、これは採決先延ばしを図る民主党に対する脅しであり、本気で提出するかどうかは分かりません。
 問責決議案を提出すれば可決は確実ですが、野田政権を追い込む点での効力は不明です。内閣不信任案は確実に野田政権を追い込めますが、可決できるかどうかは不明です。
 それに、自公両党は消費増税関連法案の成立を望んでいる点で、他の野党とは異なっています。果たして同調するかどうか、民主党との対決にどこまで踏み込むかどうか、不確定要素が大きいと言うべきでしょう。

 とはいえ、他の野党が結束して内閣不信任案を提出した場合、自公両党は反対に回れるでしょうか。もし、不信任案に反対すれば野田内閣を信任したことになります。
 解散・総選挙を求めることはできなくなり、野田首相の延命に手を貸すだけになってしまいます。こんなことをしたら、9月の自民党総裁選挙での再選などは望むべくもなく、谷垣総裁にとっては自滅路線を意味することになるでしょう。
 民主党内には、反野田首相の別働隊である小沢グループの残党と鳩山グループが存在しています。これらの人々が不信任案に賛成する動きを示せば、ますます自公両党は反対しにくくなるでしょう。

 昨年、菅内閣に不信任案が提出されたとき、民主党内からも造反の動きが表面化し、可決の可能性が高まりました。その動きを止めたのは、代議士会直前の菅・鳩山会談であり、そこでの退陣条件を明らかにした鳩山さんの演説でした。
 今回は、このような動きは考えられません。鳩山さんは、野田さんを追い込む方向で動く可能性が高いでしょう。
 もし、小沢グループの残党や鳩山グループのうち15人が賛成すれば、内閣不信任案は成立します。その可能性は大いにあります。

 自民党は8月8日までに、消費増税関連法案を採決することを求めています。民主党内には「10日には採決を受け入れざるを得ない」という見方も出ているそうです。
 NHKをはじめマスコミが「オリンピック狂想曲」を奏でている間に、政局は大きく動こうとしています。今週から来週にかけて、「政界三国志」は一つの山場を迎えるにちがいありません。

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7月7日(土) 内閣不信任案の提出、解散・総選挙を狙う小沢新党と自民党 [政局]

 小沢新党の結成に向けての動きが早まっています。来週にかけて、これは具体的な形を取ることでしょう。

 新党を結成する小沢一郎元民主党代表のグループは昨日、初の代議士会を開きました。国会対策の陣容も整え、衆院ではすべての常任委員会と特別委員会での理事ポストを獲得しています。
 11日(水)の新党結成に向けても、党名や主要政策などを協議したようです。新党結成後、新党きづなと統一会派を組み、民主党に残る小沢系議員や新党大地・真民主との連携もめざすことになるでしょう。
 4日の準備会合には衆院議員35人、参院議員12人が出席しました。ほかに2人が新党に参加するとみられていますので、新党は衆院37人、参院12人の計49人になるというのが、現時点での状況です。

 他方、民主党の鳩山元首相グループに所属する米長晴信参院議員は6日、離党届を提出し、離党した議員は51人になりました。また、消費増税法案の衆院採決で造反し、党に残留した当選1回の衆院議員13人は6日、勉強会「真の一体改革を実現する一期生の会」を結成しています。
 さらに、同法案の衆院採決で反対・棄権し、民主党に残った鳩山元首相ら衆院議員23人も、消費増税に反対する「消費税研究会」を発足させました。この会合は中間派の熊田篤嗣衆院議員らが呼びかけ、鳩山さんのほか、鳩山グループの松野頼久衆院議員、小沢一郎元代表グループの山田正彦元農相らも加わっています。
 鳩山さんや山田さんは、参議院での採決を見届けた後、民主党を離党する構えを見せています。これらのグループに対して、党内では「次の造反、離党予備軍だ」との見方が出ているそうです。

 新党を結成した場合、その「賞味期限」は2~3ヵ月と言われています。その期間内に、総選挙に打って出るというのが、小沢さんの狙いではないでしょうか。
 できるだけ早い時期での解散・総選挙の実施という点では、自民党とも思惑が一致します。しかし、自民党は事実上の民自公大連立によって消費増税法案の参議院での成立を目指していますから、それまでは小沢新党と共同歩調を取ることはありません。
 小沢新党は、現状の衆議院37議席のままなら内閣不信任案を出せませんが、新党きずなの9議席、新党大地・真民主の3議席、それに小沢さんに近い亀井静香さんや田中康夫さん、民主党を離党して無所属となった議員などの協力を得れば、内閣不信任案を提出できる51人を越えますし、今後、新党への参加者も増える可能性があります。しかし、自民党など他の野党の同調が見込まれるまでは、内閣不信任案を提出しないでしょう。

 自民党は、消費増税法案が採択された後、特例公債法案を人質に揺さぶりをかけるでしょうし、総選挙後の政権交代を見越して法案に賛成する可能性もあります。連用制を導入する選挙制度改革法案にも賛成して、連用制の導入を望んでいる公明党に恩を売ろうとするかもしれません。
 こうなると、延長国会の後半、8月下旬から9月8日の会期末にかけて、内閣不信任案が提出される可能性が強まります。当然、小沢新党は内閣不信任案の賛成に回り、民主党内に残留している旧小沢グループや鳩山グループの何人かも反旗を翻すでしょう。
 ということで、8月末から9月上旬にかけて、内閣不信任案の提出、解散・総選挙を狙い、自民党と小沢新党は攻勢に出るにちがいありません。すでに民主党の野田執行部は実質的には過半数を失っており、「反野田連合軍」が形成されれば、野田首相は確実に窮地に陥ることになります。

 私は、6月3日のブログ「通常国会最終盤で急浮上してきた解散・総選挙の可能性」で、「もし、採決を強行すれば、小沢グループは反対に回るでしょう。これらの人々を除名すれば、民主党は衆院での多数を失います。野党はいつでも内閣を打倒できる力を獲得するわけです。除名された小沢グループは新党結成を模索し、政局は解散・総選挙含みで緊迫するちがいありません」と書きました。まだ、「民主党は衆院での多数を失」ったわけではありませんが、総選挙の可能性が次第に大きなものになっていることだけは確かなように思われます。

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7月1日(日) 本来出て行くべきは小沢ではなく民主党を裏切った野田ではないのか [政局]

 一昨日の『毎日新聞』6月29日付に緊急全国世論調査の結果が出ていました。6月27~28日に実施されたものです。
 この調査の結果は誠に興味深いもので、民意はアンビバレント(両義的)な状況を示しています。端的に言えば、消費増税法案の成立をめざす野田内閣の行動も、それに反対して造反した小沢グループの対応も、ともに支持されていないということです。

 主な調査結果は次のようになっています。

野田内閣を支持しない     53%
消費増税法案の成立を望まない 63%
小沢の行動を支持しない    71%
消費増税への造反は処分すべき 57%

 最初の2つの設問への回答は、野田内閣に対して厳しいものです。これだけ苦労して消費増税法案を衆院で通過させたのに、国民はそれを評価せず、今国会で成立させるべきではないというわけです。
 もう一つ、野田首相が行った次のような決断に対しても、民意は賛成していません。

大飯原発の再稼働方針を支持しない 51%

 つまり、消費増税法案の衆院通過と大飯原発の再稼働という野田首相が行った重大な政治決断は、いずれも国民によって支持されていず、民意に反するものだったということになります。

 それでは、このような民意に添っていた小沢さんの行動は支持されたのでしょうか。後の二つの設問への回答を見れば、必ずしもそうなってはいません。
 7割の人が小沢さんの行動に反対し、6割近くの人が厳しい処分を求めています。実は、共同通信社も世論調査(6月26~27日実施)を行っていて、そこでも小沢さんらの行動を理解できないが59.8%、小沢新党に期待せずが79.6%という結果が出ています。
 しかし、共同通信調査の政党支持率では、民主17.1%、自民22.1%、衆院選比例代表での投票予定では、大阪維新の会12.9%となっており、これと小沢新党に期待する15.9%を比べれば、それほど低いわけではないという見方もできます。とはいえ、論理的に考えれば、野田さんへの反対は小沢さんへの賛成になるはずなのに、必ずしもそうなってはいません。

 その理由の第1は、小沢さん自身にあります。「陸山会事件」や政治資金集めをめぐる疑惑、政党解散に伴う不明朗な会計処理など、「金権腐敗」政治にどっぷり浸かった「ダーティー小沢」としての印象が強く焼き付いているからです。
 第2に、新党を作っては壊してきたこれまでの政治経歴の問題もあります。新党結成といっても、国民にとっては「またか」と受け取られていることでしょう。
 これまで、何度も同じような光景を見せられ、新党に期待をかけてはそれをぶっつぶす形で期待を裏切ってきたからです。今回もまた、「消費増税法案への反対」という「大義」の旗を掲げているとはいえ、中途で裏切られるのではないかという警戒感が先に立つのでしょう。
 第3に、このような国民の印象や警戒感を払拭するための努力を、小沢さん自身、あまり行ってこなかったという問題があります。「口べたで説明不足」という小沢さんの弱点が、ここでも災いしているということになります。
 政治資金にまつわる疑惑や不実記載について、国会での釈明や国民への説明はほとんどなされませんでした。消費増税についても、それに代わる財源や社会保障の将来構想については、「国民生活が第一。」と繰り返すだけで、具体的なビジョンや提案が示されたわけではありません。

 しかも、第4に、このような弱点を増幅するような形での集中砲火を、検察やマスコミから浴びせられてきました。検察審査会による強制起訴の背後にはねつ造された調書があり、裁判での証拠にも検察によって偽造されたものが含まれていました。
 最近も妻・和子さんが支援者に宛てて書いたとされる手紙が『週刊文春』で公開されるなどマスコミのほとんどは「反小沢」で、とりわけ大手の新聞は小沢さんを厳しく批判してきました。それと異なった論陣を張っているのは、夕刊紙の『日刊ゲンダイ』くらいしかありません。
 マスコミは、連日、消費増税を煽り立て、それに反対する小沢グループを「悪役」に仕立ててきました。だから、私はこれを「マスコミ」ではなく「マスゴミ」、つまり「大量のゴミ」だというわけですが、このような情報にさらされ続けてきた民意が、矛盾するような形で歪んでしまうのもやむを得ないと言うべきでしょう。

 そもそも、消費増税に反対した小沢グループの行動を「造反」というのは間違っています。「造反」したのは、野田さんなど民主党の執行部の方だからです。
 政権交代を実現した09年の総選挙で、民主党は自民党政治を転換することを掲げ、「消費税は4年間上げない」と約束しました。この約束を破って自民党と公明党に擦り寄り、上げないと言っていた消費税を増税しようとしているのは野田さんで、政権交代に際しての約束を守ったのは小沢さんの方ではありませんか。
 民主党のマニフェストを尊重し、基本政策を守ろうとしているのが小沢さんで、自民党に屈して民主党を明け渡してしまったのが野田さんです。したがって、あるべき民主党に「造反」したのは野田さんであり、本来、民主党から出て行くべきは、小沢さんではなく野田さんの方ではないでしょうか。

 しかも、世論調査によって示された民意は消費増税法案の成立を望まず、大飯原発の再稼働にも反対しています。このような民意からすれば、それに反した行動をとり続けている野田首相こそが、厳正に処分され、民主党を追い出されるべきでしょう。

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