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1月23日(水) 八方ふさがりどころか十方ふさがり以上に陥ってしまった安倍首相 [首相]

 1月20~21日、箱根に行ってきました。全国革新懇の都道府県革新懇事務室(局)長合宿交流会が開かれたからです。
 私は特に出席を要請されたわけではありませんが、講演などでお世話になっている皆さんにお礼を述べる良い機会であり、しかも選挙イヤーである今年初めの会議の重要性を考え、顔を出させていただくことにしました。

 この会議の様子は『しんぶん赤旗』や全国革新懇FAX ニュース『革新の風』などで伝えられました。その中で、私の発言につても、次のように報じられています。
 「全国革新懇の五十嵐仁代表世話人は、統計不正問題や消費税増税、原発、日ロ領土交渉などを挙げ、安倍政権は『八方ふさがりになっている』と指摘。
『情勢は大きく流動化し、大変動のきざしが表れている。私たちの取り組み次第では、大きな政治的転換を生み出す面白い状況が、参院選に向けて進んでいくのではないか』と語りました」(『しんぶん赤旗』1月22日付)
 「政治学者の五十嵐仁全国革新懇代表世話人は、統計不正問題、沖縄、 消費税など8分野での破たんをあげ、『安倍首相は八方ふさがり』の情勢について発言。参院選で本気の共闘で大激変大激動を起こそう、「安倍よアバよ」と“五十嵐節”で会場を沸かせました」(『革新の風』718号、2019年 1月 22日付)

 ここで書かれているように、私は今の情勢の特徴、改憲をめぐる状況、参院選の捉え方の3点について発言しました。そのなかで特に強調したのは、昨年末から安倍首相が八方ふさがりの状況に陥っているということです。
 もっと言えば、「八方」どころか「十方ふさがり」以上と言っても良いかもしれません。それほど難問山積の状況に安倍首相が追い込まれているのが現在の情勢の特徴です。
 国内外ともに情勢は流動化し、予測不能になっています。「激変の兆しあり」というところですが、私たちの運動次第で大きな政治転換を起こすことができる「面白い」情勢でもあります。

 「十方ふさがり」というのは、毎月勤労統計での不正調査、辺野古新基地建設をめぐる県民投票、「火だるま」となっている消費税再増税、破綻してしまった原発輸出、見通しの立たない改憲、森友学園への値引きの根拠の崩壊、国際情勢に逆行する大軍拡、日米貿易摩擦や北方領土問題、日韓関係などで不透明さを増す外交の八つに加え、日産をめぐるゴーン前会長の不正と起訴、五輪招致のための裏金贈賄事件の表面化を指しています。昨年の臨時国会で成立した改定入管法につても4月施行に向けて多くの課題が指摘されており、年金カットなどの福祉削減、医師や教師の「働き方改革」をめぐっても批判が高まり、年末から年始にかけては株価も乱高下しながら下がってきています。
 まさに天下大乱の兆しありというところで、実際には「十方」以上のふさがり方だと言って良いでしょう。しかし、直近の世論調査では内閣支持率が微増して40%台を維持し、不支持率を上回っています。
 これほどの閉塞状況で問題山積でありながら、内閣支持率低下に結びついていないのは何故でしょうか。高知新聞社が実施した県政世論調査で内閣支持率が26.8%だったという報道がありましたが、全国的にそうなってもおかしくありません。

 そうなっていないのは、この現実がメディアなどによって十分に国民に知らされていないからです。同時に、内政の行き詰まりに追い詰められた安倍首相が外政に逃げ込んでいることも大きいように思われます。
 これまで安倍首相は、3本の矢、新3本の矢、地方創生、女性活躍、一億総活躍社会、人づくり革命、働き方改革など、次々に新しいスローガンを打ち出して国民に期待を持たせ幻想を振りまいてきました。しかし、それらはいずれも「目くらまし」にすぎず、看板倒れに終わっています。
 その結果、「タネ」が尽きてしまい、今年は「戦後外交の総決算」を打ちだしました。「内政がダメなら外政があるさ」というわけです。

 その外政では、対外的な緊張と対立を煽り立てて支持率拡大に利用するというのが、これまでの安倍首相の常套手段でした。そのようなやり方は、今も最大限に駆使されています。
 これまでは北朝鮮の核開発とミサイル発射実験が、このような緊張と対立を煽り立てる手段として利用されてきました。しかし、米朝会談と南北和解の実現以降、このような手段は使えなくなりました。
 その代わりに登場してきているのが、韓国との緊張と対立の激化です。「北がダメなら南があるさ」というわけです。

 内閣支持率の微増には、このような日韓関係を利用した安倍首相の危機煽りが影響しているのではないでしょうか。徴用工問題やレーダー照射をめぐる韓国との対立を利用して反発と危機感を煽り立てることで、国民の支持をつなぎとめようとしている可能性があります。
 このような危機煽りや対立感情に巻き込まれて、安倍首相に騙されてはいけません。きちんと現実を直視する必要があります。
 NHKなど首相の意向に巻き込まれ忖度報道を繰り返しているメデイアの報道をうのみにしてはなりません。何が事実なのか、真実を見極める目を持つ重要性がますます高まっています。

 今年は統一地方選と参院選が同時に実施される「選挙の年」です。主権行使の絶好のチャンスであり、安倍首相を追い詰め断罪する貴重な機会でもあります。
 有権者として真贋を見極める眼を持つことが、今年ほど重要な年はありません。フェイクニュースや間違い報道に流されないように気を付けていただきたいものです。
 ボーっと生きていたのでは、チコちゃんに叱られます。そうならないためにも、八方ふさがりを越えた十方ふさがり以上の情勢をきちんと見据え、選挙で正しい判断を行いたいものです。

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1月9日(水) 安倍首相が改憲に執念をたぎらす3つの背景 [首相]

 安倍首相は臨時国会の最終日に、2020年に新憲法を施行する意志について「その気持ちは変わりがない」と言い切り、1月6日放送のNHK番組でも通常国会で与野党による憲法改正論議の進展に期待を示し、「憲法は国の未来、理想を語るものであり、日本をどのような国にするかとの骨太の議論が国会で求められる。各党が考え方を持ち寄るべきだ」と述べました。安倍9条改憲NO!3000万人署名運動の効果もあって、昨年中の改憲発議という目論見が挫折し改憲スケジュールに大きな狂いが生じていますが、改憲に向けての安倍首相の執念には変わりがないようです。
 しかも、今年の7月には参院選が実施され、ここで改憲勢力が3分の2の議席を失えば、2020年までに改憲発議を行うことはほとんど不可能になります。常識的に考えれば、2020年新憲法施行が実現する可能性はかなり薄まっていると見られますが、それでも安倍首相が改憲に執念をたぎらせているのは何故でしょうか。

 その第1は、安倍首相には個人的な野望があるからです。安保条約の改定を成し遂げた後に改憲を実現したいという祖父・岸信介元首相の望みを受け継いで改憲を達成したいと考えているのでしょう。
 昨年の12月19日に公開された外交文書で、岸信介首相が就任後初の1957年6月の第1次訪米を前に旧安保条約を改定した後、憲法を改正する二段構えの構想を描いていたことが明らかになりました。岸元首相も安保改定だけでなく、改憲にも執念を燃やしていたわけです。
 しかし、安保闘争によって岸内閣は倒れ、改憲どころではなくなりました。安倍首相はこの祖父の執念を受け継ぎ、自分の手で達成したいと考えているにちがいありません。

 もし、それが可能になれば祖父の願いを実現できるだけなく、戦後初めて改憲を成し遂げた首相として、歴史に名を残すことができます。このような功名心が安倍首相自身にとって大きな野心を生み出す背景の一つではないでしょうか。
 この独りよがりの功名心によって憲法をめぐる国民世論は分断され、大きな対立が持ち込まれる結果になりました。今憲法を変えなければならないと考えている国民は少数なのに、安倍首相の個人的で勝手な思い込みによって大きな混乱が持ち込まれているのが現状です。
 「憲法は国の未来、理想を語るものであり、日本をどのような国にするかとの骨太の議論が国会で求められる」と安倍首相は語っていますが、すでに現行憲法によって平和国家としての「国の未来、理想」は示されており、「日本をどのような国にするか」という民主国家のビジョンも、憲法によって明らかにされています。安倍首相をはじめとした国務大臣や国会議員は、このような憲法を「尊重し擁護する」ことこそが、99条に示された義務であることを再確認する必要があるでしょう。

 第2に、憲法に自衛隊の存在を書き込んで普通の軍隊とし、集団的自衛権の全面的な行使を可能にすることです。安倍首相はすでに安保法制(戦争法)の成立によって「戦争する国」に向けての制約を一部とり払いましたが、それをさらに進めて全面的(フルスペック)な集団的自衛権行使への道を開こうと考えているのです。
 安倍首相は9条をそのままにして自衛隊の存在を書き込んでも、自衛隊の任務や性格には何ら変わりはないと説明しています。しかし、これは真っ赤な嘘です。
 法律には「後法優位の原則」があり、前に制定された条文と後から付け加えられた条文とが矛盾した場合、後から制定された条文の方が優越します。新しい条文の方が法制定者の直近の意志を示しているからです。

 そもそも、変わらないのであれば変える必要はありません。自衛隊の存在を書き加えることによって憲法上の位置づけを与えて正当化すれば、自衛隊の性格も任務の内容も大きく変貌するにちがいありません。
 それは、集団的自衛権を全面的に解禁し、アメリカの要請に応じた海外での武力行使を可能にするでしょう。日本は「戦争する国」となって、自衛隊が戦争に巻き込まれる危険性が高まります。
 しかし、自国第1で脱中東化を進めているトランプ米政権の登場によって、このような必要性があるのかが改めて問われ始めています。韓国や日本からの米軍撤退の可能性も囁かれるなかで、軍事大国化のための改憲自体が東アジアの国際情勢と緊張緩和に逆行する時代錯誤で無用なものになってきている現実を直視するべきでしょう。

 第3は、安倍首相の強固な支持基盤である極右の支持をつなぎ留めておく必要があるからです。そのためには、安倍首相に改憲を期待している日本会議などの極右勢力に寄り添う姿勢を示し続けなければなりません。
 これらの改憲・靖国派の極右勢力にとって、安倍首相は久しぶりに登場した「希望の星」なのです。このチャンスを逃してはならないという思いで、安倍首相の改憲執念に期待をつないでいます。
 たとえ、実現の可能性が小さくても、この改憲願望に応える姿勢を示し続けなければ、極右勢力の支持は失われてしまいます。安倍首相の改憲発言はこれらの勢力へのリップサービスであるとともに、その執念を示すことで極右勢力をつなぎとめることができる「魔法の杖」なのです。

 しかも、最近の安倍首相は、これまでの支持基盤であった極右保守勢力にとって好ましくない政策判断を積み重ね、実行してきました。それに対する反発を弱めるためにも、改憲姿勢を強めざるを得ないのではないでしょうか。
 その一つは、昨年の臨時国会で大きな争点となった改定入管法による外国人労働者の拡大です。安倍首相が盛んに「移民政策ではない」と繰り返していたのは、極右勢力が「移民」の拡大に反対しているからです。
 もう一つは新元号の発表時期で、安倍首相は保守派の反対よりも国民生活への影響の方を優先し、新天皇即位の1カ月前に発表することを正式に決定しました。さらに、北方領土問題でも「2島先行返還」へと舵を切りつつありますが、実際には「2島放棄」になるのではないかとの疑いを保守派は強めています。

 こう見てくると、安倍首相の改憲発言は願望でありポーズにすぎないということが分かります。どれほど実現の見込みが薄くても、このような願望を表明し、そのためのポーズを取り続けなければならない状況に、安倍首相は追い込まれているということになります。
 現在の国会と世論の状況では、かなり無理をしなければ発議できませんが、無理をしすぎたら発議は遠のいてしまいます。たとえ無理をして発議できても、そのこと自体が国民投票での多数獲得の障害になるかもしれません。
 しかも、発議可能な期間は、参院選前までと限られています。小さな土俵の上で難しい取り組みを強いられた安倍首相は、内政で勝負できず外交に活路を求めているようですが、それに成功する保証はどこにもありません。

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10月10日 3選された安倍首相を悩ます4つの誤算 [首相]

 安倍首相は3選され、今後3年間の任期を確保しました。憲政史上最長の長期政権を視野に入れたことになります。
 しかし、その視界は良好とは言えません。出発した途端に躓いてしまったような誤算が次から次へと持ち上がり、安倍首相を悩ませているからです。
 とりあえず、自民党総裁選、沖縄県知事選、第4次改造内閣、そして日米貿易交渉で明らかになった4つの誤算について見てみましょう。このような誤算がこれからも続くとすれば、長期政権どころか来年の参院選を乗り切るのも難しいのではないでしょうか。

 第1の自民党総裁選挙です。これについては、すでによく知られているように党員票の誤算があります。
 7割の得票を目指していたのに、55%しか獲得できませんでした。公選法の適用を受けず、金あり恫喝あり、飲ませ食わせの何でもありの選挙だったにもかかわらず、投票率が62%でしたから党員全体の34%しか安倍首相に投票していなかったことになります。
 これはショックだったでしょう。3選されたものの、すでにこの時から安倍首相の躓きが始まっていたのですから。

 第2の沖縄県知事選の結果も、安倍首相にとっては大きなショックだったにちがいありません。総力を挙げて支援した佐喜間候補が当選できなかったこと以上に、差が8万票も開いたことの衝撃が大きかったのではないでしょうか。
 政権側が全力を出し切って総力戦を挑んだにもかかわらず、そのことがかえって沖縄県民の反発を強め、予想外の大差につながったと思われます。大きな力を総動員して力づくで言うことをきかせようとする安倍首相お得意のやり方自体が逆効果になり、県民には通用しませんでした。
 「争点隠し」と「利益誘導」によって組織戦を展開し、事前投票によって囲い込むという「勝利の方程式」が「敗北の方程式」に変わってしまったのです。逆に、辺野古新基地建設反対と普天間飛行場の即時閉鎖という最大の争点を前面に掲げて「オール沖縄」を野党共闘が支え、一部の保守層や創価学会、7割もの無党派層の支持を集める闘い方こそ、市民と野党の側にとっての「勝利の方程式」であることがはっきりと証明されました。

 第3の安倍改造内閣への国民の冷ややかな反応も、安倍首相にとっては大きな誤算だったにちがいありません。内閣が改造されれば多少の「ご祝儀」があって支持率が上がるのが普通で、それ目当てに改造する場合すらあるというのに今回は逆で、こんなに評判の悪い改造も珍しいと言えるでしょう。
 改造後の10月2、3日に実施された世論調査すべてで「評価しない」が「評価する」を上回り、内閣支持率も前回調査から日経で55%から50%に5ポイント、共同でも47.4%から46.5%に0.9ポイント下落し、読売でさえ50%の横ばいで上がっていません。毎日による10月6、7日実施の世論調査でも内閣支持率は37%の横ばい、40%の不支持率の方が高く、改造について「期待できない」37%が「期待できる」8%を大きく上回りました。
 これはNHKの世論調査でも変わありません。内閣支持率は改造前の先月と同じで変化せず、内閣改造と自民党役員人事を全体として評価するか聞いたところ、評価するが34%なのに対して評価しないが65%になっています。
 応援してもらったお礼のためとはいえ、本来ならとっくにやめていなければならない麻生太郎副総理兼財務相を残留させ、「改憲シフト」のために盟友の下村博文自民党憲法改正推進本部長と加藤勝信総務会長を新任し、「選挙シフト」のために甘利明選対委員長、稲田朋美総裁特別補佐兼筆頭副幹事長、萩生田光一内閣官房副長官という側近が起用されています。そのうえ、12人の新入閣組では、片山さつき地方創生担当相、桜田義孝五輪担当相、平井卓也科学技術担当相、原田義昭環境相など過去の言動やスキャンダルが問題になりそうな面々がそろい、衆院当選7回以上のベテランなのに初入閣という新閣僚が7人にも上るなど、改憲極右のガラクタ寄せ集め内閣の本質が国民に見透かされた結果ではないでしょうか。
 派閥のバランスを取り「滞貨一掃」を狙ったためにそうなったわけですが、初入閣が多ければそれだけ大臣としての手腕や国会での答弁、普段からの言動などが不安になるものです。早速、柴山昌彦文科相が教育勅語について「アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」などと述べて追及を受けています。

 第4の日米貿易交渉でのアメリカの対応も、安倍首相にとっては大いなる誤算だったにちがいありません。これはまだ始まったばかりで今後どのように推移するか分かりませんが、少なくとも2国間交渉を早々と呑まされてしまったことは間違いありません。
 日米首脳会談で発表した共同声明について、在日米国大使館がホームページで掲載している日本語訳では「物品、またサービスを含むその他重要分野における日米貿易協定の交渉を開始する」として物品だけでなくサービスを含む包括的なものだということが明確にされています。ハガティ駐日米国大使も「われわれはTAGという用語を使っていない」「共同声明には物品と同様にサービスを含む主要領域となっている」と発言しています。
 ところが、外務省が発表した共同声明の日本語訳(仮訳)では、「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉を開始するとして新貿易協定があたかも物品のみの交渉であるかのような表現になっています。正文にはない「日米物品貿易協定(TAG)」という用語をねつ造して、「包括的なFTAとは、全く異なる」という安倍首相の発言との整合性を合わせるように改ざんしたのではないかとの疑惑が濃厚で、森友学園疑惑で安倍首相の発言とつじつまを合わせるために公文書の改ざんやねつ造が行われた構図と極めて似通っています。
 アメリカのペンス副大統領は4日の演説で「日本と歴史的な自由貿易交渉(Free Trade Deal)をまもなく始める」と述べて事実上の日米FTA(自由貿易協定)であることを明言しました。パーデュー米農務長官も4日、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)などを上回る農林水産品の関税引き下げを求める考えを示唆して強硬姿勢を鮮明にしていますから、日本政府のウソがばれるもそれほど先ではないでしょう。

 以上のような誤算は、まだこれからも続きそうな状況が生まれています。昨日のブログでも書いたように、「幕引き」を狙って開かれた加計学園疑惑での加計理事長の会見が臨時国会での追及に向けての新たな「幕開け」になりそうなことも安倍首相にとっては誤算だったでしょう、
 また、ポンペオ米国務長官を介して提起してもらった拉致問題への北朝鮮側の反応も、安倍首相にとっては誤算だったと思われます。この提起に対する金委員長の反応は単に聞き置くだけで積極的な返答はなされず、日朝首脳会談についても消極的な反応だったようです。
 かつてない長期政権に向けて船出した安倍首相ですが、誤算続きで暗雲漂う中での出航となりました。臨時国会に向けてさらに風雨が強まるのは確実で、果たしてこの先も無事に航海を続けることができるのでしょうか。


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2月14日(水) 内外政策の行き詰まりの中で強まる安倍首相の焦りといら立ち [首相]

 平昌オリンピックが始まり、NHKが占拠されてしまいました。オリンピック放送のためにニュースの時間が減り、見なくなってしまった私のような視聴者がいることをNHKは知っているのでしょうか。
 このオリンピックの開会式に出席した安倍首相の写真が話題を呼んでいます。韓国の文在寅大統領と北朝鮮から来た高官代表団などの歓喜の輪から少し離れ、ぽつんと一人だけ前を向いている安倍首相の姿が写っていたからです。
 トランプ大統領が来日したときゴルフ場でボールをバンカーに入れ、大統領の後を追いかけようとして焦り高いところから出ようとしてバランスを崩しひっくり返って一回転してしまった安倍首相の動画も話題を呼びました。この写真も動画も、今の日本と安倍首相の孤立と従米の姿を象徴しているようです。

 オリンピックを契機にした北朝鮮高官代表団の訪韓と南北対話に対して、河野外相も安倍首相も「北朝鮮のほほ笑み外交にだまされるな」「対話のための対話は意味がない」と主張しています。開会式では、アメリカからやって来たペンス副大統領も安倍首相と同じような対応を取りました。
 しかし、「ワシントン・ポスト」によると、帰国したペンス副大統領は「北朝鮮が非核化に向けた重要な行動をとるまで、圧力は止めない」と強調する一方で、「対話を望むならば、我々は話をするだろう」と述べ、圧力強化の方針は変えないものの北朝鮮と直接対話をする可能性を示したと報じられています。真っ向から対話を拒否する安倍首相は、アメリカからも取り残されてしまったようです。
 自民党の二階幹事長も13日の記者会見で、韓国の文大統領と北朝鮮高官代表団による会談などの南北対話に関し「話し合うのはいいことだ。次のときに役に立つということもあり得る」と評価しました。二階に上がった安倍首相は、二階さんにはしごを外されたということでしょうか。

 通常国会での審議が続いていますが、森友学園疑惑に関連する内部文書や録音テープが次々に明らかになり、「廃棄した」と言っていた佐川さんの証言は真っ赤な嘘だったことがはっきりしました。その内容も「価格交渉はしていなかった」「昭恵夫人が関与していたとは知らなかった」などの発言をくつがえすものです。
 公文書の扱いという点でも森友学園疑惑の内容についても、佐川さんは偽りを証言していたことになりますから、改めて本人を国会に呼び、今度は偽証すれば罪になる証人喚問という形で証言してもらわなければなりません。安倍総理夫人の昭恵さんと「腹心の友」である加計さんの証人喚問も必要でしょう。
 森友・加計疑惑はすでに1年以上も継続して追求されていますが、これだけ長く疑惑追及がなされているのは安倍首相が真正面から誠実に答えることなく逃げ回っているからで、しかも内部文書や録音テープは安倍総理の「ご意向」や総理夫人への忖度が強く働き、特別扱いによって行政が私物化され歪められたことを示しています。朝日新聞に八つ当たりしたり、質問をはぐらかしたりするような安倍首相の荒っぽい答弁は、森友・加計学園疑惑がますます深まることへの焦りといら立ちを示す以外の何物でもありません。

 安倍首相の答弁の変化という点では、9条改憲問題についての対応も変わってきています。これまでは、野党の質問に対して総理と総裁の立場を使い分け、国会では正面から答えることを避け、憲法審査会での議論に任せるような形で自民党に丸投げしてきました。
 しかし、通常国会が始まってからは、9条改憲に対する野党の質問に踏み込んだ答弁をするようになっています。例えば、2月5日の衆院予算員会で安倍首相は、自らの案について「9条第2項の規定を残し、自衛隊の存在を憲法に明記することによって、自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と繰り返し、「自衛隊の正当性を明文化、明確化することは、わが国の安全の根幹に関わる。改憲の十分な理由になる」と述べ、「自衛隊が合憲であることは政府の一貫した立場で、国民投票でたとえ否定されても変わらない」と強調しました。
 このような形で安倍首相自身がしゃしゃり出ざるを得なくなったのは、9条改憲論についての国民の理解が深まらないだけでなく、自民党内でさえなかなか議論が煮詰まらないからです。しかも、憲法を変えても「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはな」く、「国民投票でたとえ否定されても変わらない」というのですから、いくら答弁しても一体何のために改憲するのか説明できないジレンマと矛盾に満ちたものになっています。

 安倍首相は長期政権で飽きられ国会対応で呆れられているというのが、今の姿です。「一強多弱」の下で政権が長期化しても次第に内外政策が行き詰まってきていること、行く手に暗雲が広がり始めていることに、安倍首相は気が付いているのでしょうか。
 華々しく展開され国民の注目を集めている平昌オリンピックの影で安倍政権の陰りが広がりつつあり、それにつれて安倍首相の焦りといら立ちも募ってきているようです。オリンピック開会式での孤立した姿や野党の質問にまともに答えない国会答弁のあり方などに、それが如実に表れてきているように思うのは私だけでしょうか。

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8月10日(木) 次々と明らかになってきたアベ暴走政治の破綻 [首相]

 鳴り物入りの内閣改造によって選挙での敗北と支持率の低下という「負のスパイラル」からの脱出を図った安倍首相でした。しかし、それは成功せず、アベ暴走政治の破綻が次々と明らかになってきています。

 その第1は、非核政策の行き詰まりです。6日に広島で、9日に長崎で開かれた原爆犠牲者を追悼する平和式典に参加した安倍首相は7月に国連で採択された核兵器禁止条約について全く言及せず、「どこの国の総理か」と被爆者から鋭く批判されました。
 長崎での式典で平和宣言を読み上げた田上市長は「核兵器のない世界を目指してリーダーシップをとり、核兵器を持つ国々と持たない国々の橋渡し役を務めると明言しているにも関わらず、核兵器禁止条約の交渉会議にさえ参加しない姿勢を、被爆地は到底理解できません。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への一日も早い参加を目指し、核の傘に依存する政策の見直しを進めてください。日本の参加を国際社会は待っています。また、二度と戦争をしてはならないと固く決意した日本国憲法の平和の理念と非核三原則の厳守を世界に発信し、核兵器のない世界に向けて前進する具体的方策の一つとして、今こそ「北東アジア非核兵器地帯」構想の検討を求めます」と日本政府に訴えました。この式典に参加していた国連等国際機関、58の国や地域と欧州連合(EU)等の代表もこの訴えを聞いたはずです。
 唯一の戦争被爆国の政府であるにもかかわらず核兵器の禁止を求める国際社会の大きな波に背を向けて「ゼロ回答」を続ける安倍首相の姿こそ、日本のトップリーダーとしての資格の欠如を明確に示しています。非核の政府を実現するためには、安倍首相を交代させるしかありません。

 第2に、日本周辺の安全保障環境の悪化です。北朝鮮のミサイル発射実験をめぐって国連はかつてない厳しい制裁決議を挙げ、アメリカと北朝鮮は激しく挑発しあっています。
 トランプ大統領は「世界がこれまで見たことのないような砲火と激烈な怒りに直面することになるだろう」と強く警告し、北朝鮮は「米国に厳重な警告を送るため、中長距離弾道ミサイル『火星12』によるグアム島周辺の包囲射撃作戦を慎重に検討している」という声明を出すなど朝鮮半島情勢は緊迫の度を増し、航空自衛隊のスクランブルの回数は過去最多になっています。戦争が始まるのではないか、それに巻き込まれるのではないかという国民の不安が高まっているのも当然です。
 しかし、安保法が審議されているときに安倍首相は、この法律が制定されて日米同盟の絆が強まり「抑止力」が高まれば日本周辺の安全保障環境は改善されると請合っていました。安保法の成立によって実際に強化されたのは「抑止力」ではなく軍事的挑発であり、北朝鮮とアメリカなどの軍拡競争に日本が巻き込まれてしまったというのが現実です。

 第3には、「森友」「加計」学園疑惑の深まりと「佐川隠し」です。閉会中審査の後も、疑惑を裏付ける新たな事実が次々と明らかになっています。
 「森友」学園疑惑では、値引きの根拠とされたゴミは100分の1しか存在しなかったこと、最初から金額を提示しての交渉だったこと、異例の10年分割が提案されていたことなどを裏付ける音声や文書資料が出てきています。「加計」学園疑惑では、愛媛県と今治市の担当者が2015年4月2日に首相官邸を訪れた際に加計学園事務局長が同行していたこと、官邸で対応したのが当時の柳瀬唯夫・首相秘書官(現・経済産業審議官)だったこと、このとき下村文科相がやってきて「やあ加計さん。しっかりやってくれよ」と激励されたという証言があること、2016年6月に開かれた国家戦略特区諮問会議にも加計学園側の幹部3人が出席していたにもかかわらず伏せられており、議事要旨も改ざんされていたことなどが分かりました。
 「森友」疑惑を隠蔽する先頭に立っていた佐川理財局長は国税局長官になりましたが、慣例となっている就任会見を取りやめました。「森友」疑惑について質問が集中することを恐れての措置だとみらており、説明や言い訳ができないから逃げ隠れしているということでしょう。

 第4に、南スーダン日報問題と「稲田隠し」です。この問題では本日閉会中審査が開かれていますが、稲田朋美前防衛相などの当事者は参加していません。
 行政文書の扱いや公文書管理のずさんさ、自衛隊に対するシビリアンコントロールという点でも大きな問題がありますが、それ以上に「戦闘」と書かれた日報が意識的に隠されたのではないかという疑惑があります。陸自などの現場が勝手にやったのではなく、稲田防衛相やさらにその上の安倍首相からの指示によるものではなかったのかという疑惑が生じていますが、当人が出てこないのでは、どれだけ解明されるか大いに疑問です。
 日報に対する情報開示請求が出されたのは安保法によるPKOへの新任務付与が問題になっており南スーダンでの安全性に疑問が出されているときでした。そんなときに「戦闘」と書かれた日報を開示するわけにはいかないということで廃棄したことにして廃棄し、事実を隠蔽したということではないでしょうか。

 第5に、内閣改造の不発と新たな「火種」の発生です。安倍首相の目論み通り、改造後の内閣支持率は軒並みアップしましたが、それは期待されたほどではなく、それどころか前途を懸念させるに十分な不安材料がてんこ盛りとなっています。
 改造による支持率アップは野田聖子総務相と河野太郎外相という「異分子」の入閣が評価されたためですが、これも新たな「火種」となる可能性があります。「異分子」が安倍首相に従えば国民は失望し、もし従わなければ閣内不一致となるかもしれないからです。
 早くも、江崎鉄磨沖縄北方相の失言が飛び出してマスコミの注目を浴び、週刊誌などでも閣僚のスキャンダルなどが報道され始めています。今後、これらの「火種」が大きな「火災」を引き起こす可能性も小さくありません。

 日本ファーストの会の発足と民進党の代表選など、自民党に対抗する新たな動きも生じています。それについて判断し評価を下すのは早計ですが、いずれも「受け皿」づくりの試みであるという点では共通しています。
 どの程度自民党に対抗することになるかは今のところ不明ですが、少なくともアベ暴走政治を支えてきた「一強」体制を崩すものでなければなりません。そうでなければ、結局は国民の期待を裏切ることになってしまうでしょうから。

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7月28日(金) 加計学園園疑惑について低姿勢で嘘をつき丁寧にごまかした安倍首相 [首相]

 7月24日と25日に衆参両院で閉会中審査が開催され、安倍首相が出席して加計学園疑惑などについて答えました。これまでの傲慢さは影を潜めたことは評価できますが、低姿勢で嘘をつき丁寧にごまかしたと言うしかありません。

 2日間の質疑について、何も新しい事実が出てこなかったという評価があります。このようなことを言う人は、何も見ていなかったのでしょう。
 この質疑では沢山のことが明らかになり、判明した事実も多くあったからです。何よりも、この疑惑をめぐるやり取りが裁判であったとすれば、安倍首相とその側近こそが被告であるということがはっきりしました。
 政治や行政を私物化して歪めたのではないかという疑惑を持たれているのは安倍首相らであり、その疑惑について告発しているのは前川さんで、それを裏付けているのがメールや内部文書の存在です。

 この疑惑については、すでに多くの物的証拠や事実が明らかになっています。安倍さんらにとっては、それを否定して疑惑を晴らす絶好のチャンスが今回の閉会中審査でした。
 与党や安倍首相の側は、このチャンスを最大限生かそうとする姿勢を示しませんでした。野党の側の要求を拒んだり条件を付けて逃げ回ろうとしたりする姿勢が、すでに疑惑が本物であることを裏付けていたと言うべきでしょう。
 疑惑が疑惑にすぎず事実ではないと言うのであれば、野党の側の要求をすべて受け入れ、正々堂々と対応することができたはずです。やましいところがなく、濡れ衣を晴らすだけの材料を持っていれば、どのような要求にも潔く応えられたはずではありませんか。

 実際には、そのような材料は皆無でした。だから、逃げ回っていたのです。
 疑惑を指摘する側には、メールや内部文書などの物証があり、それらを裏付ける事実もありました。しかし、疑惑を否定する側には、それを裏付ける客観的な物証もなければ具体的な事実もありませんでした。
 重要なポイントになれば、真正面から否定することもできず、「記憶がない」「認識がない」と答えるばかりです。いつか見たような光景ですが、過去の例では「記憶がない」というのはシラを切る時の常套句であり、こう答えた瞬間に「自白」したようなものではありませんか。

 安倍首相に至っては、加計学園による獣医学部の申請を始めて知ったのは今年の1月20日だとし、これと矛盾する過去の発言を謝罪して訂正しました。このような見え透いた嘘を、どうしてついたのでしょうか。
 それは、第2次政権発足以来14回も加計さんとゴルフや会食をしていることが明らかになり、「私がごちそうすることもあるし、先方が支払うこともある。友人関係ですので割り勘もある」と答えてしまったからです。もし、学部新設の申請を知っていておごってもらっていたら大臣規範に抵触し、収賄罪の可能性すらあるということに気づいたからでしょう。
 だから、慌てて今年の初めまで知らなかったことにしたのです。2015年6月4日に今治市が岡山理科大での獣医学部新設を含む国家戦略特区の提案申請を行ったことを知っており、12月15日の国家戦略特別区域諮問会議でも「今治に獣医学部を整備」と発言している議事録があり、これは加計学園によるものだと十分に知り得る立場にあったにもかかわらず……。

 安倍首相のこの答弁こそ、政治家と政治に対する信頼を真っ向から裏切るものでした。もし、そうではないと言いたいのであれば、カギを握る中心人物に証言してもらうしかありません。
 加計学園疑惑でカギを握る重要参考人は加計孝太郎さんであり、森友学園疑惑では安倍夫人の昭恵さんです。この2人の証人喚問を拒み続けていること自体が、これらの疑惑を「推定有罪」だと判断すべき有力な証拠ではないでしょうか。

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7月20日(木) 安倍首相が落ち込んでしまった「負のスパイラル」 [首相]

 スパイラルとは、「らせん状の」「うずまき型の」という意味の英語です。「負のスパイラル」というのは、このらせん状になったうずまき型の線がループのように回りながらだんだんと悪くなっていく様子を示す言葉です。
 今の安倍首相こそ、まさにこのような「負のスパイラル」に落ち込んでしまったのではないでしょうか。らせん状に回転しながらだんだん悪くなっていく負の連鎖をなかなか止めることができない状態にはまり込んでしまったようです。

 このような負の連鎖が始まったのは都議選からではありません。通常国会の途中くらいから、森友学園や加計学園など、首相夫妻に関する疑惑が明らかになったころから「潮目の変化」が生じつつありました。
 これに輪をかけたのが、共謀罪審議での国民を馬鹿にしたような対応です。法案の名称をテロ等防止罪として五輪やパラリンピックを名目に成立を図ろうとし、まともに答弁できない金田法相に担当させ、内心を取り締まるのではないか、一般人や市民運動が対象とされ、物言えぬ監視社会になるのではないかなどの懸念や不安にまともに答えることなく、途中で審議を打ち切り委員会採決を省略して無理やり成立させてしまいました。
 これが国民の怒りに火をつけたのではないでしょうか。しかも、通常国会が幕を閉じた後も、豊田真由子衆院議員の暴言と暴行、加計学園疑惑での萩生田官房副長官の発言メモの発覚、下村元文科相の加計学園からの献金疑惑などが明らかになり、都議選の最中には稲田防衛相や安倍首相による暴言などもありました。

 これらが積み重なって、都議選での自民党の歴史的惨敗となったのです。選挙結果が出る前から、安倍内閣の支持率は低下していました。
 それが、都民の投票を通じてはっきりとした形で示されたのが、これまで最低の38議席を15議席も下回った自民党の歴史的惨敗でした。23議席という惨めな敗北の後、さらに内閣支持率は低下しています。
 内閣支持率の急落と選挙での惨敗とが、まさにらせん状に繰り返されています。このような負の連鎖は、これからも続くことでしょう。

 このような「負のスパイラル」に直面して、安倍首相も対抗策を講ずる必要を感じたにちがいありません。加計学園疑惑に関連する閉会中審査の開催に応じ、自ら出席する意志を示しました。
 しかし、開催の仕方や与野党の時間配分、出席者の人選などについて、自民党は条件を付けてゴネ、結局、質疑時間の配分を、これまでの慣例となっていた「与党2、野党8」から「与党3、野党7」と与党側に積み増すことで一致し、このうち衆議院では、文部科学省の前川前事務次官と和泉総理大臣補佐官を参考人として招致することでも合意しました。疑惑をかけられているのは安倍首相や官邸の側であって、「丁寧に説明する」ために開かれるわけですから、疑惑を晴らすべき立場にある側が注文を付けることは、本来あってはなりません。
 あれこれ注文を付けて、結局、開かれなかったなどということになれば、「また、逃げるのか。やっぱり後ろ暗いことがあるのではないか」と、さらに安倍首相への国民の疑惑を深めただけだったということが、自民党の国対関係者には分からなかったのでしょうか。注文や条件を付けず野党の要求通りに開催するという潔い姿勢を示すことが疑惑を晴らして信頼を回復するために不可欠だったというのに、またもや入り口で信頼回復のチャンスを失したというほかありません。

 このような時に、稲田朋美防衛相についての情報隠蔽と国会での虚偽答弁の疑惑が持ち上がりました。この稲田防衛相の存在も「負のスパイラル」の一環です。
 疑惑の内容は、南スーダンPKO部隊の日報を廃棄したとしながら陸上自衛隊が保管していた問題で、2月に行われた防衛省最高幹部との緊急会議で保管の事実を非公表とするという方針を伝えられて了承し、防衛省・自衛隊の組織的隠蔽を容認していたというものです。それなのに、国会では隠蔽行為の報告は受けていないと否定するうその答弁をしていました。
 これについて、稲田さんは「ご指摘のような事実はありません」と回答していますが、その後の取材で、非公表方針が決まった2月15日の緊急会議の2日前にも、陸上自衛隊側から電子データが保管されていた事実などについて報告を受けていたことが判明しています。2回にわたって報告を受けていたことが明らかになったわけですが、またもや「記録があっても記憶はない」と言い逃れるつもりなのでしょうか。

 とっとと首を切るべきでしょう。内閣改造による通常の交代では、責任を明確にすることができません。
 これまで何度も「大臣失格」の言動を繰り返し、本来であればとっくの昔に首になって当然の人です。安倍首相には任命責任だけでなく、過去の問題発言や不適切な行動を不問に付し、かばって見逃したうえ、えこひいきして居座りを許してきた続投責任も問われなければなりません。
 この問題をきちんと処理しなければ、さらに大きな「負の連鎖」となって安倍首相の足を引っ張ることになるでしょう。それが分かっていながら厳しい処分を行わない安倍首相も、そうなることが分かっていながら自ら責任を取って身を処することができない稲田さんも、政治家としての資質と決断力に欠けていると言わざるを得ません。

 内閣支持率は、一部の調査では3割を切って「順調に」低下を続けています。今のところ、反転できる材料も、そうなる兆しも見えません。
 「潮目の変化」は決定的になりました。安倍首相が落ち込んだ「負のスパイラル」はどこまで続くのでしょうか。
 らせん状に回転しながらだんだん悪くなっていく負の連鎖によって、安倍首相は政権を失うようなことがあるのでしょうか。これが、これからの注目点であり、私たちが目指すべき到達点でもあります。

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2月14日(火) 「飲ませ、食わせ、遊ばせ」る歓待で舞い上がり取り込まれてしまったのでは? [首相]

 「朝貢外交」とはどのようなものなのか。実例を見せてもらったような気がします。
 「愛想笑い」と言うしかない安倍首相の不自然な笑顔をテレビで何度も見せられて気分が悪くなりました。隣で笑っているトランプさんは、「してやったり」という満足の表情だったように思います。

 この日米首脳会談を牽制するつもりだったのでしょうか。北朝鮮が中距離弾道ミサイルの発射実験を行いました。
 安倍首相が約束していた「抑止力」は、一体どこに行ってしまったのでしょうか。安保法制によって日米同盟の絆が強まっても日本周辺の安全保障環境は改善せず、「朝貢外交」によって日米同盟の重要性が再確認されても「抑止力」は働くどころか、かえって軍事的な挑発行為がエスカレートしています。
 もちろん、北朝鮮によるミサイル発射は国連安保理決議違反であり、許されない行為ですが、それを口実にした軍事的な対応も間違いです。NHKのテレビ番組に出演した安倍首相は「(オバマ前政権は)軍事力の行使について慎重だった。トランプ政権はそれを見直し、あらゆる選択肢をテーブルの上に載せながら、外交的に解決してきたいと考えている」と語っていましたが、「あらゆる選択肢」のなかに軍事的な手段も含まれているのか気がかりです。

 今回の日米首脳会談では、正式の会談よりもトランプさんの別荘への招待やゴルフなどの私的な歓待が目立ちました。国際社会で「たった1人の友だち」がわざわざ太平洋を飛び越えてやってきたのですから、よほど嬉しかったのでしょう。
 「飲ませ、食わせ、遊ばせ」ることによって、安倍首相は完全に取り込まれてしまいました。事前の脅しにビクビクしていましたから、予想外のソフト路線に安心し、すっかり舞い上がったようです。
 それを引き戻して冷静な対応を求めるべき日本のマスコミも、一緒になって舞い上がってしまいました。共同通信の世論調査で日米首脳会談を評価する人が70%に上ったのも、このようなマスコミに引きずられて国民まで舞い上がっていることを示しています。

 しかし、外国のメデイアはどうでしょうか。「これだけ米大統領におべっかを使う外国の首脳は、今まで見たことがない」「安倍首相はトランプ大統領の心をつかむ方法を示した。へつらいである」などと報じているそうです。
 私は2月8日のブログ「まるでジャイアンのご機嫌を取るスネ夫のような安倍首相」で次のように書きました。

 「『自分さえよければ他がどうなっても構わない』と公言し、乱暴で差別的な言動で鼻つまみ者になっているのがトランプ大統領です。後ろ指をさされてどこからも相手にされなくなっている嫌われ者を両手に一杯お土産物を抱えて訪問し、遊びの相手をしようとしているのが安倍スネ夫君です。
 新政権発足早々、評判を落として孤立気味になっているトランプ・ジャイアンは喜ぶでしょうが、周りからどう見られるかが心配です。トランプのアメリカとともに安倍の日本も、世界の孤児への道を歩み始めることになってしまうのではないでしょうか。
 ジャイアンに取り入ってスネ夫になろうとするのは大きな間違いです。元の、のび太のままで良いのではないでしょうか」

 ここに書いた心配は、安倍首相の行動によって裏付けられ現実のものとなりました。これについて、13日の記者会見で民進党の野田幹事長は「日本はスネ夫になるか、のび太になるか。今回、完全にスネ夫になったのではないか」と批判したそうです。
 オヤオヤ、野田さんは私のブログを読んだのでしょうか。まあ、読んでいなくても、安倍さんの情けないへつらいぶりを見れば誰にでも思いつきそうな話ではありますが……。

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2月8日(水) まるでジャイアンのご機嫌を取るスネ夫のような安倍首相 [首相]

 力はなく弱虫でも皆から好かれるのび太の方が良かったのではないでしょうか。まるでジャイアンのご機嫌を取るスネ夫のようになってしまうよりは。

 2月10日に安倍首相は訪米し、トランプ新大統領との首脳会談に臨むことになっています。鉄道などのインフラ(社会資本)投資で新たに4500 億ドル(約51兆円)規模の市場をつくり、70万人の雇用を生み出すというお土産を携えていくそうです。
 まさに「飛んで火にいる夏の虫」と言いたいところです。しかし、今は冬ですから「鍋」にお湯を沸かして待ち構えているところに、「カモがネギをしょって」のこのこと出かけていくようなものだというべきでしょうか。
 トランプ大統領は「愛いやつ」とでも思ったのでしょう。一緒に大統領専用機に乗ってフロリダまで出かけ、先の訪米の際に送ってもらった50万円のドライバーを使って一緒にゴルフをする予定だといいます。

 安倍スネ夫は、トランプ・ジャイアンが乱暴で家では鼻つまみ者、町内でも嫌われ者になっていることを知らないのでしょうか。誰も遊んでくれないから可哀そうだと思ったわけではないでしょう。
 乱暴者の機嫌を損ねて無理難題を押し付けられてはかなわないから、おべっかを使ってサービスしようと考えているにちがいありません。そのためのお土産です。
 でも、トランプ・ジャイアンに眉をひそめている町内の皆さんには、どう映るでしょうか。同類だと見られて、一緒に顰蹙を買い、嫌われてしまうことにならないでしょうか。

 すでに、アベスネ夫はトランプ・ジャイアンが当選した直後に、ご機嫌うかがいのためにニューヨークまですっ飛んでいきました。揉み手をしながら「信頼できる指導者だ」と請合った姿を世界中に晒してしまったのです。
 その「信頼」がどのようなものであったのかは、その後のジャイアン的な言動によって暴露されました。安倍さんはトランプのマジックに幻惑され、「信頼」を得るためのサクラとしてうまく利用されてしまったのです。
 「こいつは使える」と、トランプ・ジャイアンは思ったにちがいありません。またもや、世界をたぶらかすための道化として安倍スネ夫を活用するつもりなのでしょう。

 それにしても、訪米前の安倍首相はスネ夫以上の卑屈さだというべきでしょう。まだ何を求められるのか分からないのに、相手が求める以上のものを差し出そうとしているように見えます。
 アメリカの雇用拡大のための投資プロジェクトに使うお金があるのなら、どうして日本の雇用拡大のために使おうとしないのでしょうか。日本国民である沖縄県民の声を聴かずに、どうして新基地建設を求めるアメリカの要求にばかり応えようとするのでしょうか。
 安倍さんは日本の首相なのにトランプさんと声を合わせて「アメリカ・ファースト」と叫んでいるように見えます。日本の首相なのだから「ジャパン・ファースト」と言ってほしいところですが、しかし、今のグローバル化し相互依存が強まっている世界では「自国ファースト」ではやっていけないのが現実です。

 そんな時、「自分さえよければ他がどうなっても構わない」と公言し、乱暴で差別的な言動で鼻つまみ者になっているのがトランプ大統領です。後ろ指をさされてどこからも相手にされなくなっている嫌われ者を両手に一杯お土産物を抱えて訪問し、遊びの相手をしようとしているのが安倍首相です。
 新政権発足早々、評判を落として孤立気味になっているトランプ・ジャイアンは喜ぶでしょうが、周りからどう見られるかが心配です。トランプのアメリカとともに安倍の日本も、世界の孤児への道を歩み始めることになってしまうのではないでしょうか。

 ジャイアンに取り入ってスネ夫になろうとするのは大きな間違いです。元の、のび太のままで良いのではないでしょうか。


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1月10日(火) 「アベ政治を許さない」のが真の「保守」なのだ [首相]

 解散は全く考えていない、予算の成立を最優先すると、安倍首相は繰り返しています。それは解散しないのではなく、したくてもできない状況が生まれているからではないでしょうか。
 一つには自民党が議席を減らすという総選挙予測が相次いでいるからであり、もう一つには保守支支持層内でも「アベ政治を許さない」という意識が強まっているからです。こうして、従来の支持基盤に地殻変動が生まれつつあり、安倍首相は総選挙で勝てるという確信が持てなくなってきているのです。

 1月8日付のブログ「解散・総選挙戦略でも追い込まれつつある安倍首相」で、次期総選挙についての2つの予測を紹介しました。一つは『毎日新聞』のもので、もう一つは『日刊ゲンダイ』のものです。
 前者は、「民進、共産、自由、社民4党が候補者を一本化すれば、計58の小選挙区で与党の現職を逆転する可能性がある」、後者は創価学会票が自民党にソッポを向けば「逆転は97区にまで増える」と予測していました。いずれも14年総選挙での数字を基にしており、野党4党が協力することを前提にしています。
 1月9日にはインターネットの「共同通信 47NEWS」が「野党共闘で61選挙区逆転 14年衆院選を基に試算」という記事を配信しました。次のような内容です。

 「2014年衆院選の小選挙区(295)の得票を基に、現在の民進、共産、自由、社民の野党4党が共闘して統一候補を立てた場合の与野党の勝敗を共同通信社が試算した。自民、公明両党候補は計61選挙区で逆転される。比例代表も含めた衆院議席(475)で265議席にとどまり、自公両党は憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」を割り込む。逆転の61選挙区のうち31は当選1、2回の自民党現職の地元で、同党若手の選挙基盤の脆弱さが露呈した。次期衆院選で試算通りとなれば、自民党単独では233議席と過半数に届かない。安倍晋三首相の政権運営が不安定化するのは必至だ。」

 もう一つの保守支持基盤の地殻変動は、地方の農村部で生じているようです。いま話題になっている「農業協同組合新聞電子版」12月29日付に掲載された小松泰信岡山大学大学院教授の「"隠れ共産党"宣言」が、その好例だと言えるでしょう。
 小松さんは「自公政権が親米・新自由主義へと傾斜する中、それに抵抗する両者(保守と共産党)の立ち位置は限りなく接近している」とし、「純粋に農業政策を協議するに値する政党は日本共産党だけ」だから、「JAグループは真正面から向き合うべきだ」と主張しています。
 また、「『東京で共産党、箱根過ぎたら社会党、村へ帰れば自民党』と言われてきた村社会でも地殻変動の兆しあり」、共産党は「危険思想として擦り込まれてきたが、何か悪いことをしたのですかね。少なくとも農業問題に関しては、真っ当なことを言っていますよ。自民党よりよっぽど信用できる」、「政権与党とその走狗である規制改革推進会議に痛めつけられ、真っ当な農業政策を渇望している人が"隠れトランプ"ならぬ"隠れ共産党"となっている」と指摘するのです。
 そして、こう「宣言」されています。「『俺がアカなら、政権与党は真っクロ、それに媚びへつらうあなたはただのバカ』、『地方の眼力』なめんなよ」と。

 このような「地方の眼力」は、様々な所で発揮されているようです。その一つを、共産党の本村伸子衆院議員https://www.facebook.com/nobuko.motomura.3?hc_ref=NEWSFEEDが紹介していました。
 静岡県菊川市で「自民党議員が離党し、無所属議員となって、浜岡原発、安保法制=戦争法のたたかいのなかで、日本共産党に入党し、日本共産党の菊川市議選予定候補に」なったというのです。横山りゅういち菊川市議選予定候補がその人です。
 小松さんは「"隠れ共産党"宣言」を発しましたが、横山さんはもはや「隠れ」ることなく、堂々と共産党議員になろうとしています。詳しい事情は分かりませんが、このような方が生まれているという事実は地方での政治的地殻変動を示す兆候として注目されます。

 その背景を説明しているのが、宇野重規東京大学教授の発言です。宇野さんは1月2日のTBS「session-22」でつぎのように語っていました。
 「今の日本では『外国人は出て行け』とか『男女平等反対』とか言っている人たちが保守を名乗っていますが、これは完全に間違いです。これらは排外主義であって、保守主義とはまったく別のものです」「安倍首相は保守を名乗っていますが、私は疑問を感じています。安倍首相は今の憲法を否定して別のものに作り変えよう、自分の頭の中にある懐古的な時代に戻ろうとしていますが、これは、かつての保守が戦ってきた思想です」
 つまり、アベ政治は「かつての保守が戦ってきた思想」であり、保守とは言えないというわけです。だからこそ、保守支持層内で「アベ政治を許さない」という意識が生まれ、それが「“隠れ共産党”宣言」を生んだり、自民党議員から共産党の議員候補への転身を促したりしているのではないでしょうか。

 平和と民主主義を守れ、憲法を守れ、生活や営業を守れ、子どもを守れ、豊かな自然と環境を守れ、外国人など少数者(マイノリティ)の人権を守れという要求は、「アベ政治」とは対極にあります。このような要求の高まりこそが、共産党や野党共闘への期待を強めている要因にほかなりません。
 民進党の中には共産党と共闘すれば保守層の支持を失うという危惧があるようですが、それは逆なのです。「アベ政治を許さない」のが真の「保守」であり、要求においてシンクロし始めている共産党との連携は、真の「保守」層の支持を獲得する新たな回路を開拓するにちがいありません。

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