五十嵐仁の転成仁語
5月12日(日) 第2次安倍政権がね..

〔以下の論攷は、全教の機関紙『クレスコ』2013年5月号、4月20日付、に掲載されたものです。2回に分けてアップします。〕

 昨年暮れの総選挙で改憲を公言して「国防軍の創設」を声高に叫んだ自民党が294議席を獲得して政権を奪い返した。これは、相対多数が議席を独占するという小選挙区制のマジックによるもので、実際には、自民党は前回09年の総選挙よりも得票数を減らし、有権者の4分の1(小選挙区)、6分の1(比例代表区)の支持しか得ていない。
 自民党議席の過半数突破は、政権交代への期待を裏切った民主党に対する厳しい懲罰の結果であった。それは有権者の支持を背景としない「虚構の多数」にほかならず、安定的な政治的基盤を欠いている。とはいえ、その結果、自民党は過半数を獲得し、公明党と合わせて325議席となり、衆院で否決された法案を再可決可能な3分の2以上の多数議席を確保することになった。
 こうして、自公連立による第二次安倍政権が誕生した。この政権は、何をねらっているのか。どのような目標を掲げ、如何なる国づくり、人づくりを行おうとしているのだろうか。
 政権に復帰した安倍首相は、「危機突破内閣」を標榜し、矢継ぎ早に政策を打ち出しているが、その長期的な国家目標は必ずしも明らかにされていない。この点が、「美しい国」や「戦後レジームからの脱却」という目標が明示された第一次安倍政権との大きな違いとなっている。
 安倍政権がめざしている将来の目標は巧妙に隠蔽され、国民の目からは隠されているが、実際の政策展開において次第に明らかになりつつある。それは、端的に言えば、新自由主義と軍事大国化の復権にほかならない。安倍首相の施政方針演説を参照しつつ、これらの点について明らかにしたい。

 バラマキ・構造改革・タカ派政治の混合物

 安倍首相が実現をめざす政策は「大胆な金融政策であり、機動的な財政政策。そして、民間投資を喚起する成長戦略」だとされ、アベノミクスとして知られている。しかし、それは、古い自民党の特徴であった官僚主導型のバラマキ政治と、それが破綻した後に「自民党をぶっ壊す」と言って小泉首相が導入した新自由主義的規制緩和などの構造改革との混合
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(論攷)13-05-12 06:27


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