五十嵐仁の転成仁語
5月13日(月) 第2次安倍政権がね..

権という「普遍的価値」を共有していないという点にある。このことは安倍首相の歴史認識に関する発言や自民党の憲法草案を見ればたちどころに理解できよう。
安倍首相は、施政方針演説で「普遍的価値を重視する外交」を強調し、「韓国は、自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国」だと述べた。しかし、歴史認識についての批判を招き、韓国を敵視する「ネトウヨ(ネット右翼)」と呼ばれる勢力を支持基盤にしているのが、その安倍首相なのである。
 だからこそ、戦後民主教育が目標としてきた「平和愛好・民主的人格の形成」そのものをターゲットとし、立憲主義を否定し、基本的人権を制限しようとする新たな憲法をめざすことになる。そのような教育改革も改憲も、日本国内における民主主義の形成を阻害し、周辺諸国との友好を困難にするだけでなく、グローバル化によって要請される創造性豊かな自立心を持った「地球市民」を育成できず、日本の国際的な孤立化を招くにちがいない。
 まさに、時代逆行の政策だと言うべきであろう。そのような政策の遂行をめざす安倍首相も自民党も、世界に開かれた現代の民主社会における為政者・政党としての基本的な資格を欠いているのである。

 むすび

 一般に、過った政策はいずれ事実によるしっぺ返しを食い、多くの問題を生み出すことによって挫折する。間違った政治改革が日本政治の劣化と混乱を生み出し、公共事業主体のバラマキ政策によって財政赤字が増え続け、新自由主義的な構造改革が非正規労働を増大させて貧困と格差を拡大させたように……。
 そしてその過ちは、いずれ正当性と持続性を失い、是正されざるを得なくなる。戦前の軍国主義という過った政策が継戦能力の喪失と軍事的敗北によって是正され、戦後の民主社会を生み出したように……。
 しかし、このような過ちや挫折・失敗には、膨大な犠牲が伴わざるを得ない。そのような政策の転換が遅れれば遅れるほど、それに付随する犠牲の量は増大する。
 そしていつの世も、そのような犠牲を強いられるのは庶民であり、子供たちであった。政治の劣化と機能不全が閉塞感を強め、貧困と格差の拡大が生活苦を増大させて学ぶ機会を
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(論攷)13-05-13 06:44


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