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4月8日(月) まだある小選挙区制の問題点と「違憲」の意味 [選挙制度]

一昨日と昨日のブログで、小選挙区制の害悪について書きました。実は、それ以外にも問題点があります。
 それは、昨年末の総選挙で、特に顕著に示された問題点です。小選挙区制を続ければ、恐らく、同じような問題が繰り返されることになるでしょう。

 その一つは、政党や政治家のあり方を歪めてしまったということです。これは、1人しか当選できず、大政党に極めて有利な選挙制度だという特性から派生した問題点だと言えるでしょう。
 小選挙で当選するために、政党は大きくならなければなりません。このようにして二つの大政党を人為的に生み出すことも、小選挙区制を採用した目的の一つでした。
 そのために、政策や理念が曖昧な「選挙互助会」的な政党ができました。これが民主党であり、様々な政党・政派・潮流を糾合したために、きちんとした綱領も作れない、にわか普請の政党でした。

 第2に、このために政党・政策本位の選挙にはならなかったということもあります。小選挙区での当選を争ううちに「2大政党」の政策は似通ったものになり、政治家は自己の政治理念や政策よりも「当選できるかどうか」を優先するようになります。
 小政党は、小選挙区での当選可能性を高めるために、政党間での選挙協力や候補者調整を行ったりします。その結果、一致できる政治的主張や政策だけが前面に出るようになり、本来の各政党固有の主張は後景に退けられます。
 選挙でのマニフェストは一時的な約束事に過ぎなくなり、選挙後にはほとんど顧みられなくなってしまうということは、この間、私たちが目撃してきたとおりです。これでは、政党・政策本位の選挙になるはずがありません。

 第3に、「一票の価値」の是正が困難だということも、最近、注目されるようになりました。司法による「違憲状態」「違憲」「選挙無効」などの判決が相次いだからです。
 一つの選挙区に複数の定数があれば、その数を増やしたり減らしたりして、「一票の価値」の均衡を図ることが可能です。しかし、一人では定数をいじることができません。選挙区そのものにメスを入れるしかないのです。
 こうして、選挙区は切り刻まれ、行政区や生活圏とは無関係に区割りを決めざるを得なくなります。それでも平等にするのは難しく、苦心惨憺して決めても、人口移動によってすぐに不平等になってしまいます。平等にするには、このような制度をやめて比例代表に変えるしかありません。

 憲法には、前文の最初に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と書かれています。衆参両院共に現在の国会は、ここで言うような「正当に選挙された」ものになってはいません。
 「違憲」判決が出るのは当然でしょう。そして、ここで言う「違憲」は、決して「一票の価値」に関してだけでなく、小選挙区制という制度の害悪や問題点をも含んでいるのだということを強調しておきたいと思います。

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