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4月7日(日) 再度確認しておきたい小選挙区制の害悪 [選挙制度]

 昨日の続きです。再度、小選挙区制の害悪を確認しておきたいと思います。
 昨日のブログでは「賛否を逆転させる可能性」について説明しました。今日は、それ以外の問題点について説明しましょう。

 ということで、第2に、「極めて少数の支持で多数を獲得できる」という点についてです。小選挙区は1人を選ぶ選挙ですから、相対多数になりさえすれば当選できます。
 例えば、10人の立候補者がいて、8人が等しく10%ずつの得票率、後の1人が11%でもう1人が9%の得票率であれば、11%を得票した人が当選します。多党乱立になり、候補者の数が増えれば増えるほど、この当選ラインは低下し、もっと少ない得票率でも当選できるでしょう。
 実際には、これほど沢山の人が立候補することは少ないかもしれませんが(前回、今回と東京1区では9人が立候補しています)、支持率が均衡する4~5人の人が立候補すれば20数%の得票率で当選できます。昨年暮れの総選挙では多党乱立となって自民党を利する結果となり、4割台の得票率(43%)で約8割(79%)の議席を獲得したことは、皆さんもよくご存知の通りです。

 第3に、「代表選出に関わらない投票(死票)が膨大に出る」という点についてです。これは、当選に生かされない「死票」が沢山出るということを示しています。
 上の例で、11%の得票率で当選した場合には89%の票が「死ぬ」ことになります。すべての選挙区でこのような事態が生ずれば、膨大な「死票」が出て、有権者の意思が代表に反映されないことになります。
 実際に、昨年の総選挙では、小選挙区で議席に結びつかなかった「死票」は合計で約3730万票にのぼり、死票率は56%と半数を超えました。選挙に投じられた半数以上の票が無意味になってしまうような仕組みが、「選挙制度」の名に値するでしょうか。

 第4に、「わずかな支持の変動で代表の構成が大きく変わってしまう」という点についてです。これも小選挙区制の特性で、そのために「オセロゲーム」のように勝者が入れ替わって「政権交代」が生じましたが、実は、そためにこそ、このような制度が導入されたという面もあります。
 たとえば、3人が立候補して、A候補が33%、B候補も33%、C候補が残りの34%を得票したとすれば、当選するのはC候補です。もし、次の選挙で、A候補が34%になり、他の2人の候補が33%であれば、今度はA候補が当選します。
 すべての選挙区で同様の現象が生まれれば、わずか得票率1%の変動で、すべての議席が入れ替わってしまうわけです。実際に、わずかな得票率の変動で、前々回の総選挙では自民大勝、前回は民主大勝で政権交代、今回は自民大勝でまたも政権交代となっています。

 実は、これ以外にも小選挙区制の問題点が明らかになってきています。導入されてから約20年、過去6回の選挙を踏まえたうえで、今日の到達点に立ってこれらの問題点について検証することが必要になっています。
 これらについても、日を改めて論ずることにしましょう。

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