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5月19日(火) 検察庁法改正案の「特例」は継続ではなく撤回し黒川検事長は辞職するべきだ [国会]

 「ネットでも、デモはできるぞ、ネット・デモ」ということでしょうか。インターネットで急拡大した「抗議」の声によって、国会で審議されていた検察庁法改正案の採決が見送られ、次の臨時国会に継続審議となりました。

 世論の勝利です。歌手やタレントを含む抗議の声に加えて、検察OBも反対に立ち上がりました。
 これほどの世論の盛り上がりは、安倍首相にとっても予想外のことだったでしょう。国民の反応を見誤り、結局は採決の断念に追い込まれた安倍首相にとって大きな打撃となりました。
 内閣支持率も軒並み急降下しています。この声に応えて、安倍首相は法案の継続審議ではなく、内閣の判断によって定年延長できるとする「特例」を切り離して撤回するか、廃案とするべきでしょう。

 今回の見送りに際して、安倍首相は「国民の声を十分に聞くことが大事だ」と語りました。また、「恣意的な人事」となる可能性を否定し続けました。
 しかし、「国民の声を十分に聞く」ことができていたら、そもそもこのような「特例」を付け加えることはなかったはずです。国民は法案の内容を理解していないのではなく、その危険性と問題点を充分に理解したからこそ、抗議と反対の声を上げたのです。
 安倍政権は、自分に都合の良い内閣法制局長官の任命など「恣意的な人事」を繰り返し、今回の「特例」も黒川検事長を検事総長にするための解釈変更を正当化し永続化するためのものでした。このような「恣意的人事」がなされてきた実例を目にしてきたからこそ、安倍首相の言明はかえって大きな反発を引き起こしたのです。

 問題は定年の延長にあるのではありません。それが内閣の判断によって左右されることにあります。定年という人事を通じて、内閣が検察を支配できるようになるという点に最大の問題があるのです。
 しかも、河井前法相夫妻の公職選挙法違反(買収)容疑での捜査が進んでおり、その原資となった1憶5000万円の出どころをめぐって自民党総裁である安倍首相にまで捜査が及ぶ可能性もあります。桜を見る会と後援会行事についても、政治資金規正法や公職選挙法違反容疑での告発がなされており、安倍首相に対する捜査が行われるかもしれません。
 「官邸寄り」とされる黒川検事長を検事総長とすることで、これらの捜査に対する「防波堤」を築こうとしているのではないでしょうか。少なくとも、検察を委縮させ捜査を手控えさせるような効果を狙った「牽制球」であるように思われます。

 継続審議となれば、次の審議の場は秋の臨時国会です。その前に、検事総長が交代すると見られている8月がやってきます。この時、定年を延長されていた黒川さんが検事総長になれば、国民の多くは「やっぱり」と思うことでしょう。
 そのような疑惑をもたれないために、黒川さんの定年延長を取りやめ検事総長に就任する道を断つことが必要です。黒川さんも検事総長になって安倍政権を擁護するのではないかという疑惑をもたれないために、8月を待たずにその職を辞するべきではないでしょうか。


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4月28日(火) 命より経済を大切にする新型コロナウイルス感染対策で良いのか [国会]

 補正予算案についての審議が衆参両院本会議で始まりました。新型コロナウイルスによる感染拡大に関する緊急経済対策を実施するためのものです。
 代表質問への答弁で、安倍首相は新型コロナウイルスの国内感染状況について「現在、いまだ爆発的な感染拡大には至っていないが、地方への感染拡大が見られ、この闘いは長期戦を覚悟する必要がある」と述べ、緊急事態宣言を予定通り5月6日までで解除するか否かは「専門家の提言もいただきながら判断する」と答えました。厳しい現状認識を示して国民に更なる感染対策の必要性を呼びかけたわけです。

 このままでは、5月6日の期限が来ても緊急事態宣言を解除しない可能性を示唆したものと見られます。それでは、安倍首相の言う「長期戦」とはいつまでを視野に入れているのでしょうか。
 夏の高校総体(インターハイ)の中止も決まりました。大相撲の夏場所の開催も危ぶまれています。
 緊急事態宣言の期間がどれほどになるのか、現時点では誰にもわかりません。しかし、政府の感染対策のあり方と国民の対応によって、この期間が伸びたり縮んだりすることだけは確かです。

 この期間をできるだけ短くするための対策が求めらていますが、政府の対応はそうなっているでしょうか。安倍首相は一貫して新型コロナウイルス対策に真正面から取り組む姿勢を見せてきませんでした。
 小中学校の一斉休校や「アベノマスク」の配布など思い付きの政策を連発するばかりです。その根本的な原因は、政治的な思惑や配慮によって感染対策が歪められてきたことにあります。
 初動の水際対策では中国など外国からのインバウンドへの配慮を優先し、その後はオリンピック・パラリンピックへの影響を心配し、さらには経済活動への悪影響を懸念したために、先手先手で打つべき対策が後手後手に回ってしまいました。国会で審議されている補正予算案も命より経済を優先するものになっていると言わざるを得ません。

 そもそも、新型コロナウイルスによる感染拡大に対する政策が「緊急経済対策」とされていること自体、違和感があります。これは、本来「緊急感染対策」とされるべきものではありませんか。
 命を守ることより経済への配慮の方が優先されていることは、政府の新型コロナウイルス対策の責任者が西村経済再生相だという点にも示されています。しかも西村さんは官僚出身ですが、厚労省ではなく経済産業省です。
 緊急事態宣言が出された当初、発令された7都府県の知事に対して西村担当相は休業要請を2週間程度見送るように打診していました。いかにも経済産業省出身の旧官僚らしい対応ではありませんか。

 今回の補正予算案も、崩壊に瀕している医療体制の強化やコロナウイルスの封じ込め政策より、「Go To キャンペーン」など終息後の消費喚起政策に多額の予算を計上しています。大火事で炎が燃え広がっている最中に、消した後の宴会の相談をしているようなものではありませんか。
 まずは新型コロナウイルス対策に全力を注ぎ、消火に努めるべきでしょう。鎮火した後のことは、その時点で考えれば良いことです。
 先ずは命を守ることが再優先です。経済を立て直すことは、その後でも十分間に合います。

 新型コロナウイルスを封じ込め、感染をストップさせることを最優先するという基本がぐらついている点に、安倍首相の最大の問題があります。自粛要請にしても、それを支える補償措置が不明確だから実効性に欠けるのです。
 命より経済を大切にする歪んだ感染対策では、コロナを封じ込めることはできません。いつまでも終息させることができなければ、結局は企業活動への打撃を長引かせ「安倍コロナ恐慌」によって日本経済は破壊されてしまいます。
 世界でも日本でも、新型コロナウイルスの脅威に直面して政治的リーダーシップの真価が問われています。そのような時に、超大国のアメリカもこの日本においても、最も信頼のおけない無能な政治リーダーがトップを占めているという点に、大きな不幸があると言うべきでしょうか。


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12月10日(火) 「桜を見る会」疑惑が焦点となった臨時国会で獲得された5つの成果 [国会]

 「桜を見る会」疑惑が焦点となり、安倍首相を窮地に追い込んだ臨時国会が閉幕しました。逃げる首相、追う野党の姿が鮮明となったこの国会で、立憲野党は5つの成果を獲得しました。
 このような成果があったことを強調し、確認することには大きな意味があります。たとえ「一強多弱」と言われるような国会の勢力関係の下でも、世論と野党が結束して対抗すれば安倍政権を追い込むことが可能だということ、決して諦めてはならないということを示すことになるからです。

 第1の成果は、菅原一秀経産相と河合克行法相を引責辞任に追い込んだことです。この2人はその後姿をくらまし、国民の前に現れていません。
 辞任の理由となった疑惑についての説明もなく、居直ったままです。欠席したまま議員歳費を受け取るなどということは許されません。
 最低限、国会議員としての務めを果たすべきでしょう。それが出来ないというのであれば、国会議員を辞めるべきです。

 第2は、大学入試での英語民間試験導入の延期です。延期したのは結構ですが、いずれ再開するということではなく、きっぱりと断念すべきです。
 引き続き、国語と数学の記述式についても、多くの批判が寄せられています。これについても、年内に結論を出すと萩生田文科相は言っていますが、一刻も早く断念するべきでしょう。
 大学入試改革だけでなく、安倍政権の「改革」はどれも破たんしています。それは当事者の意見を無視して無理強いするという姿勢で一貫しているからです。

 第3は、「桜を見る会」の中止です。国費による行事の私物化、後援会などの身内の優遇、公選法や政治資金規正法違反の疑い、公文書の隠蔽、ジャパンライフの元会長や反社会勢力の招待など、数々の疑惑や問題点は全く解明されていません。
 すべてを否定するだけで、それを裏付ける事実は提示せず、ひたすら時間切れを待つという姿勢で一貫しています。臨時国会を閉じて逃げ切りを図っていますが、「逃げるは恥だが得になる」などということを許してはなりません。
 与野党間で、閉会中に内閣委員会を開いて質疑応答を行うことで一致しました。1月20日からは通常国会も始まりますから、引き続き安倍首相を追い込んでいくことが必要です。

 第4は、この「桜を見る会」(桜ゲート事件)の真相を明らかにするために、野党が結束して「追及本部」を立ち上げたことです。市民と野党の共闘が、選挙での共同から国会審議での共同へと一段階バージョンアップされたということになります。
 選挙での共同も、臨時国会中にたたかわれた高知県知事選では、共産党県委員の松本さんが野党統一候補として擁立され、各党の党首を始め55人の国会議員が応援に駆け付けるなど大きな前進を示しました。
 これらの経験は、今後2年以内には必ずある解散・総選挙に向けて、大きな財産となるにちがいありません。市民と野党の共闘の更なる進化・深化に結びつくことでしょう。

 第5は、憲法審査会での自民党改憲案の提示を阻止し、国民投票法改定案の採決を断念させたことです。自民党は今国会で憲法審査会を動かし、改憲案の提示に結び付けようとしましたが、4国会連続で見送りとなり、国民投票法改定案の採決もできませんでした。
 安倍首相は記者会見で「私の手で成し遂げたい」と述べ、任期中の改憲実現に意欲を示しました。安倍9条改憲に向けての執念に変わりはないということです。
 しかし、次第に時間的な余裕はなくなっており、追い込まれていることは明らかです。かといって、改憲の夢を託している櫻井よしこさんのような右翼支持層の期待を裏切ることもできず、ますますジレンマが深まっているということになります。

 「桜を見る会」疑惑で追い詰められた安倍首相は、年が変われば国民は忘れるだろうと高をくくっているにちがいありません。しかし、年末・年始には、国会議員が地元に帰ります。
 忘年会や新年会などに顔を出す機会も多く、有権者と直接顔を合わせる場面も増えます。「桜を見る会」への安倍首相や内閣府の対応に対する疑問や批判、仲間うちの優遇や国政の私物化への怒りや抗議を直接ぶつける良い機会でもあります。
 このような機会をとらえ、折に触れて声を上げていくことが大切です。そんな小さな声の積み重ねが、自民党や永田町の雰囲気を変えていくかもしれません。

 安倍首相は忘却の彼方へと逃げ込もうとしています。それを許さず、忘れず、諦めずに、声を上げ続けていけば、ボデイブローのようにじわじわと効いていくにちがいありません。
 こうして世論を変え、内閣支持率を落としていくことこそ、安倍首相を追い込んでいく最善の道なのです。年末・年始こそ、その絶好の機会ではないでしょうか。

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11月10日(日) 共産党の田村議員が暴露した「サクラを見る会」のおぞましい実態 [国会]

 すごいですね。やりましたね。共産党の田村副委員長による参院予算委員会での質問です。
 国会議員の質問はこうでなくちゃ。「文春砲」真っ青の威力があったのではないでしょうか。

 年々参加者と予算が増えて、疑惑がもたれていた安倍首相主催の「サクラを見る会」でした。多くの国民は「何かあるんじゃないか」とうすうす感づいていたと思います。
 田村議員の質問で、そのおぞましい実態が明らかになりました。安倍首相の後援会の年中行事と化していたのです。
 山口県の850人もの後援会員がバスを連ねて前日から上京し、安倍首相を交えてホテルで「前夜祭」を開いていたというのですから。当日もバス17台で会場の新宿御苑に行き、開門前に特別に中に入って記念写真を撮っていたといいます。

 「サクラを見る会」の招待客は「各界の功労者」のはずです。しかしてその実態は、「各界の安倍応援団」の招待であり、自民党議員の後援会員の接待だったのです。
 しかも、飲み食いするお金は国民の税金です、今年は予算の3倍にもなり、来年はそれに合わせて一挙に増額しました。
 首相主催の「サクラを見る会」は、実は安倍首相を応援する「サクラを増やす会」だったのです。その実態が明らかになるたびに、委員会室には大きなどよめきが起きました。

 それにしても、共産党と『しんぶん赤旗』の取材力は大したものです。安倍後援会の参加者に取材して話を聞き、実態を暴露しました。
 この会に招待された安倍後援会員は850人もいます。全体では1万8000人も参加しています。
 この人たちは皆、田村さんが質問した会の実態をご存知のはずです。有名タレントを含めて、これからだって沢山の証言が出てくるでしょう。

 委員会での質疑で醜態をさらしたのは、安倍首相の代わりに答弁に立った官僚です。セキュリティとプライバシーを盾に、首相を守ろうとする姿が分かりやすい形で示されていました。
 安倍官邸による官僚支配の実態が、またもや明らかになったということでしょうか。奉仕するべき相手は官邸なのか国民なのかが、またしても問われているということになります。
 私費で飲ませ食わせすれば公選法違反の買収になるけれども、国費で大々的に公然と行えば問題ではないということがまかり通っているわけです。それがおかしいと思わないのでしょうか。

 安倍後援会以外にも、稲田朋美「地元福井の後援会」、世耕弘成「地元女性支援グループ」、松本純「後援会」、萩生田光一「後援会の常任幹事」などの参加者もいたそうです。安倍首相とその親衛隊による「サクラを見る会」を利用した支持者の慰労や接待にほかなりません。
 まさに「安倍一族」による国政の私物化ではありませんか。ここまで腐りきっている安倍政権に、大きな怒りを覚えます。

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1月17日(木) 「消えた給付金」は「消えた年金」と同様に安倍政権を追い詰めることになるのか [国会]

 またもや厚生労働省の失態が明らかになりました。毎月勤労統計(毎勤)の元になる調査が不適切になされ、それを根拠にした失業や労災に伴う給付が少なすぎたというのです。
 その影響を受ける人は2000万人で額は500億円を超えました。追加で支給するための予算措置を取るために、来年度予算の組み換えも必要になります。

 毎勤という基幹統計が正しく行われず、いわばねつ造されていました。裁量労働制に関するデータ、障がい者雇用率についての数字、技能実習生からの聴き取り調査などについても、改ざんやねつ造が相次いでいます。
 国会でのごまかし答弁などによって政治への信頼が地に落ちたのに続いて、統計という施策の下になる客観的な数字が誤っていたことで行政に対する信頼も大きく損なわれる結果になりました。
 このような不正がなぜなされてきたのか、どうして長年の間放置されてきたのか、組織的になされたものなのか、などについての真相の解明はこれからのことになります。閉会中審査も行われるようですが、1月28日に開会されるという通常国会での大きなテーマとなることは確実です。

 こうして、夏の参院選を前にした通常国会で「消えた給付金」についての追及がなされることになれば、思い出されるのは2007年の通常国会です。ここでは「消えた年金」が大きな問題になりました。
 松岡利勝農水大臣の「政治とカネ」の問題や自殺まで起きました。第1次安倍政権の時代で、この時も春に統一地方選挙が実施される「亥年の選挙」でした。
 安倍首相は防戦に終始し、夏の参院選では当選が37議席にとどまって当時の民主党に参院第一党の座を譲るという歴史的な惨敗を喫しました。この大敗が、秋の臨時国会冒頭での健康問題を理由にした安倍辞任の遠因になったと見られています。

 同じようなことが生ずるのでしょうか。年の初めから安倍首相が追い詰められるような事態が続発していることは確かですが、NHKの調査では内閣支持率は4割を維持し、不支持率を上回っています。
 しかし、通常国会での野党の追及次第で、情勢は大きく変わる可能性があります。「消えた給付金」だけでなく、10%への消費増税への不安と不満、沖縄辺野古での新基地建設をめぐる理不尽な対応、北方領土問題をめぐるロシアとの食い違い、朝鮮半島情勢の変化と日韓関係の混迷、好戦的な大軍拡という緊張緩和への逆行など、「突っ込みどころ」は満載です。
 これらの問題で追い詰められれば、ますます右翼的な支持層への依存を強めて改憲を声高に叫ばざるを得なくなり、それがかえって安倍政権への警戒心を高めるという悪循環に陥る可能性もあります。このような形で窮地に陥れば、逃げ込む先は一つしかありません。衆参のダブル選挙です。

 これまでダブル選挙は1980年と86年の2回実施され、いずれも自民党の勝利に終わっています。衆参の選挙が同時に実施されれば、野党間の選挙協力を分断し自民党が有利になるからです。
 安倍首相は年頭の会見で「心の片隅にもない」と言っていますが、「隠す、誤魔化す、嘘をつく」安倍首相のことですから、信用できません。安倍首相の大叔父である佐藤栄作元首相も「心の片隅にもない」と言いながら解散・総選挙を実施し、後で「片隅にではなく真ん中にあった」と言いました。
 これは典型的な「ご飯論法」ですが、このような論法を得意とし駆使してきた安倍首相が佐藤元首相を見習うことは十分に考えられます。衆参ダブル選挙で圧勝し、長期政権と改憲に向けての態勢をリセットし盤石なものにしたいと思っているかもしれません。

 通常国会で野党がどこまで安倍政権を追い詰めることができるかにかかっているでしょう。同時に、分断を狙ってダブル選挙を仕掛けてくるのであれば、共闘によって跳ね返さなければなりません。
 ダブルで勝利を狙う与党に対して、ダブルで敗北させれば手間が省けます。安倍首相を退陣させ、一挙に政権交代を実現する可能性も生まれるのですから。
 そのためにも、何としても野党共闘を実現しなければなりません。分断に対する最大の反撃は手を結ぶことなのですから。

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11月30日(金) 職権による憲法審査会の開催強行は安倍首相の焦りの現れだ [国会]

 9条改憲を狙う安倍首相は追い詰められ、焦りを露わにしました。それが如実に示されたのが、職権による衆院憲法審査会の強行開催でした。
 これまで与野党の合意の下で運営されてきた憲法審査会が、「職権」によって一方的に開催されたのは初めてのことです。反発した6野党・会派は態度を硬化させて溝が深まり、今後の運営についての見通しが立たなくなりました。

 安倍首相は臨時国会の開催前から、相当焦っていたのではないでしょうか。総裁選で圧勝するはずが党員票の絶対得票率では34%しか得られず、第4次改造内閣は発足したものの支持率は横ばいか低下し、沖縄の県知事選などで3連敗してしまいましたから。
 誤算に次ぐ誤算です。それでも、改憲への野望と執念をたぎらせた安倍首相は、政治的中立が何よりも求められる実力組織である自衛隊の高級幹部会同や観閲式で改憲を呼号して機運を盛り上げようとし、施政方針演説や国会答弁でも憲法審査会の運営に口出ししたり野党に改正案を示せと挑発したりして、立法府への不当な介入だ、三権分立を蹂躙するなとの批判を浴びました。
 自民党役員の人事では下村博文改憲本部長や新藤義孝衆院憲法審査会筆頭理事という盟友や側近を起用して「改憲シフト」を組み、強行突破に向けての「陣立て」を完成させました。首相の意向を忖度した下村氏は意気込み、自民党小選挙区支部での改憲本部設置の方針を打ち出して草の根からの本格的な改憲攻勢に出ようとしました。

 しかし、このような積極姿勢も人事も意気込みも、全て空回りし逆効果に終わりました。安倍首相が前のめりになればなるほど、国民や野党の腰が引け、警戒感が高まったからです。
 第4次安倍改造内閣が発足して以降の世論調査では、臨時国会での改憲案提示に反対の方が多くなりました。与党の中でも、公明党はもちろん、自民内でも中谷氏や船田氏、伊吹氏など、安倍首相の強硬姿勢に異論を唱える人々がいます。
 安倍氏の盟友で本部長に就任した下村氏でさえ、このような状況に直面して「安倍色の払拭」を口にせざるを得なくなりました。そのうえ、事態の膠着状態にいらだった下村氏は、思わず「職場放棄だ」と野党を批判してしまいました。
 これは野党の大きな反発を生んだだけでなく、自民党内からも批判を浴び、慌てた下村氏は就任予定の衆院憲法審査会の幹事や委員の辞退に追い込まれます。これも、下村氏自身はもとより、安倍首相にとっては大きな誤算だったでしょう。

 それでも、安倍首相は今国会で自民党の改憲4項目を提示し、審議が始まったという体裁をとって来年の通常国会に向けての足掛かりを作っておきたいと考えたにちがいありません。そのためには、何としても憲法審査会を開く必要があります。
 与党だけではないという粉飾を凝らすために、野党の希望の党や未来日本という、わずか2人しかいない「微小政党」や会派に憲法審査会の枠を譲りました。野党が同調しないのであれば、同調する野党を作ればよいというわけです。
 こうして与党だけではないという粉飾を凝らしたうえで強行したのが、昨日の衆院憲法審査会の開催でした。森英介会長の職権で開かれた会議には、自民党の思惑通り、自民・公明党の与党だけでなく、維新の会、希望の党、未来日本(会派)の「野党」も出席しましたが、与野党合意の慣例を破ったと反発する野党6党・会派は欠席し、討議や審査などは行わず、幹事の選任だけで2分足らずで閉会しています。

 自民党の森山国対委員長は「国対の力が及ばなかった」と謝罪したそうです。国対の上の方からの「力」によって勝手に動かされてしまったということでしょうか。
 安倍首相の執念とそれへの忖度によって、強行された審査会だったと思われます。審査会を開いたという実績を残して次への足掛かりを作っておきたいという狙いだったのかもしれません。
 しかし、これも逆効果で、焦りが生み出した大きな誤算となったように見えます。国民投票法の改正をちらつかせて国民民主党を惹きつけ、野党を分断しようという目論見まで潰えてしまったのですから。

 次の定例日である12月6日の審査会も6野党・会派は欠席を決めています。臨時国会での改憲発議の可能性は、憲法審査会の開催を焦った自民党自身の手によって失われたと言って良いでしょう。
 しかし、安倍首相には常識が通用せず、民主的な運営や人の迷惑など顧みない独裁者です。何をやり出すか分かったものではありませんから、これからも十分な警戒が必要です。

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11月28日(水) 問題点だらけの欠陥法案である入管法改定案は廃案にするべきだ [国会]

 国会を無視するにもほどがあります。これでは何のための議会審議なのか分かりません。
 強権的な暴走を越えて、議会審議を形式化した独裁そのものではありませんか。こんな形で、日本の社会のあり方を変えてしまって良いのでしょうか。

 昨日の夜、外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案が衆院本会議で、自民、公明の与党と日本維新の会などの賛成多数で可決されました。またもや与党が暴走しただけではなく、維新の会が裏切って、この暴走を手助けしました。
 衆院法務委員会でも与党は、野党の反対を押し切って採決を強行しています。これまでも国会終盤に何度も見てきた光景ですが、今回はとりわけひどいものです。
 与党内からも「乱暴だ」という声が上がっているそうですが、それも当然でしょう。誰が見たって「乱暴」そのものなのですから。

 この入管法改定案の柱は二つあります。一つは一定の知識や経験を要する「特定技能1号」(通算5年まで)と、もう一つは熟練した技能が条件で家族帯同を認める「特定技能2号」(在留期間更新可)という新たな資格を設けることです。
 ただし、受け入れ分野や5年間の受け入れ上限数は改正案に明記されていません。法務省が年内にも策定する「分野別運用方針」などに委ねているからです。
 このために、野党は「内容がすかすかで問題だらけの白紙委任法案だ」(国民民主党の山井和則氏)と批判してきました。問題点だらけの欠陥法案なのです。

 自民党の平沢勝栄衆院法務委員会理事は、強行採決について「この問題は議論したらきりがないんです。いくらでも問題点が出てくるんです」と弁解していました。「きりがない」というほど、議論したのでしょうか。
 審議時間は17時間15分にすぎないではありませんか。東京新聞では、15時間45分だったとされ、このうち野党の議員が出席しなかった「から回し」の時間が2時間45分でしたから、それを除けば実質13時間にすぎません。
 「いくらでも問題点が出てくる」ような欠陥法案を、これほどの短時間で強権的に採決するようなことは断じて許されません。そのような「問題点」を一つ一つ検討して解決するためにこそ、国会での審議があるのではありませんか。

 しかも。野党は基本的に外国から労働者が入ってくることに反対しているわけではありません。受け入れるなら、すでに入ってきている外国人の技能実習生の賃金や労働条件の実態をきちんと把握し、改善したうえで新たな労働者の受け入れと共生・定住の制度設計を綿密に行うべきだと主張しているのです。
 しかし、政府はきちんとした資料を出さず、改善したり捏造したり、虚偽答弁を行ったりしてきました。議論の前提を掘り崩してきたのは野党ではなく、政府・与党の側でした。
 「外国人材」というとらえ方に示されているように、外国人労働者を「人間」として見ていないのではないでしょうか。これらの人々は労働者として働くだけでなく、地域で生活し社会を構成する一員となるわけですから、そのための住居、教育、医療、社会保障などの制度的なバックアップを政府の責任できちんと整備するべきでしょう。

 安倍首相は「移民ではない」と強調していますが、外国人材確保のために入管法をちょっと変えて少し受け入れを増やすだけだから本格的な制度設計は必要ないと言いたいようです。このような矮小化にこそ、最大の問題があります。
 このような態度をとっているのは、一方で「人手不足」を解消して農業や介護、建設業などの産業界の要請にこたえて参院選でアピールしたいという思惑があり、他方で本格的な「移民」政策への転換ということになれば、強固な支持基盤である極右層の支持を失うのではないかと恐れているからだと思われます。
 だから、拙速であることは十分に分かっていても、あまり時間をかけずに臨時国会で成立させ、参院選前の来年4月から施行したいのでしょう。ただし、注意しなければならないのは、「人手不足」というのも一種のまやかしで、「不足」しているのは雇用の調整弁となるような低賃金で使い勝手がよい「人材」にすぎないということです。

 法案はこれから参議院に回ります。外国に出かける日程を優先した安倍首相の「自己都合」によって衆院での審議時間が切り縮められてしまいましたが、そのようなことが参院であってはなりません。
 熟議の院としての参院の存在価値が問われることになります。信頼できる資料や答弁を基にした十分な審議を行うことによって、技能実習生の実態を踏まえた制度の改善や共生に向けての綿密な制度設計を行うべきです。
 少なくとも、拙速を避け十分な審議時間を確保するということで今国会での成立を避けるべきです。欠陥だらけのこのような入管法改定法案は、廃案にしなければなりません。

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10月30日(火) 暗雲漂うなかで船出した臨時国会 [国会]

 10月24日に安倍首相の所信表明演説が行われ、昨日から代表質問が始まりました。3選を実現して3期9年間という最長の任期を視野に入れて発足した第4次改造内閣ですが、その前途は容易ではありません。
 長期政権の驕りや緩み、安倍首相自身の焦りなどが随所で垣間見えるからです。臨時国会は暗雲漂う中での船出となりました。

 第1の暗雲としては漂流を始めた外交を挙げることができます。日中首脳会談と日印首脳会談を立て続けに開催するなど順調に進んでいるように見えますが、実はそうではありません。
 トランプ政権による米中新冷戦への対応に苦慮し、米中両国の板挟みにあっているからです。一方で中国との関係改善を進めながら、他方でインドとも関係を強化して中国包囲の姿勢を示すなど、安倍外交は揺れています。
 トランプ米大統領の顔色をうかがいながら中国に急接近する安倍首相に、外務省がストップをかけようとしたのが「3原則」をめぐる行き違いです。この先、朝鮮半島での南北接近と緊張緩和の進展や中国との関係改善がすすめば、安倍首相による北朝鮮や中国への「敵視政策」、安保法制・改憲、軍備増強・基地強化などの好戦的な軍事大国化路線との整合性が問われ、政策転換が迫られることになるでしょう。

 第2の暗雲は序盤から与野党が激突して本会議の開会が45分も遅れてしまったことです。そのきっかけを作ったのは、安倍首相の側近で衆院議院運営委員長に抜擢された高市早苗氏でした。
 衆院本会議に先立って開かれた理事会において、議運委員長名で高市氏が出した国会改革試案をめぐって紛糾したからです。この試案は政府提出法案の審議を優先し、一般質疑は会期末前にするとの内容を含んでいたため、立法府の役割や議運委員長の役割が公正公平で行政監視機能を果たさなければいけないということを理解していないなどと野党は強く批判し、試案の撤回と謝罪を求めました。
 森友・加計学園疑惑などで国会による行政監視が不十分で行政の私物化と暴走が大きな問題となっているときに、高市氏は政府寄りの提案をして安倍首相を援護射撃しようとしたわけです。中立であるべき議運委員長の立場を逸脱する暴挙で批判されて当然ですが、森友・加計学園疑惑や閣僚の資質などへの追及を恐れる安倍首相の焦りを反映したものだと言って良いでしょう。

 第3の暗雲は出入国管理法改正案をめぐる混乱です。これは外国人労働者の受け入れ拡大に向けて新たな在留資格創設を柱とするものですが、自民党内でも異論や懸念、反対、慎重意見などが続出して法務部会が紛糾し、議論は4時間も続きました。
 この問題は代表質問でも取り上げられ、「新たな移民政策ではないのか」という懸念を安倍首相は打ち消しました。しかし、与党内でも異論があり、自民党内で安倍首相を支えてきた右派議員からの批判もあって亀裂が生まれました。
 この改正案は内容だけでなく、来年4月からの実施を予定するというスケジュールについての異論も強く、臨時国会での審議の行方は不透明です。このような形で急ぐのも、早く成果を出したいという安倍首相の焦りの表れかもしれません。

 臨時国会はまだ始まったばかりですが、ここに挙げた問題以外にも10%への消費増税や「全世代型社会保障改革」など重要な課題が目白押しです。会期が12月10日までと短いことも、安倍首相の焦りを生んでいる要因かも知れません。
 それとも、6年間も政権を担当してきたのに、「売り物」だったアベノミクスも外交も上手くいかず、誇るべき成果が何もないことに気が付いたのでしょうか。このままでは、モリ・カケだけが国民の記憶に残ってしまうかもしれないのですから。

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7月21日(土) 「打倒安倍政権」を実現するために「ひるまず、忘れず、諦めず」力を尽くしていこう [国会]

 通常国会が事実上、閉会しました。「通常国会」というよりも「異常国会」と言った方が良いような体たらくです。
 理不尽で不条理、嘘とデタラメ、隠ぺいに虚偽、失言というより妄言・暴言が相次ぎ、常識が通用しない異常な国会でした。戦後最低で最悪の安倍首相の横暴と強権が猛威を振るった最低・最悪の国会だったと言うべきでしょう。

 こんな逃亡、許して良いのかと思います。森友学園疑惑での安倍首相夫人の昭恵氏と嘘をつき続けた佐川元理財局長、加計学園疑惑での加計孝太郎氏と柳瀬首相秘書官、責任逃れと暴言に終始した麻生財務相、それに疑惑の中心で深く関与していた安倍首相。
 国会が幕を閉じ、これで逃げおおせたと思っているにちがいありません。「やれやれ、何とか逃げ切ったわい」と、ほくそ笑んでいるかもしれません。
 公文書が改ざんされ廃棄され、「ない」とされた文書が見つかり、答弁のうそが明らかになって国会審議の前提は根底から覆されました。それなのに誰も責任を取らず、真相は明らかにならないままです。これで良いのでしょうか。

 こんな法律、成立させて良いのかと思います。「働き方改革」関連法、カジノ新設を認める統合型リゾート(IR)実施法、定数6増の改正公職選挙法などです。
 「働き方改革」とは名ばかりで実態は過労死促進法にほかならず、「せっせと働いて、とっとと死ね」と言わんばかりの高度プロフェッショナル制度が導入されました。賭博を合法化して来る人を増やし、てら銭を稼いで景気を良くしようというのでは、江戸時代の宿場を牛耳っていたヤクザの親分のやり方と変わりません。
 あきれ返ってしまうのは、自分の都合だけで定数を増やした「合区救済」法です。「自分勝手」な法律である以上に「自民勝手」な法律だと言うべきでしょう。

 こんな首相、続投させても良いのでしょうか。疑惑にフタをして逃亡した張本人・最高責任者で、国民の多くが反対した法案をゴリ押しして成立させてしまった極悪人の安倍首相を。
 野党が分裂し、弱体化している今なら無理を押し通しても大丈夫だと高をくくっているのではないでしょうか。疑惑を払拭するための丁寧な説明も真相解明のための努力もせず、ひたすら不誠実な答弁を繰り返す姿にはうんざりさせられました。
 国会は閉幕しましたが、このまま頬かむりで逃亡するのを許してはなりません。特別委員会を設置するなど、引き続き疑惑解明と責任追及の努力を行い、安倍首相の3選阻止を目指すべきでしょう。

 この通常国会で「打倒安倍政権」を実現できなかったのは残念ですが、安倍首相が狙っていた改憲発議の野望を阻止することができました。しかし、自民党総裁選での争点として言及するなど安倍首相はまだあきらめておらず、3選されれば秋の臨時国会での最大の争点になる可能性があります。
 内閣支持率は下げ止まったとはいえまだ半分以下であり、調査によっては不支持率の方が高いままです。引き続き、戦後最低で最悪の安倍首相の横暴と強権の実態を明らかにし、「打倒安倍政権」を実現するために「ひるまず、忘れず、諦めず」力を尽くしていきたいものです。

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5月2日(水) 野党の国会欠席について『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメントと若干の補足 [国会]

 〔以下の私のコメントは、4月27日付の『日刊ゲンダイ』に掲載されたものです。参考のために、アップさせていただきます。〕

 「野党が要求する4項目はどれも至極まっとうで、主権者である国民の要望でもあります。与党が本気で国会を正常化したいのであれば、野党の要求をのめばいい。公文書改ざん問題で引責辞任が当然の麻生財務相を辞めさせないのは、あらゆる疑惑の中心にいる安倍首相を守る砦として居座らせているだけ。加計学園の獣医学部新設をめぐり、愛媛県と今治市の職員と官邸で面会して<首相案件>と発言したとされる柳瀬氏は、昨年7月の参考人招致で<記憶の限りでは会っていない>と答弁した人物です。愛媛県文書のほか、農水省や文科省からも官邸面会を裏付ける物証が出てきている状況で与党が証人喚問を拒むのは、柳瀬氏の答弁がウソだと分かっているからではないのか。すべて政権の都合でしかない。野党は雑音にひるまず、徹底的に戦い、真相を追及してもらいたい」

 「国民が今、求めているのは、政策の是非よりも政治に対する信頼の回復です。安倍首相は先日も<信なくば立たず>と言っていましたが、果たして現状をキチンと認識しているのか。疑惑の核心にいる安倍首相が誠実な姿勢で野党の追及に応えて、信頼を取り戻す努力をしているようには見えません。進退を考えるほかない」

 今日の『毎日新聞』に、次のような記事が出ていました。
 「学校法人『加計学園』による国家戦略特区を利用した獣医学部新設を巡り、柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)は、2015年4月2日に同学園関係者と首相官邸で会ったことを認める意向を固めた。面会をうかがわせる文書が愛媛県や農林水産省などで見つかり、否定し続けるのは難しいと判断した。与野党が国会招致で合意すれば、答弁で説明する。」

 もうこれ以上、ウソをつき続けることが難しくなったからです。しかしそれでも、会ったのは「同学園関係者」だから「愛媛県と今治市の職員」の記憶はないと言い張り、前の答弁との整合性を図るつもりではないでしょうか。
 前についたウソを誤魔化すために新たなウソをつくようなことはやめるべきです。そのために「答弁で説明する」というのであれば、国会に招致する意味はありません。
 参考人としてではなく証人喚問として招致に応ずることは、柳瀬さんにとってもプラスになるでしょう。ウソをついて言い逃れるつもりでなければ、身の潔白を証明する最善の機会になるはずですから。

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