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3月19日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月19日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:自民党地方支部にも不透明な政策活動費 結局、上から下まで怪しい自民党

 要するに自民党という組織は、上から下まで、裏金まみれの集団ということなのではないか。

 呆れるのは、政治資金をどう使ったのか分からなくするために、安倍派だけでなく、他の派閥もアノ手コノ手を悪用していることだ。

 たとえば茂木派議員は、政治資金を「資金管理団体」から、使途の公開基準がゆるい「後援会」に移動させることで、具体的に何に使ったのか分からなくしている。茂木の場合、2009~22年の14年間に4億4000万円を「後援会」に移動させ、「後援会」の支出のうち94.4%が使途不明となっている。こんなふざけたやり方が許されていいのか。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。

 「最大派閥から地方まで、いかに自民党政治がカネにまみれているか、ということです。裏金をつくり、使途を隠そうとするのは、要するに表にできないカネの使い方をしているということでしょう。パーティーを利用した安倍派の裏金づくりも、氷山の一角なのだと思う」

 世耕を筆頭に、自民党議員には、国民に真摯に説明しようという気持ちなど毛頭ないのだろう。

 「国民に向き合う気持ちを失っているのは、自民党の国会議員だけでなく、地方議員も同じようにみえます。全国幹事長会議で『早くけじめをつけてほしい』『批判の電話が鳴りやまない』と、彼らが声を上げたのも、トバッチリを受けて迷惑だ、という気持ちだったのではないか。自分たちが地方から自民党を再建する、という覚悟は伝わってこなかった。近畿圏の地方議員が和歌山に集まり、ハレンチな懇親会を開いていた一事をみれば、自民党の地方組織の実情は想像がつきます」(五十嵐仁氏=前出)


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3月17日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月17日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:悪事を重ねた当然の報い 3.17岸田自民党はご臨終

■森を中心に歴史は繰り返し因果は回る

 ゴマカシだらけの安倍派幹部を起訴しなかった検察も、幕引きに加担する岸田内閣もすべて“共犯”──。列車の乗客全員が犯人だった有名海外ミステリーも真っ青の展開だとすれば、政倫審で世耕が「私は不起訴、嫌疑なしだから真っ白」と恥も外聞もなく強弁できたのも、うなずける。かといって、そんな古典的なオチで納得できる国民はいない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「裏金事件の全容解明と説明責任、そして厳正な処分が果たされないまま、党大会で幕引きを図るのは許されません。今の自民党内で非主流派や中堅・若手議員の突き上げが期待できない以上、もはや党大会で自浄能力を発揮できるのは『地方の乱』だけです」

 裏金の逆風を受け、地方選挙で自民は苦戦続き。先月の京都市長選では、与野党相乗りの楽勝ムードが一転、共産候補に大接戦に持ち込まれた。保守王国・群馬の前橋市長選では、自民推薦の現職がまさかの敗北。今年は全国で500以上の地方選挙が実施されるだけに、危機感を募らせている。

 内閣支持率が1ケタ台に沈んだ森政権末期には、自民党大会で地方組織が「NO」を突き付け、退陣に追い込んだ例もある。01年3月の党大会を6月に都議選を控えた自民党都議団がボイコット。会場前で「解党的出直し」を求め、全国から集まった党員に鉢巻き姿で配ったビラには「わが党は、このままでは『政党の死』という最悪の筋書きに一直線に突き進んでしまう」と刷られてあった。

 他の県連も呼応し、地方の反発に押されて森は総裁選を前倒し。事実上の退陣に追い込まれたが、今なお裏金の最大キーマンとは因果は回る。自民を取り巻く状況は当時も今も変わらない。

 「地方の異議申し立ても出なければ、自浄能力を失った岸田・自民党は一巻の終わり。腐り切って落ちていくだけです。もう『的出直し』は必要ありません。国民が望んでいるのは腐敗堕落政党の『解党』大会です」(五十嵐仁氏=前出)

 自民党派閥の裏金総額は優に5億円を超える。3.17を機とした「ご臨終」は悪事で私腹を肥やした当然の報いである。

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3月16日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月16日付に掲載されたものです。〕

*記事:自民党が能登被災地に寄付で“裏金ロンダリング”の醜悪対応 キックバックと同額の約5.8億円

 被災地に寄付をするのはいいとして、裏金とは関係なくやればいい話だ。何より国会議員なのだから、寄付より予算措置でしっかり被災地対応をするべきだろう。薄汚いイメージがつきまとう巨額の寄付を受け取っても、被災地の人々は複雑な気持ちになるだけではないか。

■しっかり納税するのが先

 だいたい、裏金を寄付でロンダリングするという発想がどうかしている。5億円を寄付する前に、まずはきちんと納税するのが先だろう。

 「震災支援のために使えば文句はないだろうと居直り、裏金を正当化するために被災地を利用しているように見えます。薄っぺらなパフォーマンスであり、寄付で疑惑が晴れるわけでもない。裏金問題を美談風にスリ替えられても、世論は納得しませんよ。国民が裏金議員に求めているのは、被災地への寄付ではない。事件の全容解明と説明責任、そして厳正な処分です。これらが何ひとつできていない。裏金事件そのものも醜悪ですが、事件への対応の仕方も自民党は腐りきっています」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 寄付で幕引きしようとは、この期に及んで国民をナメているとしか言いようがない。


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3月12日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月12日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:野党が云々以前の話 自民党政権続投という選択肢はもはやない

 岸田自民は上から下まで腐り切っているということ。マトモな議員など皆無に等しいのだ。

 「それもこれも、この10年にわたる『安倍1強』の弊害が原因です」と言うのは、法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)だ。こう続けた。

 「安倍政権以降、『モリカケ桜』に象徴されるように、権力側がやりたい放題を平然と行うようになった。不祥事が発覚しても、国会でウソをつき、公文書は改ざんです。安倍元首相のこうしたやり方を長年、見てきた自民党議員は何をやっても許されるという感覚が身についてしまっているのでしょう。おごり高ぶりと緊張感の欠如が、相次ぐハレンチ行動の元凶になっているのだと思います」

 自民党最大派閥・安倍派による巨額の裏金づくりも「どうせ検察は権力中枢に手出しできない」と、高をくくった末の不法行為だったに違いない。党内は順法精神に欠けるヤカラだらけということ。改めて衝撃的な惨状である。

 国民はもうハレンチ政党にウンザリなのだ。岸田政権の明暗を分ける4月28日の衆院3補選で「スリーアウト! チェンジ」が現実味を帯びてきた。今月7日、小泉元首相と二階、山崎元副総裁ら党重鎮が会食。終了後、山崎氏は報道陣に「自民党3連敗なら岸田政権はアウト」と語ったが、「NO」を突きつけられるのは、岸田だけじゃない。

 「巨額の裏金づくりに脱税疑惑、ハレンチ会合、差別発言と悪行の限りを尽くしてきた自民は、下野程度では済まされません。岸田首相は『解党的に出直す覚悟』と表明していますが、出直ししてもらう必要もない。もはや、解党・解散が当然です。衆院3補選で全敗させ、国民が怒りの鉄槌を下さなければ、自民はまた同じことを繰り返すに違いありません。国民は覚悟を持って臨むべきです」(五十嵐仁氏=前出)

 底なしのハレンチ政党には、サッサとお引き取り願うしかない。でなければ、この国に未来はない。

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3月10日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月10日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:これぞ世紀のブラックジョーク 裏金、脱法集団が改革案を論じる“フリ”の笑止千万

 裏金議員に「課税しろ」という税金一揆が静かに広がる現状で「きょうから政策集団です」と言われて「はい、そうですか」と納得するバカはいない。

 改革する“フリ”の猿芝居でコロリとダマせると思ったら、大間違い。国民の怒りの火に油を注ぐだけだ。

 刷新本部で岸田は「政治は特別なものだという特権意識を是正する」と強調したが、この発言こそ党全体を覆う特権意識を認めたに等しい。国民愚弄の改革案の提示は、「自分たちなら許される」という特権意識が決して消えていない証拠でもある。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「安倍派幹部同士の政治倫理審査会での証言は食い違いが残り、森元首相が裏金づくりのルーツに関与した疑念もくすぶったまま。におわせ続けた裏金議員や派閥幹部の処分も党大会までに間に合わず、メドも立たないグダグダぶりです。なぜ、真相解明に向けた調査や説明も裏金議員の処分も済んでいないうちに、再発防止の改革案だけを急ぐのか。それだけ知られたくないことがあるとしか思えず、党内改革は真相から目をそらすためのポーズに過ぎません。再発防止に論点をスリ替え、裏金事件にサッサとケリをつけたいだけです。ほとぼりが冷めるのを待ち、どうせ国民は忘れるとタカをくくっているのでしょうが、そうは問屋が卸さない。自民の特権意識に対する国民の怒りは最高潮に達しています」

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3月5日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月5日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:国会最終攻防、与党の横暴に無批判 腐敗自民をのさばらせているのは大メディア

 例年、衆院の予算案の審議時間は80時間なのに、70時間に満たない審議時間で採決しようとしたのだから、乱暴もいいところだ。

 しかも、1日に開かれる政倫審に安倍派の幹部4人が出席することが分かっていたのに、予算委の小野寺委員長(自民)は、その前日、野党に相談することなく、1日に予算案を採決することを職権で決めてしまった。なぜ、政倫審が終わるのを待たなかったのか。これでは野党が怒り、小野寺委員長の解任決議案を提出するのも当たり前である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「審議が尽くされていないのに強行採決とは、いくらなんでも自民党はむちゃくちゃです。しかも、わざわざ土曜日に国会を開いて予算案を採決している。週明けの4日(月)でも問題はなかったはずです。年度内の自然成立を確定したかったのでしょうが、それは岸田総理の勝手な都合でしょう。一見ソフトに見えますが、岸田政権のやっていることは、強権批判された安倍政権と同じです」

 大手メディアが野党の国会対応を批判していることについて、立憲民主党の安住国対委員長は会見でこう語っていた。

 「議会は世界中どこを見たって、激しい戦いを繰り広げています。アメリカなんて9月に通らないといけない予算が、共和党と民主党が激しく対立し、いまだに成立していない。どの国を見ても、本気の戦いというのは深夜に及んだり、バスターなどもやるんですよ」

 まさに、その通りだろう。大新聞テレビの野党批判は、世界の常識から大きくはずれているのではないか。

 「なぜ、大手メディアは自民党の強権的な国会運営を批判しないのか不思議です。土曜日の予算案可決も、審議時間を満たしていないのに強行採決しようとしたのも、すべて岸田首相の政権維持のためでしょう。大手新聞は自分たちの紙面で、岸田首相が周囲に『予算案の通過を週明けに持ち越したら政権はもたない』と漏らしていた、と書いています。予算案の強行採決が国民のためではなく、政権延命のためだということは、大手メディアだって分かっているはずです。なのに、なぜ批判しないのか、おかしいですよ」(五十嵐仁氏=前出)

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3月3日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]


〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月3日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:脱脱疑惑に蓋で予算案採決へ 国会最終攻防、自民党の横暴と破廉恥

 安倍派のキックバック不記載が始まったのは、森元首相が派閥会長を務めていた十数年前から20年以上前だったとされる。政倫審で元幹部たちが「知らない」と口を揃えている以上、実態解明には、もはや森を国会招致するしか道はない。ところが、岸田は政倫審で「(党内調査で)森氏の具体的な関与を指摘する発言はなかった」と言い、“御大”をかばってみせた。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。

 「真相解明には、森元首相や二階元幹事長ら、裏金スキームを知り得る人物に話を聞くしかない。それも、ウソをつけば偽証罪に問われかねない証人喚問で追及すべきです。岸田自民は、全てを知っている可能性がある彼らが、本当に真相を語ってしまうことを恐れているのでしょう。どんな展開になるか予想がつかず、真相解明そっちのけで、サッサとこの問題を終わらせたいのだと思います」

■実態解明と裏金議員の処分を急げ

 ここへきて岸田は、政倫審で会計責任者だけでなく政治家の責任も問う「連座制」導入や、政治団体に対する外部監査の導入、収支報告書のデジタル化に言及し始めた。こうした制度改革に触れなければならないほど、エラソーに掲げてきた「政治刷新」の“やってる感”が国民に見透かされ、追い込まれていることを物語る。

 「連座制や外部監査、デジタル化は、いずれも重要なポイントです。与野党で結束してどんどん進めればいいでしょう。ただ、同時に裏金事件の実態をキチンと解明して、責任の所在をハッキリさせなければ、もはや国民は納得しません。岸田首相は政倫審で『関係者の処分を党として判断する』と言いました。ならば、組織的な裏金づくりがいつから、誰の発案で始まり、何に使われてきたのか。その実態を明らかにした上で、処分すべき人物にケジメをつけさせる必要がある。でなければ、国民の信頼は回復しない。小手先の政治刷新など欺瞞でしかありません」(五十嵐仁氏=前出)

 脱税集団に国の予算を預かる資格ナシ。ましてや能登の被災者を“人質”に取り裏金追及の幕引きを図り、予算案の強行通過など、あり得ない。世紀の破廉恥政党をのさばらせていてはダメだ。

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3月1日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月1日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:もはや、自壊へまっしぐら 説明できない、税金も払わない国賊自民党はオシマイだ

 二転三転した挙げ句、ようやく政倫審の公開開催が決まったわけだが、裏金議員が出席を渋るわ、エラソーに非公開の条件をつけるわ、それをたしなめ、説得する術も持たない。党内調整すらままならず、土壇場で決定をひっくり返すガバナンス欠如──。この間の醜態でハッキリ分かったのは、自民党の自己崩壊だ。しかも、恐るべき速さで進んでいる。

■政倫審出席は求心力低下の象徴

 「岸田首相の政倫審出席は、求心力低下を象徴しています。党総裁として指導力を発揮し、他の議員の出席や全面公開を実現させることができなかった。事態を打開するためには自分が出席を決めるしかなかったのです。そこまで追い込まれた。安倍派の幹部がダダをこねて逃げ回っていたことにも呆れます。国民に対して説明責任を果たすなら、フルオープンは当たり前でしょう。そんなことも判断できない幼稚な人たちが自民党派閥の幹部をやっていた。偽証罪に問われる可能性のある証人喚問を忌避するのならまだ分かりますが、たかが政倫審開催にこぎ着けるまで、なぜこうも時間がかかるのか。グズグズしていた結果、党のトップを政倫審に出すことになってしまったのだから、本来なら自民党の大失態ですよ。政権与党の迷走は目も当てられない状況です」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)

 現職総理が政倫審に出席するのは史上初だ。岸田の場合、呼ばれてもいないのに自ら手を挙げて出張っていくわけだが、安倍派の裏金の経緯を岸田が知っているわけではないだろう。

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2月27日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月27日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:何から何まで国民愚弄 「税金一揆」の怒りの火に油を注ぐ政倫審

 国会運営上、数の力で劣る野党が取れる手段は限られていて、予算案の審議拒否などは民主主義を守るうえで少ない手段のひとつなのだが、いつの間にか、予算案成立に抵抗する野党が悪者にされてしまうことが続いてきた。今回は、能登半島地震の対応が含まれているからなおさらだ。

■補正予算を組まなかった不誠実

 だが今回、仮に予算案の成立が遅れて震災対応にも支障があった場合、それは完全に政府・与党の責任だ。能登震災の対応を最優先に考えるなら、補正予算案を組んで、通常国会冒頭で成立させておくべきなのである。それを予備費で対応するとか言っている岸田政権が不誠実なのだ。最初から予備費を含んだ来年度予算案を人質にして裏金問題を乗り切る算段だったとすれば、あまりに浅ましいし、被災地のことも、国民も愚弄しているというほかない。

 「予算が通ったからといって、裏金問題が終わるわけではありません。政倫審の開催を区切りにウヤムヤにされれば、国民は絶対に納得しない。野党は引き続き、参考人招致や証人喚問を徹底して求めていく必要があります。来年度予算が年度内に成立しなければ、それは真相究明にも説明責任にも後ろ向きな与党側の責任なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 予算案が衆院を通過してしまえば、自民党は予算委の参考人招致にも証人喚問にも応じなくなるだろう。政倫審で幕引きし、世論が忘れるのを待っているのだ。こんな政倫審が茶番でなくて何なのか。


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2月25日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]

〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月25日付に掲載されたものです。〕

*巻頭特集:失われた30年の失政 東証高値更新に34年かかったことの方がニュースだ

 実質賃金を比べると、21世紀に入って下がっているのは、先進7カ国で日本だけである。

 昨年の春闘の賃上げ率は3.6%で「30年ぶりの上昇率」と岸田首相は胸を張るが、89年の5.17%を大幅に下回る。当時も物価は上昇していたが、賃金の伸びが上回り、89年の実質賃金は前年比1.9%増。昨年の実質賃金は2.5%減で、前年比マイナスは2年連続だ。もはや「安いニッポン」どころか、「貧しいニッポン」と化している。

 内需をアテにできない大企業もすっかり外需頼み。34年前に5割未満だったトヨタの海外販売比率は現在8割超。89年末に時価総額世界一だったNTTは今やグループ約900社の3分の2が海外企業だ。約34万人のうち海外従業員がほぼ半数を占める。こうした大企業にすれば、「貧しいニッポン」を決定づけたアベノミクスの円安誘導の大失策も、まぶしく映ったことだろう。

 「海外投資家が好感する『収益改善』の由来は、円安と値上げ。バブル期超えは庶民生活の犠牲の上に立っています。メディアも『34年ぶり』がニュースになる裏側に目を向けるべきで、この間、自民党政治は大企業と米国の顔色だけをうかがい、国民には見向きもしない。それを如実に示すのが裏金20年です。安倍派の裏金が5年間で6億円超に上るのも、優遇策の見返りに大企業がパーティー券を大量に購入したおかげ。内部留保を500兆円以上も貯め込み、賃金も上げず、設備投資もせず、円安政策にあぐらをかき、自民党と癒着すれば大企業は株高で安泰。このフザケタ構図を一変させるには自民を下野させるしかありません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 この相場もまた自民の失政のせいで「うたかたの夢」で終わらないことを祈るばかりである。

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