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3月14日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月14日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「次から次へとデタラメ発覚 側近のチンピラを重用、国民を舐めていた安倍政治」
■アベ政治にからめとられた自民党では絶望的
つまるところ、親分がチンピラだから子分にも同類が集まる。安倍政権で官房副長官だった世耕弘成参院幹事長のアベノミクスをめぐる最近の発言もチンピラ同然だ。
日銀の黒田東彦総裁が推し進めた「異次元緩和」について、日銀前総裁の白川方明氏が「壮大な金融実験」と批判したことに噛みつき、「まずご自身の時代をしっかり総括していただきたい」とドーカツした一件のことである。
その世耕と安倍派の跡目争いをしている萩生田光一政調会長も安倍政権時代の官房副長官であり、党の役職でも総裁特別補佐を務めた。思い返せば萩生田こそ、選挙報道で政治的公平を事細かに求めるペーパーを出して放送局に圧力をかけた張本人である。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「『類は友を呼ぶ』という格言通りの政権でした。社会を分断して、敵をつくって攻撃。丁寧な手続きを軽視して、強権的に政策を遂行。そして、嘘もつき続ければ、真実になると考えている。そんな手法のとんでもない政権でした。ハト派の宏池会の岸田首相は、本来、安倍氏とは異なる方向性が出せるはずなのに、安倍氏なきアベ政治にからめとられた自民党には、もはや振り子の論理が働かない。安倍氏に乗っ取られた自民党は、多様性や柔軟性を失い、硬直化してしまいました」
安倍がいなくなったことで、安倍政権のデタラメの数々が改めて暴かれる。よくもまあこんな政権が8年も続いたものだ。
アベ政治と決別できない自民党政権では、この国は決して良くならない。
*巻頭特集「次から次へとデタラメ発覚 側近のチンピラを重用、国民を舐めていた安倍政治」
■アベ政治にからめとられた自民党では絶望的
つまるところ、親分がチンピラだから子分にも同類が集まる。安倍政権で官房副長官だった世耕弘成参院幹事長のアベノミクスをめぐる最近の発言もチンピラ同然だ。
日銀の黒田東彦総裁が推し進めた「異次元緩和」について、日銀前総裁の白川方明氏が「壮大な金融実験」と批判したことに噛みつき、「まずご自身の時代をしっかり総括していただきたい」とドーカツした一件のことである。
その世耕と安倍派の跡目争いをしている萩生田光一政調会長も安倍政権時代の官房副長官であり、党の役職でも総裁特別補佐を務めた。思い返せば萩生田こそ、選挙報道で政治的公平を事細かに求めるペーパーを出して放送局に圧力をかけた張本人である。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「『類は友を呼ぶ』という格言通りの政権でした。社会を分断して、敵をつくって攻撃。丁寧な手続きを軽視して、強権的に政策を遂行。そして、嘘もつき続ければ、真実になると考えている。そんな手法のとんでもない政権でした。ハト派の宏池会の岸田首相は、本来、安倍氏とは異なる方向性が出せるはずなのに、安倍氏なきアベ政治にからめとられた自民党には、もはや振り子の論理が働かない。安倍氏に乗っ取られた自民党は、多様性や柔軟性を失い、硬直化してしまいました」
安倍がいなくなったことで、安倍政権のデタラメの数々が改めて暴かれる。よくもまあこんな政権が8年も続いたものだ。
アベ政治と決別できない自民党政権では、この国は決して良くならない。
2023-03-14 10:48
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3月12日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月12日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「物価対策も一時しのぎ 自民党政権ではいつまでたってもゼロ成長」
まさに、出口ナシの八方ふさがりだ。今年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減。1月としては過去最大の減少幅で、賃金の伸びが歴史的な物価上昇にちっとも追いつきそうにない庶民にすれば、踏んだり蹴ったりだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「この10年で日本は『賃金の上がらない国』に成り果てただけではありません。国際人材競争力ランキングは世界39位、昨年の貿易赤字は19.9兆円と過去最大。H3ロケット打ち上げは失敗続きと技術開発力にも暗雲が垂れ込めています。アベノミクスの大罪を数え上げればキリがないのに、岸田政権は金融緩和を継続。安倍政権を支えた保守の岩盤支持層や、最大派閥・安倍派の離反を恐れ、安倍路線の呪縛から抜け出せない。防衛・安保や原発政策などは、むしろ安倍路線を強化しています。かつての『振り子の理論』による政策の揺り戻しは、もはや自民党には期待できません。この国の閉塞感は強まるいっぽうです」
自民党政権に任せていたら、いつまでたってもゼロ成長が続くだけだ。
*巻頭特集「物価対策も一時しのぎ 自民党政権ではいつまでたってもゼロ成長」
まさに、出口ナシの八方ふさがりだ。今年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減。1月としては過去最大の減少幅で、賃金の伸びが歴史的な物価上昇にちっとも追いつきそうにない庶民にすれば、踏んだり蹴ったりだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「この10年で日本は『賃金の上がらない国』に成り果てただけではありません。国際人材競争力ランキングは世界39位、昨年の貿易赤字は19.9兆円と過去最大。H3ロケット打ち上げは失敗続きと技術開発力にも暗雲が垂れ込めています。アベノミクスの大罪を数え上げればキリがないのに、岸田政権は金融緩和を継続。安倍政権を支えた保守の岩盤支持層や、最大派閥・安倍派の離反を恐れ、安倍路線の呪縛から抜け出せない。防衛・安保や原発政策などは、むしろ安倍路線を強化しています。かつての『振り子の理論』による政策の揺り戻しは、もはや自民党には期待できません。この国の閉塞感は強まるいっぽうです」
自民党政権に任せていたら、いつまでたってもゼロ成長が続くだけだ。
2023-03-12 06:23
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3月10日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月10付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「高市大臣をクビにできない岸田首相も同じムジナ 当事者の証人喚問以外なし」
従来、総務省は、放送法に基づく「政治的公平」について「一つの番組でなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との見解を示していた。ところが、16年公表の政府見解で「一つ一つの番組を見て全体を判断するのは当然」とガラッと変わってしまった。この解釈変更でテレビ局が萎縮したのは間違いない。
そもそも、TBSの「サンデーモーニング」など、気に入らない番組を取り締まることが目的だったのだから、言論弾圧もいいところだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「公文書を見れば、安倍官邸が特定の番組を敵視し、潰しにかかろうともくろんでいたのは明らかです。そんな官邸の思惑に乗っかって、当時の高市総務相は『電波停止』にまで言及し、その結果、テレビ局は萎縮してしまった。政権に批判的なコメンテーターは続々と降板し、逆に政府の意向を垂れ流すだけのコメンテーターばかりが出演するようになっています」
かつては「消えた年金問題」など、野党議員が政府の失政を追及する番組がいくつもあった。ところが、いつの間にかそんな番組は消え、いまや与党議員だけが出演する番組だらけになっている。
高市大臣や、当時、総務省にしつこく働きかけていた礒崎陽輔元首相補佐官、さらに「公文書」に記載のある総務官僚を一人残らず、ウソをつけば偽証罪に問われる可能性がある証人喚問すべきだ。
この10年間、安倍官邸の圧力に屈して忖度報道を続けてきた大メディアも、今回ばかりはスルーは許されない。
「安倍政権発足前は、骨のあるコメンテーターがテレビで活躍し、大新聞も政府の失政を厳しく追及していました。ところが、この10年ですっかり大メディアは骨抜きにされてしまった。今回の“捏造”問題はジャーナリズムの真価が問われる重大局面です。ある意味、健全なジャーナリズムを取り戻す大きなチャンスです。ここで引いたら、危機的な状況になってしまいますよ」(五十嵐仁氏=前出)
今こそ、アベ政治の膿を出し切る時だ。
*巻頭特集「高市大臣をクビにできない岸田首相も同じムジナ 当事者の証人喚問以外なし」
従来、総務省は、放送法に基づく「政治的公平」について「一つの番組でなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との見解を示していた。ところが、16年公表の政府見解で「一つ一つの番組を見て全体を判断するのは当然」とガラッと変わってしまった。この解釈変更でテレビ局が萎縮したのは間違いない。
そもそも、TBSの「サンデーモーニング」など、気に入らない番組を取り締まることが目的だったのだから、言論弾圧もいいところだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「公文書を見れば、安倍官邸が特定の番組を敵視し、潰しにかかろうともくろんでいたのは明らかです。そんな官邸の思惑に乗っかって、当時の高市総務相は『電波停止』にまで言及し、その結果、テレビ局は萎縮してしまった。政権に批判的なコメンテーターは続々と降板し、逆に政府の意向を垂れ流すだけのコメンテーターばかりが出演するようになっています」
かつては「消えた年金問題」など、野党議員が政府の失政を追及する番組がいくつもあった。ところが、いつの間にかそんな番組は消え、いまや与党議員だけが出演する番組だらけになっている。
高市大臣や、当時、総務省にしつこく働きかけていた礒崎陽輔元首相補佐官、さらに「公文書」に記載のある総務官僚を一人残らず、ウソをつけば偽証罪に問われる可能性がある証人喚問すべきだ。
この10年間、安倍官邸の圧力に屈して忖度報道を続けてきた大メディアも、今回ばかりはスルーは許されない。
「安倍政権発足前は、骨のあるコメンテーターがテレビで活躍し、大新聞も政府の失政を厳しく追及していました。ところが、この10年ですっかり大メディアは骨抜きにされてしまった。今回の“捏造”問題はジャーナリズムの真価が問われる重大局面です。ある意味、健全なジャーナリズムを取り戻す大きなチャンスです。ここで引いたら、危機的な状況になってしまいますよ」(五十嵐仁氏=前出)
今こそ、アベ政治の膿を出し切る時だ。
2023-03-10 06:39
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3月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月5日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「メディア恫喝政権の釈明も怪しい 放送法めぐる内部文書大騒動」
野党議員が、政府が最大400発購入する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の“ポンコツ”ぶりを暴き、中小零細企業の息の根を止めかねない「インボイス制度」の問題点を指摘しても、ほとんど報じようとしない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「安倍政権の10年間で、大メディアはすっかり牙を抜かれてしまった。最悪なのは、『ムチ』を打たれる一方、幹部が総理と共に会食するなど『アメ』を与えられ、いいようにコントロールされていることです。岸田政権でも、防衛費倍増のための有識者会議のメンバーに大新聞の幹部が名を連ねていた。欧米メディアでは考えられないことです」
立憲民主党の小西議員が入手した総務省の「内部文書」は、政権が倒れてもおかしくない超ド級の文書だ。松本総務相は「総務省作成の資料であるかどうかの回答は控える」などと、文書の真贋について、回答を避けているが、大手メディアは絶対にこの「内部文書」の真贋をウヤムヤにしてはいけない。
「大メディアにとって、この『内部文書』の真贋は、自らの報道姿勢に関わる問題なのだから、徹底的に検証すべきです。このまま『内部文書』の真贋がウヤムヤになれば、いずれこの問題は立ち消えになってしまうでしょう。そうなれば、得するのは岸田自民です」(五十嵐仁氏=前出)
小西議員は過去、鋭い質問で大臣を立ち往生させてきた論客だ。しかも、総務省の出身である。総務省の文書は見慣れているはずだ。「内部文書」が本物かどうか、かつての同僚官僚にも確認しているに違いない。礒崎元首相補佐官は共同通信の取材に「(担当局長らとの間で)政治的公平の解釈について意見交換したのは事実だ」と認めている。ウヤムヤのまま終わらせることは許されない。
*巻頭特集「メディア恫喝政権の釈明も怪しい 放送法めぐる内部文書大騒動」
野党議員が、政府が最大400発購入する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の“ポンコツ”ぶりを暴き、中小零細企業の息の根を止めかねない「インボイス制度」の問題点を指摘しても、ほとんど報じようとしない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「安倍政権の10年間で、大メディアはすっかり牙を抜かれてしまった。最悪なのは、『ムチ』を打たれる一方、幹部が総理と共に会食するなど『アメ』を与えられ、いいようにコントロールされていることです。岸田政権でも、防衛費倍増のための有識者会議のメンバーに大新聞の幹部が名を連ねていた。欧米メディアでは考えられないことです」
立憲民主党の小西議員が入手した総務省の「内部文書」は、政権が倒れてもおかしくない超ド級の文書だ。松本総務相は「総務省作成の資料であるかどうかの回答は控える」などと、文書の真贋について、回答を避けているが、大手メディアは絶対にこの「内部文書」の真贋をウヤムヤにしてはいけない。
「大メディアにとって、この『内部文書』の真贋は、自らの報道姿勢に関わる問題なのだから、徹底的に検証すべきです。このまま『内部文書』の真贋がウヤムヤになれば、いずれこの問題は立ち消えになってしまうでしょう。そうなれば、得するのは岸田自民です」(五十嵐仁氏=前出)
小西議員は過去、鋭い質問で大臣を立ち往生させてきた論客だ。しかも、総務省の出身である。総務省の文書は見慣れているはずだ。「内部文書」が本物かどうか、かつての同僚官僚にも確認しているに違いない。礒崎元首相補佐官は共同通信の取材に「(担当局長らとの間で)政治的公平の解釈について意見交換したのは事実だ」と認めている。ウヤムヤのまま終わらせることは許されない。
2023-03-05 06:49
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2月28日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月28付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「ウクライナで目くらまし 41年ぶりの物価高に政府・日銀の無力・無能」
少子化対策に関しても同様で、党大会でも「従来とは次元の異なる子ども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」と言っていたが、口先だけでマジメにやる気がないことは、木原官房副長官の「子どもが増えれば予算は倍増」というフザケた発言が象徴している。
具体策は何も見えず、自民党内からも「何をしたいのか」「どこが異次元なのか」と困惑の声が上がる始末だ。6月の「骨太の方針」に盛り込むと言っているが、要は少子化対策が国民に受けるという“統一地方選対策”だ。支援を充実させるように見せて有権者を引き付ける。少子化・子育て対策なら増税も許容されるという計算もあるだろう。
「令和の所得倍増も、分配を重視した新しい資本主義も掛け声倒れで、岸田首相が着実に実行したのは安倍元首相の路線を踏襲した軍拡の加速だけです。それ以外は、口から出まかせのインチキで、国民生活を良くするための政策は何ひとつしていない。ウクライナへの55億ドルの追加支援を決めたことも、悪いとは言いませんが、もっと自国民のために使えないものか。足元の物価高でこれだけ国民が疲弊しているのに、何の対策も打ち出せないのは、あまりに無能と言わざるを得ません。事態を打開する知恵が何もなく、検討を重ねて先送りするだけの“お手上げ内閣”です。せめて金融政策を転換して正常化すればいいのに、政権維持のために党内最大派閥の安倍派に気を使い、それを打ち出せずにグズグズしている。それで被害を被っているのが国民なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
5月に広島で開かれるサミット前のウクライナ訪問も画策し、支持率アップを夢想して高揚しているが、自身のメンツと保身より国民生活のためにリーダーシップを発揮してほしいと考えている有権者は少なくないはずだ。
党大会で岸田は「自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は最も大切な選挙です。まなじりを決して、来たる統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか」と訴えたが、こんなデタラメ政権を勝たせてしまえば、物価高対策も少子化対策も進まずに、待っているのは増税だけ。
「自分たちの生活を少しでも良くするには、この暗愚政権を終わらせるしかない。統一地方選は、国民生活の苦しさが分からない政権に『NO』を突きつける絶好の機会です」(五十嵐仁氏=前出)
まなじりを決する必要があるのは国民の方だ。
*巻頭特集「ウクライナで目くらまし 41年ぶりの物価高に政府・日銀の無力・無能」
少子化対策に関しても同様で、党大会でも「従来とは次元の異なる子ども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」と言っていたが、口先だけでマジメにやる気がないことは、木原官房副長官の「子どもが増えれば予算は倍増」というフザケた発言が象徴している。
具体策は何も見えず、自民党内からも「何をしたいのか」「どこが異次元なのか」と困惑の声が上がる始末だ。6月の「骨太の方針」に盛り込むと言っているが、要は少子化対策が国民に受けるという“統一地方選対策”だ。支援を充実させるように見せて有権者を引き付ける。少子化・子育て対策なら増税も許容されるという計算もあるだろう。
「令和の所得倍増も、分配を重視した新しい資本主義も掛け声倒れで、岸田首相が着実に実行したのは安倍元首相の路線を踏襲した軍拡の加速だけです。それ以外は、口から出まかせのインチキで、国民生活を良くするための政策は何ひとつしていない。ウクライナへの55億ドルの追加支援を決めたことも、悪いとは言いませんが、もっと自国民のために使えないものか。足元の物価高でこれだけ国民が疲弊しているのに、何の対策も打ち出せないのは、あまりに無能と言わざるを得ません。事態を打開する知恵が何もなく、検討を重ねて先送りするだけの“お手上げ内閣”です。せめて金融政策を転換して正常化すればいいのに、政権維持のために党内最大派閥の安倍派に気を使い、それを打ち出せずにグズグズしている。それで被害を被っているのが国民なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
5月に広島で開かれるサミット前のウクライナ訪問も画策し、支持率アップを夢想して高揚しているが、自身のメンツと保身より国民生活のためにリーダーシップを発揮してほしいと考えている有権者は少なくないはずだ。
党大会で岸田は「自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は最も大切な選挙です。まなじりを決して、来たる統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか」と訴えたが、こんなデタラメ政権を勝たせてしまえば、物価高対策も少子化対策も進まずに、待っているのは増税だけ。
「自分たちの生活を少しでも良くするには、この暗愚政権を終わらせるしかない。統一地方選は、国民生活の苦しさが分からない政権に『NO』を突きつける絶好の機会です」(五十嵐仁氏=前出)
まなじりを決する必要があるのは国民の方だ。
2023-02-28 06:49
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2月22日(水) 追悼 畑田重夫さん [論攷]
〔以下の追悼文は『学習の友』No.835 、2023年3月号、に掲載されたものです。〕
国際政治学者の畑田重夫さんは、私にとって大恩ある「先生」でした。就職のきっかけを作っていただいたからです。その方の訃報に接し、残念な思いでいっぱいです。
私が初めて畑田さんにお目にかかったのは1986年の夏でした。学習の友社から刊行された畑田重夫編『現代の政治論』執筆の打ち合わせのためです。このとき初の単著刊行の労も取っていただき、それがきっかけとなって定職に就くことができました。
打ち合わせが終わった時、ポケットから憲法の小冊子を出され、「いつも持ち歩いてるんだ」と仰られたことが強く印象に残っています。戦争に動員された同期の「わだつみ世代」でただ一人の生き残りとして、9条に殉ずる「憲法人生」を貫いた生涯でした。
東大卒で旧内務省を経て名古屋大学助教授になった経歴を捨て、「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民と共に学び、ともにたたかう道を選択した」(『わが憲法人生 70年』)ために、「定収のない生活」でのご苦労も多かったと思います。それにもへこたれず、労働者教育協会会長や勤労者通信大学学長、全国革新懇の代表世話人、日本平和委員会の代表理事などを歴任され、都知事選にも2度立候補されています。
とてもまねのできない、一本筋の通った苛烈な生きざまでした。政治学者で労働者教育協会理事、全国革新懇の代表世話人として同じような道を歩んできた私にとっては偉大な先達であり、手の届かないお手本です。亡くなる直前まで、新聞への投書などで励ましていただきました。
大軍拡の波が押し寄せ、憲法破壊の危機が高まる下でのご逝去でした。心残りだったと思います。やり残された課題を引き継ぐために、畑田さんがよく口にされた言葉を深く胸に刻みたいと思います。
「学び、学び、そして学べ」
国際政治学者の畑田重夫さんは、私にとって大恩ある「先生」でした。就職のきっかけを作っていただいたからです。その方の訃報に接し、残念な思いでいっぱいです。
私が初めて畑田さんにお目にかかったのは1986年の夏でした。学習の友社から刊行された畑田重夫編『現代の政治論』執筆の打ち合わせのためです。このとき初の単著刊行の労も取っていただき、それがきっかけとなって定職に就くことができました。
打ち合わせが終わった時、ポケットから憲法の小冊子を出され、「いつも持ち歩いてるんだ」と仰られたことが強く印象に残っています。戦争に動員された同期の「わだつみ世代」でただ一人の生き残りとして、9条に殉ずる「憲法人生」を貫いた生涯でした。
東大卒で旧内務省を経て名古屋大学助教授になった経歴を捨て、「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民と共に学び、ともにたたかう道を選択した」(『わが憲法人生 70年』)ために、「定収のない生活」でのご苦労も多かったと思います。それにもへこたれず、労働者教育協会会長や勤労者通信大学学長、全国革新懇の代表世話人、日本平和委員会の代表理事などを歴任され、都知事選にも2度立候補されています。
とてもまねのできない、一本筋の通った苛烈な生きざまでした。政治学者で労働者教育協会理事、全国革新懇の代表世話人として同じような道を歩んできた私にとっては偉大な先達であり、手の届かないお手本です。亡くなる直前まで、新聞への投書などで励ましていただきました。
大軍拡の波が押し寄せ、憲法破壊の危機が高まる下でのご逝去でした。心残りだったと思います。やり残された課題を引き継ぐために、畑田さんがよく口にされた言葉を深く胸に刻みたいと思います。
「学び、学び、そして学べ」
2023-02-22 11:28
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2月22日(水) 追悼 畑田重夫さん [論攷]
〔以下の追悼文は『学習の友』No.835 、2023年3月号、に掲載されたものです。〕
国際政治学者の畑田重夫さんは、私にとって大恩ある「先生」でした。就職のきっかけを作っていただいたからです。その方の訃報に接し、残念な思いでいっぱいです。
私が初めて畑田さんにお目にかかったのは1986年の夏でした。学習の友社から刊行された畑田重夫編『現代の政治論』執筆の打ち合わせのためです。このとき初の単著刊行の労も取っていただき、それがきっかけとなって定職に就くことができました。
打ち合わせが終わった時、ポケットから憲法の小冊子を出され、「いつも持ち歩いてるんだ」と仰られたことが強く印象に残っています。戦争に動員された同期の「わだつみ世代」でただ一人の生き残りとして、9条に殉ずる「憲法人生」を貫いた生涯でした。
東大卒で旧内務省を経て名古屋大学助教授になった経歴を捨て、「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民と共に学び、ともにたたかう道を選択した」(『わが憲法人生 70年』)ために、「定収のない生活」でのご苦労も多かったと思います。それにもへこたれず、労働者教育協会会長や勤労者通信大学学長、全国革新懇の代表世話人、日本平和委員会の代表理事などを歴任され、都知事選にも2度立候補されています。
とてもまねのできない、一本筋の通った苛烈な生きざまでした。政治学者で労働者教育協会理事、全国革新懇の代表世話人として同じような道を歩んできた私にとっては偉大な先達であり、手の届かないお手本です。亡くなる直前まで、新聞への投書などで励ましていただきました。
大軍拡の波が押し寄せ、憲法破壊の危機が高まる下でのご逝去でした。心残りだったと思います。やり残された課題を引き継ぐために、畑田さんがよく口にされた言葉を深く胸に刻みたいと思います。
「学び、学び、そして学べ」
国際政治学者の畑田重夫さんは、私にとって大恩ある「先生」でした。就職のきっかけを作っていただいたからです。その方の訃報に接し、残念な思いでいっぱいです。
私が初めて畑田さんにお目にかかったのは1986年の夏でした。学習の友社から刊行された畑田重夫編『現代の政治論』執筆の打ち合わせのためです。このとき初の単著刊行の労も取っていただき、それがきっかけとなって定職に就くことができました。
打ち合わせが終わった時、ポケットから憲法の小冊子を出され、「いつも持ち歩いてるんだ」と仰られたことが強く印象に残っています。戦争に動員された同期の「わだつみ世代」でただ一人の生き残りとして、9条に殉ずる「憲法人生」を貫いた生涯でした。
東大卒で旧内務省を経て名古屋大学助教授になった経歴を捨て、「高級官僚や大学教授への道をあえて敬遠して、労働者・国民と共に学び、ともにたたかう道を選択した」(『わが憲法人生 70年』)ために、「定収のない生活」でのご苦労も多かったと思います。それにもへこたれず、労働者教育協会会長や勤労者通信大学学長、全国革新懇の代表世話人、日本平和委員会の代表理事などを歴任され、都知事選にも2度立候補されています。
とてもまねのできない、一本筋の通った苛烈な生きざまでした。政治学者で労働者教育協会理事、全国革新懇の代表世話人として同じような道を歩んできた私にとっては偉大な先達であり、手の届かないお手本です。亡くなる直前まで、新聞への投書などで励ましていただきました。
大軍拡の波が押し寄せ、憲法破壊の危機が高まる下でのご逝去でした。心残りだったと思います。やり残された課題を引き継ぐために、畑田さんがよく口にされた言葉を深く胸に刻みたいと思います。
「学び、学び、そして学べ」
2023-02-22 11:23
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2月18日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月18日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「重要な国会審議もスルー つくづく日本を腐らせているのは大メディア」
「原子力規制委員会」が、反対意見を押し切ってまで結論を急いだのは、政府の方針転換に足並みを揃えるためだ。委員長自ら「政府の法案提出というデッドラインがあり、やむを得ない」と説明している。しかし、これも驚くべき発言なのではないか。
もともと「原子力規制委員会」は、3.11の原発事故を踏まえ、「規制」と「推進」の分離を図って設立されたものだ。「原子力規制委員会」は、その名の通り「規制」のための「独立機関」のはずである。なのに「推進」を図る政府の意向に従うなら、もはや存在する意味がないだろう。
どうかしているのは、目の前で異常なことが起きているのに、大手メディアがスルーしていることだ。実際、多くの国民は、この国会でなにが起きているのか、ほとんど知らないのではないか。
「なぜ、大新聞テレビが、一連の異常事態について大きく報じないのか理解不能です。とくに独立機関である“規制委員会”が、政府の下請けのようになっているのは大変な話です。まさか、独立機関の大切さが分かっていないのでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
*巻頭特集「重要な国会審議もスルー つくづく日本を腐らせているのは大メディア」
「原子力規制委員会」が、反対意見を押し切ってまで結論を急いだのは、政府の方針転換に足並みを揃えるためだ。委員長自ら「政府の法案提出というデッドラインがあり、やむを得ない」と説明している。しかし、これも驚くべき発言なのではないか。
もともと「原子力規制委員会」は、3.11の原発事故を踏まえ、「規制」と「推進」の分離を図って設立されたものだ。「原子力規制委員会」は、その名の通り「規制」のための「独立機関」のはずである。なのに「推進」を図る政府の意向に従うなら、もはや存在する意味がないだろう。
どうかしているのは、目の前で異常なことが起きているのに、大手メディアがスルーしていることだ。実際、多くの国民は、この国会でなにが起きているのか、ほとんど知らないのではないか。
「なぜ、大新聞テレビが、一連の異常事態について大きく報じないのか理解不能です。とくに独立機関である“規制委員会”が、政府の下請けのようになっているのは大変な話です。まさか、独立機関の大切さが分かっていないのでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
2023-02-18 06:40
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2月15日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月15日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「日銀総裁人事でもチラつく影 今なお国を歪める安倍の亡霊」
■権力に溺れたナルシズム
ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは著書「職業としての政治」で、「権力に溺れたナルシシズム、要するに純粋な権力崇拝ほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」と断言した。権力に溺れたナルシシズムとは岸田か、あるいは安倍の亡霊なのか。
「外交安保も金融政策も原発推進も、安倍路線を継承し、拡大させていますが、これらは本当に岸田首相がやりたかったことなのでしょうか。宏池会らしさはどこにもありません。安倍元首相がやりたかったことを実現させて成仏させてあげるのならば、岸田首相である必要はない。安倍派から後継を出せば済む話です。結局、岸田首相にはビジョンが何もなく、ただ長く権力を維持することしか考えていないのでしょう。だから、長期政権を築いた安倍元首相の真似をしている。1に米国、2に安倍派に媚を売り、タカ派的な政策を強行して安倍支持層に迎合すれば長期政権になると考えているのでしょう。岸田首相が気にしているのは国民生活でも日本経済でもなく、自身の政権維持だけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は10日、自衛隊の任務に不可欠な防衛装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合は、生産ラインを国有化できるようにする法案を閣議決定。13日は2027年度までに500発を購入することにしていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」を23年度に一括購入することも決めたという。
なぜ、そんなことをする必要があるのか。国民に説明がないまま喜々として戦争国家へ邁進しているように見えるが、これも「安倍元首相の遺志」に突き動かされてのことなのか。岸田自身のナルシシズムがそうさせるのか。
もっとも、安倍の亡霊に操られているのは自民党にかぎった話ではない。13日の衆院予算委で、立憲民主党の3議員が先週発売された「安倍晋三 回顧録」を手にし、「この記述は事実か」と現閣僚に質問していたのも不思議な光景だった。残念ながら、彼はもういないのだ。異次元緩和の宴も終わった。安倍の呪縛から解き放たれないかぎり、この国は狂気から抜け出せないことを与野党議員は自覚すべきだ。
*巻頭特集「日銀総裁人事でもチラつく影 今なお国を歪める安倍の亡霊」
■権力に溺れたナルシズム
ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは著書「職業としての政治」で、「権力に溺れたナルシシズム、要するに純粋な権力崇拝ほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」と断言した。権力に溺れたナルシシズムとは岸田か、あるいは安倍の亡霊なのか。
「外交安保も金融政策も原発推進も、安倍路線を継承し、拡大させていますが、これらは本当に岸田首相がやりたかったことなのでしょうか。宏池会らしさはどこにもありません。安倍元首相がやりたかったことを実現させて成仏させてあげるのならば、岸田首相である必要はない。安倍派から後継を出せば済む話です。結局、岸田首相にはビジョンが何もなく、ただ長く権力を維持することしか考えていないのでしょう。だから、長期政権を築いた安倍元首相の真似をしている。1に米国、2に安倍派に媚を売り、タカ派的な政策を強行して安倍支持層に迎合すれば長期政権になると考えているのでしょう。岸田首相が気にしているのは国民生活でも日本経済でもなく、自身の政権維持だけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は10日、自衛隊の任務に不可欠な防衛装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合は、生産ラインを国有化できるようにする法案を閣議決定。13日は2027年度までに500発を購入することにしていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」を23年度に一括購入することも決めたという。
なぜ、そんなことをする必要があるのか。国民に説明がないまま喜々として戦争国家へ邁進しているように見えるが、これも「安倍元首相の遺志」に突き動かされてのことなのか。岸田自身のナルシシズムがそうさせるのか。
もっとも、安倍の亡霊に操られているのは自民党にかぎった話ではない。13日の衆院予算委で、立憲民主党の3議員が先週発売された「安倍晋三 回顧録」を手にし、「この記述は事実か」と現閣僚に質問していたのも不思議な光景だった。残念ながら、彼はもういないのだ。異次元緩和の宴も終わった。安倍の呪縛から解き放たれないかぎり、この国は狂気から抜け出せないことを与野党議員は自覚すべきだ。
2023-02-15 09:31
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2月12日(日) 嘘とデタラメで巻き込まれる戦争などマッピラだ―大軍拡・大増税による戦争への道を阻止するために(その3) [論攷]
〔以下の論攷は憲法会議発行の『月刊 憲法運動』通巻518号、23年2月号、に掲載されたものです。3回に分けてアップさせていただきます。〕
3,軍拡競争ではなく平和外交を
〇各論に騙されてはならない
安全保障政策の大転換に際して、どのような防衛力が必要なのか、どのような装備が効果的か、どこまで防衛費を増やすべきか、その財源をどう確保するのかなどの議論が始まっています。
しかし、問題はそこにはありません。政策転換の具体的な中身に入る前に、そもそもそのような転換がなぜ必要なのか、という基本的で根本的な問いが十分に議論されていないからです。各論にとらわれて総論での議論から目をそらしてはなりません。
装備計画や財源論など細部のリアリテイは、そもそもなぜそれが必要なのかという根本的な問いを回避するためのゴマカシです。実際にはできもしない「空想的軍国主義」に現実性を与えるための策謀にすぎません。この土俵に乗らないように注意する必要があります。
だからと言って無視するわけもいきませんから、提案されている具体的な方策が荒唐無稽で無意味であることを示すことが重要です。個々の具体策の根拠を問いながら、それがそもそも必要あるのかという妥当性を問い続けるべきでしょう。
敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有として示されている防衛力整備計画が無用で無駄なことを明示することが必要です。ウクライナ戦争が示しているように、現代の戦争は先進技術による誘導弾やミサイル攻撃、AIや電波による索敵、無人ドローンやサイバー攻撃など、これまでとは様相を異にしています。前線と銃後の境も不明確です。敵の基地を想定し、それを攻撃したり島嶼部への着上陸阻止をめざしたりという作戦計画は実態に合わず、全く意味がなくなってしまいました。
現代の戦争には、「勝者」も「敗者」もありません。戦争が始まったとたんに当事者双方に犠牲者が出て「敗者」となるのです。戦争で勝つことはできず、戦争を避けることでしか「勝者」にはなれないというのがウクライナ戦争の真実であり、憲法9条の理念ではないでしょうか。
〇歴史の教訓に学べ
今年のNHKの大河ドラマ「どうする家康」は徳川家康を主人公にしています。家康は徳川幕府を開いて戦国時代に幕を引き、「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」とも評される270年に及ぶ天下泰平の世を生み出しました。その秘訣は武威や武力によって支配する「武断政治」から法律やルールによって統治する「文治政治」への転換です。
力に頼る政治からの脱却こそが、体制の安定と平和をもたらしたことはきわめて教訓的です。今でいえば、軍事力などのハードパワーから平和国家としての信用力や経済、文化などのソフトパワーへの転換であり、国際関係では軍事から外交への重点移動です。今日の世界でもこのような転換が求められているのではないでしょうか。
北朝鮮についても、歴史の教訓を学ぶ必要があります。ミサイル発射と核実験が自制された時期があったからです。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領との米朝首脳会談や南北対話が実施されていた期間中、ミサイルが発射されることはありませんでした。このとき核実験も凍結され、対立と緊張は緩和に向かっていたのです。
この対話が不調に終わった結果、ミサイル発射が再開され、核実験の準備も進められています。昨年末の朝鮮労働党中央委員会総会で金総書記は新型のICBM (大陸間弾道弾)を開発するとともに、保有する核弾頭の数を急激に増やす方針を示しました。
軍事的圧力はさらなる軍備拡大を促すという軍拡競争が生じたのです。安全を求めて軍備を拡大すればさらなる軍拡を誘発し、緊張が高まって安全が脅かされるという軍拡のパラドクス(ジレンマ)にほかなりません。対話をすれば緊張が緩和し、軍事的圧力を強めれば緊張が激化するというのが歴史の示すところです。
ウクライナの教訓も学ぶ必要があります。悪いのは侵略したロシアであり、責任を問われるべきはプーチン大統領ですが、ウクライナの側に全く問題がなかったわけではありません。外交は両国によってなされ、それが破綻した結果、戦争を招いてしまったからです。
ウクライナはロシアの脅威に対抗するために軍拡とNATOへの加盟に頼ろうとしました。このような外交・安全保障政策が失敗した結果、戦争が勃発したのです。力による抑止政策は戦争を防ぐどころか侵略の口実を与えました。もしウクライナが戦争を放棄し、軍事力に頼らず「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」憲法を持っていれば、ロシアは侵略の口実を見つけられなかったにちがいありません。今の日本はこのウクライナの失敗を後追いしようとしているのではないでしょうか。
〇憲法の制約と時代の要請
岸田首相は常々「あらゆる選択肢を排除しない」と口にしていますが、これは大きな間違いです。首相は憲法尊重擁護義務を負っていますから、憲法の理念や趣旨に反する選択肢はきっぱりと排除しなければなりません。
憲法9条の平和主義原則に沿った外交・安全保障政策は、本来、必要最小限度の防衛に徹し海外派兵を行わない、軍事同盟に加盟せず外国の軍事基地を置かない、仮想敵国を持たず対立する国のどちらにも加担しない、東南アジアの非核武装地帯を東北アジアにも拡大する、特定の国を敵視せず全ての国を含む集団安全保障体制を構築するなどによって具体化されるべきものです。
これに対して、今回の安全保障政策の大転換が目指しているのは、GDP2%の11兆円を超える世界第3位の軍事力、日本が攻撃されていなくても集団的自衛権によって戦争に参加、米軍とともに戦う自衛隊の自由な海外派兵、外国の指揮統制機能等の中枢を攻撃しせん滅する攻撃能力の保有、攻撃される前に実施する国連憲章違反の先制攻撃などです。
このような転換は戦後保守政治の質的な変容を示すもので、これまでの延長線上でとらえてはなりません。岸田首相は憲法の平和主義原則を真っ向から踏みにじり、60年安保闘争を教訓にして戦後保守政治が採用した解釈改憲の枠さえ、もはや守るべき一線ではなくなってしまいました。
また、今回の政策転換は時代が直面している問題の解決にも反しています。「自由で開かれたインド太平洋」を旗印に軍事ブロックの強化をめざしているからです。「国家安全保障戦略」は「同志国との連携」を打ち出し、「国家防衛戦略」は、「日米同盟を中核とする同志国等との連携を強化する」と述べています。そのために、日米豪印の「クワッド(QUAD)」などだけでなく、地理的に離れたイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどとの軍事的協力を強めてきました。
しかし、国の内外で大きな問題となっているのは分断と対立の激化です。それを解決するための共存と調和こそが時代の要請となっているのではないでしょうか。国内での政治的社会的な分断に悩まされている典型がアメリカであり、日本はそのお先棒を担いで世界の分断に手を貸そうとしています。
軍事的ブロックの形成と強化ではなく、分断の解決に向けて力を尽くすのが日本の役割であり、憲法9条の要請です。分断と対立を終わらせ、考え方や価値観、立場が異なっていても共存し友好関係を築けるような東アジアをめざさなければなりません。
むすび
戦争へと突き進む危険な道への選択が現実のものになろうとしています。このような「戦争前夜」において、どうすれば「新たな戦前」を阻止することができるのでしょうか。
まず何よりも必要なことは、多くの国民に事実を知らせることであり、そのために声を上げ続けることです。そして、戦争準備に血道をあげている自民・公明の与党、それに手を貸している維新や国民民主の野党に選挙で大きな打撃を与えなければなりません。
維新を利用した野党への分断攻撃を跳ね返し、市民と野党の共闘を再建し強化することも必要です。憲法を守り、戦争準備の大軍拡とそのための大増税に反対する立憲野党を励まし、国会での追及に声援を送り、選挙での前進を勝ち取らなければなりません。当面、4月の統一地方選挙と衆院の補欠選挙が大きなチャンスになります。
世論に働きかけ知らせるためには知らなければなりません。今、何が起きているのか、どこに向かおうとしているのか、戦後安全保障政策の大転換と敵基地攻撃能力(反撃能力)についての嘘とデタラメを見破り、その誤りを分かりやすく伝えていくために、歴史を学び事実を知ることが大切です。
戦争反対の幅広い世論を結集することも大切です。戦地への動員と戦闘への参加というリスクに最も不安を抱いているのは、自衛隊員とその家族、関係者ではないでしょうか。大軍拡は「身の丈に合わない」と考えている人々も含めた反戦の輪を広げていきましょう。
支持率低下で窮地に陥っている岸田政権に対しては「勝手に決めるな」の声を高めて通常国会で追い込み、解散・総選挙を勝ち取ること、その機会に「ノー」を突き付けて退陣を迫り、大軍拡・大増税に向けての政策転換をストップすることが大きな課題になります。
軍拡をめざす政治家や高級官僚に問いたいと思います。これほどの嘘とデタラメが分からないのかと。日米同盟が深化し軍事的一体化が加速すればするほど、周辺諸国との関係が悪化し、国民の不安が高まり、戦争の足音が高くなるのはなぜなのかと。
重ねて問いたい。あなたがたには、その足音が聞こえないのかと。
3,軍拡競争ではなく平和外交を
〇各論に騙されてはならない
安全保障政策の大転換に際して、どのような防衛力が必要なのか、どのような装備が効果的か、どこまで防衛費を増やすべきか、その財源をどう確保するのかなどの議論が始まっています。
しかし、問題はそこにはありません。政策転換の具体的な中身に入る前に、そもそもそのような転換がなぜ必要なのか、という基本的で根本的な問いが十分に議論されていないからです。各論にとらわれて総論での議論から目をそらしてはなりません。
装備計画や財源論など細部のリアリテイは、そもそもなぜそれが必要なのかという根本的な問いを回避するためのゴマカシです。実際にはできもしない「空想的軍国主義」に現実性を与えるための策謀にすぎません。この土俵に乗らないように注意する必要があります。
だからと言って無視するわけもいきませんから、提案されている具体的な方策が荒唐無稽で無意味であることを示すことが重要です。個々の具体策の根拠を問いながら、それがそもそも必要あるのかという妥当性を問い続けるべきでしょう。
敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有として示されている防衛力整備計画が無用で無駄なことを明示することが必要です。ウクライナ戦争が示しているように、現代の戦争は先進技術による誘導弾やミサイル攻撃、AIや電波による索敵、無人ドローンやサイバー攻撃など、これまでとは様相を異にしています。前線と銃後の境も不明確です。敵の基地を想定し、それを攻撃したり島嶼部への着上陸阻止をめざしたりという作戦計画は実態に合わず、全く意味がなくなってしまいました。
現代の戦争には、「勝者」も「敗者」もありません。戦争が始まったとたんに当事者双方に犠牲者が出て「敗者」となるのです。戦争で勝つことはできず、戦争を避けることでしか「勝者」にはなれないというのがウクライナ戦争の真実であり、憲法9条の理念ではないでしょうか。
〇歴史の教訓に学べ
今年のNHKの大河ドラマ「どうする家康」は徳川家康を主人公にしています。家康は徳川幕府を開いて戦国時代に幕を引き、「パクス・トクガワーナ(徳川の平和)」とも評される270年に及ぶ天下泰平の世を生み出しました。その秘訣は武威や武力によって支配する「武断政治」から法律やルールによって統治する「文治政治」への転換です。
力に頼る政治からの脱却こそが、体制の安定と平和をもたらしたことはきわめて教訓的です。今でいえば、軍事力などのハードパワーから平和国家としての信用力や経済、文化などのソフトパワーへの転換であり、国際関係では軍事から外交への重点移動です。今日の世界でもこのような転換が求められているのではないでしょうか。
北朝鮮についても、歴史の教訓を学ぶ必要があります。ミサイル発射と核実験が自制された時期があったからです。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とトランプ米大統領との米朝首脳会談や南北対話が実施されていた期間中、ミサイルが発射されることはありませんでした。このとき核実験も凍結され、対立と緊張は緩和に向かっていたのです。
この対話が不調に終わった結果、ミサイル発射が再開され、核実験の準備も進められています。昨年末の朝鮮労働党中央委員会総会で金総書記は新型のICBM (大陸間弾道弾)を開発するとともに、保有する核弾頭の数を急激に増やす方針を示しました。
軍事的圧力はさらなる軍備拡大を促すという軍拡競争が生じたのです。安全を求めて軍備を拡大すればさらなる軍拡を誘発し、緊張が高まって安全が脅かされるという軍拡のパラドクス(ジレンマ)にほかなりません。対話をすれば緊張が緩和し、軍事的圧力を強めれば緊張が激化するというのが歴史の示すところです。
ウクライナの教訓も学ぶ必要があります。悪いのは侵略したロシアであり、責任を問われるべきはプーチン大統領ですが、ウクライナの側に全く問題がなかったわけではありません。外交は両国によってなされ、それが破綻した結果、戦争を招いてしまったからです。
ウクライナはロシアの脅威に対抗するために軍拡とNATOへの加盟に頼ろうとしました。このような外交・安全保障政策が失敗した結果、戦争が勃発したのです。力による抑止政策は戦争を防ぐどころか侵略の口実を与えました。もしウクライナが戦争を放棄し、軍事力に頼らず「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」憲法を持っていれば、ロシアは侵略の口実を見つけられなかったにちがいありません。今の日本はこのウクライナの失敗を後追いしようとしているのではないでしょうか。
〇憲法の制約と時代の要請
岸田首相は常々「あらゆる選択肢を排除しない」と口にしていますが、これは大きな間違いです。首相は憲法尊重擁護義務を負っていますから、憲法の理念や趣旨に反する選択肢はきっぱりと排除しなければなりません。
憲法9条の平和主義原則に沿った外交・安全保障政策は、本来、必要最小限度の防衛に徹し海外派兵を行わない、軍事同盟に加盟せず外国の軍事基地を置かない、仮想敵国を持たず対立する国のどちらにも加担しない、東南アジアの非核武装地帯を東北アジアにも拡大する、特定の国を敵視せず全ての国を含む集団安全保障体制を構築するなどによって具体化されるべきものです。
これに対して、今回の安全保障政策の大転換が目指しているのは、GDP2%の11兆円を超える世界第3位の軍事力、日本が攻撃されていなくても集団的自衛権によって戦争に参加、米軍とともに戦う自衛隊の自由な海外派兵、外国の指揮統制機能等の中枢を攻撃しせん滅する攻撃能力の保有、攻撃される前に実施する国連憲章違反の先制攻撃などです。
このような転換は戦後保守政治の質的な変容を示すもので、これまでの延長線上でとらえてはなりません。岸田首相は憲法の平和主義原則を真っ向から踏みにじり、60年安保闘争を教訓にして戦後保守政治が採用した解釈改憲の枠さえ、もはや守るべき一線ではなくなってしまいました。
また、今回の政策転換は時代が直面している問題の解決にも反しています。「自由で開かれたインド太平洋」を旗印に軍事ブロックの強化をめざしているからです。「国家安全保障戦略」は「同志国との連携」を打ち出し、「国家防衛戦略」は、「日米同盟を中核とする同志国等との連携を強化する」と述べています。そのために、日米豪印の「クワッド(QUAD)」などだけでなく、地理的に離れたイギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどとの軍事的協力を強めてきました。
しかし、国の内外で大きな問題となっているのは分断と対立の激化です。それを解決するための共存と調和こそが時代の要請となっているのではないでしょうか。国内での政治的社会的な分断に悩まされている典型がアメリカであり、日本はそのお先棒を担いで世界の分断に手を貸そうとしています。
軍事的ブロックの形成と強化ではなく、分断の解決に向けて力を尽くすのが日本の役割であり、憲法9条の要請です。分断と対立を終わらせ、考え方や価値観、立場が異なっていても共存し友好関係を築けるような東アジアをめざさなければなりません。
むすび
戦争へと突き進む危険な道への選択が現実のものになろうとしています。このような「戦争前夜」において、どうすれば「新たな戦前」を阻止することができるのでしょうか。
まず何よりも必要なことは、多くの国民に事実を知らせることであり、そのために声を上げ続けることです。そして、戦争準備に血道をあげている自民・公明の与党、それに手を貸している維新や国民民主の野党に選挙で大きな打撃を与えなければなりません。
維新を利用した野党への分断攻撃を跳ね返し、市民と野党の共闘を再建し強化することも必要です。憲法を守り、戦争準備の大軍拡とそのための大増税に反対する立憲野党を励まし、国会での追及に声援を送り、選挙での前進を勝ち取らなければなりません。当面、4月の統一地方選挙と衆院の補欠選挙が大きなチャンスになります。
世論に働きかけ知らせるためには知らなければなりません。今、何が起きているのか、どこに向かおうとしているのか、戦後安全保障政策の大転換と敵基地攻撃能力(反撃能力)についての嘘とデタラメを見破り、その誤りを分かりやすく伝えていくために、歴史を学び事実を知ることが大切です。
戦争反対の幅広い世論を結集することも大切です。戦地への動員と戦闘への参加というリスクに最も不安を抱いているのは、自衛隊員とその家族、関係者ではないでしょうか。大軍拡は「身の丈に合わない」と考えている人々も含めた反戦の輪を広げていきましょう。
支持率低下で窮地に陥っている岸田政権に対しては「勝手に決めるな」の声を高めて通常国会で追い込み、解散・総選挙を勝ち取ること、その機会に「ノー」を突き付けて退陣を迫り、大軍拡・大増税に向けての政策転換をストップすることが大きな課題になります。
軍拡をめざす政治家や高級官僚に問いたいと思います。これほどの嘘とデタラメが分からないのかと。日米同盟が深化し軍事的一体化が加速すればするほど、周辺諸国との関係が悪化し、国民の不安が高まり、戦争の足音が高くなるのはなぜなのかと。
重ねて問いたい。あなたがたには、その足音が聞こえないのかと。
2023-02-12 10:17
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