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9月16日(金) どのような転換点なのか―積み重なって押し寄せてきた潮目の変化 [政局]

 昨日アップした『しんぶん赤旗』でのコメントで、私は「かなり大きな転換点で、潮目が変わりました」と指摘しています。それは沖縄県知事選でのデニー知事の再選に関するものでした。
 しかし、「かなり大きな転換点」で潮目が変わったのではないかという思いは、それだけに限りません。沖縄での勝利は、積み重なって押し寄せてきた潮目の変化の一部ではないかと思っています。
 ここしばらくの出来事は、いずれも国の内外における大きな転換の始まりを示しているのではないでしょうか。それは戦後史を画するほどの大きな分かれ道になっているように見えます。
 
 第1は、戦後政治の第3段階が始まったのではないかということです。以前から、私は戦後政治の第2段階が最終局面を迎えていると指摘してきました。
 典型的なのはアメリカのトランプ政権の登場であり、各国における新自由主義的な右派ポピュリズムの隆盛でした。それがどのような形で終了し、次の第3段階がどのように始まるのかは、その時点でははっきりしていませんでした。
 しかし、今では明確に指摘することができます。アメリカにおけるトランプ大統領の落選とバイデン新政権の登場による共和党から民主党への政権交代、それに続くドイツやオーストラリア、中南米などでの右派ポピュリズムから左派リベラリズム政権への転換と新自由主義の見直しです。

 戦後政治の第1段階が修正資本主義的な公共の関与であったとすれば、第2段階は官から民への転換、規制緩和や自己責任を特徴とする弱肉強食の新自由主義でした。その見直しによる第3段階は公共の復権という形で始まっています。
 その契機となったのは新型コロナウイルスによるパンデミックでした。資本主義の限界と新自由主義の弱点が人々の命と健康への脅威という形で明確になり、とりわけケア労働やエッセンシャルワーカーの役割とそれへの公的な支援体制の必要性が痛感されました。
 人々の健康を守り、命と暮らしを支える公的な役割の重要性が浮き彫りとなり、それを軽視し削減してきた新自由主義の罪が自覚されたのです。日本でも新型コロナウイルスによる死者は累計で4万人を超え、ウクライナ戦争での戦死者に匹敵するほどの数になっています。

 第2の大転換は、近代史の見直しによる歴史的汚点の解消、差別と人権無視に対する異議申し立てと是正の動きです。これはアメリカでの黒人差別に反対するブラック・ライブズ・マター(BLM)運動を契機に始まりました。
 その後、ジェンダー平等や女性差別撤廃、LGBTQ(性的少数者)の人権擁護へと波及し、気候危機への対応や核兵器の廃止など地球レベルの問題解決に向けての動きへと広がってきています。このような世界的流れは不可逆的であり、それに合流できなければ国際社会で生き残ることはできない状況が生まれました。
 近代史の見直しは欧米諸国における人種差別や奴隷貿易への反省を呼び起こし、アメリカでは南北戦争の再審が進み、ヨーロッパでは過去の植民地との関係が見直されています。イギリスのエリザベス女王の死去がこのような動きを促進する可能性もあります。英連邦を構成するカリブ海諸国で独立の機運が高まっているようです。

 このような国際的な流れは、日本でも近代史の見直しと加害の歴史への反省を促すことになるでしょう。朝鮮や中国に対する侵略戦争と植民地支配の過去と問題点が明確にされ、改めて責任と反省が示されなければなりません。
 安倍元首相が言っていた「歴史戦」による侵略の歴史の美化は全く逆の動きでした。このような歴史修正主義が修正されなければ、世界の潮流から取り残される局面が生じたのです。
 このような観点から日韓の歴史を見直し、両国の関係改善に向けて新たな対応が求められることになるでしょう。安倍元首相の死と韓国にルーツを持つ統一協会の暗躍も、このような関係を転換させる大きな契機になる可能性があります。

 第3は、アベノミクスの破綻とその転換です。これは第1の大転換として指摘した戦後政治の第3段階の日本国内における始まりに結び付く動きです。
 今となっては、アベノミクスが大失敗したことは明らかです。実質賃金が停滞し、国民の生活が豊かになるどころか中間層が没落して貧困化が進み、格差が拡大しました。
 岸田首相は昨年の総裁選に立候補したとき「成長」だけでなく「分配」を強調し、「新しい資本主義」や「新自由主義からの転換」を主張しました。新自由主義に基づく成長路線やこれまでの「古い資本主義」が行き詰まっていることを自覚していたからです。

 しかし、総裁選で安倍元首相に頼ったところに岸田首相の弱点と限界がありました。その後、安倍さんからねじ込まれてアベノミクスからの転換路線を再び転換して元に戻してしまったからです。
 その安倍元首相は銃撃死によってこの世を去りました。異次元の金融緩和による「黒田円安」によって経済は大混乱に陥り、物価高の大波が押し寄せてきています。
 もはや猶予はならず、アベノミクスから転換して物価高を抑えることは緊急課題となっています。しかし、もともと異次元金融緩和からの「出口戦略」は極めて困難だと見られていましたから、その前途は容易ではありません。

 第4は、専守防衛から先制攻撃へという安全保障政策の大転換です。60年安保闘争後、自民党は明文改憲路線から解釈改憲と実質改憲を組み合わせた軽武装路線を選択してきましたが、それを根本的に転換しようとしています。
 必要最小限度の実力組織である自衛隊は、いまや不必要最大限度の国軍になろうとしています。専守防衛による自衛路線は、「反撃(敵基地攻撃)能力」の保有とそれに向けたGDP比2%を目標にした大軍拡によって投げ捨てられつつあります。
 国境を越えて敵基地を攻撃できるような能力を獲得すれば、それはもはや「自衛」隊ではなくなります。わが国が攻撃される前に、着手された段階で指揮統制機能を破壊するために敵国の中枢部を攻撃すれば、それは国連憲章で禁止されている「先制攻撃」にほかなりません。

 総批判を浴びて国際社会から孤立するような安全保障戦略の大転換が着手されたということになります。明文改憲をちらつかせながら、実質的に憲法9条の内実を掘り崩すという実質改憲の極限形態が訪れようとしているのです。
 憲法9条が維持されているから、ということで安心してはなりません。9条を隠れ蓑に、その存在を目くらましとして使い、内外の批判をかわしながら平和憲法の下での軍事大国化を目指そうとしているのです。
 岸田首相はハトの仮面をかぶった獰猛なタカです。その本質を見極め、9条の書き換えと改憲発議を許さないだけでなく、憲法9条の空洞化を許さず、平和国家としての実質を守ることの重要性を忘れてはなりません。

 第5は、戦後一貫して支配政党であった自民党の全般的危機と瓦解の兆候です。統一協会との癒着の露見によって、自民党は中央と地方で音を立てて崩れ始めています。
 日本は韓国に奉仕するべきだと言って多額の献金を吸い上げる、家庭を大切にと言いながら信者の家庭をぶっ壊す、選択的夫婦別姓に反対だと言いながら文鮮明と韓鶴子の教祖夫妻は別姓であるなど、その主張や「教義」をめぐっては数々の矛盾があります。それに目をつぶって「愛国」よりも「反共」を優先して統一協会との癒着を深め、その「信者」を戦力として利用してきたのが自民党でした。
 その「売国政党」の哀れな末路を、私たちはこれから目にすることになるのではないでしょうか。自民党は「点検」結果を公表して幕引きを図ろうとしていますが、「そうは問屋が卸さない」と思われます。

 「点検」は自己申告ですから漏れがあり、「正直者が馬鹿を見る」形となって、その後も五月雨式に事実が判明しています。しかも、癒着の中心にいた安倍元首相も、その前の清和会の代表だった細田衆院議長も除外され、地方議員は最初から対象になっていません。
 ボロボロと事実が明らかになるのはワイドショーなどのテレビ番組や雑誌などにとっては「おいしいネタ」で、これからも追及は続くでしょう。10月からは臨時国会が始まり、来年になれば通常国会もあって「逃げられない」状態で、自民党は次第に窮地に追い込まれていく可能性があります。
 通常国会が開かれている最中の4月には統一地方選挙があり、地方での自民党と統一協会の癒着や暗躍の実態が争点になるのは避けられません。時事通信の調査では、内閣支持率(9月9~12日調査)が前月比12ポイント減の32.3%に急落して政権発足後最低(不支持は11.5ポイント増の40%)で、ひょっとすると解散に追い込まれるかもしれません。

 これらの「大転換」が積み重なり、時代を画す劇的な変化が生まれる可能性が高まっているように思われます。その結果、これまで考えられなかったような全く新しい政治と社会が生み出されるかもしれません。
 主体的な面でも、政治を変える唯一の活路である野党共闘の再建・復活に向けての芽が出て来ました。沖縄県知事選挙の最終盤、デニー候補を支援する立憲野党4党と沖縄社会大衆党の党首が勢ぞろいして支持を訴えた場面は象徴的でした。
 統一協会や国葬問題についてのヒアリングでも野党共闘による成果が生まれてきています。野党連合政権の樹立に向けての再スタートが切られたということでしょうか。

 ぜひ、そうあって欲しいと思います。そうでなければ、日本も世界も救わないのですから。

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1月21 日(土) 日米で逆走し始めた暴走車をストップさせなければならない [政局]

 1月20日、日本では通常国会が始まり、アメリカではトランプ新大統領の就任式が行われました。日米両国の議会では、いずれも与党が多数になっています。
 まるで、ブレーキなしの暴走車が走り出したようなものです。しかも、前に向かっての暴走というよりも、後ろ向きで逆走を始めようとしているようなものですから大変です。
 通常国会は6月18日までの150日間の会期です。安倍首相は施政方針演説を行いましたが、民進党への敵意丸出しで、実態と大きく乖離する自画自賛の「ポスト真実」演説でした。

 施政方針演説では最初に天皇の退位問題について触れましたが、まだ論点整理も行われていず何も議論されていないうちに、一代限りでの退位を可能とする特別法案の提出を表明しました。一種の世論工作にほかなりません。
 最も多くの時間を割いたのは外交問題で、内政や経済問題は後回しでした。アメリカでのトランプ新政権の発足によって日米同盟がどうなるか分からないことへの危機感の現れです。
 「働き方改革」の実現や子育て支援の充実を進めていくことも表明しましたが、お題目にとどまらず、どこまで実効性のある対策を立てられるかが問われることになります。一方で長時間労働の是正に言及しながら、他方で「残業代ゼロ法案」を提出したり裁量労働制を拡大したりするという矛盾をどう取り繕うつもりなのでしょうか。

 最後に、今年が日本国憲法施行から70年の節目を迎えることを踏まえ、具体的な憲法改正論議の深化と「新しい国造りへの挑戦」を呼び掛けました。改憲に向けての安倍首相の執念を見せた部分です。
 しかし、現行憲法はすでに70年にわたって歴史の試練に耐え、その有効性を証明してきました。だからこそ、変わることなく維持されてきたのです。
 「新しい国造りへの挑戦」が「壊憲」によって国の形を変え、特定秘密保護法や安保法、共謀罪などによって自由と民主主義、平和主義を圧殺する「戦争国家」への変貌をもたらすことのないように、しっかりと監視していかなければなりません。再び、戦争の惨禍によって次の世代を苦しめることのないように。

 逆走を始めた暴走車にブレーキをかけてストップさせるのが、これからの課題です。本来であれば議会がそうするべきでしょうが、「安倍一強」の下での「多数専制」によってほとんどブレーキが効かなくなってしまいました。
 そのブレーキの効き具合を良くするのは市民であり社会運動の力です。都議選や解散・総選挙を展望しながら、通常国会での論戦と力を合わせて安倍政権を追い込むことができるか、市民と野党との共同の真価が試されることになるでしょう。

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1月15日(日) 先が見えない混乱期にこそ求められる真実を見極める力 [政局]

 先が見えない。最近のマスコミ報道などを見ていての率直な感想です。
 アメリカのトランプ新政権、日本の安倍政権の今後、そして東京の築地市場の移転問題。どれを取ってみても、予見可能性が極端に低下しています。

 この先どうなるのかが分からなければ、不安が高まります。混乱も強まることでしょう。
 海図の無い海域で、壊れた羅針盤を頼りに航海しているようなものです。行きあたりばったりでの近視眼的な対応が増えるにちがいありません。
 その都度、政治の当事者やマスコミは右往左往することになります。「ポスト真実」や「偽ニュース」の横行は、このような混乱を増幅することになるでしょう。

 間もなくトランプ新政権が発足します。それに向けて行われた記者会見で明らかにされたのは新大統領の異常な姿でした。
 ロシアに弱みを握られているのではないかとの疑惑が明らかになりました。女性が絡むスキャンダルなどを暴露したのはイギリスの諜報機関ⅯI6の元ロシア担当チーフだったクリストファー・スティールという人物で、この人が書いた35ページの報告書の真偽が焦点になっています。
 新政権の閣僚候補者の審査も行われていますが、言っていることがバラバラです。トランプ新大統領の公約と違うだけでなく相互の発言も異なっており、今後、政府内での不一致が表面化する可能性があります。

 日本では、トランプ新大統領の就任式が行われる20日に通常国会が召集されます。この国会で焦点になりそうなのがテロ対策を前面に出した組織犯罪処罰法改正案です。
 その中心になるのは「共謀罪」です。テロ組織や暴力団などによる組織犯罪を未然に防止するためだとされていますが、相談しただけで罪に問われ、捜査機関の拡大解釈による不当逮捕や人権侵害につながる可能性がある極めて危険な法案です。
 その本質は「現代の治安維持法」ともいうべきものですが、オリンピックへの対策を前面に出し、名前を言い変えるごまかしによって成立させようとしています。通常国会に提出されれば、大きな反発を招くことは避けられません。

 東京都の築地市場の豊洲移転問題でも、新たな展開がありました。地下水モニタリング調査で有害物質のベンゼンが最大で環境基準の79倍も検出されたという驚くべき事実が、メデイアで一斉に報じられています。
 豊洲の移転候補地は元東京ガスの工場跡地で、汚染されているから市場の移転候補地としては相応しくないと売却を渋ったという経緯があります。もともと、このような場所に移転しようとしたことが間違いなのです。
 移転についての判断の先延ばしではなく、早急に移転中止という判断を行うべきでしょう。その結果生ずる損失については、石原慎太郎元都知事をはじめ、このような愚かな決定をゴリ押しした責任者たちに負担させるべきです。

 このような混乱期にこそ、賢明な判断が求めらるものです。偽りの情報やデマに惑わされることなく、事実は何かを見極める力を身に付ける必要があります。
 タガが外れたような政治の惨憺たる有様に呆れてしまいますが、絶望して諦めてしまったのでは一歩も前に進むことができません。私たち自身の手で海図を書き羅針盤を修理することでしか、航海を続けることはできないのですから。

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3月24日(木) 経済の失速と野党の結束で安倍首相が追い詰められた「オセロ政局」 [政局]

 オセロゲームは、間に挟まったコマの色が挟んだコマ石の色に一挙に変わってしまうゲームです。白と白に挟まれた黒は、いっぺんに白へと変わります。
 今日の政局も、安倍首相の「一強多弱」状況から一挙に逆転する可能性が出てきました。その要因となるのは、経済の失速と野党の結束です。

 第1に、安倍政権の常軌を逸した異様な反共攻撃が目立つようになりました。自民党が露骨な反共ビラを作成したのに続いて、政府は日本共産党について「警察庁としては現在も『暴力革命の方針』に変更はないものと認識している」とする答弁書を閣議決定し、「現在も破壊活動防止法に基づく調査対象団体だ」と述べました。
 これは相当焦っていますね。そう言うのであれば、確たる証拠や根拠を示すべきでしょう。「共産党=暴力革命=怖い」というイメージを振りまいて共産党に打撃を与え、野党共闘を分断しようという狙いが見え見えです。
 このような「反共攻撃」は時代遅れの古い体質と発想を未だに保持していることを天下に告白しているようなものだということが分かっているのでしょうか。「反共は戦争前夜の声」と言いますが、それこそ安保法制の成立によって日本が「戦争前夜 」になっていることを自ら証明しているようなものではありませんか。 

 第2に、消費税再増税の再延期論の台頭です。世界経済について有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」で、ノーベル賞受賞の経済学者などが消費税の10%増税延期論をぶち、これを聞き入れる形で安倍首相が増税の再延期を決断するのではないかとの観測が流れています。
 一昨年の秋から冬にかけて消費増税を延期して総選挙で大勝したのと似たような経過ですから、「二匹目のドジョウ」を狙っているのかもしれません。再延期は庶民にとっては助かることですが、消費税を引き上げることができないほどに景気が悪いということ、アベノミクスに代表される経済政策が失敗していることを自ら認めたことになります。
 それに、3党合意で約束した社会保障のための財源はどうするのでしょうか。経済政策の破綻と社会保障サービスの低下はアベノミクスの失敗を明示するものですから、安倍首相は責任を取って辞任すべきでしょう。

 第3に、衆参同日選挙の可能性の強まりです。消費税の増税を再び延期して衆参両院で同時に選挙すれば、野党の足並みを乱して有権者の支持をかすめ取ることができると考えているようです。
 もちろん、安倍首相は両院で勝利するつもりでしょうが、逆に両院でともに敗北するリスクもあります。そうなれば、いっぺんに政権が交代してしまいます。
 同日選挙になった場合、野党の足並みが乱れるどころか、参院選での1人区だけでなく衆院小選挙区での協力が一挙に進む可能性もあります。同日選には公明党が反対していますから、逆に与党間の足並みが乱れる心配の方が大きいかもしれません。

 第4に、小選挙区制の恐ろしさという問題があります。小選挙区制こそ、オセロゲームのように一挙に勢力関係を逆転させてしまう危険な制度だからです。
 自公の与党勢力に対して野党がバラバラで対抗するような構図の場合、自公勢力が圧倒的に有利になります。しかし、今回の参院選1人区のように1対1の与野党対決となった場合、このような不利な条件は解消されます。
 衆参両院の選挙戦全体の構図が、戦争法の支持か廃止か、アベ政治を許すのか許さないのかという明確な争点で闘われれば対決点は分かりやすくなり、野党が勝てる展望が出てくれば投票に行く人も増えるかもしれず、共闘による相乗効果も期待できます。まさに、日本の前途を左右する「関ケ原の合戦」としての様相が強まり、有権者の関心が高まって支持なし層や無関心層も野党に投票し、選挙区での勝敗が一挙に逆転する可能性が出てきます。

 このように、これまで安倍政権を支えてきた要因が逆に作用し始めています。それを勘違いして、長期政権の夢に心を奪われた安倍首相は大きな賭けに出るかもしれません。
 確かに、オセロゲームの盤面はいま黒く塗りつぶされつつありますが、しかし、四角は白に取られてしまいそうです。それに気づかず勝負に出れば、一挙に逆転されて黒がすべて白に変わってしまう可能性があります。
 角を取ることができたのは野党共闘のお陰です。とはいえ、勝負はまだ続いていますので、さらに1人区で選挙協力を実現し全ての角を取って逆転できるかどうかはこれからの取り組みにかかっています。

 少なくとも角を取れる可能性が生まれ、勝てるかもしれないという希望が見えてきたのは画期的なことでした。参院の1人区や衆院の小選挙区で共産党を含む選挙共闘ができるなどと、去年までは誰も予想していなかったのですから。
 統一戦線に向けての芽が生まれたことになります。それだけ日本の政治状況が危うくなっているわけですが、その危機感を高めて結集せざるを得ないところに野党を追い込んだのは安倍首相でした。
 “春秋の筆法”をもってすれば、統一戦線の種がまかれて芽が出てきたのは安倍首相のお陰です。「オセロ政局」の結果、黒が白へと大逆転して政権が交代すれば、それこそ安倍さんは歴史に名を残すことができるでしょう。

 野党を結集へと追い込んで本格的な政権交代の原因を作った張本人として、安倍首相の名を歴史にとどめさせようではありませんか。もちろん、それは「敗軍の将」としてであり、安倍さんのためではなく私たちのためではありますが……。

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2月12日(金) 「潮目」の変化によって「末期症状」を呈し始めた安倍政権 [政局]

 政治と経済の「潮目」が変わりつつあるようです。「末期症状」ともいえるような不祥事や問題発言が相次いでいるからです。

 一昨日の10日、八王子市長選挙で応援していただいた国会議員の皆さんにお礼のあいさつに伺いました。八王子では、共産党、社民党、維新の党、生活者ネット、それに無所属の議員から支援していただきましたが、国政レベルでは、これに加えて、生活の党と山本太郎と仲間たち、それに民主党の有田芳生参院議員に応援していただきました。
 この日は、維新の党の初鹿明博衆院議員、真山勇一参院議員、小野次郎参院議員、今井雅人幹事長、共産党の小池晃副委員長、穀田恵二国対委員長、池内さおり衆院議員に直接お目にかかってお礼を述べることができました。また、社民党の吉田忠智党首と福島みずほ副党首、生活の党の山本太郎参院議員、維新の党の川田龍平参院議員、民主党の有田参院議員は所用で不在でしたが、部屋を訪れてお礼を述べてきました。
 こうして見ると、大変多くの方にお世話になっていたことが分かります。会派としては応援してもらえなかった民主党の議員を含めて野党5党に共同が広がっていたわけで、これこそが短期間に5万票以上もの得票ができた大きな要因にほかなりません。

 このような共同の力を生かして、安倍政権を追い込んでいくことが必要です。参院熊本選挙区では、あべ広美候補が市民連合と協定を結んで野党統一候補が実現しました。
 他の参院選挙区でも、この経験に学んで与党に勝てるような野党共闘を実現しなければなりません。こうして、2016年政治決戦の新しいうねりが始まろうとしています。
 それと符合を合わせるかのように、政治と経済の「潮目」が変わり始めているのではないでしょうか。安倍政権の閣僚や自民党議員が「末期症状」ともいえるような不祥事や問題発言を繰り返し、アベノミクスを支えてきた株価も急落しているからです。

 先日のブログで甘利前経済再生相や遠藤五輪担当相などの「政治とカネ」の問題を取り上げ、「安倍政権の命取りになるかもしれない」と書きました。「命取り」になるかもしれない材料は、その後も次々と供給されてきています。
 放送法や電波法を曲解して放送局への恫喝を繰り返す高市総務相、年間被ばく線量について原発事故被ばく者の気持ちを踏みにじる発言を行った丸川環境相、写真付きカレンダーを無料配布しただけでなく、担当している「歯舞」という漢字を読めずに醜態をさらした島尻沖縄北方担当相など、閣僚の問題発言が相次ぎました。これらのトップとして注意するべき安倍首相自身が、拉致被害者の調査について日朝間で合意した「ストックホルム合意」を、パレスチナとイスラエルが合意した「オスロ合意」と間違えるなど、お粗末極まりません。
 これ以外にも、TPPへの反対を表明していたのに調印式に和服を着て参加し、警備状況をばらして厳重注意を受けた高鳥修一内閣府副大臣、国会での質問で憲法を現状に合わせるべきだというあべこべ発言で9条2項改憲の首相答弁を引き出した稲田朋美自民党政調会長などがいます。

 そして、極めつけは宮崎謙介衆院議員の「育休不倫」という問題です。結局、議員辞職に追い込まれましたが、呆れてものが言えません。
 ということで、これ以上は言及しませんが、「こんな人でも国会議員になれるのか」「こんな人でも大臣が務まるのか」と言いたくなるような事例ばかりです。呆れかえった国民は多いことでしょう。
 どんな人でも、誰でも、国会議員や大臣になれるということを示したという意味では「良い」例かもしれません。しかし、国のかじ取りを任せるという点では極めて大きな問題があり、その資質や資格が問われることになります。

 なんだか、第1次安倍内閣の末期に似てきているような気がします。ただ、あの時は世論が敏感に反応して内閣支持率が急落しました。
 今回はどうなるのか、注目されます。これほどに不祥事や問題発言が頻発することで、国民は「またか」と思ってうんざりしてしまい、不感症になる恐れもあります。
 しかし、たとえ何度も繰り返されてきたことであっても、そのたびにきちんと問題点を明らかにして厳しく批判することを続けなければ、政治はますます堕落して劣化することになるでしょう。

 この点では、国民の感性や政治を見る目が試されているということでもあります。有権者として、政治を監視してきちんとした批判を浴びせ、本来あるべき姿に矯正する能力があることを示すべきでしょう。
 第1次安倍内閣のときに発揮された批判力を回復し、あの時と同様に参院選で大敗させて安倍首相を退陣に追い込むことが、これからの課題になります。これこそが政治の劣化を防ぎ破たんに瀕している経済を立て直す唯一の道であり、その成否こそ政治決戦の年の帰趨を決することとなるにちがいありません。

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9月2日(水) 安倍首相に引導を渡すべき月が始まった [政局]

 いよいよ9月です。とはいえ、今日はもう2日になっていますが……。

 2020年の東京五輪・パラリンピックのエンブレムの使用中止が正式に決まりました。佐野研二郎さんがデザインしたこれまでのエンブレムを白紙撤回し、新たに募集するそうです。
 新国立競技場と似たような経緯をたどることになりました。これでまた1億円もの大金が無駄に費やされることになります。
 白紙撤回されるべきはオリンピックの開催そのものではないでしょうか。そもそもの発端は安倍首相による詐欺まがいの「アンダーコントロール」発言にあり、真夏に開かれれば熱中症患者が続出となる危険性が極めて高いのですから……。

 その安倍首相は、昨日、自民党の総裁選に立候補する意向を表明しました。無投票再選を狙っているようですが、これからの3年間、総理大臣を続けて何をやるつもりなのでしょうか。
 中国の株価暴落の余波を受けて東証株価は乱高下を続け、アベノミクスは破たん寸前です。経済の立て直しは道半ばどころか、新しい経済危機の出発点に立っていると言うべきでしょう。
 憲法を変えなければできないと言っていた集団的自衛権行使については、勝手に解釈を変えてできるようにしてしまいました。その法整備をするなら改憲する必要はないだろうという状況を作ったのは安倍首相自身です。

 この安倍首相に対して、昨日の政治資金パーティ―で野田聖子前総務会長が「今の私の心は『義を見てせざるは勇なきなり』という言葉に尽きる」と、総裁選への立候補に意欲を示したそうです。ただし、出馬に必要な国会議員20人の推薦人の確保は難航しているといいます。
自民党ハト派の流れをくむ岸田派や額賀派が人数を出せばいいじゃありませんか。これまでタカ派の安倍さんにやりたい放題やられているのですから、この辺で存在感を示してもらいたいものです。
 総裁選になれば地方遊説などが必要になり、安保法案の採決の日程に狂いが生ずるため、安倍さんは告示される8日に無投票再選を狙っているようです。野田さんにはぜひ立候補して、戦争法案の成立を阻止してもらいたいものです。

 戦争法案の成立阻止に向けては野党の動向も重要です。一致団結して安倍政権の暴走を阻んでいただきたいところですが、残念ながら、三つに割れてしまっています。
 一つは、民主・共産・社民・生活という「安倍反対派」です。8月30日の国会前大行動で一致して戦争法案に対する反対演説をしました。
 2つ目は、元気・次世代・改革の「隠れ安倍派」です。戦争法案に対する修正案を出し、与党との協議を行おうとしていますが、「毒」はどんな薄めても「毒」ですから、修正ではなく廃案を求めるべきです。
 3つ目は、維新の党です。この党は分裂寸前で、もはや政党のテイをなしていません。

 このようななかで、通常国会の会期末が近づいてきました。政府・与党は9月11日に採決したかったようですが、この日程は先送りせざるを得なくなったようです。
自民党総務会でも全国一斉デモについて、民意を重く受け止めるべきだという意見が相次いだそうで、8月30日の大行動の成果だと言えるでしょう。今後は14日から18日までが大きなヤマになりそうです。
 そのカギを握る一人が「参院は衆院の下部組織ではない」「60日ルールは使わない」「強行採決はしない」などの発言を行っている参院安保関連特別委員会の鴻池委員長です。しかし、それは与党だけでは採決しないということであって、元気・次世代・改革の「隠れ安倍派」を抱き込んで出席させ、「強行採決ではない」と言い訳するつもりなのでしょう。

 8月30日の大行動については、その参加者数が議論になっています。警察情報では3万人、主催者発表では12万人ということで、大きな開きがあるからです。
 これについては、国会の正門前の写真に写っている人は3万人以上、その周辺の日比谷公園、霞が関、永田町、国会図書館周辺などを含めて12万人ということではないでしょうか。8月31日のブログにも書いたように、私は国会図書館の裏にいたため正門前の写真には写っていませんが、大行動のれっきとした参加者の1人です。

 なお、「生活の党と山本太郎となかまたち」の東京都第10区総支部長だというたがや亮さんのブログhttp://ameblo.jp/ryotagaya/entry-12068219708.htmlによれば、国会議事堂前、永田町、霞が関、溜池山王という4駅の改札を出た人数は「87,159人」だそうです。
たがやさんは「これに赤坂見附駅(かたくなにデータ開示拒否された)、赤坂駅(3万数千人改札出る方利用客数)まで含めれば12万人は超えるんですかね」と書かれています。
最寄り駅には、このほかに桜田門もあります。地方からはバスを仕立ててきた人もいたようですし、私のようにタクシーで行った人もいたでしょうから、当日の参加者が12万人を超えたことは明らかです。

 このような民意の大波によって政治を動かし、安倍首相に引導を渡さなければなりません。安倍さんにしても、ストレスが溜まって腸の調子を悪くするような地位を去り、夜中に抜け出して何をやっているかわからない夫人との関係を改善して「安倍家の存立危機事態」に対処した方が宜しいのではないでしょうか。

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2月2日(日) 自滅に向かう「日本政治の3悪人」の2人目 [政局]

 私は昨年の暮れ、12月30日付のブログ「1年で化けの皮が剥がれた『日本政治の3悪人』」で「安倍首相、橋下大阪市長、猪瀬前都知事の3人」の名前を挙げ、「昨年の今頃は絶頂期にあったこの3人は、いずれも過去1年間ですっかり化けの皮が剥がれてしまいました」と書きました。そして、「たった1年でも政治は変わるし、変えられるのだということを教えてくれているような3人の凋落ぶりです」と指摘しました。
 これを裏付けるように、猪瀬直樹東京都知事に続いて橋下徹大阪市長も自滅に向かいつつあるようです。魯迅と同様に訴えたいものです。「水に落ちた犬を打て」と……。

 昨日、「大阪都」構想の破たんに直面した橋下大阪市長は辞任を表明しました。「出直し市長選挙」によって市民に信を問うのだそうです。
 何という無駄遣い。市長選挙をやらなくても、一枚看板だった「大阪都構想」が破綻していることは明らかです。昨秋の堺市長選挙で「大阪都ノー」をかかげた竹山市長が圧勝したのですから……。
 出直し市長選挙で当選することがあっても、「大阪都構想」が息を吹き返す可能性はほとんどありません。府民の世論も「大阪都」構想への「反対」が「賛成」を上回っていますし、府議会や市議会の構成も変わらないのですから……。

 「大阪都構想」の破綻はこれまでも明らかでした。それにもかかわらず、橋下さんは法定協議会などで無理に無理を重ねて構想をごり押しし、最終的に1月31日の法定協議会で「維新」以外のすべての会派によって否決されています。
 今回の辞職と出直し市長選挙は、これに対する「逆ギレ」にほかなりません。市長に再選されれば、議会に対する圧力をかけることができると勘違いしているのです。
 このような勘違いにきっぱりとした審判を下し、地下鉄・市バスの民営化・廃止案などの市民生活無視、市職員にたいする「思想調査」などの民主主義破壊、「慰安婦」暴言などの橋下さんと維新の会に大打撃を与えていただきたいものです。そのための絶好のチャンスが訪れたのですから……。

 それにしても、「3悪人」の凋落ぶりには激しいものがあります。猪瀬さんに続いて橋下さんも辞職してしまったのですから……。
 橋下さんの再選を阻止すれば、「3悪人」のうち残っているのは安倍さんだけということになります。ぜひ、東京都知事選で自民党都連が推薦している「絶倫」候補を落選させ、安倍首相にも猪瀬さんや橋下さんと同じような道を歩んでもらいたいものです。

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12月30日(月) 1年で化けの皮が剥がれた「日本政治の3悪人」 [政局]

 「日本政治の3悪人」というのは、安倍首相、橋下大阪市長、猪瀬前東京都知事の3人のことです。昨年の今頃は絶頂期にあったこの3人は、いずれも過去1年間ですっかり化けの皮が剥がれてしまいました。
 その落差の大きさに驚いてしまいます。たった1年でも政治は変わるし、変えられるのだということを教えてくれているような3人の凋落ぶりです。

 最も変化が激しかったのは猪瀬直樹前都知事でしょう。434万票という過去最高得票での当選から、裏金疑惑による辞職へと転落してしまったのですから。
 「飛ぶ鳥を落とす勢い」であったのに、自ら「鳥」となって落ちてしまったようなものです。疑惑のお金5000万円を受けとったことが明らかになったときに、潔く身を引くべきでした。
 そうすれば、都議会での追及にあって「鏡の前のガマガエル」のように脂汗をタラタラ流して醜態をさらすこともなかったでしょう。再び巡ってきたせっかくの都知事選挙ですから、今度こそ間違いのない選択をしたいものです。

 次いで大きな変化に直面したのが橋下徹大阪市長でしょう。橋下さんも、昨年の今頃は「日本維新の会」を率いて総選挙で54議席を獲得して第3党に躍進し、得意の絶頂にありました。
 その「日本維新の会」も、今では「第2与党」としての地金が露わになって支持を低下させ、石原慎太郎共同代表ら旧太陽の党メンバーとの間でしばしば意見の対立や主張の食い違いを生み、分裂の危機を迎えています。足もとの大阪でも堺市長選や岸和田市長選などで敗北し、大阪市議会での議案の否決や継続が目立ち、府議会でも単独過半数を失いました。橋下さんの「目玉政策」である大阪都構想も黄信号が点滅しています。
 そのきっかけになったのは、橋下さん自身の「慰安婦発言」でした。歴史認識の貧しさと右翼的な体質が引き起こした大きな躓きであり、その後の転落は必然だったと言って良いでしょう。

 この2人に比べれば、安倍晋三首相はまだしぶとさを示しています。しかし、それもいつまで持つでしょうか。
 安倍さんにとっての大きな「躓きの石」は二つありました。一つは特定秘密保護法であり、もう一つは靖国神社への参拝です。
 前者によって国内での、後者によって国際的な、予想外の反撃を受けることになったからです。反発や批判の拡がりも、その強さも、安倍さんにとっては事前の想定を大きく越えるものだったでしょう。
 その結果、安倍首相は内外での孤立を招いています。大きな武器であった内閣支持率の高さもすでに過半数を割り、黄昏時を迎えつつあるように見えます。

 こうして、今年も暮れようとしていますが、希望を持ち続けて新しい年を迎えたいものです。明日の天気とは異なって、明日の政治は変えられるのですから……。

 今年の更新は、これで終了です。1月1日から4日までは、ふる里の新潟に帰省します。
 この間、更新できるかどうかは分かりません。多分、飲んだくれて、その余裕はないと思います。
 最後に、1年間のご愛読に感謝いたします。皆様、良いお年をお迎え下さい。

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10月11日(金) この国の将来のあり方を左右する重要課題への選択が問われている [政局]

 この国のあり方を左右する重要課題といえば、憲法をめぐる改憲問題があります。それ以外にも多くの重要課題が山積し、問題点が明らかになって国民との矛盾が先鋭化しているという点に、今日の情勢の特徴があるといって良いでしょう。

 その筆頭にあげられるのが、TPP参加問題での自民党による重要5品目「聖域」の見直しです。
 笑わせてもらっちゃ困ります。どのようなことがあっても見直さないというのが「聖域」の意味ではありませんか。それを見直すなんて、ちゃんちゃら可笑しい。
 少しずつ譲歩して徐々に後退し、最後は大勢に従ってなし崩しに決めてしまう。いったん決まってしまったら一致結束して強行する、というのが自民党の常套手段でした。

 このような光景を、これまで何度見せられてきたでしょうか。消費税の導入、牛肉とオレンジの関税撤廃、コメの部分自由化、郵政民営化など、これまで自民党内でも厳しく対立した重要課題の全てが、このようにして実行されてきました。
 今回も、おそらくそうなることを狙っているでしょう。今度こそ、このようなやり方を許してはなりません。
 これまで反対を明言してきた議員たちはそれを最後まで貫くべきです。執行部が「聖域」の見直しを強行すれば自民党を飛び出すぐらいの覚悟を固め、離党のための準備を始めるべきでしょう。

 特定秘密保護法案も日本の民主主義の今後を左右するような大きな危険を孕んだ法案です。自民党で基本的な了承が得られましたので、臨時国会で成立する公算が大きくなっています。
 しかし、公務員の守秘義務としてすでに懲役5年の刑があるのに、その2倍の10年の刑によって保護されなければならない「特定秘密」とは何なのでしょうか。それを誰が、どのように決めるのでしょうか。
 国家は隠したいことがあるから、隠そうとするのです。そして、「特定秘密」として躍起になって国家が隠そうとするものこそ、国民が知るべき最も大切な情報なのです。

 この国には、そのような秘密が存在するのでしょうか。そのような「高度な秘密」を持つような国に、日本がなっても良いのでしょうか。
 国民の知る権利を行使するために力を尽くそうとすればするほど、重大な犯罪者として重く罰せられてしまう。こんな国が民主主義国と言えるのか、日本をこんな国にして良いのか、この国のこれからのあり方が問われています。

 明日から大阪経済大学で開かれる社会政策学会に出席するために、大阪に行きます。地方で開かれる学会に参加するのは、おそらくこれが最後の機会になるでしょう。

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5月30日(木) 日本政治の「風向き」が変わってきたようだ [政局]

 昨日、関東甲信地方も梅雨入りになりました。季節の変化と共に、日本政治における「風向き」も変わってきたようです。
 発足以来、強い「追い風」を受けて順風満帆だった安倍内閣ですが、ここに来て「逆風」や「風雨」に見舞われつつあります。参院選は7月21日(日)投開票となることがほぼ確定していますが、この風向きの変化が選挙にどう影響するかが注目されます。

 その参院選の争点として注目されていたのが憲法改正問題です。当初、安倍首相は改憲手続きの緩和を狙って96条先行改憲論を公約として打ち出そうとしていました。
 しかし、改憲論者や党内からも反対の声が強まり、各種の世論調査でも反対論の方が多いという「逆風」に直面することになりました。その結果、96条改憲を掲げるものの、それを先行させることは明示しないことになったようです。
 「本丸」の9条改憲には反対が多く「落城」させるのは難しいから、まず「出城」の手続き条項である96条から手を付けようと考えたのでしょう、しかし、改憲に向けて「ハードル」を下げようとした策略によって、かえってその「ハードル」は高くなってしまったというわけです。

 この改憲戦略において隠れた「同盟軍」として期待されていたのが、日本維新の会でした。連立与党の公明党が同調しなくても、維新の会と手を結べば衆院での三分の二議席は確保でき、参院でも「三分の二の壁」を突破できると算盤をはじいていたからです。
 しかし、その維新の会も、橋下共同代表の妄言・暴言によってすさまじい「逆風」にさらされることになりました。その原因は橋下さん自身の本質から出たもので一次的な過ちではありませんから、この「暴風雨」が止むことはないでしょう。
 参院選での躍進などはとても望めず、選挙の結果次第では、日本維新の会の政党としての存続も危うくなるのではないでしょうか。自民党と合わせて参院で「三分の二の壁」を突破することは難しく、たとえそうなったとしても共同歩調が取れるとはかぎりません。

 その安倍首相の「一枚看板」であった「アベノミクス」ですが、ここに来て「風向き」がおかしくなってきました。一本調子で上がり続けてきた株価が、乱高下し始めたからです。
 今の時点では、「調整局面」にすぎないのか「破綻」の始まりなのかははっきりしません。しかし、「黄色」の信号が点り始めたことは確実で、安倍首相は今後、信号の色が「青」に変わるのか、それとも「赤」に変わるのか、気にしながら運転しなければならないでしょう。
 そのうえ、輸入品の値上がりなど、アベノミクスの負の側面が大きくなってきており、7~8割の人はその成果を実感していないという世論調査もあります。次第に「風雨」は強まりつつあり、帆を上げていれば前に進めるというような状況ではなくなってきています。

 さらに、日本の外から安倍内閣を後押ししていた強い「北風」が弱まり、その風向きも変わってきました。北朝鮮によるミサイル危機の終了と対話路線への復帰です。
 しかも、その過程で、安倍首相は北朝鮮政府に「嵌められ」ました。過去の侵略戦争と従軍慰安婦などに関する歴史認識問題で外交的に孤立した安倍首相は、北朝鮮からの「一本釣り」に食らいつき、秘かに飯島内閣府参与を派遣するという「抜け駆け」に出てしまったからです。
 これによって参院選前に拉致問題で成果を上げることを狙ったようですが、今のところ、具体的な成果に結びついてはいません。結果的に、北朝鮮政府に利用され、米韓両国との結束を乱すという外交的失態を演ずることになりました。

 このような「風向きの変化」は、これからも続くことになるのでしょうか。それは6月の都議選や7月の参院選に、どのような影響を及ぼすことになるのでしょうか。
 安倍内閣をめぐる「天候」も「梅雨入り」になったのか。これからの推移が大いに注目されます。

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