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8月29日(木) 自民党亜流の第2保守党であるかぎり民主党の再生は不可能だ [民主党]

 民主党の低迷が続いています。政党支持率では、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が7月27日と28日に行った調査で民主党の支持率は5.4%、共産党は5.5%と、共産党の支持率を下回って注目されました。

 それもそうでしょう。政権交代への有権者の期待を真っ向から裏切ってしまったのですから。参院選や世論調査の結果は、このような民主党に対する有権者の怒りがまだ収まっていないことを示しています。
 このような怒りは、自民党亜流の第2保守党としての民主党に向けられています。そこから脱却しない限り、民主党の再生は不可能でしょう。
 そのためには何が必要なのでしょうか。先ず何よりも、政党としての立脚点(理念)を明確にして政策を転換し、安倍自民党に代わる代案(オールタナティブ)を提起することです。

 これまでの民主党は、自民党亜流の第2保守党でした。今も、本質的には変わっていません。
 しかし、自民党の「分家」であるかぎり、「本家」である自民党に勝てないのは当然です。違いを鮮明にして対決点を打ち出さなければ、いつまでも第2保守党としての地位から抜け出すことはできないでしょう。
 だいたい今の自民党が掲げている重要課題の多くは、民主党が自民党に擦り寄って受け継いだり着手したりしたものでした。消費税の増税、原発の再稼働、TPPへの参加、沖縄普天間基地の辺野古移設など、いずれの問題でも民主党と自民党に大きな違いはありません。

 このような政策的な共通性こそ、民主党が政権を失った最大の要因であったと言うべきでしょう。政権が交代しても政策が同じであれば政治は変わらず、新たな政治の方向性が生まれるはずがないからです。
 政治が変わって欲しいと思ったからこそ、有権者は民主党に政権を委ねたはずです。しかし、政治の内実に質的な変化は生じず、いつか見た光景の繰り返しに有権者は失望してしまいました。
 自民党亜流の政治であれば、何も民主党に任せる必要はありません。「本家」の自民党に任せた方が上手く行くだろうと考えたのも当然でしょう。

 そこで、民主党はどうするかが、今、問われているわけです。これまでのやり方が失敗したのですから、新しいやり方に転換しなければ成功しないということは誰にでも分かるはずです。
 ということで、民主党の前には二つの道が横たわっていることになります。これまで通り、自民党亜流の第2保守党としての道を歩むのか、それとも、自民党とは異なった別の道を選択するのかということです。
 その答えは、当然、別の道を歩むべきだということになるでしょうが、そこでも、自民党の右を行くのか、左を行くのか、という選択があります。右に行ってはなりません。左(中道左派)に行くべきです。

 日本維新の会やみんなの党(江田元幹事長など)などは、盛んに右からの野党再編を働きかけています。民主党内では、これに呼応して前原グループや野田グループが暗躍を始めているようです。
 このような動きを封じて、民主党から分かれた生活の党、社民党、新党大地などとの連携を模索するべきでしょう。政策課題によっては、共産党とも共同行動を拒むべきではありません。
 安倍自民党に対して、擦り寄ったり補完したり妥協したりするような姿勢は厳に慎むべきでしょう。そんなことをすれば、これまでの民主党の姿を思い出させ、再び有権者の失望を買うだけですから。

 左派リベラルの理念を明確にして立脚点を定め、保守本流路線からの転換をめざす安倍自民党に対する対抗軸をはっきりと打ち出すべきです。それは、過去の民主党との決別を選択することであり、場合によっては、前原グループや野田グループと手を切る必要も出てくるでしょう。
 現在の海江田執行部がそれを決断できなければ、それを実行できる執行部と取り替えなければなりません。そのような形での荒療治にしか、民主党が生き残れる可能性はないのですから……。

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12月25日(火) NHK大河ドラマ「平清盛」に見る民主党政権の限界と挫折 [民主党]

 「平清盛と源頼朝の違いはどこにあったと思いますか。どちらも『武士の世』をめざして、一方は失敗し、他方は成功したわけですが」

 先日の東村山での講演会後の懇親会で、この日に最終回を迎えたNHKの大河ドラマ「平清盛」が話題になりました。その時、私の発した問いが冒頭のようなものです。
 皆さんは、どう思われますか。「武士の世を創る」という同じ目標を掲げていたのに、どうして平清盛は失敗し、源頼朝は成功したのでしょうか。
 この問題は、今回の総選挙で惨敗を喫した民主党の政権運営を考えるうえでも参考になります。どうして民主党はかくも惨めな失敗をもたらすことになってしまったのかを……。

 その答えは、古い政治の枠組みに依存しようとしたのか、それを壊して新しい政治の枠組みを生み出そうとしたのか、という点になります。清盛は前者であり、頼朝は後者です。
 「武士の世」をめざして福原遷都を強行しながらも、清盛は天皇を中心とする従来の政治体制を引き継ぎ、福原に内裏を作って高倉帝を迎えようとします。これに対して、頼朝は天皇の権威に頼らず、京都から遠く離れた鎌倉に全く新しい武士の都を作ろうとしました。
 天皇や上皇・法皇などを中心とする古い政治の枠組みを否定し、全く新しい枠組みを鎌倉に作ったのです。民主党は、このような形で古い政治の枠組みを否定することができず、新しい政治のあり方を生み出すこともできませんでした。

 ここに、民主党の限界があり、今回の惨敗を招いて挫折した遠因があります。沖縄の普天間基地問題の解決を目指して「国外」「最低でも県外」を主張したものの、結局は辺野古移転の日米合意に戻り、財政赤字の解決や社会保障の維持をめざして安定した財源を模索したものの、結局は消費税を増税するという古いやり方を踏襲してしまいました。
 目標は正しくても、それを解決すべき新しい発想もなければ、これまでとは違った方策を打ち出す能力もなかったわけです。ここに民主党の限界と挫折の要因がありました。
 それが結局、党内外の失望を招き、旧来の政治への回帰をもたらしてしまいます。公家などの貴族や一門の多くの抵抗によって「福原遷都」が失敗し、わずか半年で平安京(京都)への「還都」に屈することになった清盛と同様の失敗であったと言えるでしょう。

 このような失敗を防ぐためには、古い政治の枠組みを大胆に転換するべきだったのです。全く新しい政治のあり方を創造することでしか、このような転換は不可能です。
 それができなかったために、「平安京還都」とも言うべき自公政権の復活が生じようとしています。安倍元首相は、清盛の野望に立ちふさがった後白河法皇のようなものです。
 しかし、「平安京還都」と後白河法皇の復活は、貴族による政治の再生をもたらしませんでした。やはり、時代の要請に応えることができなかったからです。

 政権に復帰する安倍元首相も時代の要請に応えることはできず、おそらく平家や後白河院と同じような末路を辿ることになるでしょう。その時、平家を壇ノ浦まで追いつめて打ち破った源義経の役割を演ずるのは、一体、誰になるのでしょうか。

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7月5日(木) 党員資格停止2ヵ月でお茶を濁したのは輿石幹事長? [民主党]

 やはり、党員資格停止2ヵ月でしたね。3ヵ月にしなかったところがミソです。

 私は、6月26日の「消費増税法案は可決されたが反対票を投じた民主党議員は57人に上った」というブログで、「野田さんの力が強ければ除名、輿石さんが押し戻せば党員権停止、というところでしょう。党員権停止の場合は、その期間が問題になります。造反の内容によって、1ヵ月とか2ヵ月とかの長短を付けるでしょう。問題は3ヵ月になる場合です。代表選挙の9月に及ぶかどうかで、輿石さんがどちらを向いているかが分かるでしょう」と書きました。
 この記述は小沢グループが離党する前を想定していましたから、今回とは事情が異なっています。しかし、「野田さんの力が強ければ除名、輿石さんが押し戻せば党員権停止」という関係は、やはりあったようにみえます。
 小沢さんなど民主党を離党した36人に対しては除名処分とされましたが、これは野田さんの意向によるものでしょう。消費増税法案に反対しても離党しなかった人に対しては党員資格停止となりましたが、これは輿石さんの考えによるものだと思われます。

 今回の処分では、党員資格停止が3ヵ月以上になったのは鳩山さんだけです。党員資格停止6ヵ月で、代表選での投票権を失い、この間に総選挙が実施されれば公認されませんので、「出て行きたければ、いつでもどうぞ」と鳩山さんに言ったようなものです。
 民主党を飛び出した小沢グループは47人となり、当初の想定より少ないようです。しかし、衆議院では公明党を上回って第3党になります。
 これは、決して小さな数ではありません。理事などを手にすることができ、国会運営に対してそれなりの影響力を行使できるからです。

 しかも、小沢グループは100人以上もいると見られていました。その数からすれば、今回の48人は、それしか同調しなかったということなのか、まだ50人以上も民主党内に残っているということなのか、評価の分かれるところです。
 離党しなかった小沢グループの一部は約30人で会合を開き、今後も消費増税法案に反対していくことを確認したといいます。鳩山さんのグループなども残っていますから、参議院の審議段階でも波乱が予想されます。
 今回の離党は、民主党分裂の第1段階にすぎないのではないでしょうか。参議院での採決に向けて、あるいは裁決後において、第2、第3の民主党分裂劇が上演される可能性も否定できません。

 それにしても、小沢さんの新党結成はこれで4回目になります。これだけ反対勢力やマスコミから叩かれ続け、悪い評判を立てられても、50人近くの仲間を引き連れて公明党を上回る第3党を立ち上げたという政治的エネルギーには驚嘆させられます。
 新生党、新進党、自由党ときて、今度は何党になるのでしょうか。反増税党とでも名乗るのでしょうか。
 いずれにしても、消費税の引き上げ反対は中心的な政策になるでしょう。反原発も掲げるようですが、これに加えて反TPPも政策の柱にしてもらいたいものです。

 小沢新党の立ち上げに対するマスコミの反応は極めて冷ややかなものです。もはやマスコミは、事実上の民自公消費増税大連立に対して反旗を翻したことの意義を理解できなくなってしまったということでしょうか。


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5月11日(水) エネルギー基本計画を「白紙に戻す」のは当然だけれど [民主党]

 昨日のブログで、私は「今からでも遅くはありません。エネルギー基本計画を根本的に転換するべきです。この点でこそ、政権交代の意味と菅首相のリーダーシップが問われているのだということを、是非、自覚していただきたいものです」と書きました。

 これを読んだのかもしれませんが(というのは、冗談)、ブログをアップしてから6時間後の昨夕、菅首相は首相官邸で記者会見を開き、総電力に占める原子力の割合を将来的に50%に高めるという「エネルギー基本計画」(10年6月18日に閣議決定)について、「いったん白紙に戻して議論する必要があるだろうと考えている」と述べました。また、現在54基の原発を2030年までに14基以上増やし、原子力などが総電力に占める割合を約70%にするという計画についても、「この従来決まっている基本計画は白紙に戻して議論する」と強調し、原発の新増設計画を認めない可能性もあることを示唆しました。
 さらに、原発事故をめぐる責任について「原子力政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任があり、おわび申し上げたい」と陳謝しました。そうえで、今年6月から福島第一原発事故に収束のめどがつくまで、歳費のうち国会議員歳費をのぞいた首相歳費を6月から返上することも表明しています。
 これらの表明は当然とはいえ、高く評価したいと思います。例えそれが一種のパフォーマンスであり、人気取りのための「高等戦術」であったとしても、それ自体は正しいのですから……。

 また、今後の議論の方向性についても、「原子力と化石燃料は電力では二つの柱だったが、太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーを基幹エネルギーに加える。もう一つは省エネ社会を作ることだ」と述べました。「省エネ社会」への転換を表明したわけで、これも当然のことでしょう。
 ただし、この日の会見では、エネルギー基本計画の見直しの議論をどのように進めていくのか、その場やスケジュールについては具体的に示されていません。これは問題です。
 「示唆」するのではなく、明確に打ち出すべきです。原子力エネルギーから再生可能エネルギーへの転換を基本計画として明示し、そのための工程表を明らかにするべきでしょう。

 政治のリーダーシップとは、どこに向かって進むべきかを指し示すことにあります。国家と社会が向かうべき方向と目標を明示しなければ、前に進むことはできません。
 菅首相には、再生可能エネルギーを基本とする「省エネ社会」の実現に向けてのはっきりとした見取り図を示してもらいたいものです。そこにこそ最高指導者としてのリーダーシップがあり、そうしてこそ日本の未来は開かれるのですから……。


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5月10日(火) 民主党政権は「エネルギー基本計画」を根本的に転換するべきだ [民主党]

 中部電力は菅首相の要請を受け入れ、浜岡原発の全炉を数日中に停止することを決めました。それは、「2~3年後の運転再開へのめどが立ち、菅政権から電力供給などの支援の確約も得られたと判断したためだ」(『朝日新聞』5月10日付)といいます。
 つまり、今回の全炉停止は将来的な再開を前提にしたものだということになります。民主党政権の原子力政策が転換したためではありません。

 同じ『朝日新聞』には、「原子力政策について、政権が新たな方向性を湿せたわけではない」として、「原発政策の基本は変わっていない」という枝野官房長官の9日の会見での説明や、「戦略、政策としては原発を堅持する」としている仙谷官房副長官の発言が紹介されています。

 5月7日付のブログ「浜岡原発の原子炉の運転停止は当然だけれど」で、私は「浜岡原発だけでなく、他の原発も、できるだけ早く稼働停止にして廃炉にするべきです。再生可能で危険性の少ない自然エネルギーへの転換を前提としたエネルギー政策へと転換するべきでしょう」と書き、次のように指摘しました。

 しかし、現実には、そうなっていません。今日の『東京新聞』には、「原発の緊急安全対策を進めて『安全宣言』を早期に行うことで既設の原発からの電力供給を確保し、2030~50年には『世界最高レベルの安全性に支えられた原子力』をエネルギー政策の3本柱の一つとするとした、経済産業省の内部文書が明らかになった」ことを報じています。
 エネルギー政策は、基本的に変わっていないということです。うがった見方をすれば、「安全宣言」をして「既設の原発」を救うために、最も危険であるとされている浜岡原発を犠牲にしたという見方も可能です。
 浜岡原発の稼働停止を打ち出すことによって、他の原発の稼働を維持できるようにし、同時に、国民の喝采を浴びて政権基盤を強めようと考えたのかもしれません。今回の「英断」は、菅首相の「高騰戦略」なのかもしれないのです。(以上、引用終わり)

 『朝日新聞』が報じている枝野さんや仙谷さんの発言は、私のこの指摘を裏付けているように思われます。
 しかし、同時に、菅首相は別の可能性も示唆していました。エネルギー政策を転換する可能性です。
 『朝日新聞』の記事は、先ほどの枝野さんや仙谷さんの発言に続いて、菅さんの次のような発言も報じていました。

 首相はこれまで「原子力、エネルギーせー策は(今回の)事故の検証を踏まえ、改めて議論する必要がある」と指摘。2030年までに14基以上の原発を新増設するとした現行のエネルギー基本計画についても「決まっているからそのままやるということにはならない」としており、新増設の凍結や太陽光、風力などの新エネルギーの推進などを議論していく意向だ。(以上、引用終わり)

 ここで言及されているエネルギー基本計画こそ、原発推進を明示した元凶です。民主党政権は首相の言葉どおり、「決まっているからそのままやるということ」ではなく、明確にこれを転換しなければなりません。
 かつて、民主党の03年の衆院選マニフェストには「風力や太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発普及のため、新エネルギーに関連する予算を現行より倍増させます」と書かれていました。
 原子力発電を過渡的エネルギーと位置づけ、太陽光や風力発電などへの転換を目指す姿勢を明確にしていたのです。この地点に立ち戻るべきでしょう。

 ところが、09年のマニフェストでは、「国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます」と原発推進に転じてしまいました。その後は、原発輸出を「国家戦略プロジェクト」にするなど、自民党政権以上に原発政策に肩入れすることになります。
 このような民主党政権の転換を明確にしたのが、10年6月18日に閣議決定された「エネルギー基本計画」でした。これは自民党政権時代の02年6月に制定された「エネルギー政策基本法」に基づいて03年10月に策定された「エネルギー基本計画」を改定したものです。
 この計画は3年ごとに検討を加えて必要に応じて改定されることが定められており、07年3月に第1次改定が実施されました。したがって、10年6月の改定は第2次ということになります。

 この「基本計画」の第2章は「2030年に目指すべき姿と政策の方向性」となっており、その第2節「エネルギー源のベストミックスの確保」では、「非化石エネルギーの最大限の導入、化石燃料の高度利用等により、エネルギー源のベストミックスを確保する」とされています。
 そして、「我が国のエネルギー安全保障の強化に資する原子力や再生可能エネルギーなどの非化石エネルギーについては、政策総動員により、最大限の導入を図る」として、「原子力は、供給安定性・環境適合性・経済効率性を同時に満たす基幹エネルギーである」と書かれていました。こうして、「原子力は、……基幹エネルギー」としての位置づけを与えられ、「安全の確保を大前提として、国民の理解と信頼を得つつ、新増設の推進、設備利用率の向上等により、積極的な利用拡大を図る」ことが打ち出されます。
 続いて第3節は、「政策手法のあり方」となっており、「2.原子力発電の推進」の「(1)目指すべき姿」では、「原子力発電を積極的に推進する」「核燃料サイクルは、……確固たる国家戦略として、引き続き、着実に推進する」と述べています。そのうえで、具体的な目標として、次のような方針が掲げられていました。

 まず、2020 年までに、9基の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約85%を目指す(現状:54 基稼働、設備利用率:(2008 年度)約60%、(1998年度)約84%)。さらに、2030 年までに、少なくとも14 基以上の原子力発電所の新増設を行うとともに、設備利用率約90%を目指していく。これらの実現により、水力等に加え、原子力を含むゼロ・エミッション電源比率を、2020 年までに50%以上、2030 年までに約70%とすることを目指す。(以上、引用終わり)

 同時に、「核不拡散、原子力安全、核セキュリティを確保しつつ、我が国の原子力産業の国際展開を積極的に進める」ことも、打ち出されていました。今から見れば、まことにとんでもない「基本計画」だったと言わざるを得ません。
 菅首相が「決まっているからそのままやるということにはならない」というのは、あまりにも当然のことなのです。かつて自公政権が敷いた原発推進路線をそのまま引き継ぐようなエネルギー政策は、きっぱりと転換しなければなりません。
 かつての民主党が打ち出していた「風力や太陽、バイオマス、波力・海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーの開発普及のため、新エネルギーに関連する予算を現行より倍増させます」という03年のマニフェストこそが時代を先取りするものであり、福島の教訓を踏まえた次代のエネルギー政策であるということができるでしょう。

 今からでも遅くはありません。エネルギー基本計画を根本的に転換するべきです。
 この点でこそ、政権交代の意味と菅首相のリーダーシップが問われているのだということを、是非、自覚していただきたいものです。

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2月18日(金) 「漂流」どころか座礁寸前の菅政権 [民主党]

 明日、福岡で講演します。その表題を、「菅政権の漂流と労働運動の役割」としましたが、菅政権は「漂流」どころではありません。
 党内新会派の結成で、予算関連法案の成立はほとんど絶望的になりました。漂い続けてきた菅政権ですが、もうすぐ岩か浅瀬に乗り上げて座礁しそうです。

 昨日、渡辺浩一郎衆院議員(比例東京ブロック)ら比例単独当選の16人が「民主党政権交代に責任を持つ会」と称する新会派の立ち上げを表明しました。予算関連法案にも反対する可能性があり、これらの法案の年度内成立は絶望的です。
 これまで菅首相は、参議院での成立のために公明党に働きかけ、同時に、参議院で否決されても衆議院で再可決できるようにするために、社民党の協力を求めてきました。しかし、内閣支持率の低さもあって公明党は対決姿勢を強め、他方、社民党は普天間基地の移設費用や企業減税などの撤回を求め、公債発行のための特例法案にも反対する姿勢を示しています。
 今回の新会派結成騒動によって社民党は協議を打ち切るようです。いよいよ、菅政権は追い込まれることになりました。

 今回の新会派に参加した16議員は、いずれも比例単独で当選した人々です。総選挙になった場合、公認され、比例名簿に登載されるかどうかは執行部のさじ加減一つで決まります。
 いずれも「小沢グループ」と見られていた人々ですから、選挙になれば公認されるのは難しいと考えたのでしょう。「それなら、新党を立ち上げて独自の名簿を出そう」と準備を始めたのかもしれません。
 これらの人々を中核に、たとえば「新民主党」などのような新党結成へと動いていく可能性は充分にあるでしょう。この動きの背後には、「解散・総選挙は近い」という小沢さんの見通しが大きく影響しているように思われます。

 小沢グループを中心に新党が結成されれば、国民新党や社民党との連携、あるいは合流の可能性も出てきます。この新勢力と、菅さんの民主党、それに自民党との「天下三分の計」を、小沢さんは考えているのかもしれません。
 そうなれば、菅政権が立ち往生することは明らかです。予算関連法案や重要法案の成立に向けて、なりふり構わず自民党に泣きつくかもしれません。
 自民党は条件付きで、一部の法案に賛成する可能性があります。その条件というのは、衆議院の解散・総選挙でしょう。

 早くて、4月の統一地方選挙のとき、遅くても通常国会後の7月ころまでには、衆議院の解散・総選挙があるのではないでしょうか。今年の夏までに総選挙があるのは、ほぼ確実だと思われます。

 ということで、明日、昨年3回も行った博多に、今年も行くことになりました。エフコープ生協労働組合の皆さん、お世話になりますが、よろしくお願いいたします。
 実は、7月にも博多で講演することが決まっています。そのときには、一体、誰が首相になっているのでしょうか。


1月13日(木) 民主党は「裏切りの政治」から抜け出すべきだ [民主党]

 与謝野さんが、たちあがれ日本を離党して入閣するというニュースが流れました。通常国会の開会を前に、政局が動き始めたということでしょう。私も、動き出すべき時が訪れたようです。

 与謝野さんの離党と入閣には、二つの意味があるように思えます。一つは、消費税の税率アップに向けて本格的な取り組みを始めるということであり、もう一つは、国会の「ねじれ解消」に向けての工作に着手したというこでしょう。
 菅首相は、社会保障改革と税制改革を一体として検討し、6月までに結論を出すといっています。その担当者に与謝野さんを据えて、消費税率の引き上げに向けての道筋を付けようというわけです。
 それだけでなく、自民党や公明党にパイプのある与謝野さんを通じて、多数派工作を行うということも、当然、考えているはずです。与謝野さんが新党改革に入り、この工作に舛添さんを巻き添えにするということも、充分にあり得るでしょう。

 民主党大会や全国幹事長会議で「民主党離れ」が指摘され、批判や不満が噴出しました。これに対して、菅さんは「反転攻勢」を宣言したそうです。
 「民主党離れ」というのは間違いです。国民が民主党から離れたのではなく、民主党が国民から離れたからです。
 「反転攻勢」という意味は何でしょうか。「国民の生活が第一」というマニフェストから「反転」し、国民生活に対する「攻勢」を強めようというのでしょうか。

 NHKテレビの番組「クローズアップ現代」に岡田幹事長が出演し、「これまでやってきた成果が充分に伝わっていない。問題がなかったわけではないが、それ以上に多くの成果があったことを、民主党議員は胸を張って伝えていくべきだ」と話していました。菅首相も、情報発信力の問題だと考えているようです。
 でも、これは大きな間違いです。菅首相も岡田幹事長も、事柄の本質を見誤っています。
 実際には、「成果がなかったわけではないが、それ以上に多くの問題があった」と言うべきでしょう。だから、民主党議員は胸を張りたくても張ることができず、国民は成果を実感したくても自民党時代と変わらないのではないかと思ってしまうのです。

 問題はハッキリしています。やってきたことがちゃんと伝わっていないのではなく、やってきたことが間違っているのです。
 それ以上に、これからやろうとしていることは更に大きな間違いを生み出す可能性が高いという点に、最大の問題があります。間違ったことをやっている限り、それを正確に伝えれば伝えるほど、国民の失望は高まるだけでしょう。
 国民が民主党に政権を委ねたのは、自民党のような政治から脱却してもらいたいと願ったからです。この願いをしっかりと受け止め、自民党政治からできるだけ遠くに離れていくことが民主党の歴史的使命でした。

 民主党に託されたこの使命を実現できなかったから、国民は裏切られたと感じているのです。自民党政治への回帰は国民を失望させるだけで、期待に応えるものとはなりません。
 こんな簡単なことが、民主党中枢の幹部連中にどうして分からないのでしょうか。民主党の中でも、国民に接触している前線部隊は、このことを充分に分かっているはずです。
 だから、地方や下部組織、1年生議員などから、不満や批判が噴出するのです。「小沢問題」を解決して党がまとまったとしても、一丸となって自民党政治に回帰するなどということでは、このような不満や批判がなくなるはずがありません。

 民主党の生き残る道は、「裏切りの政治」から抜け出すことにしかないのです。日米同盟の強化、消費税の増税、新自由主義の復活などではなく、自民党政治からの可能な限りの離脱と脱却こそが、「反転攻勢」を可能にする唯一の道なのです。
 自民党政治は失敗したからこそ、政権を失いました。成功への第一歩は、そのような失敗から教訓をくみ取り、その失敗を繰り返さないというところから始まるのですから……。

9月17日(金) 出口のない閉塞空間に入り込んでしまった日本の政治 [民主党]

 政治の閉塞が指摘されています。昨日のブログで指摘した政治改革の害毒が、選挙を通じて浸透してきた結果にほかなりません。

 昨年の政権交代で、自民党中心の政権は国民によって拒否されました。しかし、それに代わって登場した民主党中心の政権も、日本政治の打開策を提示できず、迷走を繰り返してきたことは、皆さんご存知の通りです。
 今回の代表選は、そのような迷走から抜け出す一つのチャンスであったと思います。しかし、その代表選であってもなお、昨日のブログで指摘したように、根本的な転換の方向は示されませんでした。
 結局、政権選択において、あれ(自民党中心の政権)もダメ、これ(民主党中心の政権)もダメ、ということになりそうです。そればかりではなく、民主党の代表選でも、結局は、あれ(菅さん)もダメ、これ(小沢さん)もダメ、ということだったわけです。

 「ダメさ加減」の少ない方の選択として民主党中心の政権が維持され、その政権の担い手として、やはり「ダメさ加減」の少ない菅さんが選ばれたというのが、この間の経過にほかなりません。誠に、不毛な選択というほかないでしょう。
 政治とは、もともと「より小さな悪」の選択という性格があります。ですから、「ダメさ加減」の少ない方を選ぶことは、政治本来のあり方かもしれません。
 しかし、どちらを選んでも、すっきりとした解決策が示されないというのは、何ともやりきれないものです。根本的で正しい解決に向けての選択肢があるのに、それを選ぶことができないもどかしさを感じます。

 今、日本の政治は、出入口が一つしかない部屋に入っているようなものかもしれません。民主党中心の政権という部屋です。
 この部屋が気に入らない場合には、その一つしかない出入口から出て、もう一つの部屋に入るしかありません。自民党中心の政権という部屋です。
 そしてその部屋は、もう居るに耐えられないということで昨年の秋に出てきたばかりの部屋です。それ以外の部屋に入ることのできる可能性は、今のところ、現実的な選択肢とは考えられません。

 こちらの民主党中心の政権という部屋か。あちらの自民党中心の政権という部屋か。
 それ以外の部屋には移ることができない閉じた空間。これが今、日本の政治が入り込んでしまった場所なのです。
 閉塞とは、出口のない状態のことを言います。日本政治の現状は、まさにそのような出口のない状態に入り込んでしまいました。
 それは、「2大政党制」になってしまったからです。そうなったのは、偽りの政治改革のお陰でした。この嘘に騙されて、小選挙区制を導入してしまったからです。

 小選挙区制と2大政党制による閉じた空間から、抜け出そうとしている国があります。菅・民主党政権がお手本としているイギリスです。
 今年の5月の総選挙で、2大政党制的構造に穴が空きました。自由民主党が勢力を伸ばし、第3党としての地位を固めたからです。
 第1党の保守党も第2党の労働党も、ともに過半数を得られず、第3党の自民党がキャスチング・ボードを握りました。その結果、小選挙区制を改革することも課題としつつ、保守党と自民党の連立政権が発足しました。

 イギリスは、何とか2大政党制という閉塞空間から抜け出そうと苦悶しています。その空間に、日本の政治は入り込んでしまったのです。
 その空間からの出口をうがつべきときに、菅政権は比例代表定数の削減などというあべこべの政策を強行しようとしています。何という愚かなことでしょうか。


9月16日(木) 民主党の代表選でも打開策が示されなかった日本政治の重要問題 [民主党]

 民主党の代表選では、菅さんと小沢さんの論戦が華々しく展開されました。それなりに、政策論争がなされ、両者の政策的な違いも浮き彫りになりました。

 しかし、日本の政治を閉塞状態に追い込んでいる要因を除去するための打開策が示されたかというと、そうはなりませんでした。この点では、「ドッチもドッチ」「コップの中の争い」という醒めた見方も、必ずしも間違いではなかったと言わざるを得ません。
 両者の論戦が示したものは、確かに、政策的には菅さんよりも小沢さんの方がましだったとはいえ、両者共に明確な打開策を打ち出せず、中には逆行する方向をめざすものもありました。民主党という政党の中途半端さや曖昧さを共有していたということになります。
 この点に、民主党政権が過渡期・移行期にある中間段階の政権であるという性格が如実に示されていました。それは小沢さんの「剛腕」によっても打破しがたい、この政権の弱点と限界なのではないでしょうか。

 その第1は、政治改革によって日本政治に注入された「毒素」を、どのように除去するかという展望が全く示されなかったことです。具体的には、小選挙区比例代表並立制という選挙制度の改革問題であり、小選挙区制の撤廃に向けての展望です。
 偽りの政治改革によって選挙制度が変えられ、小選挙区制が導入されて以来、1996年、2000年、2003年、2005年、2009年と、5回にわたる総選挙が実施されました。その結果、民主党と自民党の「2大政党制」的な構造ができあがりました。
 しかし、「政治とカネ」の問題はなくならず、首相がコロコロ変わって政治は安定せず、かえって閉塞状況を強めてしまいました。それをどう評価し、どう「改革」し直すのかが、今日の日本政治における最大の課題であるにもかかわらず、菅さんも小沢さんもそのような問題意識は極めて希薄で、小選挙区制をなくすどころか比例代表定数の削減などという逆の方向をめざそうとしています。

 第2は、構造改革によって国民生活と国内市場が破壊され、貧困と格差の拡大という災厄に見舞われた日本経済をどう立て直すかという見取り図が描かれなかったことです。具体的には、税制改革や社会保障改革、財源問題をどうするのかという点です。
 構造改革による打撃やリーマンショック後の世界不況の後遺症などによって、日本は消費不況に陥り、デフレ・スパイラルの悪循環から抜け出せなくなりました。その打開策は可処分所得の増大による家計の再建であり、そのためには、第1に収入を増やすこと、第2に支出を減らすこと、第3に将来への希望を与え、不安を無くすることです。
 しかし、菅さんは企業減税を言い、小沢さんも基本的には金持ち減税と受け取られるような方向を打ち出し、庶民の家計をどう豊かにするかという点で充分な施策が示されませんでした。消費増税という点では、小沢さんは当面引き上げないとすることで菅さんとの違いを示しましたが、将来的な消費増税については曖昧であり、それに代わる説得的な財源論も提示できませんでした。


 第3は、自民党政治の負の遺産をどう解決するかという将来像が明らかにされなかったことです。具体的には、沖縄の米軍普天間基地の撤去をはじめとした在日米軍基地の整理・縮小という問題です。
 この点でも、「日米合意」の順守を言う菅さんより、見直しを示唆した小沢さんの方がましだったと言えます。しかし、その小沢さんにしても、具体策を問われて「文殊の知恵」とはぐらかし、ハッキリとした見通しを示すことができませんでした。
 まして、日米安保条約改定50周年を機に日米同盟のあり方を再検討・再定義し、将来的には在日米軍基地を整理・縮小するという展望の下に、普天間基地の移設ではなく撤去をアメリカに求めていくという方向ではありません。残念ながら、沖縄県民が望んでいるであろう、この最善のシナリオを、菅さんも小沢さんも提起はおろか、想像すらできなかったのではないでしょうか。

 このように、①政治改革の害毒を除去するために、選挙制度を再改革してより民意が反映されるような形にすること、②構造改革の過ちを是正するために、大企業や金持ちから庶民へと富を再分配して購買力を高め、内需を再建すること、③日米同盟の軍事的性格を薄めるために、在日米軍基地の撤去の方向性を明確にし、その最初の例として沖縄の普天間基地を撤去することこそ、今日の日本政治がめざすべき閉塞打開の道です。しかし、菅さんも小沢さんも、というより民主党自体が、このような政策構想を打ち出すことができていません。
 今回の民主党の代表選は、このような根本的な打開策を明らかにして信を問う一つの機会でした。しかし、いずれの候補者からもこのような方向性は示されず、民主党政権の制約と限界が明らかにされたにとどまりました。誠に残念というほかありません。

 今後の菅政権は、このような制約と限界を乗り越えることを、客観的には、課題としていることに気がつくでしょうか。もし、それを課題として取り組まなければ、日本政治の閉塞状況を打ち破ることはできず、菅政権もまた、国民に見離されるにちがいありません。


9月15日(水) 菅首相を待ち受ける「内憂」と「外患」 [民主党]

 民主党の代表選が終わりました。開票後、勝利した菅さんに笑顔はなかったと報じられています。

 それもそうでしょう。菅首相の完勝(菅勝?)とされていますが、必ずしもそうではないからです。
 党員・サポーター票で大差がついたのは、勝者が1ポイントを獲得する「小選挙区」だったからです。実際の得票率は6対4の割合で、地方議員票と同じでした。
 しかも、国会議員票はほぼ互角で、菅さんが上回ったのは議員の数ではたったの6人にすぎません。つまり、菅さんと小沢さんの勢力比は、5.5対4.5くらいの差しかなかったということになります。

 とりわけ、国会議員の支持が真っ二つに割れたのは、今後の党運営にとって大きな牽制力となるでしょう。小沢グループをそれなりに処遇しなければ、民主党議員の半分はついてこないということになりますから……。
 これは、菅首相にとっての大きな「内憂」を意味します。一見すると「菅勝」に見えるものの、一皮むけば、反感(反菅?)が溢れているというわけです。
 そのうえ、菅さんに対する支持も、「首相をコロコロ変えるのはどうも」「小沢さんは困る」などという消極的なものです。「菅でなければ」という強固な支持ではありません。

 菅さんを待ち受けているのは、「内憂」だけではなく「外患」もあります。というより、こちらの方がもっと深刻でしょう。
 衆院と参院での多数が異なるという「ねじれ国会」を、どう乗り切るのでしょうか。いよいよ臨時国会が始まり、菅首相の手腕が問われることになります。
 小沢さんという険しい山を越えたと思ったら、今度は「ねじれ国会」という「底なし沼」が待ちかまえているというわけです。郵政改革法案や労働者派遣法改正案など、前の通常国会から持ち越した重い荷物を背負いながら、無事にこの沼を渡り切ることができるでしょうか。