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12月25日(火) 国民福祉に回らず混乱ばかり引き起こすことになる消費増税は中止すべきだ [消費税]

 来年10月1日からの消費再増税に向けて、着々と準備が進んでいます。しかし、増税によって税負担が増えるだけで、社会保障の充実も経済対策の恩恵も受けられないだけでなく、景気対策でも大混乱が生ずることは確実です。
 昨日アップした『日刊ゲンダイ』の記事で私は「まさに踏んだり蹴ったりです」とコメントしました。しかし、正確に言えば「踏んだり蹴ったり、殴られたり」というところでしょうか。
 
 茂木経済再生担当相は20日の経済財政諮問会議で消費税増税への対策に、防災関連の公共事業や自動車、住宅に関する減税など合計2兆3000億円程度を充てると表明しました。増税による経済への悪影響を上回る景気刺激策を実施することで「影響を十二分に乗り越えられる」と述べたそうです。
 自動車や住宅への減税は額も大きいですから、減税されれば助かる人はいるでしょう。しかし、その恩恵を受けられるのは自動車や住宅を購入できる資産のある人だけです。
 そのような多額の購入資金を持たない低所得層には、全く関係のない話ではありませんか。「金持ち減税」による消費税対策にすぎず、庶民への恩恵などは限られています。

 来年度予算案は初めて100兆円を突破しました。キャッシュレス決済時のポイント還元制度やプレミアム付き商品券など、消費税増税の経済対策が2兆3000億円に膨らんだためです。
 しかし、この増税のための経済対策が新たな混乱を引き起こす要因にほかなりません。共産党の小池晃書記局長が、消費税率が実質何段階にもなるのではないか、複数税率とポイント還元でわけが分からないとツイッターで批判している通りです。
 消費税の税率は基本的に現行の8%から10%に引き上げられますが、食料品などは8%、フランチャイズで食料品を買うと6%、中小商店で買うと5%、中小商店で食料品などを買うと3%になります。加えて、複数の事業者が商品の転売を繰り返せば際限なく5%分を入手できたり、小売りでなくても還元されたりする「抜け穴」まであります。

 つまり、商品をどこで買うか(フランチャイズか中小商店か)、何を買うか(食料品かそうでないのか)、どのように買うか(カードか現金か)によって、支払う税率がバラバラになってしまうのです。これでは商売の現場が大混乱に陥ることは明らかではありませんか。
 12月20日、日本スーパーマーケット協会など小売業界3団体は消費税増税への対策について政府に再検討を求める要望書を提出しました。キャッシュレス決済のポイント還元策に対し、消費者の利便性や公正競争の面から強い懸念があるというのですが、それも当然でしょう。
 要望書は中小の小売業では5%還元されるのに大半のスーパーには還元されず、同じ地域にポイント還元する店舗としない店舗が混在し、還元対象とならない店舗が対抗するために値引き策を余儀なくされて価格競争が激化し、公正で自由な競争環境をゆがめるなどと厳しく批判しています。また、小売業の多くが軽減税率導入に向けた対策や準備に追われ、キャッシュレス決済還元策への対応が現場の混乱を招きかねないというのです。

 本来ポイント還元などで助かるはずの小売業界の団体が反対するような対策に効果が期待できるはずがありません。低所得層などへのプレミアム付き商品券にしても、景気対策としての効果がほとんどないことは、これまでの経験で実証済みです。
 消費税を2%上げれば5兆円の増税が期待できるとされていますが、景気へのマイナスの影響を緩和するための対策に半分近くの2兆3000億円も支出され、その対策が混乱を引き起こすだけだというのですから、一体なんのための増税なのでしょうか。
 増税は嫌だけれど社会保障の充実のためなら仕方がないというのが、国民の良識的な容認論かもしれません。しかし、消費増税の半分近くが消費への影響緩和のための景気対策につぎ込まれ、その他の収入は企業減税によって生じた穴埋めや必要でもない米製兵器の爆買いの原資とされているのが実情です。

 社会保障に回らないどころか、年金や生活保護費などは削られているではありませんか。本当のことを「知らぬは国民ばかりなり」ということになります。
 このような消費増税には何のプラスもなく、所得格差を拡大して消費を冷え込ませるマイナスしかありません。天下の愚策であり、直ちに中止するべきです。

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9月21日(木) 対談 「安倍改憲」を阻む道と「なくす会」の運動 [消費税]

〔以下の対談は、私と消費税をなくす全国の会事務局長の木口力さんとでなされたものです。消費税をなくす全国の会の機関紙『ノー消費税』第313号、2017年9月号、に掲載されました。〕
 
 「全国の会」は9月30日に第28回総会を迎えます。総会を前に、東京都議選(7月2日投開票)後の情勢と「全国の会」が果たした役割などについて、法政大学の五十嵐仁名誉教授(大原社会問題研究所元所長)と「全国の会」の木口力事務局長が話し合いました。(8月4日)

 都議選の自民大敗で潮目変わった

 ―7月2日投票の都議会議員選挙で自民党の歴史的大敗という結果を喫し安倍内閣への厳しい審判が下されましたが。

 五十嵐 そうですね。都議選で潮目が変わった。自民党が歴史的惨敗を喫しました。私は「驚天動地」の結果だったと言っています。都民は「安倍よ、アバヨ」という結果を出したわけです。
 その敗因は一つではなく、重層していました。築地市場移転問題の混迷にみられる都政の闇、「森友」「加計」問題にみる安倍首相夫妻の国政私物化、南スーダンへのPKO派遣での日報隠蔽(いんぺい)問題などの政治と政治家の劣化です。
 都議選で「今度ばかりは」という「非自民」票は都民ファーストへ行き、「きつい一発を」という「反自民」票は共産党に投じられました。これまで新党ができて伸びると埋没してきた共産党が32年ぶりに連続議席増となった。ぶれない反アベ・反自民、築地再整備という一貫した対応、市民と野党との共闘の成果などがあげられると思います。

 木口 今話されたような情勢をつくりだすうえで私たちも全力を尽くしてきました。今年になって、役員会で都議選は、東京の問題であるとともに、安倍政権の国政私物化・情報隠蔽、共謀罪・憲法9条改悪での暴走に審判を下す絶好の機会と話し合ってきました。
 そのことを「会報」等で全国各地の会員、読者に知らせ、それぞれの思想・信条に基づいて、「なくす会」や会員とともにたたかおうと呼びかけてきました。「全国の会」も毎月の東京・巣鴨駅での定例宣伝で訴えてきました。
 街頭では、「暮らしは大変。スーパーの安売りを探して買い物に行く」と怒りが寄せられます。そして「森友、加計問題の実態が次々明らかになり、本当に許せない。もう安倍首相の顔も見たくない」と声が寄せられ、激励が相次ぎました。

 9条改憲への「逆風」 運動の成果

 ―こうした情勢はどうしてもたらされたのでしょうか。

 五十嵐 安倍首相は「戦争する国」づくりへと着々と手を打ってきました。起承転結で理解できます。まず日米同盟の機密を守るための特定秘密保護法をつくり(起)、安保法制で自衛隊がアメリカ軍とともに地球のどこへでも出動できるようにし(承)、「共謀罪」法によって反対運動を押さえる(転)。そして、仕上げの「結」が9条改憲です。これで決着させようとしてきたわけですが、最後のところが怪しくなってきました。内閣改造で切り抜けようとしていますが、「9条改憲の意図」そのものは変わっていません。思いのほか「逆風」が強まってきたから、必死に頭を下げて突破しようとしているわけです。
 しかし、この「逆風」の強まりというのが大事で、これはこれまでの運動によって生み出された成果だと言えます。振り返ってみますと、2008年の「派遣村」、11年の福島原発事故を契機にした反原発・原発ゼロをめざす運動、13年の秘密保護法に反対する運動が15年の「安保闘争」につながり、17年の「共謀罪」反対の運動に結び付いているわけです。これらの運動を引き継いで、9条改憲に反対する運動が発展してきているのではないでしょうか。
 このようななかで市民と野党との共闘が生まれてきた。とりわけ、15年の「安保闘争」の中で「野党は共闘」という声が市民の中から沸き上がってきました。この野党共闘に立憲野党としての共産党が含まれている―これが重要で、いままでにない大きな特徴です。共産党が安保法の成立直後に国民連合政府構想を打ち出して展望を示したことも、大きな意義を持ちました。
 この共闘の構想が16年の「5党合意」で具体化され、この年の参院選での1人区すべてでの統一候補の実現へとつながりました。そして新潟知事選での勝利など市民と野党との統一の流れは広がり、その後の世論の変化に大きな影響を与えてきました。これがアベ暴走政治追及の運動がつくってきた大きな成果であり、運動の到達点だと思います。

 木口 私たちは、消費税一点での個人加盟の市民団体ですが、増税反対とともに、戦争法(安保法制)廃止、共謀罪阻止の署名、抗議、要請などにもとりくみ、大きな役割を発揮してきました。
 なぜ「会」が戦争法や共謀罪に反対するのか。1つは、「消費税、憲法変えれば戦争税」と訴えてきたように、消費税が戦争の財源になっているからです。さらに、戦争はいうまでもなく人の命を奪うとともに、暮らし・福祉・教育をズタズタにしてしまうからです。戦前、軍事予算は平時の2~3割から、第2次大戦が始まると7割になり、終戦直前は85%になっていました。増税反対では、8%増税後の2回目の生活実態調査にとりくみ、「生活が苦しくなった」方が84%にのぼり、「医療の負担が重い」と答えた方が7割を超えていることを明らかにし、社会にアピールしてきました。
 この間、私たちは消費税10%を世論と運動で2度食い止めてきました。これは7割以上の増税反対の世論、消費税廃止各界連とともに10%中止の1064万人の国会請願署名、野党4党が「今年4月の増税反対で一致」し、安倍政権を追いつめてきたためです。
 「会」独自には、2月、6月に野党4党に生活実態を届け、「10%中止・当面5%に」を要請してきました。

 これからの課題は?

 ―これからのたたかいですが、課題は。

 五十嵐 安倍首相は「戦争する国」づくりのために消費税を上げて防衛費を増やしてきました、これにたいしてどう闘うかが私たちの課題です。この間の運動の経験と教訓からすれば、市民と立憲野党との共闘が「勝利の方程式」になっています。違いを前提にした共同、リスペクトしエールを交換できる関係を築く。都議選でも6選挙区で統一し、21選挙区で党派間での支援・共闘があり、勝手連の動きもありました。党派の違いを越えて勝つために力を合わせる新しい政治文化が生まれてきています。
 消費税に反対するとともに、それに頼らない税収増の構想を同時に訴える必要があります。たとえば金融取引に対する課税です。累進課税の強化や内部留保に対する課税なども必要です。取りやすいところから取るのではなく、「とるべきところから取る」ことが必要で、反消費税の運動でも市民と野党との共闘を実現しなければなりません。

 木口 私たちも増税反対とともに安倍暴走内閣ストップの運動の一翼を担っていきます。
「なくす会」は、消費税を廃止することが目的です。当面10%中止・5%にもどすことを求めています。そのためには、国会の力関係を変えることが必要です。
 増税反対の世論と運動を広げ、選挙では、自公与党を少数にし、私たちの要求を掲げる政党・議員を多数国会に送りだすことです。そのため市民と野党共闘の前進に力をつくします。
野党4党の党首会談で「17年4月からの消費税10%への引き上げに反対する」(16年5月20日)で一致したことは、私たちに大きな励ましを与えています。
 さらに市民連合と野党4党との間で「貧困の解消、累進所得税、法人課税、資産課税のバランスの回復による公正な税制の実現(タックスヘイブン対策を含む)」(16年6月7日)で一致したことは大きな意味をもちます。
 10%増税まで2年あります。学習会や宣伝・対話を広げ、1千万人を超えた各界連の署名とともに、「会」独自に進めている「10%中止・当面5%に」の署名をすすめ、地元国会議員や地方議会要請などにも旺盛にとりくみます。
 当面9月30日の全国総会にむけて、「草の根の会、会報読者、会員」を増やし、大きな会をつくるようにしたいと思っています。 

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10月3日(木) 消費増税8%の本質は庶民増税・企業減税にほかならない [消費税]

 「生活が大変になる」と、マスメディアは大騒ぎです。安倍首相が来年4月から5%の消費税を8%に引き上げることを最終的に明らかにしたからです。

 消費税が3%引き上げられれば8兆円の負担増になるといいます。しかも、今までのように減税と抱き合わせということではなく、今回は純粋の増税になりますから国民の負担感はさらに大きなものになるでしょう。
 「だから、あの時反対すべきだったんじゃないか」と言いたくなります。消費増税に賛成し、それを焚きつけたマスメディアは自らの罪の大きさを反省するべきでしょう。
 「でも、総選挙と参院選の2回の国政選挙で承認されたのではないか」と言いたい人もいるでしょう。しかし、この消費増税問題は、民主党に対する懲罰(総選挙)やアベノミクスへの期待感(参院選)などの陰に隠れ、マスコミが「ねじれ解消」を騒ぎ立てたために、参院選でも十分な争点にはなりませんでした。

 今回の消費増税そのものは、昨年夏の3党合意によって決まっていました。ですから、本来の責任は、増税に合意した野田前総理と谷垣前自民党総裁、それに山口公明党代表にあります。
 しかし、安倍首相はその路線を踏襲することなく、今回、60人からの有識者の意見を聴取したうえで最終的に8%への引き上げを決断し、10月1日夜の記者会見で正式に発表したわけです。もともと安倍首相は消費増税に積極的な「財政再建派」ではなく、経済成長による税収増を重視する「上げ潮派」に近かったため増税には消極的で、消費増税によって景気が腰折れすることを恐れていたからです。
 今回の安倍首相の決断によって、消費増税は「野田増税」から「安倍増税」に性格を変えたと言って良いでしょう。もし、増税によって景気回復が遅れ、デフレから脱却できなかったとしたら、その責任は安倍首相が負うことになります。

 それにしても、奇異なことです。今回の消費増税は「税と社会保障の一体的改革」だったはずなのですから……。
 それがいつの間にか、経済成長のための消費増税へと大きく変質してしまいました。増税の目的であった財政再建や社会保障の充実は、一体、どうなってしまったのでしょうか。
 財政は再建されるどころか、5兆円の経済対策とセットになったため借金が増え続けることになります。社会保障は充実されるどころか、年金など切り下げられる部分もあり、利用者の負担が増えます。

 それだけではありません。5兆円を超える経済対策には被災地の災害復旧だけでなく東京五輪に対応する交通・物流ネットワークの整備なども組み込まれ、バラ撒き型の公共事業が目白押しです。
 また、経済対策を名目にした法人減税が押し込まれ、復興法人税の1年前倒し終了やその後の法人実効税率の引き下げという企業減税が組み込まれています。今回決定された消費増税8%の本質は、庶民増税・企業減税にほかならないと言うべきでしょう。
 安倍首相は記者会見で「法人対個人という考え方を私はとらない。企業収益が伸びていけば、雇用が増え、賃金が増えていけば家計も潤う」と強調しました。しかし、いずれも「……すれば」という仮定の話にすぎません。一体どこに、そうなるという保障があるのでしょうか。

 今回の決定に際して、安倍首相は財務省や自民党の税制調査会、公明党などの抵抗や反発を抑え込むことに成功したようです。しかし、世論の反発を抑え込むことはできるのでしょうか。
 このようなあからさまな庶民増税・企業減税が国民の理解を得られるのでしょうか。消費増税の是非をめぐる攻防は、来るべき臨時国会での大きなテーマとなるにちがいありません。

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8月11日(土) 「一体改革」という「改革(リフォーム)詐欺」によって消費増税関連法は成立したけれど [消費税]

 ロンドン五輪の喧噪の陰に隠れて、いつのまにか消費増税関連法が成立してしまいました。こんなに多くの人が批判し、国民の多数が反対しているのに……。

 今日の『朝日新聞』を見て、呆れてしまいました。2面と3面に、「伸びぬ税収 歳出拡大」「財政再建 険しい道」「思い重税 細る家計」「節約生活 次は消費税」「地方・企業も深刻」「社会保障の充実 限定的」「給付抑制の議論 再浮上も」、8面には「課題、山積みのまま」「公共事業に転用の恐れ」「買い控えで景気悪化も」「低所得者対策は先送り」、9面にも「保険料含め年30万円負担増」「所得低いほど家計に影響」という見だしが並んでいたからです。
 今回の「一体改革」には、これだけの問題があることを『朝日新聞』も認めているのです。それなのに、どうしてこれを支持し、その成立を焚きつけてきたのでしょうか。
 なぜ、「民主、自民の2大政党が、与野党の枠を越え、難題処理にこぎつけたことをまずは評価したい」(社説「一体改革成立 『新しい政治』の一歩に」)などと書くのでしょうか。民自2大政党の密室談合と合意によって議会制民主主義が破壊され、「新しい」「難題」が生み出されたというのに……。

 財政赤字を放置すれば「将来にツケを回す」ことになるのは明らかですが、ここまで赤字を拡大させたのは自民党の利益誘導型バラマキ政治ではありませんか。その尻ぬぐいを国民にさせようという魂胆が間違っています。
 税収を増やして借金を減らさなければならないこともハッキリしていますが、それがどうして消費税の増税ということになるのでしょうか。支払い能力のある金持ちや大企業への増税という「応能負担」によって庶民増税を避けなければ、家計と中小企業は大打撃を被り、ますます景気は悪くなって税収は減り、将来へのツケを増やすことになってしまうでしょう。
 今日の『日経新聞』1面のコラムは「再生への一里塚」という表題になっていますが、実際には日本経済の「崩壊への一里塚」となる可能性が高いのではないでしょうか。かつて、3%から5%への消費増税と9兆円の負担増によって税収の伸びが抑えられ、景気が低迷して「失われた20年」となってしまったように……。

 しかし、消費増税法が成立したからと言って、それで増税の実施が正式に決まったわけではありません。増税を阻む手段は、まだ残っています。
 第1に、増税法の付則には「経済成長率で名目3%、実質2%を目指す」という「景気条項」があります。この経済成長率は過去10年間で一度も達成されていませんから、この「条件」をクリアーするのは簡単なことではないでしょう。
 第2に、増税に反対する民意を示し、反増税政権を生み出すチャンスが必ずあります。「近いうちに」実施されるはずの解散・総選挙、来年の夏には必ず実施される参院選で反増税の民意を明らかにし、増税の閣議決定を阻止したり、増税停止法を成立させたりすることが可能です。

 そして何よりも、その実施が近くなれば、消費増税の問題点は今以上に明らかになり、反対世論はさらに大きなものとなるでしょう。そのためには、これで諦めてしまうのではなく、消費増税反対運動をさらに大きく盛り上げることが必要です。
 来るべき総選挙は、消費増税阻止のための「関ヶ原の決戦」となることでしょう。この国会で消費増税に反対して内閣不信任決議案を提出した野党6党は、手を携えてこの「決戦」に備えてもらいたいものです。

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7月2日(月) 日本をマインドコントロールしようとしている「ザイム真理教」の脅威 [消費税]

 恐るべき「妖怪」が、日本を徘徊しているように見えます。政党と政治家、財界とマスコミ、多くの国民をマインドコントロールしてしまった「ザイム真理教」という「妖怪」が……。

 「オウム真理教」とは異なって、「ザイム真理教」は新興宗教ではありません。宗教ではありませんから、教祖もいないし、教典もありません。
 しかし、人々の心の奥深くに入り込んでその心理と行動を左右します。このような洗脳ないしはマインドコントロールによって、人々は自ら進んで破滅の道に入り込もうとしています。
 その先頭に立っているのが、財務相時代に洗脳されてしまった野田首相であり、谷垣自民党総裁であり、参院選前に消費増税10%と口走って大敗を招いた菅前首相です。まるで、笛の音でおびき寄せて子供たちを連れ去ってしまった「ハーメルンの笛吹男」のように、人々を増税へとおびき寄せ、とんでもない世界に連れ去ろうとしているわけです。

 人々が連れて行かれようとしている世界は、一体、どのようなものなのでしょうか。『東京新聞』6月29日付には「増税で暮らし重症化」という記事が出ていて、次のように書いていました。

 これで消費税が引き上げられれば家計の負担増は2016年時点で11年と比べて年間10万円以上となり、人々の生活は一層苦しくなる。長引く景気低迷とデフレにあえぎ、無駄も削減できない現状は、人の体調にたとえれば「肥満と血流低下に苦しむ慢性疾患」の状態だ。この症状のまま消費税増税という重荷を背負うことになれば、人々の暮らしや日本経済の重しとなりかねない。

 「家計負担」の増大についても、次のように指摘しています。

 社会保障と税の一体改革法案が参院に送られ、消費税増税議論に注目が集まるが、今後増えていく負担は消費税だけでない。今後次々に導入されるさまざまな増税項目が家計にのし掛かる負担増は全体でどれだけになるのか。民間シンクタンクの試算をもとに、年収ごとの影響を探った。

 というわけで、下のような「試算」が掲載されています。大和証券が試算した消費税10%時の家計の負担増は、消費税の引き上げ、消費税以外の税負担増、社会保障関連の負担増を合計していくらになるでしょうか。

○どちらか一方が働く夫婦と子供2人の場合
 年収300万円   24万9800円
 年収500万円   32万8900円
 年収800万円   43万1200円
 年収1000万円  61万6800円
 年収1500万円  75万8200円

○共働き夫婦と子供2人の場合
 年収800万円   44万8700円
 年収1000万円  52万6600円
 年収1500万円  70万3200円

 つまり、どの年収階層でも、ほとんど1ヵ月分近くの収入が消えることになります。これが、消費税が10%になる2016年の現実なのです。
 低所得者層には、それなりの対策を行うとされていますが、その内容は未定です。その場合でも、50~70万円もの負担増となる年収1000万円以上の中間層は対象になりません。
 「ザイム真理教」に洗脳された人々の目には、この現実が目に入らないのでしょうか。このような負担増を受け入れるかどうかが、今、問われているというのに……。

 その結果、『東京新聞』が指摘するように、家計の負担は増え、人々の暮らしは苦しくなり、日本経済の重しとなって財政収入の低下をもたらすことでしょう。ますます景気は低迷し、国家財政の赤字は増え、社会保障サービスは低下あるいは不安定化し、不景気と収入減を繰り返す「悪魔のサイクル」に落ち込んでしまうに違いありません。

 「オウム真理教」の麻原彰晃こと松本智津夫は、すべての魂を救済するとして日本支配を夢見て毒ガスのサリンを撒き、多くの人々に災厄を与えて犯罪者となりました。他方、「ザイム真理教」の野田首相は、財政再建を夢見て消費増税を強行し、多くの人々に重荷を負わせて日本経済を破壊することになるでしょう。

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6月8日(金) 国民不在の談合による政治決着は許されない [消費税]

 民主・自民・公明3党による、消費税増税法案などについての修正協議がスタートしました。他の野党を抜きにした舞台裏での談合であり、このような形での政治決着は許されません。

 民自公3党は6月15日までの取りまとめを目指していますが、社会保障分野で意見の隔たりは大きく、協議は難航するとみられています。特に、民主党がマニフェストで掲げた最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止などをめぐって、民自両党の意見の隔たりには大きなものがあります。
 野田首相は、G20出席のためにメキシコに向かう前日の15日までに、消費増税法案の衆院通過を図りたい考えですが、充分な時間がありません。協議がまとまるかどうかは微妙なところです。
 唯一、可能な方法は、社会保障分野での協議を先送りすることです。一部で提案されている「国民会議」などを設置して社会保障改革については1年かけて議論しようという案がこれに当たります。

 そうなれば、消費増税法案だけを先行決着させることができます。しかし、これには2つの障害があります。
 一つは、民主党幹事長の輿石さんです。輿石さんが、このような形でまとめるように動くでしょうか。
 もう一つは、民主・自民両党の内部がこの線でまとまるのかということです。今でも、民主党の幹部は「社会保障分野で合意しないまま、消費税増税法案の採決をすることはあり得ない」と話しており、自民党の若手も解散・総選挙を先送りすることになるような決着を受け入れないかもしれません。

 3党の協議がまとまったら、民主党も自民党も、それぞれの党内で了承する手続きを取ることになっています。社会保障改革の先送りと消費増税の先行決着で合意されたとしても、両党内が紛糾することは避けられません。
 そうなれば、輿石さんの思うつぼです。衆議院での採決自体を先送りし、通常国会を延長せずに会期を閉じてしまうかもしれません。
 そのような動きが見えたら、自民党は野田首相の問責決議案か内閣不信任案を出すでしょう。逃げる輿石、追う自民党という構図になります。

 この時、陣頭指揮に立つはずの野田首相はメキシコに行っており、そこから事態の推移を見守ることになります。しかし、地球の反対側から、日本の政局が良く見えるのでしょうか。
 メキシコから帰ってきたら、自らの「政治生命」が風前の灯になっていることに気がついて愕然とするかもしれません。もし、そうなったにしても、それは他の野党や国民を蚊帳の外に置いた談合政治への当然の報いだと言うべきでしょう。
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6月6日(水) 国民は消費増税のウソに気づき始めたのか [消費税]

 興味深い世論調査結果が報道されていました。今日の『朝日新聞』です。

 それによれば、野田内閣の支持率は27%だそうです。驚きました。
 その「低さ」にではなく、「高さ」にです。まだ、野田内閣を支持している人が3分の1弱もいるなんて?
 おまけに、前回調査より1ポイント増えたというのですから、呆れてしまいます。このような国民だから、簡単に騙されてしまうのかもしれません。

 しかし、興味深いのはこちらの方ではなく、もう一つの消費増税について聞いた方の回答です。消費増税法案を「今国会で成立させるべきだ」という人は17%にとどまり、「成立にこだわるべきではない」という人は72%に達したというのです。
 法案への賛成も32%にすぎず、反対は56%だと言うではありませんか。消費増税法案に反対が57%だという『毎日新聞』の世論調査の結果と、ほとんど一致しています。

 このほか、消費増税法案に賛成の人でも「今国会で成立させるべきだ」は48%、「成立にこだわるべきではない」は44%と意見が分かれました。
 自民党との修正協議を進めることについても、賛成41%、反対42%と伯仲しています。さすがに、民主支持層は62%対28%で、自民支持層では51%対37%と賛成が上回りました。しかし、無党派層では32%対45%と、反対の方が上回っています。

 野田首相のウソに気づき始めた国民も増えてきているということでしょうか。税と社会保障の一体改革なんて、徹頭徹尾、ウソだらけなのですから……。
 「一体」と言いながら、今、衆議院で採決がめざされているのは消費税率の引き上げに関連する法案です。消費増税だけが先行していて、どこが「一体」なのでしょうか。
 まあ、それも当然と言えば当然なのです。そもそも、社会保障改革は、消費増税を国民に受け入れさせるための方便にすぎなかったのですから……。

 その社会保障改革もウソです。いまだ「改革」の全体像は不明ですが、これまでに明らかにされている内容は社会保障サービスの切り下げが主で、とても「改革」の名に値するものではありません。
 しかも、自民党はそれについてさえ、最低保障年金などマニフェストを撤回せよと迫っています。自民党との消費増税談合に走る野田首相は、これに屈服して受け入れるそぶりを見せています。
 結局、民主・自民の談合によって実現するのは、消費税の引き上げと社会保障サービスの切り下げということになるでしょう。一体、これが「一体改革」などと言えるのでしょうか。

 消費増税によって財政赤字が解消されるかのように説明されているのも、真っ赤なウソです。財政赤字は1000兆円とされていますから、消費税を5%引き上げても13.5兆円の税収増で「焼け石に水」にすぎません。
 しかも、消費増税による増収分は、本来は増え続ける社会保障財源に回すためのものです。もし、財政赤字の穴埋めに使えば、「消費税は社会保障に」という一体改革の方針に反し、目的外使用ということになるでしょう。
 そのうえ、消費増税による負担増はデフレの下で被災に打ちひしがれている国民生活を直撃し、税収全体を大きく減少させる可能性があります。そうなれば、財政赤字はもっと増えることになります。

 ここに指摘したウソは、マスコミの記者なら当然知っているはずの事柄ばかりです。そのことを知りながら、野田政権のウソを拡散しているマスコミは、野田政権と同罪だと言わなければなりません。
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4月3日(火) 社会保障改革のための増税は所得の再分配に役立つものでなければならない [消費税]

 「成長と財政再建で大連携を」
 このような表題の下に、『日経新聞』4月2日付で岡部直昭客員コラムニストは、またも「政府、与野党、そして日銀は脱デフレの名目成長目標を共有し、地球規模の成長戦略と財政再建で大連携するときである」と主張しています。だから、消費増税を、というわけです。
 昨日のブログで指摘した「将来へのツケを減らすための消費増税」というペテンの典型だと言ってよいでしょう。

 消費増税は財政再建を目的としたものではなく、社会保障改革のための財源を賄うためだとされているからです。しかも、長期にわたるデフレの下、阪神大震災で打ちひしがれ、復興増税の負担を強いられ、TPPによって外国からの攻勢にさらされようとしているこの時、消費増税は中・長期的には景気の悪化を招く可能性の方が大きく、税収増ではなくさらに財政を悪化させるにちがいありません。
 そのうえ、消費税の税率アップによる社会保障改革については、「そもそも社会保障の財源に充てるために消費税を引き上げるのが適切なのか」という大きな論点があります。これは、『東京新聞』4月1日付の社説「なぜ消費税引き上げなのか」が提起している問題でもあります。
 この社説は、「増税分を社会保障に回すのはもっともらしく見えます」としながら、次のように反論しています。

 「しかし、社会保障が『政府の所得配分』機能そのものである点を踏まえれば、その財源も所得再配分にふさわしい税目によって賄われた方が望ましい。それは所得税や法人税です。
 高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税を財源に、政府が弱者への安全網を整える。それこそが所得再配分、すなわち社会保障の原理原則であるからです。」

 所得の再分配によって社会の平等化を図ることは、社会保障のみならず、政府による施策全体に貫かれるべき理念でしょう。まして、社会保障においておや、というわけです。
 とりわけ、新自由主義政策と規制緩和によって貧困化と格差の拡大が大きな社会問題となっている今日の日本において、これらの問題こそが解決されるべき最大の課題になっています。税と社会保障の一体改革もまた、その解決に資するものでなければなりません。
 逆進性のある消費税の増税は低所得者の税負担を増大させ、貧困化をさらに進め、格差をいっそう拡大させることになるでしょう。そのような「一体改革」は「改革」の名に値しません。

 『東京新聞』の社説が主張するように、「高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税」によってこそ、貧困化の是正と格差の縮小を図ることができます。この点でも、消費増税は理念なき逆立ち増税だと言わなければならないでしょう。

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4月2日(月) 消費税増税の目的は借金の返済なのか、社会保障の財源なのか [消費税]

 「門出に心苦しいのは過去から転がってきた国の借金だ。1千兆円に迫る雪だるまを止めようと、消費増税の法案が提出された。……借金の先送りで苦しむのも、差し当たりきついのも若い世代である」
 これは『朝日新聞』4月1日付「天声人語」に書かれていたものです。昨日のブログで紹介した『日経新聞』3月30日付の実哲也編集委員の記事「先送り 若い世代にツケ」と同じ趣旨だと言ってよいでしょう。

 しかし、ここには大きな嘘があります。「嘘」というのが不適切なら、「思い違い」あるいは「ミスリード」と言っても良いでしょう。
 それは、「1千兆円に迫る雪だるまを止めようと、消費増税の法案が提出された」という部分です。そうなのでしょうか。消費増税は「借金」の返済を目的とした増税なのでしょうか。
 もちろん、そうではありません。今回の消費増税は「税と社会保障の一体改革」であって、増税による財源は社会保障の「改革」に充てられることになっています。

 それでは、今回の消費増税によって、社会保障の財源が全てまかなえるのでしょうか。それはどのような形で社会保障を「改革」し、福祉サービスの充実に充てられるのでしょうか。
 それは、今も不明です。将来の社会保障については、そのビジョンも制度設計も不明確なまま、とにかく消費増税に向けての結論を急ぎ、野田首相は遮二無二「年度末までの法案提出」を目指してきたからです。
 そのうえ、たとえ消費増税によって税収が増えたとしても(それ自体、極めて難しいことは指摘してきた通りですが)、年金など必要な財源は今後増え続けますから、それをまかなうことができるに過ぎません。

 「将来へのツケを減らすための消費増税」というのは「真っ赤な嘘」です。こんな「嘘」を繰り返して消費増税を正当化するようなペテンはもうやめるべきでしょう。

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4月1日(日) 若い世代に先送りされる「ツケ」とは何か [消費税]

 『日経新聞』の3月30日付の記事「消費増税 避けられない選択」には、「先送り 若い世代にツケ」という表題が付けられています。消費増税を避ければ、若い世代にツケを先送りすることになるというわけです。
 しかし、本当に先送りされる「ツケ」とは何でしょうか。それは、消費増税によって、かえって増えてしまうようなものではないでしょうか。

 この記事の執筆者である実哲也編集委員は、「世界で最悪レベルの財政状況に加えて、世界最速で進む人口の高齢化。増加が避けられない医療や年金の費用を誰かが負担しなければならない」と書いています。だから、消費増税は「避けられない選択」なのだというわけです。
 財政状況の逼迫はその通りですが、でも、その「誰か」がどうして庶民でなければならないのでしょうか。なぜ、消費税だけが「負担」のための税制なのかが、全く説明されていません。
 それ以外の「選択」、たとえば金持ちが株で儲けた金融資産への課税、大企業への優遇税制の是正や課税強化などが完全に「選択」肢から排除されています。「負担」可能な人々を除外したうえで、どうして負担することが難しい庶民に幅広く押し付けようとするのでしょうか。

 もう一つの大きな問題は、消費税を増税すれば必ず税収が増え、財政状況の悪化を防ぎ、社会保障を安定させることができるかのように書かれていることです。まるで消費増税は「打ち出の小槌」のようなもので、これさえあれば全ての財政問題が解決できると思い込んでしまっているかのようです。
 しかし、同じ日の『朝日新聞』3月30日付に掲載されている記事「教えて! 消費税 国の赤字はなくなるの?」では、「野田政権が考える消費増税をすれば、日本の財政は安定するのだろうか」と問い、赤字はなくならないと答えています。
 財政の安定度を測るのは「基礎的財政収支」(プライマリーバランス=PB)で、国の借金が減れば「PBが黒字化」することになります。しかし、「PBは今回の消費増税でも黒字化はせず、借金残高は増え続けていく」というわけです。

 つまり、今回の消費増税によっても『日経新聞』実哲也編集委員の言う「ツケ」は減らないのです。ですから、「消費税は10%に上がった後、さらに増税される可能性もある」というのが、『朝日新聞』の見通しです。
 野田政権が消費増税法案に「さらなる税制改革を実施するため、16年度をめどに必要な法制上の措置を講じる」という一文を入れようとしたのは、まさにそのためだったのです。具体的には、さらに7%引き上げて消費税を17%にしたいということでしょう。
 これこそ、「若い世代にツケ」を先送りすることにほかなりません。今回の消費増税法案によって、将来的には消費税を5%から17%にまで引き上げる道筋を付けようというのですから。

 今や若者の貧困化が進み、バイクを買えずに暴走族にもなれない(だから、暴走族は減少しています)というご時世です。もし消費税が上がり続けたら、若い世代の生活はさらに苦しくなり、消費は停滞し、不景気になって税収はますます減少するでしょう。
 今でも消費税分を価格に転嫁できない業者などは消費税を払えず、滞納率が増えています。今後、税率がアップすれば、もっと滞納は増え、消費税を負担できない業者は廃業せざるを得なくなるでしょう。
 こうして、小規模の自営業者は壊滅状態に陥り、購買力のある中間層は縮小していくにちがいありません。このような形で破壊された日本社会を「若い世代」に手渡そうというのでしょうか。

 それこそが、本当の意味での「ツケ」の先送りなのではないでしょうか。「消費増税教」によってマインド・コントロールされている『日経新聞』の編集委員には、このような厳しい現実も眼に入らないのでしょうか。



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