1月10日(火) 「アベ政治を許さない」のが真の「保守」なのだ [首相]
解散は全く考えていない、予算の成立を最優先すると、安倍首相は繰り返しています。それは解散しないのではなく、したくてもできない状況が生まれているからではないでしょうか。
一つには自民党が議席を減らすという総選挙予測が相次いでいるからであり、もう一つには保守支支持層内でも「アベ政治を許さない」という意識が強まっているからです。こうして、従来の支持基盤に地殻変動が生まれつつあり、安倍首相は総選挙で勝てるという確信が持てなくなってきているのです。
1月8日付のブログ「解散・総選挙戦略でも追い込まれつつある安倍首相」で、次期総選挙についての2つの予測を紹介しました。一つは『毎日新聞』のもので、もう一つは『日刊ゲンダイ』のものです。
前者は、「民進、共産、自由、社民4党が候補者を一本化すれば、計58の小選挙区で与党の現職を逆転する可能性がある」、後者は創価学会票が自民党にソッポを向けば「逆転は97区にまで増える」と予測していました。いずれも14年総選挙での数字を基にしており、野党4党が協力することを前提にしています。
1月9日にはインターネットの「共同通信 47NEWS」が「野党共闘で61選挙区逆転 14年衆院選を基に試算」という記事を配信しました。次のような内容です。
「2014年衆院選の小選挙区(295)の得票を基に、現在の民進、共産、自由、社民の野党4党が共闘して統一候補を立てた場合の与野党の勝敗を共同通信社が試算した。自民、公明両党候補は計61選挙区で逆転される。比例代表も含めた衆院議席(475)で265議席にとどまり、自公両党は憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」を割り込む。逆転の61選挙区のうち31は当選1、2回の自民党現職の地元で、同党若手の選挙基盤の脆弱さが露呈した。次期衆院選で試算通りとなれば、自民党単独では233議席と過半数に届かない。安倍晋三首相の政権運営が不安定化するのは必至だ。」
もう一つの保守支持基盤の地殻変動は、地方の農村部で生じているようです。いま話題になっている「農業協同組合新聞電子版」12月29日付に掲載された小松泰信岡山大学大学院教授の「"隠れ共産党"宣言」が、その好例だと言えるでしょう。
小松さんは「自公政権が親米・新自由主義へと傾斜する中、それに抵抗する両者(保守と共産党)の立ち位置は限りなく接近している」とし、「純粋に農業政策を協議するに値する政党は日本共産党だけ」だから、「JAグループは真正面から向き合うべきだ」と主張しています。
また、「『東京で共産党、箱根過ぎたら社会党、村へ帰れば自民党』と言われてきた村社会でも地殻変動の兆しあり」、共産党は「危険思想として擦り込まれてきたが、何か悪いことをしたのですかね。少なくとも農業問題に関しては、真っ当なことを言っていますよ。自民党よりよっぽど信用できる」、「政権与党とその走狗である規制改革推進会議に痛めつけられ、真っ当な農業政策を渇望している人が"隠れトランプ"ならぬ"隠れ共産党"となっている」と指摘するのです。
そして、こう「宣言」されています。「『俺がアカなら、政権与党は真っクロ、それに媚びへつらうあなたはただのバカ』、『地方の眼力』なめんなよ」と。
このような「地方の眼力」は、様々な所で発揮されているようです。その一つを、共産党の本村伸子衆院議員https://www.facebook.com/nobuko.motomura.3?hc_ref=NEWSFEEDが紹介していました。
静岡県菊川市で「自民党議員が離党し、無所属議員となって、浜岡原発、安保法制=戦争法のたたかいのなかで、日本共産党に入党し、日本共産党の菊川市議選予定候補に」なったというのです。横山りゅういち菊川市議選予定候補がその人です。
小松さんは「"隠れ共産党"宣言」を発しましたが、横山さんはもはや「隠れ」ることなく、堂々と共産党議員になろうとしています。詳しい事情は分かりませんが、このような方が生まれているという事実は地方での政治的地殻変動を示す兆候として注目されます。
その背景を説明しているのが、宇野重規東京大学教授の発言です。宇野さんは1月2日のTBS「session-22」でつぎのように語っていました。
「今の日本では『外国人は出て行け』とか『男女平等反対』とか言っている人たちが保守を名乗っていますが、これは完全に間違いです。これらは排外主義であって、保守主義とはまったく別のものです」「安倍首相は保守を名乗っていますが、私は疑問を感じています。安倍首相は今の憲法を否定して別のものに作り変えよう、自分の頭の中にある懐古的な時代に戻ろうとしていますが、これは、かつての保守が戦ってきた思想です」
つまり、アベ政治は「かつての保守が戦ってきた思想」であり、保守とは言えないというわけです。だからこそ、保守支持層内で「アベ政治を許さない」という意識が生まれ、それが「“隠れ共産党”宣言」を生んだり、自民党議員から共産党の議員候補への転身を促したりしているのではないでしょうか。
平和と民主主義を守れ、憲法を守れ、生活や営業を守れ、子どもを守れ、豊かな自然と環境を守れ、外国人など少数者(マイノリティ)の人権を守れという要求は、「アベ政治」とは対極にあります。このような要求の高まりこそが、共産党や野党共闘への期待を強めている要因にほかなりません。
民進党の中には共産党と共闘すれば保守層の支持を失うという危惧があるようですが、それは逆なのです。「アベ政治を許さない」のが真の「保守」であり、要求においてシンクロし始めている共産党との連携は、真の「保守」層の支持を獲得する新たな回路を開拓するにちがいありません。
一つには自民党が議席を減らすという総選挙予測が相次いでいるからであり、もう一つには保守支支持層内でも「アベ政治を許さない」という意識が強まっているからです。こうして、従来の支持基盤に地殻変動が生まれつつあり、安倍首相は総選挙で勝てるという確信が持てなくなってきているのです。
1月8日付のブログ「解散・総選挙戦略でも追い込まれつつある安倍首相」で、次期総選挙についての2つの予測を紹介しました。一つは『毎日新聞』のもので、もう一つは『日刊ゲンダイ』のものです。
前者は、「民進、共産、自由、社民4党が候補者を一本化すれば、計58の小選挙区で与党の現職を逆転する可能性がある」、後者は創価学会票が自民党にソッポを向けば「逆転は97区にまで増える」と予測していました。いずれも14年総選挙での数字を基にしており、野党4党が協力することを前提にしています。
1月9日にはインターネットの「共同通信 47NEWS」が「野党共闘で61選挙区逆転 14年衆院選を基に試算」という記事を配信しました。次のような内容です。
「2014年衆院選の小選挙区(295)の得票を基に、現在の民進、共産、自由、社民の野党4党が共闘して統一候補を立てた場合の与野党の勝敗を共同通信社が試算した。自民、公明両党候補は計61選挙区で逆転される。比例代表も含めた衆院議席(475)で265議席にとどまり、自公両党は憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」を割り込む。逆転の61選挙区のうち31は当選1、2回の自民党現職の地元で、同党若手の選挙基盤の脆弱さが露呈した。次期衆院選で試算通りとなれば、自民党単独では233議席と過半数に届かない。安倍晋三首相の政権運営が不安定化するのは必至だ。」
もう一つの保守支持基盤の地殻変動は、地方の農村部で生じているようです。いま話題になっている「農業協同組合新聞電子版」12月29日付に掲載された小松泰信岡山大学大学院教授の「"隠れ共産党"宣言」が、その好例だと言えるでしょう。
小松さんは「自公政権が親米・新自由主義へと傾斜する中、それに抵抗する両者(保守と共産党)の立ち位置は限りなく接近している」とし、「純粋に農業政策を協議するに値する政党は日本共産党だけ」だから、「JAグループは真正面から向き合うべきだ」と主張しています。
また、「『東京で共産党、箱根過ぎたら社会党、村へ帰れば自民党』と言われてきた村社会でも地殻変動の兆しあり」、共産党は「危険思想として擦り込まれてきたが、何か悪いことをしたのですかね。少なくとも農業問題に関しては、真っ当なことを言っていますよ。自民党よりよっぽど信用できる」、「政権与党とその走狗である規制改革推進会議に痛めつけられ、真っ当な農業政策を渇望している人が"隠れトランプ"ならぬ"隠れ共産党"となっている」と指摘するのです。
そして、こう「宣言」されています。「『俺がアカなら、政権与党は真っクロ、それに媚びへつらうあなたはただのバカ』、『地方の眼力』なめんなよ」と。
このような「地方の眼力」は、様々な所で発揮されているようです。その一つを、共産党の本村伸子衆院議員https://www.facebook.com/nobuko.motomura.3?hc_ref=NEWSFEEDが紹介していました。
静岡県菊川市で「自民党議員が離党し、無所属議員となって、浜岡原発、安保法制=戦争法のたたかいのなかで、日本共産党に入党し、日本共産党の菊川市議選予定候補に」なったというのです。横山りゅういち菊川市議選予定候補がその人です。
小松さんは「"隠れ共産党"宣言」を発しましたが、横山さんはもはや「隠れ」ることなく、堂々と共産党議員になろうとしています。詳しい事情は分かりませんが、このような方が生まれているという事実は地方での政治的地殻変動を示す兆候として注目されます。
その背景を説明しているのが、宇野重規東京大学教授の発言です。宇野さんは1月2日のTBS「session-22」でつぎのように語っていました。
「今の日本では『外国人は出て行け』とか『男女平等反対』とか言っている人たちが保守を名乗っていますが、これは完全に間違いです。これらは排外主義であって、保守主義とはまったく別のものです」「安倍首相は保守を名乗っていますが、私は疑問を感じています。安倍首相は今の憲法を否定して別のものに作り変えよう、自分の頭の中にある懐古的な時代に戻ろうとしていますが、これは、かつての保守が戦ってきた思想です」
つまり、アベ政治は「かつての保守が戦ってきた思想」であり、保守とは言えないというわけです。だからこそ、保守支持層内で「アベ政治を許さない」という意識が生まれ、それが「“隠れ共産党”宣言」を生んだり、自民党議員から共産党の議員候補への転身を促したりしているのではないでしょうか。
平和と民主主義を守れ、憲法を守れ、生活や営業を守れ、子どもを守れ、豊かな自然と環境を守れ、外国人など少数者(マイノリティ)の人権を守れという要求は、「アベ政治」とは対極にあります。このような要求の高まりこそが、共産党や野党共闘への期待を強めている要因にほかなりません。
民進党の中には共産党と共闘すれば保守層の支持を失うという危惧があるようですが、それは逆なのです。「アベ政治を許さない」のが真の「保守」であり、要求においてシンクロし始めている共産党との連携は、真の「保守」層の支持を獲得する新たな回路を開拓するにちがいありません。
2017-01-10 11:31
nice!(0)
トラックバック(1)