12月3日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』12月3日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:泉下で石橋湛山も嘆いている…薄気味悪い石破政権「熟議」という名の茶番劇
それなのに、朝日新聞はこの所信表明演説に合わせるかのように始めた新連載、「政界変動 消えた『官邸1強』」において、<窮地の首相 行き着いた「熟議」>(11月29日付)などと書いていた。野党に媚びへつらうしかない政治状況を「熟議」という言葉で糊塗し、<官邸1強の安倍政権を対立軸に据えた新しい政治への路線転換>だとか書いているのだから、ビックリだ。
大メディアがこうして、持ち上げてくれるのだから、石破にしてみれば「地獄で仏」の心境ではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「路線転換も何も、安倍時代が酷すぎただけじゃないですか。官邸1強で密室でなんでも決めてしまう。そこに集う官僚も強権で決められ、逆らえばパージされてしまう。国会審議は形骸化し、解散権を弄ばれ、忖度でものも言えなかった時代です。それに比べれば、石破政権が少数与党に転落したことで、結果的にはマシになった。それだけのことで、今後、本当に熟議の国会になるかどうかは、臨時国会の審議を見なければいけません。自公の密室協議が自公国の密室協議になっただけでは何も変わらない。国民の監視が不可欠ですよ」
まったくだ。安倍時代の犯罪的な国会審議、民主主義の冒涜を黙認してきた大メディアがその反省もせず、石破の形だけ「熟議」を「新しい政治への路線転換」などと持ち上げるのは「言葉遊び」も過ぎる。
加えて、この「熟議」だって極めて怪しい。自公国は「103万円の壁」見直しやガソリン減税の検討を含めた総合経済対策で合意していて、バラマキ補正の「年内の早期成立を期する」という合意文書に署名している。
「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、その財源をどこに求めるかを決めないまま、「早期成立」で合意しているのだから、「白紙委任状」みたいなものだ。
「引き上げ幅によって、財源も変わってくる。国だけでなく、地方の財政にも影響が出る。それなのに、国民民主党は財源を探すのは与党の仕事とばかりに、壁の見直しだけで合意した。無責任すぎる話です。しかも、ふつうは財源捻出のために無駄を削るのが先なのに、そうした議論が出てこない。増税の含みがある可能性もあり、そうしたことも含めて、マトモな国会審議がされるのかどうか、懐疑的な視点で見るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
*巻頭特集:泉下で石橋湛山も嘆いている…薄気味悪い石破政権「熟議」という名の茶番劇
それなのに、朝日新聞はこの所信表明演説に合わせるかのように始めた新連載、「政界変動 消えた『官邸1強』」において、<窮地の首相 行き着いた「熟議」>(11月29日付)などと書いていた。野党に媚びへつらうしかない政治状況を「熟議」という言葉で糊塗し、<官邸1強の安倍政権を対立軸に据えた新しい政治への路線転換>だとか書いているのだから、ビックリだ。
大メディアがこうして、持ち上げてくれるのだから、石破にしてみれば「地獄で仏」の心境ではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「路線転換も何も、安倍時代が酷すぎただけじゃないですか。官邸1強で密室でなんでも決めてしまう。そこに集う官僚も強権で決められ、逆らえばパージされてしまう。国会審議は形骸化し、解散権を弄ばれ、忖度でものも言えなかった時代です。それに比べれば、石破政権が少数与党に転落したことで、結果的にはマシになった。それだけのことで、今後、本当に熟議の国会になるかどうかは、臨時国会の審議を見なければいけません。自公の密室協議が自公国の密室協議になっただけでは何も変わらない。国民の監視が不可欠ですよ」
まったくだ。安倍時代の犯罪的な国会審議、民主主義の冒涜を黙認してきた大メディアがその反省もせず、石破の形だけ「熟議」を「新しい政治への路線転換」などと持ち上げるのは「言葉遊び」も過ぎる。
加えて、この「熟議」だって極めて怪しい。自公国は「103万円の壁」見直しやガソリン減税の検討を含めた総合経済対策で合意していて、バラマキ補正の「年内の早期成立を期する」という合意文書に署名している。
「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、その財源をどこに求めるかを決めないまま、「早期成立」で合意しているのだから、「白紙委任状」みたいなものだ。
「引き上げ幅によって、財源も変わってくる。国だけでなく、地方の財政にも影響が出る。それなのに、国民民主党は財源を探すのは与党の仕事とばかりに、壁の見直しだけで合意した。無責任すぎる話です。しかも、ふつうは財源捻出のために無駄を削るのが先なのに、そうした議論が出てこない。増税の含みがある可能性もあり、そうしたことも含めて、マトモな国会審議がされるのかどうか、懐疑的な視点で見るべきです」(五十嵐仁氏=前出)
2024-12-03 05:29
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11月29日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月29日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:理念よりも数合わせ…「103万円の壁」迷走、税を政争の玩具にするな
27日、都内で講演した際も、臨時国会で審議する2024年度補正予算案への賛否について、玉木は「かなり前向きにわれわれの意見を取り入れてもらった」と胸を張った。103万円の壁の引き上げを含む税制改正に向けた与党との協議についても強気で、「納得できなければ、予算にも法案にも協力することは難しくなる」とクギを刺すことを忘れなかった。
「石破首相としては、103万円の壁の引き上げを表明して国民民主党のパフォーマンスに協力する見返りに、政権運営を支えてもらいたい。そのためのバラマキですが、税収減を補う財源についてはどうするつもりなのか。税収が減れば公共サービスが行き届かなくなる可能性もあり、地方自治体の首長からも懸念の声が上がっています。石破首相と国民民主党は利害が一致しているのでしょうが、細部を詰める前に、焦りから拙速な判断をすれば、混乱を招くだけです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
石破はきのう官邸で玉木と会談。「エネルギー基本計画(エネ基)」に関する提言を受け取った。もちろん、「103万円の壁」の話もあったという。首相が野党党首と会談する場合、通常は国会内で行う。官邸での面会は異例の厚遇だ。
国民民主が求める178万円の“満額”かはともかく、控除額を引き上げれば、特定扶養控除や配偶者特別控除などの基準見直しも必要になってくるだろう。そこをいじらなければ、労働時間を増やしても結果的に手取りが減ってしまうケースが出てくる。103万円の壁の引き上げに合わせて、つじつま合わせの弥縫策が講じられることになるはずだ。
「103万円の壁を撤廃したとしても、106万円、130万円、150万円……と、税制と社会保障の壁はその先にいくつもある。年収の壁を見直すならば、国民民主党の協力を期待した目先のパフォーマンスで取り繕うのではなく、総合的、全体的な制度の見直しを行うべきでしょう。国民の手取りを増やすというのなら、防衛費倍増をやめて、その範囲で年収の壁引き上げに充当するとか、消費税を減税して法人税を上げるという選択肢もあり得るはずです。103万円だけを議論しても、また別の問題に突き当たるだけで、何も解決しません」(五十嵐仁氏=前出)
*巻頭特集:理念よりも数合わせ…「103万円の壁」迷走、税を政争の玩具にするな
27日、都内で講演した際も、臨時国会で審議する2024年度補正予算案への賛否について、玉木は「かなり前向きにわれわれの意見を取り入れてもらった」と胸を張った。103万円の壁の引き上げを含む税制改正に向けた与党との協議についても強気で、「納得できなければ、予算にも法案にも協力することは難しくなる」とクギを刺すことを忘れなかった。
「石破首相としては、103万円の壁の引き上げを表明して国民民主党のパフォーマンスに協力する見返りに、政権運営を支えてもらいたい。そのためのバラマキですが、税収減を補う財源についてはどうするつもりなのか。税収が減れば公共サービスが行き届かなくなる可能性もあり、地方自治体の首長からも懸念の声が上がっています。石破首相と国民民主党は利害が一致しているのでしょうが、細部を詰める前に、焦りから拙速な判断をすれば、混乱を招くだけです」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
石破はきのう官邸で玉木と会談。「エネルギー基本計画(エネ基)」に関する提言を受け取った。もちろん、「103万円の壁」の話もあったという。首相が野党党首と会談する場合、通常は国会内で行う。官邸での面会は異例の厚遇だ。
国民民主が求める178万円の“満額”かはともかく、控除額を引き上げれば、特定扶養控除や配偶者特別控除などの基準見直しも必要になってくるだろう。そこをいじらなければ、労働時間を増やしても結果的に手取りが減ってしまうケースが出てくる。103万円の壁の引き上げに合わせて、つじつま合わせの弥縫策が講じられることになるはずだ。
「103万円の壁を撤廃したとしても、106万円、130万円、150万円……と、税制と社会保障の壁はその先にいくつもある。年収の壁を見直すならば、国民民主党の協力を期待した目先のパフォーマンスで取り繕うのではなく、総合的、全体的な制度の見直しを行うべきでしょう。国民の手取りを増やすというのなら、防衛費倍増をやめて、その範囲で年収の壁引き上げに充当するとか、消費税を減税して法人税を上げるという選択肢もあり得るはずです。103万円だけを議論しても、また別の問題に突き当たるだけで、何も解決しません」(五十嵐仁氏=前出)
2024-11-29 06:44
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11月21日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月11日付に掲載されたものです。〕
*記事:野党攻勢 旧安倍派幹部を証人喚問
当の萩生田は自身のメルマガ(8日配信)で<予算委員長を野党側に渡すという事も決まり、視界不良な国会が待ち受けています>とボヤいていたが、自身の裏金こそ視界不良を招いた要因じゃないか。
「旧安倍派幹部は誰も刑事責任を問われず、衆院選を経て『禊は済んだ』と思っているのかもしれませんが、裏金づくりの経緯も、何に使ったのかもハッキリしていません。真相究明から逃げ続けてきた自民の姿勢が衆院選で『ノー』を突き付けられたのであり、証人喚問や政倫審にきちんと応じることが生き残る道です。自民が自浄作用を示せるかどうかの最後のチャンスでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
一体、何人の裏金議員が説明の場に出てくるのか。見物だ。
*記事:野党攻勢 旧安倍派幹部を証人喚問
当の萩生田は自身のメルマガ(8日配信)で<予算委員長を野党側に渡すという事も決まり、視界不良な国会が待ち受けています>とボヤいていたが、自身の裏金こそ視界不良を招いた要因じゃないか。
「旧安倍派幹部は誰も刑事責任を問われず、衆院選を経て『禊は済んだ』と思っているのかもしれませんが、裏金づくりの経緯も、何に使ったのかもハッキリしていません。真相究明から逃げ続けてきた自民の姿勢が衆院選で『ノー』を突き付けられたのであり、証人喚問や政倫審にきちんと応じることが生き残る道です。自民が自浄作用を示せるかどうかの最後のチャンスでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
一体、何人の裏金議員が説明の場に出てくるのか。見物だ。
2024-11-21 06:47
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11月20日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月19日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:相変わらず「政治とカネ」にケジメなし この政権は臨時国会も乗り切れまい
立憲民主党などの野党は「企業・団体献金の廃止」や「政治資金の世襲制限」を訴えているが、自民党案ではそこに踏み込む様子がない。党内では存続を望む声が根強いからだ。石破自身、「企業・団体の寄付は禁じられていない。最高裁の判決においても認められている」などと言っていて、改正に後ろ向きなのである。
「自民党の資金源である企業・団体献金は30年前から問題になっている。そこにメスを入れないのだから、自民の言う政治改革なんてマヤカシだということがよく分かります。自民党にはカネが入り、企業・団体側は政策に影響力を及ぼせるという構図が政治をゆがめ、裏金の温床になってきた。そもそも裏金事件の原因究明や使途も明らかになっていないのだから、再調査をして政治とカネの問題にケジメをつけるのが先でしょう。それもなしに、上っ面だけ政治資金規正法の再改正をやったところで、国民は到底、納得しませんよ」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
石破は政治資金規正法の再改正について「年内に決着」と言っているが、28日に召集される臨時国会の会期は12月21日までの24日間。1カ月もない短い会期中に補正予算を成立させ、政治資金規正法の再改正もやるというのだ。国民民主党が主張する「103万円の壁」の問題もある。
*巻頭特集:相変わらず「政治とカネ」にケジメなし この政権は臨時国会も乗り切れまい
立憲民主党などの野党は「企業・団体献金の廃止」や「政治資金の世襲制限」を訴えているが、自民党案ではそこに踏み込む様子がない。党内では存続を望む声が根強いからだ。石破自身、「企業・団体の寄付は禁じられていない。最高裁の判決においても認められている」などと言っていて、改正に後ろ向きなのである。
「自民党の資金源である企業・団体献金は30年前から問題になっている。そこにメスを入れないのだから、自民の言う政治改革なんてマヤカシだということがよく分かります。自民党にはカネが入り、企業・団体側は政策に影響力を及ぼせるという構図が政治をゆがめ、裏金の温床になってきた。そもそも裏金事件の原因究明や使途も明らかになっていないのだから、再調査をして政治とカネの問題にケジメをつけるのが先でしょう。それもなしに、上っ面だけ政治資金規正法の再改正をやったところで、国民は到底、納得しませんよ」(法大名誉教授の五十嵐仁氏=政治学)
石破は政治資金規正法の再改正について「年内に決着」と言っているが、28日に召集される臨時国会の会期は12月21日までの24日間。1カ月もない短い会期中に補正予算を成立させ、政治資金規正法の再改正もやるというのだ。国民民主党が主張する「103万円の壁」の問題もある。
2024-11-20 06:12
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11月16日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月31日付に掲載されたものです。〕
*記事:来夏参院選は共闘なら大勝予測 どうする立憲民主党
野党共闘が実現しなかった前回の参院選は、1人区は自民党が28勝4敗。野党は惨敗している。
もし、共産党を含めた候補の一本化をできなければ、また来夏の参院選も野党は大敗する恐れが強い。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「今回の選挙結果は、裏金といった自民党の敵失や、その実態を明らかにした赤旗など共産党によるところが大きかった。議席を伸ばした野党はそのことをしっかりと自覚するべきです。そのうえで立憲民主党はおごることなく、野党のまとめ役にならなくてはならない。1人区は小選挙区的な色合いが強く、共闘が実現し、一騎打ちの構図になれば勝ち馬に乗るバンドワゴン効果も期待できる。幸いにも衆院選とは違い来年夏まで時間があるので、今から腰を据えて調整に取り掛かるべきです」
立憲はゆめゆめ調子に乗ってはならない。
*記事:来夏参院選は共闘なら大勝予測 どうする立憲民主党
野党共闘が実現しなかった前回の参院選は、1人区は自民党が28勝4敗。野党は惨敗している。
もし、共産党を含めた候補の一本化をできなければ、また来夏の参院選も野党は大敗する恐れが強い。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「今回の選挙結果は、裏金といった自民党の敵失や、その実態を明らかにした赤旗など共産党によるところが大きかった。議席を伸ばした野党はそのことをしっかりと自覚するべきです。そのうえで立憲民主党はおごることなく、野党のまとめ役にならなくてはならない。1人区は小選挙区的な色合いが強く、共闘が実現し、一騎打ちの構図になれば勝ち馬に乗るバンドワゴン効果も期待できる。幸いにも衆院選とは違い来年夏まで時間があるので、今から腰を据えて調整に取り掛かるべきです」
立憲はゆめゆめ調子に乗ってはならない。
2024-11-16 06:15
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11月15日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月15日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:世にも怪しい自公国協議…「年収の壁」諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省なのだ
103万円の壁は、学生の場合、特定扶養控除がなくなって親の税負担が増えるラインでもある。また、103万円の壁が配偶者手当を打ち切る目安になっている企業も多く、世帯収入という観点では「手当」という手取りも減ってしまう。
103万円の壁を178万円に引き上げれば、万々歳という単純な話ではないのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「国民民主党のやっていることはポピュリズムですよ。わかりやすいスローガンで問題を簡略化し、財源を放置して、有権者の支持を集めた。『手取りを増やす』と言っても、いろんな壁があるし、実際『103万円の壁』で大きく手取りが減るわけではなく、誤解ではないかという見方もある。『手取りを増やす』と言うのなら、一番簡単なのは消費税の税率を下げることですよ。これなら全国民が対象になりますし、よっぽど効果的です。国民民主も時限的な消費税減税を公約に掲げていたのだから、こちらを強く押し出すべきでしょう」
政府が年金支給額の基準で使う「モデル世帯」は、相変わらず「夫は40年間平均的な収入を得たサラリーマン、妻は40年間専業主婦」という昔ながらの家族の姿である。「年収の壁」を設けているのは、税制にしても社会保険にしても、いずれも専業主婦に対する優遇制度である。
しかし、時代は変わった。共働きが増えたり、リストラや転職など「40年間平均的な収入を得たサラリーマン」は当たり前ではなくなっている。非正規同士の夫婦だっている。「モデル世帯」はとうに幻になっているのに、抜本的な改革がなされないまま、失われた30年がまだ続いているのである。
「税制も社会保障制度も、働き方や家族の形など社会の変化に全く対応できていません。LGBTや同性婚、選択的夫婦別姓制度の導入に対応できないこともそうですが、すべては自民党が時代遅れの政党だということです。積み残した宿題がたまってしまっている。衆院選に大敗し、政権を失いそうになって慌てて、その宿題に取り組んでいるのが現状で、先送りしてきた問題に対し、野党に対応を迫られる局面がこれから次々と出てくるでしょう。対応できなければ、内閣不信任ですから」(五十嵐仁氏=前出)
そう考えてくると、自公国協議は怪しい。目先の人気取りと政権維持のための保身に、国民は騙されてはいけない。
*巻頭特集:世にも怪しい自公国協議…「年収の壁」諸悪の根源は歴代自民党政権と財務省なのだ
103万円の壁は、学生の場合、特定扶養控除がなくなって親の税負担が増えるラインでもある。また、103万円の壁が配偶者手当を打ち切る目安になっている企業も多く、世帯収入という観点では「手当」という手取りも減ってしまう。
103万円の壁を178万円に引き上げれば、万々歳という単純な話ではないのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「国民民主党のやっていることはポピュリズムですよ。わかりやすいスローガンで問題を簡略化し、財源を放置して、有権者の支持を集めた。『手取りを増やす』と言っても、いろんな壁があるし、実際『103万円の壁』で大きく手取りが減るわけではなく、誤解ではないかという見方もある。『手取りを増やす』と言うのなら、一番簡単なのは消費税の税率を下げることですよ。これなら全国民が対象になりますし、よっぽど効果的です。国民民主も時限的な消費税減税を公約に掲げていたのだから、こちらを強く押し出すべきでしょう」
政府が年金支給額の基準で使う「モデル世帯」は、相変わらず「夫は40年間平均的な収入を得たサラリーマン、妻は40年間専業主婦」という昔ながらの家族の姿である。「年収の壁」を設けているのは、税制にしても社会保険にしても、いずれも専業主婦に対する優遇制度である。
しかし、時代は変わった。共働きが増えたり、リストラや転職など「40年間平均的な収入を得たサラリーマン」は当たり前ではなくなっている。非正規同士の夫婦だっている。「モデル世帯」はとうに幻になっているのに、抜本的な改革がなされないまま、失われた30年がまだ続いているのである。
「税制も社会保障制度も、働き方や家族の形など社会の変化に全く対応できていません。LGBTや同性婚、選択的夫婦別姓制度の導入に対応できないこともそうですが、すべては自民党が時代遅れの政党だということです。積み残した宿題がたまってしまっている。衆院選に大敗し、政権を失いそうになって慌てて、その宿題に取り組んでいるのが現状で、先送りしてきた問題に対し、野党に対応を迫られる局面がこれから次々と出てくるでしょう。対応できなければ、内閣不信任ですから」(五十嵐仁氏=前出)
そう考えてくると、自公国協議は怪しい。目先の人気取りと政権維持のための保身に、国民は騙されてはいけない。
2024-11-15 06:23
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11月14日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月12日付に掲載されたものです。〕
*記事:企業・団体献金禁止までやらなきゃ意味がない
ところが、国民の玉木代表は玉虫色。「全党一致であれば反対する理由がない」と、禁止に賛成してもいいかのようなそぶりだが、その心は「自民が反対なので、全党一致できないから賛成できない」である。騙されちゃいけない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「企業は何らかの見返りを期待してお金を出すわけで、企業・団体献金に問題があることは30年前の政治改革で自民党も認めている。禁止に賛成せず、中途半端に立ち回る国民民主も、やっぱり野党ではなく『ゆ党』ということです」
規正法の再改正案を議論する衆院政治改革特別委員会は立憲議員が委員長だ。野党主導で企業・団体献金の禁止に持ち込まなければ、「政治とカネ」の根本的解決はない。
*記事:企業・団体献金禁止までやらなきゃ意味がない
ところが、国民の玉木代表は玉虫色。「全党一致であれば反対する理由がない」と、禁止に賛成してもいいかのようなそぶりだが、その心は「自民が反対なので、全党一致できないから賛成できない」である。騙されちゃいけない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「企業は何らかの見返りを期待してお金を出すわけで、企業・団体献金に問題があることは30年前の政治改革で自民党も認めている。禁止に賛成せず、中途半端に立ち回る国民民主も、やっぱり野党ではなく『ゆ党』ということです」
規正法の再改正案を議論する衆院政治改革特別委員会は立憲議員が委員長だ。野党主導で企業・団体献金の禁止に持ち込まなければ、「政治とカネ」の根本的解決はない。
2024-11-14 15:42
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11月6日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』11月6日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:やることなすこと国民を逆なで…何度も言うが、こんな自民と組んでもロクなことなし
いったい、どこが「身内の論理を排除」なのか。衆院で過半数割れした石破自民党は、「数」が欲しくて、裏金議員を「仲間」として迎え入れるのだろうが、党内処分を受けた悪質な裏金議員は、永久追放するのが当たり前なのではないか。朝日新聞の調査でも、4人の会派入りについて「納得できない」が67%に達している。
「裏金事件」が響いて選挙で大敗したのに、処分した裏金議員を会派に加えるとは、まったく反省していない。これでは、内閣支持率が下がるのも当然である。
「朝日新聞の調査では、首相を『信頼できない』が51%、『信頼できる』が26%でした。変節をくり返す石破首相は信用できない、ということなのでしょう。その一方『首相を辞めるべきだ』は24%にとどまり、『その必要はない』が61%を占めています。まだ就任1カ月だから、猶予を与えようということだと思う。モラトリアムです。石破首相はモラトリアム期間中に国民の信頼を得るしかない。ところが、裏金議員を自民党会派に入れようとしている。石破首相の国民人気が高かったのは、正論を吐き、自民党の中では、公正だと思われていたからです。なのに、完全に公正さを失っている。この調子では、支持率はまだまだ下がりますよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
石破自民党が国民民主に接近しているのは、しょせん「数合わせ」のためだ。理念や政策が一致しているわけではない。悪あがきの「数合わせ」は、いずれ行き詰まる可能性が高い。
「来年夏には参院選があります。もし、国民民主党に戦略があるなら、いつまでも自民党とベッタリとはならないでしょう。来年の通常国会の会期末、野党第1党の立憲民主は、不信任案を提出するはず。目前に迫った参院選を考えたら、国民民主も賛成せざるを得ないでしょう。そうなったら、不信任案は成立し、石破政権は衆院を解散するか、総辞職するしかなくなります」(五十嵐仁氏=前出)
*巻頭特集:やることなすこと国民を逆なで…何度も言うが、こんな自民と組んでもロクなことなし
いったい、どこが「身内の論理を排除」なのか。衆院で過半数割れした石破自民党は、「数」が欲しくて、裏金議員を「仲間」として迎え入れるのだろうが、党内処分を受けた悪質な裏金議員は、永久追放するのが当たり前なのではないか。朝日新聞の調査でも、4人の会派入りについて「納得できない」が67%に達している。
「裏金事件」が響いて選挙で大敗したのに、処分した裏金議員を会派に加えるとは、まったく反省していない。これでは、内閣支持率が下がるのも当然である。
「朝日新聞の調査では、首相を『信頼できない』が51%、『信頼できる』が26%でした。変節をくり返す石破首相は信用できない、ということなのでしょう。その一方『首相を辞めるべきだ』は24%にとどまり、『その必要はない』が61%を占めています。まだ就任1カ月だから、猶予を与えようということだと思う。モラトリアムです。石破首相はモラトリアム期間中に国民の信頼を得るしかない。ところが、裏金議員を自民党会派に入れようとしている。石破首相の国民人気が高かったのは、正論を吐き、自民党の中では、公正だと思われていたからです。なのに、完全に公正さを失っている。この調子では、支持率はまだまだ下がりますよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
石破自民党が国民民主に接近しているのは、しょせん「数合わせ」のためだ。理念や政策が一致しているわけではない。悪あがきの「数合わせ」は、いずれ行き詰まる可能性が高い。
「来年夏には参院選があります。もし、国民民主党に戦略があるなら、いつまでも自民党とベッタリとはならないでしょう。来年の通常国会の会期末、野党第1党の立憲民主は、不信任案を提出するはず。目前に迫った参院選を考えたら、国民民主も賛成せざるを得ないでしょう。そうなったら、不信任案は成立し、石破政権は衆院を解散するか、総辞職するしかなくなります」(五十嵐仁氏=前出)
2024-11-06 06:03
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10月31日(木) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月31日付に掲載されたものです。〕
*記事:どうする立憲民主党? 来夏参院選で野党共闘「候補一本化なら29勝3敗」大勝予測の衝撃
野党共闘が実現しなかった前回の参院選は、1人区は自民党が28勝4敗。野党は惨敗している。
■連合は“共産党アレルギー”だが…
もし、共産党を含めた候補の一本化をできなければ、また来夏の参院選も野党は大敗する恐れが強い。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「今回の選挙結果は、裏金といった自民党の敵失や、その実態を明らかにした赤旗砲など共産党によるところが大きかった。議席を伸ばした野党はそのことをしっかりと自覚するべきです。そのうえで立憲民主党はおごることなく、野党のまとめ役にならなければならない。1人区は小選挙区的な色合いが強く、共闘が実現し、一騎打ちの構図になれば勝ち馬に乗るバンドワゴン効果も期待できる。幸いにも衆院選とは違い来年の夏まで時間があるので、今から腰を据えて調整に取り掛かるべきです」
立憲はゆめゆめ調子に乗ってはならない。
*記事:どうする立憲民主党? 来夏参院選で野党共闘「候補一本化なら29勝3敗」大勝予測の衝撃
野党共闘が実現しなかった前回の参院選は、1人区は自民党が28勝4敗。野党は惨敗している。
■連合は“共産党アレルギー”だが…
もし、共産党を含めた候補の一本化をできなければ、また来夏の参院選も野党は大敗する恐れが強い。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「今回の選挙結果は、裏金といった自民党の敵失や、その実態を明らかにした赤旗砲など共産党によるところが大きかった。議席を伸ばした野党はそのことをしっかりと自覚するべきです。そのうえで立憲民主党はおごることなく、野党のまとめ役にならなければならない。1人区は小選挙区的な色合いが強く、共闘が実現し、一騎打ちの構図になれば勝ち馬に乗るバンドワゴン効果も期待できる。幸いにも衆院選とは違い来年の夏まで時間があるので、今から腰を据えて調整に取り掛かるべきです」
立憲はゆめゆめ調子に乗ってはならない。
2024-10-31 10:27
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10月29日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』10月29日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集:与党64議席減の衝撃…自民党「歴史的惨敗」の必然と今後
自民惨敗となった今回の衆院選。最大の功労者は裏金事件の端緒を開いた「しんぶん赤旗」だ。
大手メディアが「自民党派閥のパーティー収入不記載」と報じ始めたのは昨年11月のこと。
朝日新聞は同12月、〈安倍派 裏金1億円超か パー券不記載 立件視野 ノルマ超分 議員に還流 東京地検特捜部〉の見出しで大々的に報じたが、その1年以上前にスクープしていたのが、赤旗の日曜版だった。
このスクープを受け、神戸学院大教授の上脇博之氏が収支報告書を徹底調査し、東京地検に告発したことで事件が動き出した。
選挙中、自民党本部が、裏金事件で非公認になった候補者側に活動費2000万円を支給していた問題をスッパ抜いたのも赤旗だった。この一件は、給付額が公認並みだったことから“偽装非公認”“裏公認料”と猛批判を招いた。ある立憲の当選者は「2000万円問題が最後の一押しになった」と明かす。
赤旗が立憲大躍進の流れをつくったと言っても過言ではないのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「赤旗が暴いたのは派閥の裏金だけにとどまりません。安倍元首相側が、地元有権者も参加した『桜を見る会 前夜祭』の費用の一部を負担していた問題や、統一教会と自民党の関係についても特報を連発。調査力は折り紙付きです。背景にある共産党の党勢がイマイチなのが気になりますが、立憲をはじめとした野党の勢力を後押しした意味は極めて大きい。自民党にとっては恐怖の存在でしょう」
立憲はその調査力を見習った方がいいだろう。
*巻頭特集:与党64議席減の衝撃…自民党「歴史的惨敗」の必然と今後
自民惨敗となった今回の衆院選。最大の功労者は裏金事件の端緒を開いた「しんぶん赤旗」だ。
大手メディアが「自民党派閥のパーティー収入不記載」と報じ始めたのは昨年11月のこと。
朝日新聞は同12月、〈安倍派 裏金1億円超か パー券不記載 立件視野 ノルマ超分 議員に還流 東京地検特捜部〉の見出しで大々的に報じたが、その1年以上前にスクープしていたのが、赤旗の日曜版だった。
このスクープを受け、神戸学院大教授の上脇博之氏が収支報告書を徹底調査し、東京地検に告発したことで事件が動き出した。
選挙中、自民党本部が、裏金事件で非公認になった候補者側に活動費2000万円を支給していた問題をスッパ抜いたのも赤旗だった。この一件は、給付額が公認並みだったことから“偽装非公認”“裏公認料”と猛批判を招いた。ある立憲の当選者は「2000万円問題が最後の一押しになった」と明かす。
赤旗が立憲大躍進の流れをつくったと言っても過言ではないのだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「赤旗が暴いたのは派閥の裏金だけにとどまりません。安倍元首相側が、地元有権者も参加した『桜を見る会 前夜祭』の費用の一部を負担していた問題や、統一教会と自民党の関係についても特報を連発。調査力は折り紙付きです。背景にある共産党の党勢がイマイチなのが気になりますが、立憲をはじめとした野党の勢力を後押しした意味は極めて大きい。自民党にとっては恐怖の存在でしょう」
立憲はその調査力を見習った方がいいだろう。
2024-10-29 05:52
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