3月14日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月14日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「次から次へとデタラメ発覚 側近のチンピラを重用、国民を舐めていた安倍政治」
■アベ政治にからめとられた自民党では絶望的
つまるところ、親分がチンピラだから子分にも同類が集まる。安倍政権で官房副長官だった世耕弘成参院幹事長のアベノミクスをめぐる最近の発言もチンピラ同然だ。
日銀の黒田東彦総裁が推し進めた「異次元緩和」について、日銀前総裁の白川方明氏が「壮大な金融実験」と批判したことに噛みつき、「まずご自身の時代をしっかり総括していただきたい」とドーカツした一件のことである。
その世耕と安倍派の跡目争いをしている萩生田光一政調会長も安倍政権時代の官房副長官であり、党の役職でも総裁特別補佐を務めた。思い返せば萩生田こそ、選挙報道で政治的公平を事細かに求めるペーパーを出して放送局に圧力をかけた張本人である。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「『類は友を呼ぶ』という格言通りの政権でした。社会を分断して、敵をつくって攻撃。丁寧な手続きを軽視して、強権的に政策を遂行。そして、嘘もつき続ければ、真実になると考えている。そんな手法のとんでもない政権でした。ハト派の宏池会の岸田首相は、本来、安倍氏とは異なる方向性が出せるはずなのに、安倍氏なきアベ政治にからめとられた自民党には、もはや振り子の論理が働かない。安倍氏に乗っ取られた自民党は、多様性や柔軟性を失い、硬直化してしまいました」
安倍がいなくなったことで、安倍政権のデタラメの数々が改めて暴かれる。よくもまあこんな政権が8年も続いたものだ。
アベ政治と決別できない自民党政権では、この国は決して良くならない。
*巻頭特集「次から次へとデタラメ発覚 側近のチンピラを重用、国民を舐めていた安倍政治」
■アベ政治にからめとられた自民党では絶望的
つまるところ、親分がチンピラだから子分にも同類が集まる。安倍政権で官房副長官だった世耕弘成参院幹事長のアベノミクスをめぐる最近の発言もチンピラ同然だ。
日銀の黒田東彦総裁が推し進めた「異次元緩和」について、日銀前総裁の白川方明氏が「壮大な金融実験」と批判したことに噛みつき、「まずご自身の時代をしっかり総括していただきたい」とドーカツした一件のことである。
その世耕と安倍派の跡目争いをしている萩生田光一政調会長も安倍政権時代の官房副長官であり、党の役職でも総裁特別補佐を務めた。思い返せば萩生田こそ、選挙報道で政治的公平を事細かに求めるペーパーを出して放送局に圧力をかけた張本人である。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「『類は友を呼ぶ』という格言通りの政権でした。社会を分断して、敵をつくって攻撃。丁寧な手続きを軽視して、強権的に政策を遂行。そして、嘘もつき続ければ、真実になると考えている。そんな手法のとんでもない政権でした。ハト派の宏池会の岸田首相は、本来、安倍氏とは異なる方向性が出せるはずなのに、安倍氏なきアベ政治にからめとられた自民党には、もはや振り子の論理が働かない。安倍氏に乗っ取られた自民党は、多様性や柔軟性を失い、硬直化してしまいました」
安倍がいなくなったことで、安倍政権のデタラメの数々が改めて暴かれる。よくもまあこんな政権が8年も続いたものだ。
アベ政治と決別できない自民党政権では、この国は決して良くならない。
2023-03-14 10:48
nice!(0)
3月12日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月12日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「物価対策も一時しのぎ 自民党政権ではいつまでたってもゼロ成長」
まさに、出口ナシの八方ふさがりだ。今年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減。1月としては過去最大の減少幅で、賃金の伸びが歴史的な物価上昇にちっとも追いつきそうにない庶民にすれば、踏んだり蹴ったりだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「この10年で日本は『賃金の上がらない国』に成り果てただけではありません。国際人材競争力ランキングは世界39位、昨年の貿易赤字は19.9兆円と過去最大。H3ロケット打ち上げは失敗続きと技術開発力にも暗雲が垂れ込めています。アベノミクスの大罪を数え上げればキリがないのに、岸田政権は金融緩和を継続。安倍政権を支えた保守の岩盤支持層や、最大派閥・安倍派の離反を恐れ、安倍路線の呪縛から抜け出せない。防衛・安保や原発政策などは、むしろ安倍路線を強化しています。かつての『振り子の理論』による政策の揺り戻しは、もはや自民党には期待できません。この国の閉塞感は強まるいっぽうです」
自民党政権に任せていたら、いつまでたってもゼロ成長が続くだけだ。
*巻頭特集「物価対策も一時しのぎ 自民党政権ではいつまでたってもゼロ成長」
まさに、出口ナシの八方ふさがりだ。今年1月の実質賃金は前年同月比4.1%減。1月としては過去最大の減少幅で、賃金の伸びが歴史的な物価上昇にちっとも追いつきそうにない庶民にすれば、踏んだり蹴ったりだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「この10年で日本は『賃金の上がらない国』に成り果てただけではありません。国際人材競争力ランキングは世界39位、昨年の貿易赤字は19.9兆円と過去最大。H3ロケット打ち上げは失敗続きと技術開発力にも暗雲が垂れ込めています。アベノミクスの大罪を数え上げればキリがないのに、岸田政権は金融緩和を継続。安倍政権を支えた保守の岩盤支持層や、最大派閥・安倍派の離反を恐れ、安倍路線の呪縛から抜け出せない。防衛・安保や原発政策などは、むしろ安倍路線を強化しています。かつての『振り子の理論』による政策の揺り戻しは、もはや自民党には期待できません。この国の閉塞感は強まるいっぽうです」
自民党政権に任せていたら、いつまでたってもゼロ成長が続くだけだ。
2023-03-12 06:23
nice!(0)
3月10日(金) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月10付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「高市大臣をクビにできない岸田首相も同じムジナ 当事者の証人喚問以外なし」
従来、総務省は、放送法に基づく「政治的公平」について「一つの番組でなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との見解を示していた。ところが、16年公表の政府見解で「一つ一つの番組を見て全体を判断するのは当然」とガラッと変わってしまった。この解釈変更でテレビ局が萎縮したのは間違いない。
そもそも、TBSの「サンデーモーニング」など、気に入らない番組を取り締まることが目的だったのだから、言論弾圧もいいところだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「公文書を見れば、安倍官邸が特定の番組を敵視し、潰しにかかろうともくろんでいたのは明らかです。そんな官邸の思惑に乗っかって、当時の高市総務相は『電波停止』にまで言及し、その結果、テレビ局は萎縮してしまった。政権に批判的なコメンテーターは続々と降板し、逆に政府の意向を垂れ流すだけのコメンテーターばかりが出演するようになっています」
かつては「消えた年金問題」など、野党議員が政府の失政を追及する番組がいくつもあった。ところが、いつの間にかそんな番組は消え、いまや与党議員だけが出演する番組だらけになっている。
高市大臣や、当時、総務省にしつこく働きかけていた礒崎陽輔元首相補佐官、さらに「公文書」に記載のある総務官僚を一人残らず、ウソをつけば偽証罪に問われる可能性がある証人喚問すべきだ。
この10年間、安倍官邸の圧力に屈して忖度報道を続けてきた大メディアも、今回ばかりはスルーは許されない。
「安倍政権発足前は、骨のあるコメンテーターがテレビで活躍し、大新聞も政府の失政を厳しく追及していました。ところが、この10年ですっかり大メディアは骨抜きにされてしまった。今回の“捏造”問題はジャーナリズムの真価が問われる重大局面です。ある意味、健全なジャーナリズムを取り戻す大きなチャンスです。ここで引いたら、危機的な状況になってしまいますよ」(五十嵐仁氏=前出)
今こそ、アベ政治の膿を出し切る時だ。
*巻頭特集「高市大臣をクビにできない岸田首相も同じムジナ 当事者の証人喚問以外なし」
従来、総務省は、放送法に基づく「政治的公平」について「一つの番組でなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」との見解を示していた。ところが、16年公表の政府見解で「一つ一つの番組を見て全体を判断するのは当然」とガラッと変わってしまった。この解釈変更でテレビ局が萎縮したのは間違いない。
そもそも、TBSの「サンデーモーニング」など、気に入らない番組を取り締まることが目的だったのだから、言論弾圧もいいところだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「公文書を見れば、安倍官邸が特定の番組を敵視し、潰しにかかろうともくろんでいたのは明らかです。そんな官邸の思惑に乗っかって、当時の高市総務相は『電波停止』にまで言及し、その結果、テレビ局は萎縮してしまった。政権に批判的なコメンテーターは続々と降板し、逆に政府の意向を垂れ流すだけのコメンテーターばかりが出演するようになっています」
かつては「消えた年金問題」など、野党議員が政府の失政を追及する番組がいくつもあった。ところが、いつの間にかそんな番組は消え、いまや与党議員だけが出演する番組だらけになっている。
高市大臣や、当時、総務省にしつこく働きかけていた礒崎陽輔元首相補佐官、さらに「公文書」に記載のある総務官僚を一人残らず、ウソをつけば偽証罪に問われる可能性がある証人喚問すべきだ。
この10年間、安倍官邸の圧力に屈して忖度報道を続けてきた大メディアも、今回ばかりはスルーは許されない。
「安倍政権発足前は、骨のあるコメンテーターがテレビで活躍し、大新聞も政府の失政を厳しく追及していました。ところが、この10年ですっかり大メディアは骨抜きにされてしまった。今回の“捏造”問題はジャーナリズムの真価が問われる重大局面です。ある意味、健全なジャーナリズムを取り戻す大きなチャンスです。ここで引いたら、危機的な状況になってしまいますよ」(五十嵐仁氏=前出)
今こそ、アベ政治の膿を出し切る時だ。
2023-03-10 06:39
nice!(0)
3月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』3月5日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「メディア恫喝政権の釈明も怪しい 放送法めぐる内部文書大騒動」
野党議員が、政府が最大400発購入する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の“ポンコツ”ぶりを暴き、中小零細企業の息の根を止めかねない「インボイス制度」の問題点を指摘しても、ほとんど報じようとしない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「安倍政権の10年間で、大メディアはすっかり牙を抜かれてしまった。最悪なのは、『ムチ』を打たれる一方、幹部が総理と共に会食するなど『アメ』を与えられ、いいようにコントロールされていることです。岸田政権でも、防衛費倍増のための有識者会議のメンバーに大新聞の幹部が名を連ねていた。欧米メディアでは考えられないことです」
立憲民主党の小西議員が入手した総務省の「内部文書」は、政権が倒れてもおかしくない超ド級の文書だ。松本総務相は「総務省作成の資料であるかどうかの回答は控える」などと、文書の真贋について、回答を避けているが、大手メディアは絶対にこの「内部文書」の真贋をウヤムヤにしてはいけない。
「大メディアにとって、この『内部文書』の真贋は、自らの報道姿勢に関わる問題なのだから、徹底的に検証すべきです。このまま『内部文書』の真贋がウヤムヤになれば、いずれこの問題は立ち消えになってしまうでしょう。そうなれば、得するのは岸田自民です」(五十嵐仁氏=前出)
小西議員は過去、鋭い質問で大臣を立ち往生させてきた論客だ。しかも、総務省の出身である。総務省の文書は見慣れているはずだ。「内部文書」が本物かどうか、かつての同僚官僚にも確認しているに違いない。礒崎元首相補佐官は共同通信の取材に「(担当局長らとの間で)政治的公平の解釈について意見交換したのは事実だ」と認めている。ウヤムヤのまま終わらせることは許されない。
*巻頭特集「メディア恫喝政権の釈明も怪しい 放送法めぐる内部文書大騒動」
野党議員が、政府が最大400発購入する米国製巡航ミサイル「トマホーク」の“ポンコツ”ぶりを暴き、中小零細企業の息の根を止めかねない「インボイス制度」の問題点を指摘しても、ほとんど報じようとしない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)がこう言う。
「安倍政権の10年間で、大メディアはすっかり牙を抜かれてしまった。最悪なのは、『ムチ』を打たれる一方、幹部が総理と共に会食するなど『アメ』を与えられ、いいようにコントロールされていることです。岸田政権でも、防衛費倍増のための有識者会議のメンバーに大新聞の幹部が名を連ねていた。欧米メディアでは考えられないことです」
立憲民主党の小西議員が入手した総務省の「内部文書」は、政権が倒れてもおかしくない超ド級の文書だ。松本総務相は「総務省作成の資料であるかどうかの回答は控える」などと、文書の真贋について、回答を避けているが、大手メディアは絶対にこの「内部文書」の真贋をウヤムヤにしてはいけない。
「大メディアにとって、この『内部文書』の真贋は、自らの報道姿勢に関わる問題なのだから、徹底的に検証すべきです。このまま『内部文書』の真贋がウヤムヤになれば、いずれこの問題は立ち消えになってしまうでしょう。そうなれば、得するのは岸田自民です」(五十嵐仁氏=前出)
小西議員は過去、鋭い質問で大臣を立ち往生させてきた論客だ。しかも、総務省の出身である。総務省の文書は見慣れているはずだ。「内部文書」が本物かどうか、かつての同僚官僚にも確認しているに違いない。礒崎元首相補佐官は共同通信の取材に「(担当局長らとの間で)政治的公平の解釈について意見交換したのは事実だ」と認めている。ウヤムヤのまま終わらせることは許されない。
2023-03-05 06:49
nice!(0)
2月28日(火) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月28付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「ウクライナで目くらまし 41年ぶりの物価高に政府・日銀の無力・無能」
少子化対策に関しても同様で、党大会でも「従来とは次元の異なる子ども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」と言っていたが、口先だけでマジメにやる気がないことは、木原官房副長官の「子どもが増えれば予算は倍増」というフザケた発言が象徴している。
具体策は何も見えず、自民党内からも「何をしたいのか」「どこが異次元なのか」と困惑の声が上がる始末だ。6月の「骨太の方針」に盛り込むと言っているが、要は少子化対策が国民に受けるという“統一地方選対策”だ。支援を充実させるように見せて有権者を引き付ける。少子化・子育て対策なら増税も許容されるという計算もあるだろう。
「令和の所得倍増も、分配を重視した新しい資本主義も掛け声倒れで、岸田首相が着実に実行したのは安倍元首相の路線を踏襲した軍拡の加速だけです。それ以外は、口から出まかせのインチキで、国民生活を良くするための政策は何ひとつしていない。ウクライナへの55億ドルの追加支援を決めたことも、悪いとは言いませんが、もっと自国民のために使えないものか。足元の物価高でこれだけ国民が疲弊しているのに、何の対策も打ち出せないのは、あまりに無能と言わざるを得ません。事態を打開する知恵が何もなく、検討を重ねて先送りするだけの“お手上げ内閣”です。せめて金融政策を転換して正常化すればいいのに、政権維持のために党内最大派閥の安倍派に気を使い、それを打ち出せずにグズグズしている。それで被害を被っているのが国民なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
5月に広島で開かれるサミット前のウクライナ訪問も画策し、支持率アップを夢想して高揚しているが、自身のメンツと保身より国民生活のためにリーダーシップを発揮してほしいと考えている有権者は少なくないはずだ。
党大会で岸田は「自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は最も大切な選挙です。まなじりを決して、来たる統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか」と訴えたが、こんなデタラメ政権を勝たせてしまえば、物価高対策も少子化対策も進まずに、待っているのは増税だけ。
「自分たちの生活を少しでも良くするには、この暗愚政権を終わらせるしかない。統一地方選は、国民生活の苦しさが分からない政権に『NO』を突きつける絶好の機会です」(五十嵐仁氏=前出)
まなじりを決する必要があるのは国民の方だ。
*巻頭特集「ウクライナで目くらまし 41年ぶりの物価高に政府・日銀の無力・無能」
少子化対策に関しても同様で、党大会でも「従来とは次元の異なる子ども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える」と言っていたが、口先だけでマジメにやる気がないことは、木原官房副長官の「子どもが増えれば予算は倍増」というフザケた発言が象徴している。
具体策は何も見えず、自民党内からも「何をしたいのか」「どこが異次元なのか」と困惑の声が上がる始末だ。6月の「骨太の方針」に盛り込むと言っているが、要は少子化対策が国民に受けるという“統一地方選対策”だ。支援を充実させるように見せて有権者を引き付ける。少子化・子育て対策なら増税も許容されるという計算もあるだろう。
「令和の所得倍増も、分配を重視した新しい資本主義も掛け声倒れで、岸田首相が着実に実行したのは安倍元首相の路線を踏襲した軍拡の加速だけです。それ以外は、口から出まかせのインチキで、国民生活を良くするための政策は何ひとつしていない。ウクライナへの55億ドルの追加支援を決めたことも、悪いとは言いませんが、もっと自国民のために使えないものか。足元の物価高でこれだけ国民が疲弊しているのに、何の対策も打ち出せないのは、あまりに無能と言わざるを得ません。事態を打開する知恵が何もなく、検討を重ねて先送りするだけの“お手上げ内閣”です。せめて金融政策を転換して正常化すればいいのに、政権維持のために党内最大派閥の安倍派に気を使い、それを打ち出せずにグズグズしている。それで被害を被っているのが国民なのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
5月に広島で開かれるサミット前のウクライナ訪問も画策し、支持率アップを夢想して高揚しているが、自身のメンツと保身より国民生活のためにリーダーシップを発揮してほしいと考えている有権者は少なくないはずだ。
党大会で岸田は「自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は最も大切な選挙です。まなじりを決して、来たる統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか」と訴えたが、こんなデタラメ政権を勝たせてしまえば、物価高対策も少子化対策も進まずに、待っているのは増税だけ。
「自分たちの生活を少しでも良くするには、この暗愚政権を終わらせるしかない。統一地方選は、国民生活の苦しさが分からない政権に『NO』を突きつける絶好の機会です」(五十嵐仁氏=前出)
まなじりを決する必要があるのは国民の方だ。
2023-02-28 06:49
nice!(0)
2月18日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月18日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「重要な国会審議もスルー つくづく日本を腐らせているのは大メディア」
「原子力規制委員会」が、反対意見を押し切ってまで結論を急いだのは、政府の方針転換に足並みを揃えるためだ。委員長自ら「政府の法案提出というデッドラインがあり、やむを得ない」と説明している。しかし、これも驚くべき発言なのではないか。
もともと「原子力規制委員会」は、3.11の原発事故を踏まえ、「規制」と「推進」の分離を図って設立されたものだ。「原子力規制委員会」は、その名の通り「規制」のための「独立機関」のはずである。なのに「推進」を図る政府の意向に従うなら、もはや存在する意味がないだろう。
どうかしているのは、目の前で異常なことが起きているのに、大手メディアがスルーしていることだ。実際、多くの国民は、この国会でなにが起きているのか、ほとんど知らないのではないか。
「なぜ、大新聞テレビが、一連の異常事態について大きく報じないのか理解不能です。とくに独立機関である“規制委員会”が、政府の下請けのようになっているのは大変な話です。まさか、独立機関の大切さが分かっていないのでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
*巻頭特集「重要な国会審議もスルー つくづく日本を腐らせているのは大メディア」
「原子力規制委員会」が、反対意見を押し切ってまで結論を急いだのは、政府の方針転換に足並みを揃えるためだ。委員長自ら「政府の法案提出というデッドラインがあり、やむを得ない」と説明している。しかし、これも驚くべき発言なのではないか。
もともと「原子力規制委員会」は、3.11の原発事故を踏まえ、「規制」と「推進」の分離を図って設立されたものだ。「原子力規制委員会」は、その名の通り「規制」のための「独立機関」のはずである。なのに「推進」を図る政府の意向に従うなら、もはや存在する意味がないだろう。
どうかしているのは、目の前で異常なことが起きているのに、大手メディアがスルーしていることだ。実際、多くの国民は、この国会でなにが起きているのか、ほとんど知らないのではないか。
「なぜ、大新聞テレビが、一連の異常事態について大きく報じないのか理解不能です。とくに独立機関である“規制委員会”が、政府の下請けのようになっているのは大変な話です。まさか、独立機関の大切さが分かっていないのでしょうか」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
2023-02-18 06:40
nice!(0)
2月15日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月15日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「日銀総裁人事でもチラつく影 今なお国を歪める安倍の亡霊」
■権力に溺れたナルシズム
ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは著書「職業としての政治」で、「権力に溺れたナルシシズム、要するに純粋な権力崇拝ほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」と断言した。権力に溺れたナルシシズムとは岸田か、あるいは安倍の亡霊なのか。
「外交安保も金融政策も原発推進も、安倍路線を継承し、拡大させていますが、これらは本当に岸田首相がやりたかったことなのでしょうか。宏池会らしさはどこにもありません。安倍元首相がやりたかったことを実現させて成仏させてあげるのならば、岸田首相である必要はない。安倍派から後継を出せば済む話です。結局、岸田首相にはビジョンが何もなく、ただ長く権力を維持することしか考えていないのでしょう。だから、長期政権を築いた安倍元首相の真似をしている。1に米国、2に安倍派に媚を売り、タカ派的な政策を強行して安倍支持層に迎合すれば長期政権になると考えているのでしょう。岸田首相が気にしているのは国民生活でも日本経済でもなく、自身の政権維持だけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は10日、自衛隊の任務に不可欠な防衛装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合は、生産ラインを国有化できるようにする法案を閣議決定。13日は2027年度までに500発を購入することにしていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」を23年度に一括購入することも決めたという。
なぜ、そんなことをする必要があるのか。国民に説明がないまま喜々として戦争国家へ邁進しているように見えるが、これも「安倍元首相の遺志」に突き動かされてのことなのか。岸田自身のナルシシズムがそうさせるのか。
もっとも、安倍の亡霊に操られているのは自民党にかぎった話ではない。13日の衆院予算委で、立憲民主党の3議員が先週発売された「安倍晋三 回顧録」を手にし、「この記述は事実か」と現閣僚に質問していたのも不思議な光景だった。残念ながら、彼はもういないのだ。異次元緩和の宴も終わった。安倍の呪縛から解き放たれないかぎり、この国は狂気から抜け出せないことを与野党議員は自覚すべきだ。
*巻頭特集「日銀総裁人事でもチラつく影 今なお国を歪める安倍の亡霊」
■権力に溺れたナルシズム
ドイツの社会学者マックス・ウェーバーは著書「職業としての政治」で、「権力に溺れたナルシシズム、要するに純粋な権力崇拝ほど、政治の力を堕落させ歪めるものはない」と断言した。権力に溺れたナルシシズムとは岸田か、あるいは安倍の亡霊なのか。
「外交安保も金融政策も原発推進も、安倍路線を継承し、拡大させていますが、これらは本当に岸田首相がやりたかったことなのでしょうか。宏池会らしさはどこにもありません。安倍元首相がやりたかったことを実現させて成仏させてあげるのならば、岸田首相である必要はない。安倍派から後継を出せば済む話です。結局、岸田首相にはビジョンが何もなく、ただ長く権力を維持することしか考えていないのでしょう。だから、長期政権を築いた安倍元首相の真似をしている。1に米国、2に安倍派に媚を売り、タカ派的な政策を強行して安倍支持層に迎合すれば長期政権になると考えているのでしょう。岸田首相が気にしているのは国民生活でも日本経済でもなく、自身の政権維持だけなのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は10日、自衛隊の任務に不可欠な防衛装備品を製造する企業の事業継続が困難になった場合は、生産ラインを国有化できるようにする法案を閣議決定。13日は2027年度までに500発を購入することにしていた米国製巡航ミサイル「トマホーク」を23年度に一括購入することも決めたという。
なぜ、そんなことをする必要があるのか。国民に説明がないまま喜々として戦争国家へ邁進しているように見えるが、これも「安倍元首相の遺志」に突き動かされてのことなのか。岸田自身のナルシシズムがそうさせるのか。
もっとも、安倍の亡霊に操られているのは自民党にかぎった話ではない。13日の衆院予算委で、立憲民主党の3議員が先週発売された「安倍晋三 回顧録」を手にし、「この記述は事実か」と現閣僚に質問していたのも不思議な光景だった。残念ながら、彼はもういないのだ。異次元緩和の宴も終わった。安倍の呪縛から解き放たれないかぎり、この国は狂気から抜け出せないことを与野党議員は自覚すべきだ。
2023-02-15 09:31
nice!(0)
2月11日(土) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月11日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「統一教会、日本会議とズブズブ 自民党保守派の正体と家族観」
伝統的家族観を堅持しようとしているのは、右派組織「日本会議」も同様だ。200人近い自民党議員が議員連盟に名を連ねている。あの森友学園の幼稚園児が「教育勅語」を暗唱していたが、籠池泰典理事長は日本会議のメンバーだった。
さらには、自民党の全国会議員の7割弱が議連に参加する「神道政治連盟」の存在。昨夏の参院選直前に「同性愛は精神の障害、または依存症」などと差別的な記載のある冊子を議員に配っていたことが分かっている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「もともと自民党は、統一教会や日本会議と『反共』『改憲』『マイノリティー蔑視』などの考え方で共通している。自民党の強固な支持基盤であり、それを一層強めようとしたのが第2次安倍政権時代です。中でも統一教会とは、岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三と3代にわたる付き合いがあり、信頼関係の下、結びつきが強まった。そうした中、自民党内で保守派の存在感が、どんどん大きくなっていったのです」
■世界から完全に置いてけぼり
民主党政権下で一時的に業界団体が自民党から離れた際、自民党は選挙で宗教団体を頼みの綱とし、右傾化が加速した側面もある。そして、安倍政権でますます宗教団体との関係が深まり、党内のリベラル派は苦い顔をしつつも、安倍に服従。アナクロ家族観が自民党の“主流”になってしまったのだ。
その間、世界は多様性と人権を重視して、さまざまな法整備が進んだ。いまやG7各国に限らず、33の国・地域で同性婚が認められている。女性を家制度に閉じ込め、ジェンダー平等から目を背ける自民党の価値観の古さは際立っている。
立憲民主党がいま、安倍政権時代の「失われた10年」を検証しているが、少子化を悪化させ、経済成長を阻み、賃金を上昇させられなかったのは、教育勅語を礼賛し、家族主義を標榜するような政治を続けてきた末路なのではないか。この10年で、日本は完全に、世界から置いてけぼりにされてしまった。
「失われた10年ではなく、『ぶっ壊された10年』ですよ。日本はいまはGDPで世界3位ですが、今年中にも人口8000万人のドイツに逆転されそうです。岸田首相もいつまで古い安倍路線を続けるんですか」(五十嵐仁氏=前出)
ちょっとだけ「寄り添うふり」は国民愚弄政党の常套手段だ。リベラルな宏池会の領袖のくせに、自らの保身と政権維持のために党内保守派の顔色ばかりうかがい続ける岸田は、亡国の首相と言わずして、何と言う。
*巻頭特集「統一教会、日本会議とズブズブ 自民党保守派の正体と家族観」
伝統的家族観を堅持しようとしているのは、右派組織「日本会議」も同様だ。200人近い自民党議員が議員連盟に名を連ねている。あの森友学園の幼稚園児が「教育勅語」を暗唱していたが、籠池泰典理事長は日本会議のメンバーだった。
さらには、自民党の全国会議員の7割弱が議連に参加する「神道政治連盟」の存在。昨夏の参院選直前に「同性愛は精神の障害、または依存症」などと差別的な記載のある冊子を議員に配っていたことが分かっている。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「もともと自民党は、統一教会や日本会議と『反共』『改憲』『マイノリティー蔑視』などの考え方で共通している。自民党の強固な支持基盤であり、それを一層強めようとしたのが第2次安倍政権時代です。中でも統一教会とは、岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三と3代にわたる付き合いがあり、信頼関係の下、結びつきが強まった。そうした中、自民党内で保守派の存在感が、どんどん大きくなっていったのです」
■世界から完全に置いてけぼり
民主党政権下で一時的に業界団体が自民党から離れた際、自民党は選挙で宗教団体を頼みの綱とし、右傾化が加速した側面もある。そして、安倍政権でますます宗教団体との関係が深まり、党内のリベラル派は苦い顔をしつつも、安倍に服従。アナクロ家族観が自民党の“主流”になってしまったのだ。
その間、世界は多様性と人権を重視して、さまざまな法整備が進んだ。いまやG7各国に限らず、33の国・地域で同性婚が認められている。女性を家制度に閉じ込め、ジェンダー平等から目を背ける自民党の価値観の古さは際立っている。
立憲民主党がいま、安倍政権時代の「失われた10年」を検証しているが、少子化を悪化させ、経済成長を阻み、賃金を上昇させられなかったのは、教育勅語を礼賛し、家族主義を標榜するような政治を続けてきた末路なのではないか。この10年で、日本は完全に、世界から置いてけぼりにされてしまった。
「失われた10年ではなく、『ぶっ壊された10年』ですよ。日本はいまはGDPで世界3位ですが、今年中にも人口8000万人のドイツに逆転されそうです。岸田首相もいつまで古い安倍路線を続けるんですか」(五十嵐仁氏=前出)
ちょっとだけ「寄り添うふり」は国民愚弄政党の常套手段だ。リベラルな宏池会の領袖のくせに、自らの保身と政権維持のために党内保守派の顔色ばかりうかがい続ける岸田は、亡国の首相と言わずして、何と言う。
2023-02-11 09:39
nice!(0)
2月8日(水) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月8日付に掲載されたものです。〕
*記事「LGBT差別問題が広島サミット直撃!岸田首相は法整備か、国際社会で赤っ恥か…迫られる選択」
■安倍派におもねて国際社会で赤っ恥をかくのか
かつて岸田首相は、選択的夫婦別姓制度を早期実現する議員連盟の呼びかけ人だったのに、「政権維持のためなら、そこまで安倍派におもねるんですかね」(政界関係者)。
騒ぎが大きくなったのを受け、茂木幹事長は6日の会見でひとまず、「LGBT理解増進法案の国会提出に向け、引き続き準備を進めていきたい」とは言ったが、今回は反対派を抑えられるのか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「法整備するのか、踏み潰すのか。岸田さんのリトマス試験紙になる。トップの自民党総裁が『やれ』と言えばいいだけ。国際社会を納得させられるよう、イニシアチブを発揮できるのかどうかが問われています」
岸田首相は広島の晴れ舞台で赤っ恥をかきたいのだろうか。
*記事「LGBT差別問題が広島サミット直撃!岸田首相は法整備か、国際社会で赤っ恥か…迫られる選択」
■安倍派におもねて国際社会で赤っ恥をかくのか
かつて岸田首相は、選択的夫婦別姓制度を早期実現する議員連盟の呼びかけ人だったのに、「政権維持のためなら、そこまで安倍派におもねるんですかね」(政界関係者)。
騒ぎが大きくなったのを受け、茂木幹事長は6日の会見でひとまず、「LGBT理解増進法案の国会提出に向け、引き続き準備を進めていきたい」とは言ったが、今回は反対派を抑えられるのか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「法整備するのか、踏み潰すのか。岸田さんのリトマス試験紙になる。トップの自民党総裁が『やれ』と言えばいいだけ。国際社会を納得させられるよう、イニシアチブを発揮できるのかどうかが問われています」
岸田首相は広島の晴れ舞台で赤っ恥をかきたいのだろうか。
2023-02-08 09:58
nice!(0)
2月5日(日) 『日刊ゲンダイ』に掲載されたコメント [コメント]
〔以下のコメントは『日刊ゲンダイ』2月5日付に掲載されたものです。〕
*巻頭特集「国民だってお見通し 児童手当をめぐる茶番劇は防衛増税の目くらまし」
■肝心なことは隠して既成事実化
「児童手当は、それだけで子育てができる額ではないし、児童手当拡充を理由に増税なんてされたら、子育て世帯の家計はかえってマイナスになりかねない。本当に少子化対策を考えるのなら、所得制限の撤廃でお茶を濁すのではなく、まずは子育てを社会の中でどう位置づけるかという全体像を示し、子どもや女性の権利を守りながら社会進出を支援する取り組みが必要です。取ってつけたような児童手当問題は、統一地方選を意識したバラマキでしかない。内閣支持率の下落が止まらず焦った岸田政権が、人気取りの政策をあれもこれもと打ち出しているだけなので、どれも場当たりで一貫性がなく、長期的ビジョンも理念も感じられないのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は防衛費を倍増、子ども予算も倍増と風呂敷を広げるが、その財源はどうするのかというと、増税しかない。あるいは、社会保障費の大幅カットだ。そこをきちんと説明しないで「あれもやる、これもやる」とリーダーぶっているのは、不誠実極まりない。
高騰する電気代が国民生活を圧迫していることについて、岸田は1月30日の衆院予算委で「必要な対応は躊躇なく取り組む」と表明。国はすでに今年1月使用分から電気料金は1キロワット時あたり7円、ガス料金は1立方メートルあたり30円を補助していて、標準家庭では電気・ガス料金が2割ほど安くなる計算だというが、東電は6月から電気料金を3割値上げするから焼け石に水だ。しかも、補助は期間限定で、9月からは減額される。
「燃料価格の高騰と円安のダブルパンチで電気代が急激に値上がりしている。食料品などの物価高も、アベノミクスの異次元緩和による円安誘導が元凶です。岸田首相は賃上げも口だけで、この物価高にはとても対応できません。それなのに、日銀の金融政策という根本的な原因には手をつけず、あちこちの傷口に絆創膏を貼ってしのぐような場当たりでごまかしている。それどころか、電気代高騰に国民が苦しんでいることを利用して、原発推進に舵を切ろうというのだから悪辣です」(五十嵐仁氏=前出)
岸田政権は昨年末に策定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」で突然、原発回帰に舵を切った。議論を避け、国会を閉じた途端に勝手に決めるのは防衛費増額と同じやり口だ。
*巻頭特集「国民だってお見通し 児童手当をめぐる茶番劇は防衛増税の目くらまし」
■肝心なことは隠して既成事実化
「児童手当は、それだけで子育てができる額ではないし、児童手当拡充を理由に増税なんてされたら、子育て世帯の家計はかえってマイナスになりかねない。本当に少子化対策を考えるのなら、所得制限の撤廃でお茶を濁すのではなく、まずは子育てを社会の中でどう位置づけるかという全体像を示し、子どもや女性の権利を守りながら社会進出を支援する取り組みが必要です。取ってつけたような児童手当問題は、統一地方選を意識したバラマキでしかない。内閣支持率の下落が止まらず焦った岸田政権が、人気取りの政策をあれもこれもと打ち出しているだけなので、どれも場当たりで一貫性がなく、長期的ビジョンも理念も感じられないのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
岸田は防衛費を倍増、子ども予算も倍増と風呂敷を広げるが、その財源はどうするのかというと、増税しかない。あるいは、社会保障費の大幅カットだ。そこをきちんと説明しないで「あれもやる、これもやる」とリーダーぶっているのは、不誠実極まりない。
高騰する電気代が国民生活を圧迫していることについて、岸田は1月30日の衆院予算委で「必要な対応は躊躇なく取り組む」と表明。国はすでに今年1月使用分から電気料金は1キロワット時あたり7円、ガス料金は1立方メートルあたり30円を補助していて、標準家庭では電気・ガス料金が2割ほど安くなる計算だというが、東電は6月から電気料金を3割値上げするから焼け石に水だ。しかも、補助は期間限定で、9月からは減額される。
「燃料価格の高騰と円安のダブルパンチで電気代が急激に値上がりしている。食料品などの物価高も、アベノミクスの異次元緩和による円安誘導が元凶です。岸田首相は賃上げも口だけで、この物価高にはとても対応できません。それなのに、日銀の金融政策という根本的な原因には手をつけず、あちこちの傷口に絆創膏を貼ってしのぐような場当たりでごまかしている。それどころか、電気代高騰に国民が苦しんでいることを利用して、原発推進に舵を切ろうというのだから悪辣です」(五十嵐仁氏=前出)
岸田政権は昨年末に策定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」で突然、原発回帰に舵を切った。議論を避け、国会を閉じた途端に勝手に決めるのは防衛費増額と同じやり口だ。
2023-02-05 10:01
nice!(0)