3月29日(火) 安保関連法(戦争法)は施行されても廃止をめざさなければならない [戦争立法]
今日、安保関連法(戦争法)が施行されました。それでもなお、廃止をめざさなければなりません。
この法律によって、日本と国民が戦争とテロに巻き込まれる危険性が増大しているからです。それが施行され、実際に使える法律として機能し始めれば、その危険性はさらに大きなものとなるでしょう。
今日施行されるのは、国際平和支援法という新法と、これまでの法律を改定した武力攻撃事態法、自衛隊法、重要影響事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、国家安全保障会議(NSC)設置法、米軍行動関連措置法、特定公共施設利用法、海上輸送規制法、捕虜取り扱い法です。このうち、周辺事態法を改定した重要影響事態法以外の10の法律は「平和安全法制整備法」として一括して改定されました。
これらの法律によって、憲法が禁じる武力行使に当たるとしてこれまで認めていなかった集団的自衛権の行使が可能になるほか、他国軍への後方支援や国際協力活動での自衛隊の任務が拡大します。施行後は、日本と密接に関係する他国への攻撃によって日本の存立が脅かされる「存立危機事態」では集団的自衛権として必要最小限度の武力を行使できるようになります。
また、米軍など他国軍への後方支援には地理的制約がなくなり、弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油など支援内容が広がります。平時でも、共同訓練など「日本の防衛に資する活動」に従事する他国軍を自衛隊が防護でき、国連平和維持活動(PKO)では、離れた場所にいる他国軍部隊などを救出する「駆け付け警護」が新たな任務に加わります。
防衛省は施行を前に「安全保障法制整備検討委員会」を開き、中谷元防衛相は「戦争を未然に防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠な法律だ。引き続き慎重を期して準備作業、教育訓練を進めてほしい」と指示しています。「戦争を未然に防ぐ」ということは、これらの法律が施行されれば戦争が起きなくなるということを意味しています。
これが「抑止力」というものです。安倍首相も、これらの法律によって「抑止力」が高まり、日本周辺の安全保障環境が改善するとし、だから「平和安全法制」略して平安法と呼んでほしいと言っていました。
しかし、今までだって、自衛隊は他国で「殺し、殺される」ことはありませんでした。逆に、この法律が制定されたことによって戦争やテロに巻き込まれる危険性が低下するどころか、初めて「殺し、殺される」危険性が生じているのではないでしょうか。
法律は昨年9月19日に成立しました。その翌月、バングラディシュで農業支援の活動を行っていた66歳の日本人男性が殺害され、現地のIS(イスラム国)支部が犯行声明を出しました。
安保関連法成立後に生じた最初の日本人犠牲者だと言えるでしょう。昨年のはじめに2人の日本人が殺され「安倍よ、お前の悪夢を始めよう」とISが宣言して国際テロの脅威が増しているその時に、アメリカと一緒に闘うための法整備を行い有志連合の一員としてさらに大きな役割を果たすことを国際社会に明らかにした結果が、このような形で現れたことになります。
他方、北朝鮮は今年に入ってから「水爆実験」やロケットの発射、ミサイルの試射などを行っており、韓国との間での戦争の危機が高まっています。安保関連法が整備されたことによって日米間の同盟関係が強化されたと安倍首相は胸を張っていますが、その結果、朝鮮半島での戦争に日本が巻き込まれる危険性も一段と強まっていると言わなければなりません。
国際テロの脅威は、中東地域のみならずフランスやベルギーなどヨーロッパにも拡大を見せています。日本周辺での偶発的な軍事衝突の危機も強まっています。
そのような時に、安保法制を整備してアメリカとともに国際紛争に関与し、日本の若者の血を流すような法整備を行ったわけです。その結果、軍拡競争はさらに激しさを増し、日本周辺の安全保障環境は極度に悪化し続け、軍拡競争はエスカレートしつつあります。
最悪のタイミングで、最悪の選択を行ったと言わなければなりません。だからこそ、安保関連法の整備によって自衛隊の活動が拡大され、アメリカとともに海外で戦争できるようになったから安心だという国民はほとんどいず、逆に不安感が高まっているからこそ、施行されても具体的な任務の拡大は参院選後まで延期されることになったのです。
政府も防衛省も、この法律に対する国民の理解が進んでいないことを良く知っています。しかし、昨秋の臨時国会の開催要求を拒み、野党が提出した廃止法案の審議を行おうとせず、たな晒しにしてきました。
法律への理解を促進するための絶好の機会であるにもかかわらず、このような逃げの姿勢を取り続けているのは、いくら説明しても理解されないと思っているからです。逆に、説明すればするほど、戦争やテロに巻き込まれるのではないかとの不安を高めてしまうことが分かっているからです。
これらの法整備は、日本が攻撃されていなくても、一定の条件があれば自衛隊が海外に出かけていって米軍を守ったり戦闘の手伝いをしたりできるようにするためのものです。自衛隊のリスクが高まり、日本が戦争に巻き込まれる危険性が増すのは当たり前です。今までできなかった制約を取り払い、自ら進んで戦争を手伝いに出かけて行くのですから。
テロは武力によってなくすことはできず、「テロとの戦い」によってかえって国際テロを増大させてきたというのが、2001年の同時多発テロ以降の教訓です。アメリカが始めたイラク戦争やアフガン戦争はいずれも不正義の戦争であって間違ったものでした。それによって平和も安全ももたらされませんでした。
これらの教訓や経験が明らかになっているにもかかわらず、日本はアメリカの後追いをしようとしています。間違った解決方法を正すのではなく、それを手伝おうとしているのです。
日本の安全のためにも、世界の平和にとっても、全くの逆行でしかありません。武力ではなく話し合いで、ハードパワーによってではなくソフトパワーを通じてしか真の平和は実現できないということを、憲法9条を持っている日本こそ国際社会に示さなければならないその時に、これを空洞化し、9条を投げ捨てようとしているわけです。
何と愚かなことでしょうか。今、ここで踏みとどまり、進行方向を切り替えなければなりません。
それは国際社会において日本が果たせる独特の役割であり、日本の安全と世界の平和に大きく寄与することになります。そのためにも戦争法を廃止しなければなりません。
安倍政権を倒して、戦争法の廃止を可能とするような政府を実現する必要があります。そのための政治決戦こそが夏の参院選(衆参同日選挙?)であり、その結果いかんは日本のみならず国際テロと戦争の脅威に悩む世界の前途を左右することになるでしょう。
この法律によって、日本と国民が戦争とテロに巻き込まれる危険性が増大しているからです。それが施行され、実際に使える法律として機能し始めれば、その危険性はさらに大きなものとなるでしょう。
今日施行されるのは、国際平和支援法という新法と、これまでの法律を改定した武力攻撃事態法、自衛隊法、重要影響事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法、船舶検査活動法、国家安全保障会議(NSC)設置法、米軍行動関連措置法、特定公共施設利用法、海上輸送規制法、捕虜取り扱い法です。このうち、周辺事態法を改定した重要影響事態法以外の10の法律は「平和安全法制整備法」として一括して改定されました。
これらの法律によって、憲法が禁じる武力行使に当たるとしてこれまで認めていなかった集団的自衛権の行使が可能になるほか、他国軍への後方支援や国際協力活動での自衛隊の任務が拡大します。施行後は、日本と密接に関係する他国への攻撃によって日本の存立が脅かされる「存立危機事態」では集団的自衛権として必要最小限度の武力を行使できるようになります。
また、米軍など他国軍への後方支援には地理的制約がなくなり、弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油など支援内容が広がります。平時でも、共同訓練など「日本の防衛に資する活動」に従事する他国軍を自衛隊が防護でき、国連平和維持活動(PKO)では、離れた場所にいる他国軍部隊などを救出する「駆け付け警護」が新たな任務に加わります。
防衛省は施行を前に「安全保障法制整備検討委員会」を開き、中谷元防衛相は「戦争を未然に防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠な法律だ。引き続き慎重を期して準備作業、教育訓練を進めてほしい」と指示しています。「戦争を未然に防ぐ」ということは、これらの法律が施行されれば戦争が起きなくなるということを意味しています。
これが「抑止力」というものです。安倍首相も、これらの法律によって「抑止力」が高まり、日本周辺の安全保障環境が改善するとし、だから「平和安全法制」略して平安法と呼んでほしいと言っていました。
しかし、今までだって、自衛隊は他国で「殺し、殺される」ことはありませんでした。逆に、この法律が制定されたことによって戦争やテロに巻き込まれる危険性が低下するどころか、初めて「殺し、殺される」危険性が生じているのではないでしょうか。
法律は昨年9月19日に成立しました。その翌月、バングラディシュで農業支援の活動を行っていた66歳の日本人男性が殺害され、現地のIS(イスラム国)支部が犯行声明を出しました。
安保関連法成立後に生じた最初の日本人犠牲者だと言えるでしょう。昨年のはじめに2人の日本人が殺され「安倍よ、お前の悪夢を始めよう」とISが宣言して国際テロの脅威が増しているその時に、アメリカと一緒に闘うための法整備を行い有志連合の一員としてさらに大きな役割を果たすことを国際社会に明らかにした結果が、このような形で現れたことになります。
他方、北朝鮮は今年に入ってから「水爆実験」やロケットの発射、ミサイルの試射などを行っており、韓国との間での戦争の危機が高まっています。安保関連法が整備されたことによって日米間の同盟関係が強化されたと安倍首相は胸を張っていますが、その結果、朝鮮半島での戦争に日本が巻き込まれる危険性も一段と強まっていると言わなければなりません。
国際テロの脅威は、中東地域のみならずフランスやベルギーなどヨーロッパにも拡大を見せています。日本周辺での偶発的な軍事衝突の危機も強まっています。
そのような時に、安保法制を整備してアメリカとともに国際紛争に関与し、日本の若者の血を流すような法整備を行ったわけです。その結果、軍拡競争はさらに激しさを増し、日本周辺の安全保障環境は極度に悪化し続け、軍拡競争はエスカレートしつつあります。
最悪のタイミングで、最悪の選択を行ったと言わなければなりません。だからこそ、安保関連法の整備によって自衛隊の活動が拡大され、アメリカとともに海外で戦争できるようになったから安心だという国民はほとんどいず、逆に不安感が高まっているからこそ、施行されても具体的な任務の拡大は参院選後まで延期されることになったのです。
政府も防衛省も、この法律に対する国民の理解が進んでいないことを良く知っています。しかし、昨秋の臨時国会の開催要求を拒み、野党が提出した廃止法案の審議を行おうとせず、たな晒しにしてきました。
法律への理解を促進するための絶好の機会であるにもかかわらず、このような逃げの姿勢を取り続けているのは、いくら説明しても理解されないと思っているからです。逆に、説明すればするほど、戦争やテロに巻き込まれるのではないかとの不安を高めてしまうことが分かっているからです。
これらの法整備は、日本が攻撃されていなくても、一定の条件があれば自衛隊が海外に出かけていって米軍を守ったり戦闘の手伝いをしたりできるようにするためのものです。自衛隊のリスクが高まり、日本が戦争に巻き込まれる危険性が増すのは当たり前です。今までできなかった制約を取り払い、自ら進んで戦争を手伝いに出かけて行くのですから。
テロは武力によってなくすことはできず、「テロとの戦い」によってかえって国際テロを増大させてきたというのが、2001年の同時多発テロ以降の教訓です。アメリカが始めたイラク戦争やアフガン戦争はいずれも不正義の戦争であって間違ったものでした。それによって平和も安全ももたらされませんでした。
これらの教訓や経験が明らかになっているにもかかわらず、日本はアメリカの後追いをしようとしています。間違った解決方法を正すのではなく、それを手伝おうとしているのです。
日本の安全のためにも、世界の平和にとっても、全くの逆行でしかありません。武力ではなく話し合いで、ハードパワーによってではなくソフトパワーを通じてしか真の平和は実現できないということを、憲法9条を持っている日本こそ国際社会に示さなければならないその時に、これを空洞化し、9条を投げ捨てようとしているわけです。
何と愚かなことでしょうか。今、ここで踏みとどまり、進行方向を切り替えなければなりません。
それは国際社会において日本が果たせる独特の役割であり、日本の安全と世界の平和に大きく寄与することになります。そのためにも戦争法を廃止しなければなりません。
安倍政権を倒して、戦争法の廃止を可能とするような政府を実現する必要があります。そのための政治決戦こそが夏の参院選(衆参同日選挙?)であり、その結果いかんは日本のみならず国際テロと戦争の脅威に悩む世界の前途を左右することになるでしょう。
10月19日(月) 成立から1ヵ月に際し改めて戦争法廃止の決意を固めよう [戦争立法]
あれから1ヵ月が経ちました。安倍内閣の暴走によって戦争法が成立したあの時から……。
国会最終盤には、私も連日、国会前の抗議行動に出かけました。「雨にも負けず、安倍にも負けず」をモットーに……。
昨日、渋谷でSEALDsの宣伝行動がありました。私の住む八王子でもJR八王子駅の北口前で宣伝行動が行われ、800人が参加しています。
私も宣伝カーの上から訴えさせていただきました。この様子が、今日の『しんぶん赤旗』の対抗社会面と『東京新聞』の「多摩」版に掲載されています。
前者では「法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁名誉研究員は『バングラデシュで日本人男性がテロ組織を名乗る団体に殺害された。戦争法のリスクと害悪はすでに現実のものだ。一刻も早く廃止し、日本人の安全を守れ』と語りました」と書かれ、後者では「中学生や学者、神主らが安保法に反対する考えなどを訴え」と報じられました。今晩の国会正門前での集会にも、参加するつもりです。
昨日の渋谷での街宣活動には、野党5党の国会議員も参加してあいさつしたと報じられています。「野党は共闘」コールが巻き起こったそうですが、それも当然でしょう。
八王子での宣伝・アピール活動でも、民主党・共産党・社民党の国会議員のメッセージを市議会議員や都議会議員が代読しました。市議会議員では、生活者ネットや維新の党(集会には間に合いませんでしたが)などからの参加もありました。
立憲主義が危機に瀕し、法治国家としてのあり方が問われるという緊急事態です。あの党は嫌いだとか好きだとか言っていられる状況ではないということを自覚し、協力してもらいたいものです。
昨日のブログ「第3次安倍改造内閣は『大惨事不安倍増』内閣ではないのか」で、新任閣僚のスキャンダルについて書きました。また1人、追加すべき人が現れたようです。
新聞などの報道によれば、島尻安伊子沖縄担当相が自身の顔写真入りで氏名が書かれたカレンダーを配布していたことが、ホームページのブログから分かったといいます。選挙区内で有権者に配布していた場合は公職選挙法違反(寄付行為の禁止)に抵触する可能性があります。
公選法の寄付の禁止をめぐっては、松島みどり元法相が選挙区内でうちわを配布して公選法違反の疑いが持たれ、引責辞任した例があります。これとよく似たケースになるわけですが、島尻さんはどう対応するのでしょうか。
他方、安倍首相は神奈川県の相模湾沖で行われた自衛隊観艦式での訓示で、安全保障関連法の成立を踏まえて「平和は自らの手で勝ち取るものだ」と述べ、「諸君にはさらなる任務を果たしてもらいたい」と訴えました。「武力による平和」のために自衛隊を活用するというわけです。
観艦式には自衛隊の艦艇36隻、航空機37機が参加し、外国艦艇では韓国軍が初めて加わったほか、米国、オーストラリア、インド、フランスの軍艦が参加しました。安倍首相は式典後に米海軍横須賀基地に配備された米原子力空母ロナルド・レーガンを視察し、艦載機にも搭乗しています。現職の首相が米空母に乗艦するのは初めてのことになります。
安倍首相のこの日の言動は、安保関連法がまさに戦争準備のための法律であることを明瞭に示すものです。国民から誤解を受けることを避けるような配慮などはそっちのけで、意気揚々と軍事力を誇示し、日米軍事同盟の強化を目指す姿勢をあからさまにするものでした。
戦争法成立1ヵ月後の今、安倍首相は国民の反対と批判を無視してさらなる暴走を続ける姿勢を示したことになります。それをストップさせて戦争法を廃止するために、これからも粘り強く運動を続けるという決意を、私たちも改めて固めようではありませんか。
国会最終盤には、私も連日、国会前の抗議行動に出かけました。「雨にも負けず、安倍にも負けず」をモットーに……。
昨日、渋谷でSEALDsの宣伝行動がありました。私の住む八王子でもJR八王子駅の北口前で宣伝行動が行われ、800人が参加しています。
私も宣伝カーの上から訴えさせていただきました。この様子が、今日の『しんぶん赤旗』の対抗社会面と『東京新聞』の「多摩」版に掲載されています。
前者では「法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁名誉研究員は『バングラデシュで日本人男性がテロ組織を名乗る団体に殺害された。戦争法のリスクと害悪はすでに現実のものだ。一刻も早く廃止し、日本人の安全を守れ』と語りました」と書かれ、後者では「中学生や学者、神主らが安保法に反対する考えなどを訴え」と報じられました。今晩の国会正門前での集会にも、参加するつもりです。
昨日の渋谷での街宣活動には、野党5党の国会議員も参加してあいさつしたと報じられています。「野党は共闘」コールが巻き起こったそうですが、それも当然でしょう。
八王子での宣伝・アピール活動でも、民主党・共産党・社民党の国会議員のメッセージを市議会議員や都議会議員が代読しました。市議会議員では、生活者ネットや維新の党(集会には間に合いませんでしたが)などからの参加もありました。
立憲主義が危機に瀕し、法治国家としてのあり方が問われるという緊急事態です。あの党は嫌いだとか好きだとか言っていられる状況ではないということを自覚し、協力してもらいたいものです。
昨日のブログ「第3次安倍改造内閣は『大惨事不安倍増』内閣ではないのか」で、新任閣僚のスキャンダルについて書きました。また1人、追加すべき人が現れたようです。
新聞などの報道によれば、島尻安伊子沖縄担当相が自身の顔写真入りで氏名が書かれたカレンダーを配布していたことが、ホームページのブログから分かったといいます。選挙区内で有権者に配布していた場合は公職選挙法違反(寄付行為の禁止)に抵触する可能性があります。
公選法の寄付の禁止をめぐっては、松島みどり元法相が選挙区内でうちわを配布して公選法違反の疑いが持たれ、引責辞任した例があります。これとよく似たケースになるわけですが、島尻さんはどう対応するのでしょうか。
他方、安倍首相は神奈川県の相模湾沖で行われた自衛隊観艦式での訓示で、安全保障関連法の成立を踏まえて「平和は自らの手で勝ち取るものだ」と述べ、「諸君にはさらなる任務を果たしてもらいたい」と訴えました。「武力による平和」のために自衛隊を活用するというわけです。
観艦式には自衛隊の艦艇36隻、航空機37機が参加し、外国艦艇では韓国軍が初めて加わったほか、米国、オーストラリア、インド、フランスの軍艦が参加しました。安倍首相は式典後に米海軍横須賀基地に配備された米原子力空母ロナルド・レーガンを視察し、艦載機にも搭乗しています。現職の首相が米空母に乗艦するのは初めてのことになります。
安倍首相のこの日の言動は、安保関連法がまさに戦争準備のための法律であることを明瞭に示すものです。国民から誤解を受けることを避けるような配慮などはそっちのけで、意気揚々と軍事力を誇示し、日米軍事同盟の強化を目指す姿勢をあからさまにするものでした。
戦争法成立1ヵ月後の今、安倍首相は国民の反対と批判を無視してさらなる暴走を続ける姿勢を示したことになります。それをストップさせて戦争法を廃止するために、これからも粘り強く運動を続けるという決意を、私たちも改めて固めようではありませんか。
9月19日(土) 戦争法案の「成立」は認めない [戦争立法]
本日未明の参院本会議で、戦争法案は「成立」したとされています。しかし、これは認められません。
議会制民主主義を踏みにじって強行可決された法律には正統性がないからです。きちんとした手順を踏んで十分に議論し、そのうえで定められた手続きに基づいて多数の賛成が得られた場合にだけ、「成立」の名に値すると言うべきでしょう。
中央公聴会と地方公聴会が開かれたのに、その議事録も作成されず、そこでの意見を踏まえた総括質疑は実施されませんでした。何のための公聴会だったのかと言わなければなりません。
突然の質疑打ち切りによって言論の府としての役割を放棄し、前日からのシナリオに基づいて野党をだまし討ちにしたのが、安保特別委員会での「採決」でした。怒号と混乱の中で委員長席に殺到した場面では、自衛隊出身の佐藤議員が民主党議員の頬を拳骨で殴り負傷させるという事件も起きました。
本会議では、質問時間を制限して野党の発言を抑え、共産党が暴露した自衛隊の内部文書の流出経路などについての調査を自民党議員が要求するなどという一幕もありました。自衛隊の独走を批判するのではなく、国民の知る権利や議員の国政調査権を制限し、内部告発者の保護などを敵視するもので、断じて許されません。
このような暴挙を阻止するために、私も4日連続で国会前に行きました。昨日の夕方、地下鉄の桜田門駅から出ようとしたら、右側はもう一杯だから左側の出口から出るようにと指示されました。
この4日間、日に日に参加者が増えてきたように思います。昨日の参加者数は4万人以上と発表されましたが、そのうちの1人は私です。
警察情報では1万1000人だとされていますが、それをずっと上回る参加者数であることは、現地に行ってみれば直ぐわかることです。私が帰るころになっても参加者が続々とやってきていましたから、入れ替わりも多く、一日の延べ人数にすれば10万人近くになるのではないでしょうか。
今週に入ってからの5日間、毎日、国会前での集会が取り組まれました。私はその4日間に参加したことになります。
交通整理をしていた若い警察官に、「毎日、ここに来ているの?」と聞いたら、「これで4日目になります」と答えていました。このような警察官を含めて、毎日スピーチを聞いていた万余の人々に対しての政治教育が連日連夜、実施されたことになります。
それをじっと聞いていたこの若い警察官は何を感じたでしょうか。彼らも選挙権を持つ有権者の1人であり、戦争が始まれば何らかの形で協力させられる可能性があるわけですから……。
「戦争法案今すぐ廃案」というコールは、やがて「安倍内閣は今すぐ退陣」に変わりました。戦争法の制定に反対する運動は、安倍内閣に対する倒閣運動へと転化したことになります。
「民主主義は止まらない」「この悔しさは忘れない」というのが、この夜、国会前を埋めた4万人以上の人々の率直な思いだったのではないでしょうか。「次の選挙では思い知らせてやる」という決意を固めた人も多かったでしょう。
忘れてはなりません。この思いや決意を忘れずに持続させ、次の選挙で爆発させることこそ、安倍政権が最も恐れていることなのですから……。
安倍政権は、勝手に憲法の解釈を変えて違憲の法律を成立させることで立憲主義を踏みにじり、海外で戦争できる国に日本を変えることで平和主義を葬り、国民の多くが反対しているにもかかわらず民意を無視して採決を強行することで民主主義を破壊しました。戦後最低、最悪の政権にほかなりません。
このような形で憲法9条を空洞化しようとする暴走に対して、これからは戦争法制を空洞化するための戦いが始まります。戦争法案の「成立」は認めないという意思を明確にするためにも、安倍暴走政権の退陣をめざして粘り強い運動を継続させることが必要です。
議会制民主主義を踏みにじって強行可決された法律には正統性がないからです。きちんとした手順を踏んで十分に議論し、そのうえで定められた手続きに基づいて多数の賛成が得られた場合にだけ、「成立」の名に値すると言うべきでしょう。
中央公聴会と地方公聴会が開かれたのに、その議事録も作成されず、そこでの意見を踏まえた総括質疑は実施されませんでした。何のための公聴会だったのかと言わなければなりません。
突然の質疑打ち切りによって言論の府としての役割を放棄し、前日からのシナリオに基づいて野党をだまし討ちにしたのが、安保特別委員会での「採決」でした。怒号と混乱の中で委員長席に殺到した場面では、自衛隊出身の佐藤議員が民主党議員の頬を拳骨で殴り負傷させるという事件も起きました。
本会議では、質問時間を制限して野党の発言を抑え、共産党が暴露した自衛隊の内部文書の流出経路などについての調査を自民党議員が要求するなどという一幕もありました。自衛隊の独走を批判するのではなく、国民の知る権利や議員の国政調査権を制限し、内部告発者の保護などを敵視するもので、断じて許されません。
このような暴挙を阻止するために、私も4日連続で国会前に行きました。昨日の夕方、地下鉄の桜田門駅から出ようとしたら、右側はもう一杯だから左側の出口から出るようにと指示されました。
この4日間、日に日に参加者が増えてきたように思います。昨日の参加者数は4万人以上と発表されましたが、そのうちの1人は私です。
警察情報では1万1000人だとされていますが、それをずっと上回る参加者数であることは、現地に行ってみれば直ぐわかることです。私が帰るころになっても参加者が続々とやってきていましたから、入れ替わりも多く、一日の延べ人数にすれば10万人近くになるのではないでしょうか。
今週に入ってからの5日間、毎日、国会前での集会が取り組まれました。私はその4日間に参加したことになります。
交通整理をしていた若い警察官に、「毎日、ここに来ているの?」と聞いたら、「これで4日目になります」と答えていました。このような警察官を含めて、毎日スピーチを聞いていた万余の人々に対しての政治教育が連日連夜、実施されたことになります。
それをじっと聞いていたこの若い警察官は何を感じたでしょうか。彼らも選挙権を持つ有権者の1人であり、戦争が始まれば何らかの形で協力させられる可能性があるわけですから……。
「戦争法案今すぐ廃案」というコールは、やがて「安倍内閣は今すぐ退陣」に変わりました。戦争法の制定に反対する運動は、安倍内閣に対する倒閣運動へと転化したことになります。
「民主主義は止まらない」「この悔しさは忘れない」というのが、この夜、国会前を埋めた4万人以上の人々の率直な思いだったのではないでしょうか。「次の選挙では思い知らせてやる」という決意を固めた人も多かったでしょう。
忘れてはなりません。この思いや決意を忘れずに持続させ、次の選挙で爆発させることこそ、安倍政権が最も恐れていることなのですから……。
安倍政権は、勝手に憲法の解釈を変えて違憲の法律を成立させることで立憲主義を踏みにじり、海外で戦争できる国に日本を変えることで平和主義を葬り、国民の多くが反対しているにもかかわらず民意を無視して採決を強行することで民主主義を破壊しました。戦後最低、最悪の政権にほかなりません。
このような形で憲法9条を空洞化しようとする暴走に対して、これからは戦争法制を空洞化するための戦いが始まります。戦争法案の「成立」は認めないという意思を明確にするためにも、安倍暴走政権の退陣をめざして粘り強い運動を継続させることが必要です。
9月14日(月) 決めるべきでない時に決めてはならない [戦争立法]
前回の更新から10日も経ってしまいました。申し訳ありません。
北海道への講演旅行や高校時代の同学年会のための帰省などが続き、更新している暇がありませんでした。別に病気していたわけではありませんので、ご安心ください。
病気といえば、この人の方が心配です。「強行採決病」にかかっているのではないかと……。
「決めるべき時には決めなければならない。それが民主主義のルールだ」と、この人は言っています。その通りです。
しかし、逆に言えば、「決めるべきでない時に決めてはならない」ということです。それが民主主義というものです。
「民主」とは「民意に従う」ということです。その民意が、「決めるのは早すぎる」と言っているのであれば、決めてはなりません。それが民主主義というものでしょう。
NHKは今月11日から3日間、世論調査を行いました。それによれば、安全保障関連法案を今の国会で成立させる方針に「賛成」が19%で、「反対」が45%でした。反対が賛成の倍以上になっていまから「民意」は明瞭です。
これまでの国会審議で議論は尽くされたと思うか聞いたところ、「尽くされた」が6%、「尽くされていない」が58%でした。これについての「民意」は、さらにはっきりしています。
「安全保障関連法案の成立によって抑止力が高まり、日本が攻撃を受けるリスクが下がる」という政府の説明に納得できるかどうか尋ねたところ、「大いに納得できる」が6%、「ある程度納得できる」が25%、「あまり納得できない」が37%、「まったく納得できない」が26%でした。政府の説明についても31%が納得し、63%が納得していないというわけで、ダブルスコア―になっています。
憲法違反かどうかという問いへの答えも同様です。「憲法違反だ」が32%、「憲法違反ではない」が16%ですから、ちょうど2倍になっています。
これでも「決めるべき時」だと言えるのでしょうか。「民意」ははっきりと、「決めるべき時ではない」と言っているではありませんか。
それとも、安倍首相は「決めるべき時」かどうかを決めるのは自分だと考えているのでしょうか。それでは、民主主義ではありません。
そんなことをしたら、この国は北朝鮮並の独裁国家に成り下がってしまいます。すでに、自民党がそうなりつつあるように……。
北海道への講演旅行や高校時代の同学年会のための帰省などが続き、更新している暇がありませんでした。別に病気していたわけではありませんので、ご安心ください。
病気といえば、この人の方が心配です。「強行採決病」にかかっているのではないかと……。
「決めるべき時には決めなければならない。それが民主主義のルールだ」と、この人は言っています。その通りです。
しかし、逆に言えば、「決めるべきでない時に決めてはならない」ということです。それが民主主義というものです。
「民主」とは「民意に従う」ということです。その民意が、「決めるのは早すぎる」と言っているのであれば、決めてはなりません。それが民主主義というものでしょう。
NHKは今月11日から3日間、世論調査を行いました。それによれば、安全保障関連法案を今の国会で成立させる方針に「賛成」が19%で、「反対」が45%でした。反対が賛成の倍以上になっていまから「民意」は明瞭です。
これまでの国会審議で議論は尽くされたと思うか聞いたところ、「尽くされた」が6%、「尽くされていない」が58%でした。これについての「民意」は、さらにはっきりしています。
「安全保障関連法案の成立によって抑止力が高まり、日本が攻撃を受けるリスクが下がる」という政府の説明に納得できるかどうか尋ねたところ、「大いに納得できる」が6%、「ある程度納得できる」が25%、「あまり納得できない」が37%、「まったく納得できない」が26%でした。政府の説明についても31%が納得し、63%が納得していないというわけで、ダブルスコア―になっています。
憲法違反かどうかという問いへの答えも同様です。「憲法違反だ」が32%、「憲法違反ではない」が16%ですから、ちょうど2倍になっています。
これでも「決めるべき時」だと言えるのでしょうか。「民意」ははっきりと、「決めるべき時ではない」と言っているではありませんか。
それとも、安倍首相は「決めるべき時」かどうかを決めるのは自分だと考えているのでしょうか。それでは、民主主義ではありません。
そんなことをしたら、この国は北朝鮮並の独裁国家に成り下がってしまいます。すでに、自民党がそうなりつつあるように……。
8月29日(土) 戦争法案の準備とともに進められてきた既成事実化の数々 [戦争立法]
安倍首相ぼど「軍事大好き総理」は、今までいなかったと言って良いでしょう。確かに、岸首相や鳩山一郎首相なども憲法改正と再軍備を主張しました。
また、中曽根首相も「日本列島不沈空母論」や「三海峡封鎖論」を唱えました。安倍首相もその「伝統」を受け継いでいます。
しかし、安倍首相の場合は、発言だけではありません。実際の政策変更によってその具体化を急速に進めてきており、この点に大きな特徴があります。
安倍首相は、これまでのどの首相よりも自衛隊への親近感を示しています。今まで、ヘルメットに迷彩服姿で戦車に乗るというようなパフォーマンスを見せた首相がいたでしょうか。
航空自衛隊松島基地を訪問した際、細菌兵器の人体実験を行ったとされる旧陸軍の731部隊と同じ機体番号の戦闘機に搭乗して顰蹙を買いました。過去において、このような首相がいたでしょうか。
このような「軍事大好き総理」で自衛隊への親近感を抱いているからこそ、軍事力の活用を中核にした「積極的平和主義」を打ち出し、「専守防衛」を踏みにじって「海外で戦争する国」に、この国を変えようとしているわけです。
そのために提案されているのが、今国会で審議されている戦争法案です。しかし、それはほんの一部にすぎません。
「海外で戦争する国」になるために、それ以外にも着々と既成事実化が図られてきたことを見逃してはなりません。その推進主体は、安倍首相です。
そもそも、「海外で戦争する」ためには、システム、ハード、ソフトという3つの面での具体化が必要になります。これらのうちのどれが欠けても「海外で戦争する」ことは困難になりますから、その整備・具体化が進められてきたのも当然です。
第1に、法・制度の改変による「システム」面の整備です。その中核をなすのは、現在審議されている憲法違反の戦争法制の整備です。
すでに、第一次安倍内閣の時には防衛庁の防衛省への昇格がなされています。第二次安倍内閣になってからは、国家安全保障会議(日本版NSC)と国家安全保障局の新設による戦争指導体制の整備が行われました。
これに、武器輸出三原則から防衛装備移転三原則への変更によって禁輸から輸出へという180度の転換がなされ、政府開発援助(ODA)大綱の「開発協力大綱」への変更による非軍事目的の他国軍への支援が容認され、背広組優位を転換して「文官統制」規定を廃止した防衛省設置法12条が改正され、日豪・日露・日英間での外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)の設置などが行われています。いずれも、戦争するために必要なシステムの改変でした。
第2に、自衛隊の「戦力」化と在日米軍基地の強化などの「ハード」面の整備です。2013年12月には国家安全保障戦略が閣議決定されましたが、このとき同時に、新防衛計画の大綱や新中期防衛力整備計画(5年間で25兆円)も閣議決定されています。
自衛隊の「戦力」化という点では、5機のヘリが同時に発着できる海自最大の「空母型」護衛艦「いずも」(今年3月に就役)と同型のヘリコプター搭載護衛艦の進水式が27日に行われ、旧日本海軍の空母「加賀」と同じ「かが」と命名されました。このほか、「島しょ防衛」を口実にした陸上総隊の新設や「水陸機動団」編成による日本版海兵隊の新設、軍需産業と一体での武器技術の開発・調達・輸出を推進する防衛装備庁の新設、武器に応用できる大学での研究についての防衛省による公募開始などがあります。
在日米軍基地の強化という点では、沖縄・普天間基地問題の解決を名目とした辺野古での巨大新基地建設や高江でのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設、普天間基地への垂直離着陸機オスプレイの追加配備、京都府京丹後市の経ケ岬通信所への弾道ミサイル探知・追尾用レーダー(Xバンドレーダー)の配備、横須賀基地での原子力空母の新鋭艦への交代やイージス艦2隻の追加配備、三沢基地への無人偵察機の初展開などがあります。
また、2016年度予算に対する防衛省の概算要求も4年連続の増加となっています。5兆911億円(15年度当初予算比2.2%増)という概算要求は過去最大のものとなりました。
この中には、垂直離着陸輸送機オスプレイの購入、イージス艦の建造、新型空中給油機の取得なども計上されています。航続距離が長く、大量の物資を遠くまで運べる装備の充実がめざされていることは明らかです。
いずれも、海外展開を視野に入れた要求に見えます。「海外で戦争する」ための部隊の編成と装備の充実が図られようとしており、戦争法案が成立すれば国家予算の使い方も大きく変容するにちがいありません。
第3に、世論対策と教育への介入などの「ソフト」面の整備です。この点では、首相官邸によるマスコミへの懐柔と干渉が際立っていると言って良いでしょう。
ご存知のように、NHK会長や経営委員に安倍首相の「お友達」が選任され、アベチャンネルとなってニュースの報道が政府寄りに歪められてしまいました。このほか、特定秘密保護法の制定による軍事機密の秘匿、情報の隠蔽と取材規制、改正通信傍受法案(盗聴法案)や司法取引を導入する刑訴法改定法案の提出なども相次いでいます。
また、教育への介入という点では、教育再生実行会議による「教育改革」が進められ、愛国心の涵養や道徳の教科化などによる「戦争する心」作りが着手されています。自民党などによる教科書内容への干渉も強まり、育鵬社版教科書の採用への圧力も大きくなっています。
このように、「海外で戦争する国」に向けての準備は、戦争法案に限られません。以上に見たような形で総合的全面的な政策展開がなされ、既成事実化している点に注目し、警戒する必要があります。
これらの事実を垣間見ただけでも、戦争準備が着々と進められていることが分かります。日本は、すでに「戦後」ではなく「戦前」になろうとしているのかもしれません。
そのような道を拒むためにも、戦争準備のためのシステム整備の中核となっている戦争法案を廃案にする必要があります。日本はいま容易ならざる段階にさしかかりつつあるということを直視し、行動に立ち上がろうではありませんか。
なお、明日の国会前行動では、憲法共同センターの運営する宣伝カーステージでスピーチすることになりました。場所は国会図書館の裏です。
渾身の力を込めて話をさせていただきます。多くの方に聞いていただければ幸いです。
また、中曽根首相も「日本列島不沈空母論」や「三海峡封鎖論」を唱えました。安倍首相もその「伝統」を受け継いでいます。
しかし、安倍首相の場合は、発言だけではありません。実際の政策変更によってその具体化を急速に進めてきており、この点に大きな特徴があります。
安倍首相は、これまでのどの首相よりも自衛隊への親近感を示しています。今まで、ヘルメットに迷彩服姿で戦車に乗るというようなパフォーマンスを見せた首相がいたでしょうか。
航空自衛隊松島基地を訪問した際、細菌兵器の人体実験を行ったとされる旧陸軍の731部隊と同じ機体番号の戦闘機に搭乗して顰蹙を買いました。過去において、このような首相がいたでしょうか。
このような「軍事大好き総理」で自衛隊への親近感を抱いているからこそ、軍事力の活用を中核にした「積極的平和主義」を打ち出し、「専守防衛」を踏みにじって「海外で戦争する国」に、この国を変えようとしているわけです。
そのために提案されているのが、今国会で審議されている戦争法案です。しかし、それはほんの一部にすぎません。
「海外で戦争する国」になるために、それ以外にも着々と既成事実化が図られてきたことを見逃してはなりません。その推進主体は、安倍首相です。
そもそも、「海外で戦争する」ためには、システム、ハード、ソフトという3つの面での具体化が必要になります。これらのうちのどれが欠けても「海外で戦争する」ことは困難になりますから、その整備・具体化が進められてきたのも当然です。
第1に、法・制度の改変による「システム」面の整備です。その中核をなすのは、現在審議されている憲法違反の戦争法制の整備です。
すでに、第一次安倍内閣の時には防衛庁の防衛省への昇格がなされています。第二次安倍内閣になってからは、国家安全保障会議(日本版NSC)と国家安全保障局の新設による戦争指導体制の整備が行われました。
これに、武器輸出三原則から防衛装備移転三原則への変更によって禁輸から輸出へという180度の転換がなされ、政府開発援助(ODA)大綱の「開発協力大綱」への変更による非軍事目的の他国軍への支援が容認され、背広組優位を転換して「文官統制」規定を廃止した防衛省設置法12条が改正され、日豪・日露・日英間での外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)の設置などが行われています。いずれも、戦争するために必要なシステムの改変でした。
第2に、自衛隊の「戦力」化と在日米軍基地の強化などの「ハード」面の整備です。2013年12月には国家安全保障戦略が閣議決定されましたが、このとき同時に、新防衛計画の大綱や新中期防衛力整備計画(5年間で25兆円)も閣議決定されています。
自衛隊の「戦力」化という点では、5機のヘリが同時に発着できる海自最大の「空母型」護衛艦「いずも」(今年3月に就役)と同型のヘリコプター搭載護衛艦の進水式が27日に行われ、旧日本海軍の空母「加賀」と同じ「かが」と命名されました。このほか、「島しょ防衛」を口実にした陸上総隊の新設や「水陸機動団」編成による日本版海兵隊の新設、軍需産業と一体での武器技術の開発・調達・輸出を推進する防衛装備庁の新設、武器に応用できる大学での研究についての防衛省による公募開始などがあります。
在日米軍基地の強化という点では、沖縄・普天間基地問題の解決を名目とした辺野古での巨大新基地建設や高江でのヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設、普天間基地への垂直離着陸機オスプレイの追加配備、京都府京丹後市の経ケ岬通信所への弾道ミサイル探知・追尾用レーダー(Xバンドレーダー)の配備、横須賀基地での原子力空母の新鋭艦への交代やイージス艦2隻の追加配備、三沢基地への無人偵察機の初展開などがあります。
また、2016年度予算に対する防衛省の概算要求も4年連続の増加となっています。5兆911億円(15年度当初予算比2.2%増)という概算要求は過去最大のものとなりました。
この中には、垂直離着陸輸送機オスプレイの購入、イージス艦の建造、新型空中給油機の取得なども計上されています。航続距離が長く、大量の物資を遠くまで運べる装備の充実がめざされていることは明らかです。
いずれも、海外展開を視野に入れた要求に見えます。「海外で戦争する」ための部隊の編成と装備の充実が図られようとしており、戦争法案が成立すれば国家予算の使い方も大きく変容するにちがいありません。
第3に、世論対策と教育への介入などの「ソフト」面の整備です。この点では、首相官邸によるマスコミへの懐柔と干渉が際立っていると言って良いでしょう。
ご存知のように、NHK会長や経営委員に安倍首相の「お友達」が選任され、アベチャンネルとなってニュースの報道が政府寄りに歪められてしまいました。このほか、特定秘密保護法の制定による軍事機密の秘匿、情報の隠蔽と取材規制、改正通信傍受法案(盗聴法案)や司法取引を導入する刑訴法改定法案の提出なども相次いでいます。
また、教育への介入という点では、教育再生実行会議による「教育改革」が進められ、愛国心の涵養や道徳の教科化などによる「戦争する心」作りが着手されています。自民党などによる教科書内容への干渉も強まり、育鵬社版教科書の採用への圧力も大きくなっています。
このように、「海外で戦争する国」に向けての準備は、戦争法案に限られません。以上に見たような形で総合的全面的な政策展開がなされ、既成事実化している点に注目し、警戒する必要があります。
これらの事実を垣間見ただけでも、戦争準備が着々と進められていることが分かります。日本は、すでに「戦後」ではなく「戦前」になろうとしているのかもしれません。
そのような道を拒むためにも、戦争準備のためのシステム整備の中核となっている戦争法案を廃案にする必要があります。日本はいま容易ならざる段階にさしかかりつつあるということを直視し、行動に立ち上がろうではありませんか。
なお、明日の国会前行動では、憲法共同センターの運営する宣伝カーステージでスピーチすることになりました。場所は国会図書館の裏です。
渾身の力を込めて話をさせていただきます。多くの方に聞いていただければ幸いです。
7月29日(水) 磯崎陽輔総理補佐官の発言で明らかになった安倍政権中枢の「本音」 [戦争立法]
この人は正直な人なのでしょうね。日ごろから安倍首相の周辺で話していた会話を、そのまま口にしてしまっただけなんだと思います。
それは安倍首相の「本音」でもあるのでしょう。自分の「本音」を正直に代弁してくれたからこそ注意しただけで更迭要求をはねつけ、その後、仲良く一緒に一杯やっていたわけです。
磯崎陽輔総理補佐官が大分市内の講演で、「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」と語って問題になっています。日本は法治国家ですから、「法的安定性は関係ない」というのは法治国家を否定するに等しく、公職にある人物としては相応しくありません。
総理補佐官として相応しくないだけでなく、立法府の構成員である国会議員としての資格もありません。直ちに、議員を辞職するべきです。
この発言はそれだけ大きな意味を持っています。きちんと処分がなされなければ、法治国家を否定する磯崎さんと同じ立場に立っていることを告白することになります。
しかも、磯崎さんは安全保障を担当する補佐官です。その方が、「我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と言い切ったことも大きな問題です。
今回の「戦争法案」が「法的安定性」を欠いていることを、事実上、認めたことになるからです。それ以上に「我が国を守るために必要な措置かどうか」ということの方が重要だと言っているのですから……。
最大の基準は「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、「法的安定性」は二の次だというわけです。つまり、「憲法は関係ない」ということにならざるを得ません。
安倍首相の周辺には「安全教」とでも言うべき新興宗教が広がっているようです。「日本の安全にとって必要だ」と一言唱えれば、何でも許されると信じ込んでしまっているのではないでしょうか。
大切なことは「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、法的安定性も、憲法も、立憲主義も、民意も、民主主義も、みんな関係ないということなのでしょう。ひたすら「日本の安全」を唱えていれば、全ては許されると思い込んでいるようです。
しかし、「戦争法案」の成立によって辿ろうとしているのは「アメリカの道」です。端的に言えば、これまでアメリカが行ってきた戦争の手伝いや肩代わりにほかなりません。
「アメリカの道」がどのような結果をもたらすかは、アメリカ自身の過去が示しています。世界の平和や安定でもなければ自国の安全でもありません。
安倍首相と仲間たちが信奉する「安全教」は、アメリカの過ちを日本に強いることになるだけです。そのような道を歩むことは、世界の平和と安定を損ない、日本と日本国民の安全を脅かすことになるでしょう。
磯崎陽輔総理補佐官の発言は、今の政権中枢がどのような認識で「戦争法案」を成立させようとしているかを明らかにしました。この発言によって、「戦争法案」に反対する運動は立憲主義とともに法治国家を救う運動でもあるという新たな意義を獲得したことになります。
それは安倍首相の「本音」でもあるのでしょう。自分の「本音」を正直に代弁してくれたからこそ注意しただけで更迭要求をはねつけ、その後、仲良く一緒に一杯やっていたわけです。
磯崎陽輔総理補佐官が大分市内の講演で、「考えないといけないのは、我が国を守るために必要な措置かどうかで、(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。国を守るために必要な措置かどうかは気にしないといけない。政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」と語って問題になっています。日本は法治国家ですから、「法的安定性は関係ない」というのは法治国家を否定するに等しく、公職にある人物としては相応しくありません。
総理補佐官として相応しくないだけでなく、立法府の構成員である国会議員としての資格もありません。直ちに、議員を辞職するべきです。
この発言はそれだけ大きな意味を持っています。きちんと処分がなされなければ、法治国家を否定する磯崎さんと同じ立場に立っていることを告白することになります。
しかも、磯崎さんは安全保障を担当する補佐官です。その方が、「我が国を守るために必要な措置かどうかで、法的安定性は関係ない」と言い切ったことも大きな問題です。
今回の「戦争法案」が「法的安定性」を欠いていることを、事実上、認めたことになるからです。それ以上に「我が国を守るために必要な措置かどうか」ということの方が重要だと言っているのですから……。
最大の基準は「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、「法的安定性」は二の次だというわけです。つまり、「憲法は関係ない」ということにならざるを得ません。
安倍首相の周辺には「安全教」とでも言うべき新興宗教が広がっているようです。「日本の安全にとって必要だ」と一言唱えれば、何でも許されると信じ込んでしまっているのではないでしょうか。
大切なことは「我が国を守るために必要な措置かどうか」であって、法的安定性も、憲法も、立憲主義も、民意も、民主主義も、みんな関係ないということなのでしょう。ひたすら「日本の安全」を唱えていれば、全ては許されると思い込んでいるようです。
しかし、「戦争法案」の成立によって辿ろうとしているのは「アメリカの道」です。端的に言えば、これまでアメリカが行ってきた戦争の手伝いや肩代わりにほかなりません。
「アメリカの道」がどのような結果をもたらすかは、アメリカ自身の過去が示しています。世界の平和や安定でもなければ自国の安全でもありません。
安倍首相と仲間たちが信奉する「安全教」は、アメリカの過ちを日本に強いることになるだけです。そのような道を歩むことは、世界の平和と安定を損ない、日本と日本国民の安全を脅かすことになるでしょう。
磯崎陽輔総理補佐官の発言は、今の政権中枢がどのような認識で「戦争法案」を成立させようとしているかを明らかにしました。この発言によって、「戦争法案」に反対する運動は立憲主義とともに法治国家を救う運動でもあるという新たな意義を獲得したことになります。
7月26日(日) 参院で採決できなくなるような世論状況を生み出すほどの運動の高揚を [戦争立法]
昨日の『しんぶん赤旗』に私の談話が掲載されました。下記のようなものです。
政権に数々の山
戦争法案の廃案に向けては、3つのことが重要です。
一つは、戦後最長の会期延長によって、かえって法案の危険性が知れ渡り、反対がさらに強まるチャンスが拡大したことです。
二つ目は、自民党の改選議員は来夏の参院選への影響を懸念し、公明党の支持母体である「創価学会」では法案成立反対が多数で、両党ともジレンマ(板ばさみ)を抱えています。
そして第3に、これから2カ月、安倍政権には数々の山が立ちはだかります。70年談話、原発再稼働、沖縄新基地に加え、TPP(環太平洋連携協定)、選挙制度改革、労働の規制緩和、岩手県知事選などです。
支持率急落の中、これらの山を乗り越えて法案を成立させられるのか。「廃案」の声が圧倒的多数になり、「やれるものならやってみろ」という状況に追い込まれる可能性は十分にあります。
上手くまとめるものです。取材ではもっとたくさんのことを話しましたが、それが要領よくまとめられています。
この取材に対して、私が話したのは以下のようなことでした。
第1に、会期延長は「60日ルール」を見越してのものですが、それがかえって反対運動を高めるチャンスを提供することになったということです。これは安保闘争との大きな相違です。
安保闘争の時には5月19日の夜から翌20日の未明にかけて条約の強行採決があり、以降、「議会制民主主義の破壊を許すな」という運動へと拡大していきました。しかし、条約は30日後に自然承認となり、「樺美智子さんの死」や「7社共同宣言」などもあって反対運動は終息に向かいます。
今回は一般の法案ですから自然承認はなく、いずれ参院での採決というヤマ場が訪れます。明日から参院での審議が始まりますから、国会内外での反対運動はさらに盛り上がることは確実で、またそうすることで採決できなくすることが必要です。
第2に、与党による採決を阻止するうえで必要なことは、「弱い環」を狙うことです。それは自民党の改選議員と公明党です。
来年の7月には参院選があり、ここで改選される自民党議員に狙いを定めて「戦争法案」への態度を問い、動揺を誘うことです。反旗を翻すところまで追い込むような運動を展開することが必要でしょう。
また、公明党支持者や創価学会内でも、この「戦争法案」への反対や「説明不足」だという声が高まっています。「平和の党」という看板を掲げて支持を得てきたのですから、それに反する行動を取れば批判されるのは当然です。
第3に、安倍政権の「体力」を低下させるような「山」が、これから幾重にも連なっているということです。
戦後70年談話、原発の再稼動、沖縄辺野古での新基地建設をめぐる沖縄県との対立、自民党本部で反対集会が開かれたTPP(環太平洋連携協定)の最終合意、派遣法の改定など労働法制の大改悪、安倍首相の訪中に向けての動き、乱高下している株価、公明党との亀裂が生じた選挙制度改革、岩手県知事選挙、そして、その後にやってくる自民党の総裁選。
このように、「山」また「山」の連続です。安倍首相は、これらの「山」を大過なく乗り越えられるのでしょうか。
そして第4に、決定的なのは、内閣支持率の動向です。共同通信の調査では、政党支持率も大きく変化し始めたことが示されています。
とりわけ、自民党支持率が前回から5.1ポイント減の31.9%と急落していること、共産党の支持率が急上昇して7.3%となったことが注目されます。この間の運動の状況を反映した当然の結果だと思いますが、今後もこのような傾向が続けば安倍政権にとっては大きな打撃となることでしょう。
自民党の議員にとっては支持率の高さこそが沈黙の第一条件であり、安倍首相の我儘によって自民党支配が危機に陥るようなことになれば、黙ったいるわけにはいかなくなります。内閣だけでなく政党支持率も下がれば、ソロリと動き出す人も出てくるにちがいありません。
あと2カ月間もの時間があります。国会周辺のデモだけでなく、議員にFAXやメール、手紙などで直接声を届け、とりわけ地元での草の根の反対運動を盛り上げ、参院で採決できなくなるような世論状況を生み出すことが必要です。このようにして「戦争法案」への反対世論を高め、「やれるものならやってみろ」と言えるような状況を生み出そうではありませんか。
今日の午後1時半から地元の八王子で、「八王子市民パレード実行委員会」主催の集会とパレードがあります。私も参加しますが、多くの市民の皆さんが子安公園に集まられるよう呼びかけるものです。
政権に数々の山
戦争法案の廃案に向けては、3つのことが重要です。
一つは、戦後最長の会期延長によって、かえって法案の危険性が知れ渡り、反対がさらに強まるチャンスが拡大したことです。
二つ目は、自民党の改選議員は来夏の参院選への影響を懸念し、公明党の支持母体である「創価学会」では法案成立反対が多数で、両党ともジレンマ(板ばさみ)を抱えています。
そして第3に、これから2カ月、安倍政権には数々の山が立ちはだかります。70年談話、原発再稼働、沖縄新基地に加え、TPP(環太平洋連携協定)、選挙制度改革、労働の規制緩和、岩手県知事選などです。
支持率急落の中、これらの山を乗り越えて法案を成立させられるのか。「廃案」の声が圧倒的多数になり、「やれるものならやってみろ」という状況に追い込まれる可能性は十分にあります。
上手くまとめるものです。取材ではもっとたくさんのことを話しましたが、それが要領よくまとめられています。
この取材に対して、私が話したのは以下のようなことでした。
第1に、会期延長は「60日ルール」を見越してのものですが、それがかえって反対運動を高めるチャンスを提供することになったということです。これは安保闘争との大きな相違です。
安保闘争の時には5月19日の夜から翌20日の未明にかけて条約の強行採決があり、以降、「議会制民主主義の破壊を許すな」という運動へと拡大していきました。しかし、条約は30日後に自然承認となり、「樺美智子さんの死」や「7社共同宣言」などもあって反対運動は終息に向かいます。
今回は一般の法案ですから自然承認はなく、いずれ参院での採決というヤマ場が訪れます。明日から参院での審議が始まりますから、国会内外での反対運動はさらに盛り上がることは確実で、またそうすることで採決できなくすることが必要です。
第2に、与党による採決を阻止するうえで必要なことは、「弱い環」を狙うことです。それは自民党の改選議員と公明党です。
来年の7月には参院選があり、ここで改選される自民党議員に狙いを定めて「戦争法案」への態度を問い、動揺を誘うことです。反旗を翻すところまで追い込むような運動を展開することが必要でしょう。
また、公明党支持者や創価学会内でも、この「戦争法案」への反対や「説明不足」だという声が高まっています。「平和の党」という看板を掲げて支持を得てきたのですから、それに反する行動を取れば批判されるのは当然です。
第3に、安倍政権の「体力」を低下させるような「山」が、これから幾重にも連なっているということです。
戦後70年談話、原発の再稼動、沖縄辺野古での新基地建設をめぐる沖縄県との対立、自民党本部で反対集会が開かれたTPP(環太平洋連携協定)の最終合意、派遣法の改定など労働法制の大改悪、安倍首相の訪中に向けての動き、乱高下している株価、公明党との亀裂が生じた選挙制度改革、岩手県知事選挙、そして、その後にやってくる自民党の総裁選。
このように、「山」また「山」の連続です。安倍首相は、これらの「山」を大過なく乗り越えられるのでしょうか。
そして第4に、決定的なのは、内閣支持率の動向です。共同通信の調査では、政党支持率も大きく変化し始めたことが示されています。
とりわけ、自民党支持率が前回から5.1ポイント減の31.9%と急落していること、共産党の支持率が急上昇して7.3%となったことが注目されます。この間の運動の状況を反映した当然の結果だと思いますが、今後もこのような傾向が続けば安倍政権にとっては大きな打撃となることでしょう。
自民党の議員にとっては支持率の高さこそが沈黙の第一条件であり、安倍首相の我儘によって自民党支配が危機に陥るようなことになれば、黙ったいるわけにはいかなくなります。内閣だけでなく政党支持率も下がれば、ソロリと動き出す人も出てくるにちがいありません。
あと2カ月間もの時間があります。国会周辺のデモだけでなく、議員にFAXやメール、手紙などで直接声を届け、とりわけ地元での草の根の反対運動を盛り上げ、参院で採決できなくなるような世論状況を生み出すことが必要です。このようにして「戦争法案」への反対世論を高め、「やれるものならやってみろ」と言えるような状況を生み出そうではありませんか。
今日の午後1時半から地元の八王子で、「八王子市民パレード実行委員会」主催の集会とパレードがあります。私も参加しますが、多くの市民の皆さんが子安公園に集まられるよう呼びかけるものです。
7月22日(水) 残された左目を殴られたのは1972年2月28日のことだった [戦争立法]
「裁判所の前で、左目を殴られたことがあったでしょう。あの時、救急車で運ばれた病院はどこだったかしら。私が付き添っていったんだけど、覚えてる? あさま山荘事件の日で、心配しながらテレビを見ていたの」
先日、戦争法案についての講演会があり、その後の交流会が終わった後、見送りに出てくれた大学後輩のMさんがこう言いました。覚えていませんでした。
右目を失明させられた事件の裁判を傍聴に来ていた友人たちに挨拶したとき、突然、暴力学生の一団が現れて左目を殴られ、救急車で運ばれたことは覚えています。その時、担ぎ込まれたのが慈恵医大病院だったことも……。
しかし、その時、病院まで付き添ってくれたのがMさんだったことや、その日があさま山荘事件の日だったことも全く覚えていませんでした。ということは、左目を殴られて病院に担ぎ込まれた日は1972年2月28日だったということになります。
都立大学の学生だった私が、全共闘を名乗っていた暴力学生の1人に竹ざおで右目を刺されて失明したのは、その前年の1971年9月10日のことでした。犯人のWは傷害罪の容疑で逮捕され、東京地裁での裁判が始まります。
私は検察側証人として出廷し証言することになっていました。その前に、支援に来ていた友人たちに会いに行ったとき、この事件が起きたのです。
すでにこの時、私の右眼は義眼でしたから、左目を殴られれば全く見えなくなってしまいます。証人として出廷が予定されていた私が病院に運び込まれたため、公判は延期されました。
応急処置をされて救急車で運ばれる間、その直前に見た映画「アラビアのロレンス」の一場面を鮮明に思い出しました。「あれが、この目で見ることができた最後の映画だったかもしれない」と思いながら……。
半ば、失明を覚悟していたのです。右目を失い、そして左目も見えなくなるかもしれないという不安と恐怖を抱きながら……。
治療が終わって、左目が見えることを知ったときの喜びは、今も忘れることができません。この時、何かと面倒見てくれたMさんのことを忘れてしまったのは、その喜びがあまりにも大きかったからだと思います。
突然のことでしたので、私に殴り掛かった学生のことは良く覚えていません。しかし、私の左目を狙って殴り掛かってきたことは、はっきりと覚えています。
自分たちの仲間が傷つけて右目を失明させたことを反省するどころか、その残された左目を狙って殴り掛かってきたわけです。それが人間のやることなのでしょうか。
暴力に頼る者は、その人自身も暴力によって壊されてしまうということでしょう。人としての感性も自制も相手への思いやりも、そして自らの人間性や人格さえも……。
国や社会も同じなのではないでしょうか。力や暴力に頼ろうとした時から、その国や社会は壊れ始めていくように思います。
そのような国や社会になっても良いのか。70年間拒否してきたそのような歩みからそれてしまって良いのかが、今、私たちに問われているように思います。
先日、戦争法案についての講演会があり、その後の交流会が終わった後、見送りに出てくれた大学後輩のMさんがこう言いました。覚えていませんでした。
右目を失明させられた事件の裁判を傍聴に来ていた友人たちに挨拶したとき、突然、暴力学生の一団が現れて左目を殴られ、救急車で運ばれたことは覚えています。その時、担ぎ込まれたのが慈恵医大病院だったことも……。
しかし、その時、病院まで付き添ってくれたのがMさんだったことや、その日があさま山荘事件の日だったことも全く覚えていませんでした。ということは、左目を殴られて病院に担ぎ込まれた日は1972年2月28日だったということになります。
都立大学の学生だった私が、全共闘を名乗っていた暴力学生の1人に竹ざおで右目を刺されて失明したのは、その前年の1971年9月10日のことでした。犯人のWは傷害罪の容疑で逮捕され、東京地裁での裁判が始まります。
私は検察側証人として出廷し証言することになっていました。その前に、支援に来ていた友人たちに会いに行ったとき、この事件が起きたのです。
すでにこの時、私の右眼は義眼でしたから、左目を殴られれば全く見えなくなってしまいます。証人として出廷が予定されていた私が病院に運び込まれたため、公判は延期されました。
応急処置をされて救急車で運ばれる間、その直前に見た映画「アラビアのロレンス」の一場面を鮮明に思い出しました。「あれが、この目で見ることができた最後の映画だったかもしれない」と思いながら……。
半ば、失明を覚悟していたのです。右目を失い、そして左目も見えなくなるかもしれないという不安と恐怖を抱きながら……。
治療が終わって、左目が見えることを知ったときの喜びは、今も忘れることができません。この時、何かと面倒見てくれたMさんのことを忘れてしまったのは、その喜びがあまりにも大きかったからだと思います。
突然のことでしたので、私に殴り掛かった学生のことは良く覚えていません。しかし、私の左目を狙って殴り掛かってきたことは、はっきりと覚えています。
自分たちの仲間が傷つけて右目を失明させたことを反省するどころか、その残された左目を狙って殴り掛かってきたわけです。それが人間のやることなのでしょうか。
暴力に頼る者は、その人自身も暴力によって壊されてしまうということでしょう。人としての感性も自制も相手への思いやりも、そして自らの人間性や人格さえも……。
国や社会も同じなのではないでしょうか。力や暴力に頼ろうとした時から、その国や社会は壊れ始めていくように思います。
そのような国や社会になっても良いのか。70年間拒否してきたそのような歩みからそれてしまって良いのかが、今、私たちに問われているように思います。
7月15日(水) 「戦争法案」の衆院特別委員会での強行採決を糾弾する [戦争立法]
衆院特別委員会で、「戦争法案」の強行採決が行われました。このような暴挙を断じて許してはなりません。強く糾弾するものです。
強行採決の方針は、昨日の特別委員会の理事会で自民党によって示されました。その時、私は「安保関連法案に反対する学者の会」の一員として国会にいました。
学者9766人の廃案要請を携えて、各党への申し入れを行うためです。佐藤学さん、広渡清吾さん、上野千鶴子さん、内田樹さん、間宮陽介さんなど14人の研究者が参加しました。
私は民主党の長妻昭議員の部屋に行きましたが、同時刻に理事会が開かれていたため不在で、秘書の方が応対してくださいました。明日にも強行採決があるかもしれないという緊迫した国会情勢が話され、私たちは最後まで反対を貫くよう要請して激励してきました。
今日の朝日新聞の一面には「イラン核協議 最終合意」という記事が出ています。先日は自民党の二階総務会長が3000人の代表団を連れて中国を訪問し、安倍首相も訪中の可能性を探っているという記事が出ていました。
このような時に、どうして「戦争法制」なのか、と誰もが不思議に思うことでしょう。「安全保障環境」は「悪化」しているどころか、明らかに「改善」しているのですから……。
その必要性が分からないような法案を、なぜ今、無理やり成立させようとするのでしょうか。世論調査では反対が多く、石破さんや安倍首相自身でさえ国民の理解が進んでいないことを認めているというのに……。
政府・与党は59年の砂川事件最高裁判決と72年の閣議決定を集団的自衛権行使容認の根拠として示しています。しかし、この判決と閣議決定によって集団的自衛権の行使が認められるようになったというのであれば、どうしてその時に集団的自衛権行使容認という憲法の解釈変更を行わなかったのでしょうか。
砂川判決からは半世紀以上も経ってから、閣議決定からでも半世紀近くの歳月を経てからそれを行ったのは、誰もそれが集団的自衛権の行使を容認する内容だと考えなかったからです。それも当然でしょう。集団的自衛権については何も書かれていないのですから……。
当時は「自衛権」といえば個別的自衛権だというのが常識でしたから、この判決や閣議決定が集団的自衛権の行使を容認するものだとはだれも考えなかったのです。しかも、砂川判決は三審制を無視して地裁から最高裁に跳躍上告され、事前に判決内容が駐日米公使に漏らされていたなど、違法性の強い判決でした。
今回、それが大きく変わったのは、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を打ち出したからです。その意向を汲んで高村さんが「何か使えるものはないか」と探し回ったあげく、見つけたのがこの判決と閣議決定だったのです。
先に、集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更という意図があったのです。そのために歴史の屑籠の中から拾い出されてきたのが、この判決と閣議決定でした。
しかし、それは「集団的自衛権」の「集」の字も書かれていない「欠陥品」でした。仕方なく、「自衛権」の前に勝手に「集団的」とくっつけて、解釈変更の根拠にでっちあげたというわけです。
これで騙されるのは公明党ぐらいだったでしょう。いや、その公明党でさえ「欠陥品」であることを知っており、根拠として明示することに反対したため、昨年7月1日の閣議決定では言及されませんでした。
それなら、このような「欠陥品」ではなく、もっとはっきりと集団的自衛権の行使容認を認める最高裁判決などを根拠にすれば良いのにと、誰もがそう思うでしょう。ところが、そんなものはありません。
辛うじて使えそうなものは、この二つしかなかったのです。いかに「欠陥品」であっても、使えそうならむりやり使うしかないということで、その後の国会審議で再びこの二つが根拠として示されることになりました。
与党の仲間である公明党でさえ騙されなかった「欠陥品」です。国民の多くが騙されるはずがありません。
ということで、審議が進むにつれて、その「欠陥」が次第に明らかになってきました。まして、専門の憲法学者がこのような「欠陥品」によって合憲だなどと納得させられるはずがありません。
自民党推薦の長谷部早稲田大学教授をはじめ3人の参考人がはっきりと「憲法違反だ」と答えたのは当然でしょう。そう答えなかったら、憲法研究者としての能力と資格が問われたにちがいありません。
このような問題があってもなお、自民党は特別委員会での採決を強行しました。このことを、忘れないようにしたいものです。
野党が反対する下での採決の強行は、議会制民主主義の破壊にほかなりません。安保闘争の時は、強行採決の後、議会制民主主義を守れという大波が国会をとりまき、反対運動はかえって大きくなりました。
今回も、安保闘争のような大波を生み出し、与党の暴挙を糾弾する必要があります。そして、岸首相の退陣を実現した時と同じように、安倍首相を退陣に追い込まなければなりません。
奇しくも55年前の今日、安保条約の衆院採決を強行して自然成立を図った岸首相は退陣しました。この歴史を繰り返すに足る大波を生み出すことで、安倍政権を打倒しようではありませんか。
その波の一つになるべく、今日これから、私は国会正門前に行くつもりです。この暴挙の日を忘れないためにも……。
強行採決の方針は、昨日の特別委員会の理事会で自民党によって示されました。その時、私は「安保関連法案に反対する学者の会」の一員として国会にいました。
学者9766人の廃案要請を携えて、各党への申し入れを行うためです。佐藤学さん、広渡清吾さん、上野千鶴子さん、内田樹さん、間宮陽介さんなど14人の研究者が参加しました。
私は民主党の長妻昭議員の部屋に行きましたが、同時刻に理事会が開かれていたため不在で、秘書の方が応対してくださいました。明日にも強行採決があるかもしれないという緊迫した国会情勢が話され、私たちは最後まで反対を貫くよう要請して激励してきました。
今日の朝日新聞の一面には「イラン核協議 最終合意」という記事が出ています。先日は自民党の二階総務会長が3000人の代表団を連れて中国を訪問し、安倍首相も訪中の可能性を探っているという記事が出ていました。
このような時に、どうして「戦争法制」なのか、と誰もが不思議に思うことでしょう。「安全保障環境」は「悪化」しているどころか、明らかに「改善」しているのですから……。
その必要性が分からないような法案を、なぜ今、無理やり成立させようとするのでしょうか。世論調査では反対が多く、石破さんや安倍首相自身でさえ国民の理解が進んでいないことを認めているというのに……。
政府・与党は59年の砂川事件最高裁判決と72年の閣議決定を集団的自衛権行使容認の根拠として示しています。しかし、この判決と閣議決定によって集団的自衛権の行使が認められるようになったというのであれば、どうしてその時に集団的自衛権行使容認という憲法の解釈変更を行わなかったのでしょうか。
砂川判決からは半世紀以上も経ってから、閣議決定からでも半世紀近くの歳月を経てからそれを行ったのは、誰もそれが集団的自衛権の行使を容認する内容だと考えなかったからです。それも当然でしょう。集団的自衛権については何も書かれていないのですから……。
当時は「自衛権」といえば個別的自衛権だというのが常識でしたから、この判決や閣議決定が集団的自衛権の行使を容認するものだとはだれも考えなかったのです。しかも、砂川判決は三審制を無視して地裁から最高裁に跳躍上告され、事前に判決内容が駐日米公使に漏らされていたなど、違法性の強い判決でした。
今回、それが大きく変わったのは、安倍首相が集団的自衛権の行使容認を打ち出したからです。その意向を汲んで高村さんが「何か使えるものはないか」と探し回ったあげく、見つけたのがこの判決と閣議決定だったのです。
先に、集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更という意図があったのです。そのために歴史の屑籠の中から拾い出されてきたのが、この判決と閣議決定でした。
しかし、それは「集団的自衛権」の「集」の字も書かれていない「欠陥品」でした。仕方なく、「自衛権」の前に勝手に「集団的」とくっつけて、解釈変更の根拠にでっちあげたというわけです。
これで騙されるのは公明党ぐらいだったでしょう。いや、その公明党でさえ「欠陥品」であることを知っており、根拠として明示することに反対したため、昨年7月1日の閣議決定では言及されませんでした。
それなら、このような「欠陥品」ではなく、もっとはっきりと集団的自衛権の行使容認を認める最高裁判決などを根拠にすれば良いのにと、誰もがそう思うでしょう。ところが、そんなものはありません。
辛うじて使えそうなものは、この二つしかなかったのです。いかに「欠陥品」であっても、使えそうならむりやり使うしかないということで、その後の国会審議で再びこの二つが根拠として示されることになりました。
与党の仲間である公明党でさえ騙されなかった「欠陥品」です。国民の多くが騙されるはずがありません。
ということで、審議が進むにつれて、その「欠陥」が次第に明らかになってきました。まして、専門の憲法学者がこのような「欠陥品」によって合憲だなどと納得させられるはずがありません。
自民党推薦の長谷部早稲田大学教授をはじめ3人の参考人がはっきりと「憲法違反だ」と答えたのは当然でしょう。そう答えなかったら、憲法研究者としての能力と資格が問われたにちがいありません。
このような問題があってもなお、自民党は特別委員会での採決を強行しました。このことを、忘れないようにしたいものです。
野党が反対する下での採決の強行は、議会制民主主義の破壊にほかなりません。安保闘争の時は、強行採決の後、議会制民主主義を守れという大波が国会をとりまき、反対運動はかえって大きくなりました。
今回も、安保闘争のような大波を生み出し、与党の暴挙を糾弾する必要があります。そして、岸首相の退陣を実現した時と同じように、安倍首相を退陣に追い込まなければなりません。
奇しくも55年前の今日、安保条約の衆院採決を強行して自然成立を図った岸首相は退陣しました。この歴史を繰り返すに足る大波を生み出すことで、安倍政権を打倒しようではありませんか。
その波の一つになるべく、今日これから、私は国会正門前に行くつもりです。この暴挙の日を忘れないためにも……。
7月14日(火) 「安保法案」について安倍首相に聞かなければならないこれだけの疑問 [戦争立法]
「安保法案」(戦争立法)についての審議が進んでいます。この過程で不思議な現象が起きました。
審議が進めば進むほど、「反対」意見が増えていることです。説明すればするほど「説明不足だ」という声が強まるという珍現象をどう理解したら良いのでしょうか。
審議が進んで反対意見が増えるのは、「法案」の内容が知られるようになるにつれて、そのいい加減さや危険性が理解されるようになっているからでしょう。ということは、今後も審議を続ければ、反対が増えることになります。
また、説明すればするほど「説明不足だ」と言われるのは、もともと説明できない違憲の「トンデモ法案」だからです。説明しても理解できない内容が多く含まれていること、説明の仕方が不十分なこと、そもそも論理的に破たんしているから説明する方もされる方も理解不能なことなどの問題がありますから、いくら説明しても理解が進むはずがありません。
そこで、法案のデタラメさを明らかにし、その論理的破綻ぶりを示すために、以下、箇条書きで疑問を提起したいと思います。これらについて、国会での質疑などでさらに追及していただければ幸いです。
① 「安保法案」が必要なのは日本周辺の安全保障環境が悪化しているからだとされていますが、冷戦時代と比べて悪化していると言えるのでしょうか。ソ連太平洋艦隊が北海道を侵攻するという危機説と、中国が尖閣諸島を占領するという危機説とでは、どちらの方の安全保障環境が悪化しているということになるのでしょうか。
② 安全保障環境が悪化している証拠として、安倍首相は自衛隊機による緊急発進(スクランブル)の回数が10年前より7倍になったことを挙げていますが、30年前の1984年の944回より2014年の943回は1回少なくなっています。10年前ではなく30年前と比較すれば、安全保障環境が悪化したとは言えないのではないでしょうか。
③ 1990年代以降、スクランブルの回数はほぼ500回を下回っていましたが、2012年567回、13年810回、14年943回と、安倍首相になってから急増しています。これを減らすためには、安倍首相が退陣して中国との関係を改善する方が効果的で手っ取り早いのではありませんか。
④ 周辺の安全保障環境が悪化していると言いながら、今回の「安保法案」では「周辺事態法」の「周辺」を削除して「重要影響事態法」に変えようとしています。周辺が大変だと言いながら、法の対象範囲を地球の裏側にまで拡大するのは論理的な整合性が取れないのではないでしょうか。
⑤ 日本周辺の安全保障環境の悪化を理由に集団的自衛権の行使容認を正当化しながら、その具体例として出されるのはホルムズ海峡での機雷掃海です。これも論理的な整合性がとれません。ホルムズ海峡の機雷を掃海できるように法整備を行えば、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事費増が抑制されるのでしょうか。
⑥ ホルムズ海峡を機雷封鎖する能力を持つのはイランですが、そのような現実的な可能性があるのでしょうか。封鎖はイランにとってもマイナスで、核開発問題での欧米との和解や「イスラム国」(IS)対策での協調という動きもあります。安全保障環境は改善しており、機雷掃海のための法整備など必要なのでしょうか。
⑦ もし、ホルムズ海峡が封鎖されても、日本には半年分以上の石油が備蓄されており、パイプラインもできていてオマーン経由での石油輸入も可能です。イラン以外の他の国や地域からの輸入もできます。「他に適当な手段がない」とは言えませんから、「存立危機事態」として認定できないのではないでしょうか。
⑧ 機雷掃海は極めて危険な作業であり、朝鮮戦争では掃海作業に当たった船が沈没して戦後唯一の戦死者が出ています。後方支援活動でも自衛隊員のリスクは高まらず、危険性は通常業務と変わらないと説明されていますが、それなら戦死者に対する特別の追悼や取り扱い、処遇などは行わないということなのでしょうか。
⑨ 安倍首相は北朝鮮がアメリカに向けて発射した大陸間弾道弾(ICBM)を撃ち落とすために集団的自衛権の行使容認が必要だと説明していますが、北朝鮮からアメリカ本土に向かうミサイルは日本の上空を通らず、カムチャツカ半島方面に向かいます。それをどのようにして撃ち落とすというのでしょうか。領空を通らないミサイルを勝手に撃ち落とすようなことが許されるのでしょうか。
⑩ 北朝鮮がハワイやグアム、在日米軍基地などに向けてミサイルを発射する前に攻撃しようという「敵基地攻撃論」があります。しかし、発射されるミサイルが訓練や実験ではなく実戦であること、これらの基地を狙って発射されようとしていることが、どのようにして判断できるのでしょうか。このような攻撃は先制攻撃そのものではありませんか。
⑪ 半島有事において避難する母親や子供を載せた米輸送艦を防護するために集団的自衛権の行使が必要だとされています。しかし、軍艦は原則として民間人を載せず、そのようなケースがあったとしても緊急時の例外的な措置としてなされるにすぎません。安倍政権は最優先で避難させられるべき母親や子供が逃げ遅れること、つまり救出の失敗を前提に避難計画を立てているのでしょうか。
⑫ この米輸送艦を自衛艦が防護するということは、近くに自衛艦がいるということを意味しています。それなら、米輸送艦ではなく、その近くいる自衛艦で日本人の親子を救出すれば良いではありませんか。自衛艦ではなく米輸送艦によって運ばれなければならない理由でもあるのでしょうか。
⑬ 日本人に対する攻撃が予想され、それが日本への攻撃につながる可能性があれば、攻撃への着手を意味することになり、武力攻撃予測事態として反撃することが可能になります。ということは、集団的自衛権の行使は必要なく、個別的自衛権によって対応することが可能なのではないでしょうか。
⑭ 中谷防衛相は日本に対する攻撃意図が明確でなくても集団的自衛権の行使が可能であると答弁しています。攻撃意図が明確でなければ、新3要件の「我が国の存立が脅かされる」ような「明白な危険」があるとは言えず、したがって「存立危機事態」と認定することはできないはずです。それを可能だという中谷さんの答弁は、新3要件による「限定」が無意味だということを示しているのではないでしょうか。
⑮ 集団的自衛権行使のための「存立危機事態」、重要影響事態法発動のための「重要影響事態」、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態である「武力攻撃予測事態」の違いはどこにあるのでしょうか。いずれも、攻撃はされていないがその危険性があるというのであれば、個別的自衛権による「武力攻撃予測事態」に含まれるのではないでしょうか。
⑯ 「後方支援」であっても危険な場所にはいかないというのであれば、今回の法案でわざわざ「非戦闘地域」という限定を外したのは何故でしょうか。今までと変わらないのであれば、変える必要はなかったのではありませんか。法案に明記することを避けたのは「戦闘地域」にまで活動の範囲を広げることを意図しているからではありませんか。
⑰ 「現に戦闘が行われている地域」以外であれば、「後方支援」が可能だとされています。ということは、これまで戦闘が行われていた地域やこれから戦闘が行われる可能性のある地域でも活動するということになります。その場合でも自衛隊員のリスクが高まらないと断言する根拠はどこにあるのでしょうか。
⑱ 弾薬の補給が必要になるのは戦闘によって消費されるからです。その場所から「後方支援」を要請された場合、「そこは危険だから行けない」と断るのでしょうか。弾薬の補給や武器の運搬などを行っている際に戦闘が生じた場合、自衛隊だけが撤退できるのでしょうか。その結果、大きな被害が出るようなことはないのでしょうか。
⑲ 国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」など活動内容を拡大し、任務遂行のための武器使用基準を緩和した場合でも、これまで以上にリスクが高まることはないという根拠はどこにあるのでしょうか。住民に周りを取り囲まれ、任務遂行か困難になるような場合、威嚇射撃などを行うのでしょうか。誤って市民に犠牲者が出るようなことはないのでしょうか。
⑳ 今回の「安保法制」整備は「抑止力」を高めるためだとされています。その対象は北朝鮮や中国なのでしょうか。「抑止」ではなく「挑発」となり、かえって軍拡競争を強める危険性はないのでしょうか。また、ISのようなテロ組織に「抑止力」は働かず、かえって「米国の手先」として敵視され、テロの危険性を高めるのではないでしょうか。
さし当り、以上のような20の疑問を提起させていただきます。これらの疑問や問題点はこれまでの審議でも解明されたとは言えません。
国民が理解し、納得できるような形で説明されたわけではないからこそ、「説明不足だ」という意見が8割にも上るのです。これ以外にも、まだまだ多くの疑問があり、質疑で解明されなければならないでしょう。
質疑を打ち切って、特別委員会での採決を強行するような動きが伝えられていますが、とんでもありません。少なくとも、これらの疑問が解消されるまで、さらに審議を尽くすべきです。
与党と維新の党によって特別委員会の開会が強行され、明日にも採決がなされようとしています。安倍首相の独裁を許してはなりません。
民意よりもアメリカとの約束を優先する安倍従米政権の暴走を阻止するために、今こそ声を上げましょう。違憲の法案を通してはイケン、と……。
今日は、私も各党への要請のために国会に行く予定です。行動せず、後になって後悔することのないように……。
審議が進めば進むほど、「反対」意見が増えていることです。説明すればするほど「説明不足だ」という声が強まるという珍現象をどう理解したら良いのでしょうか。
審議が進んで反対意見が増えるのは、「法案」の内容が知られるようになるにつれて、そのいい加減さや危険性が理解されるようになっているからでしょう。ということは、今後も審議を続ければ、反対が増えることになります。
また、説明すればするほど「説明不足だ」と言われるのは、もともと説明できない違憲の「トンデモ法案」だからです。説明しても理解できない内容が多く含まれていること、説明の仕方が不十分なこと、そもそも論理的に破たんしているから説明する方もされる方も理解不能なことなどの問題がありますから、いくら説明しても理解が進むはずがありません。
そこで、法案のデタラメさを明らかにし、その論理的破綻ぶりを示すために、以下、箇条書きで疑問を提起したいと思います。これらについて、国会での質疑などでさらに追及していただければ幸いです。
① 「安保法案」が必要なのは日本周辺の安全保障環境が悪化しているからだとされていますが、冷戦時代と比べて悪化していると言えるのでしょうか。ソ連太平洋艦隊が北海道を侵攻するという危機説と、中国が尖閣諸島を占領するという危機説とでは、どちらの方の安全保障環境が悪化しているということになるのでしょうか。
② 安全保障環境が悪化している証拠として、安倍首相は自衛隊機による緊急発進(スクランブル)の回数が10年前より7倍になったことを挙げていますが、30年前の1984年の944回より2014年の943回は1回少なくなっています。10年前ではなく30年前と比較すれば、安全保障環境が悪化したとは言えないのではないでしょうか。
③ 1990年代以降、スクランブルの回数はほぼ500回を下回っていましたが、2012年567回、13年810回、14年943回と、安倍首相になってから急増しています。これを減らすためには、安倍首相が退陣して中国との関係を改善する方が効果的で手っ取り早いのではありませんか。
④ 周辺の安全保障環境が悪化していると言いながら、今回の「安保法案」では「周辺事態法」の「周辺」を削除して「重要影響事態法」に変えようとしています。周辺が大変だと言いながら、法の対象範囲を地球の裏側にまで拡大するのは論理的な整合性が取れないのではないでしょうか。
⑤ 日本周辺の安全保障環境の悪化を理由に集団的自衛権の行使容認を正当化しながら、その具体例として出されるのはホルムズ海峡での機雷掃海です。これも論理的な整合性がとれません。ホルムズ海峡の機雷を掃海できるように法整備を行えば、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事費増が抑制されるのでしょうか。
⑥ ホルムズ海峡を機雷封鎖する能力を持つのはイランですが、そのような現実的な可能性があるのでしょうか。封鎖はイランにとってもマイナスで、核開発問題での欧米との和解や「イスラム国」(IS)対策での協調という動きもあります。安全保障環境は改善しており、機雷掃海のための法整備など必要なのでしょうか。
⑦ もし、ホルムズ海峡が封鎖されても、日本には半年分以上の石油が備蓄されており、パイプラインもできていてオマーン経由での石油輸入も可能です。イラン以外の他の国や地域からの輸入もできます。「他に適当な手段がない」とは言えませんから、「存立危機事態」として認定できないのではないでしょうか。
⑧ 機雷掃海は極めて危険な作業であり、朝鮮戦争では掃海作業に当たった船が沈没して戦後唯一の戦死者が出ています。後方支援活動でも自衛隊員のリスクは高まらず、危険性は通常業務と変わらないと説明されていますが、それなら戦死者に対する特別の追悼や取り扱い、処遇などは行わないということなのでしょうか。
⑨ 安倍首相は北朝鮮がアメリカに向けて発射した大陸間弾道弾(ICBM)を撃ち落とすために集団的自衛権の行使容認が必要だと説明していますが、北朝鮮からアメリカ本土に向かうミサイルは日本の上空を通らず、カムチャツカ半島方面に向かいます。それをどのようにして撃ち落とすというのでしょうか。領空を通らないミサイルを勝手に撃ち落とすようなことが許されるのでしょうか。
⑩ 北朝鮮がハワイやグアム、在日米軍基地などに向けてミサイルを発射する前に攻撃しようという「敵基地攻撃論」があります。しかし、発射されるミサイルが訓練や実験ではなく実戦であること、これらの基地を狙って発射されようとしていることが、どのようにして判断できるのでしょうか。このような攻撃は先制攻撃そのものではありませんか。
⑪ 半島有事において避難する母親や子供を載せた米輸送艦を防護するために集団的自衛権の行使が必要だとされています。しかし、軍艦は原則として民間人を載せず、そのようなケースがあったとしても緊急時の例外的な措置としてなされるにすぎません。安倍政権は最優先で避難させられるべき母親や子供が逃げ遅れること、つまり救出の失敗を前提に避難計画を立てているのでしょうか。
⑫ この米輸送艦を自衛艦が防護するということは、近くに自衛艦がいるということを意味しています。それなら、米輸送艦ではなく、その近くいる自衛艦で日本人の親子を救出すれば良いではありませんか。自衛艦ではなく米輸送艦によって運ばれなければならない理由でもあるのでしょうか。
⑬ 日本人に対する攻撃が予想され、それが日本への攻撃につながる可能性があれば、攻撃への着手を意味することになり、武力攻撃予測事態として反撃することが可能になります。ということは、集団的自衛権の行使は必要なく、個別的自衛権によって対応することが可能なのではないでしょうか。
⑭ 中谷防衛相は日本に対する攻撃意図が明確でなくても集団的自衛権の行使が可能であると答弁しています。攻撃意図が明確でなければ、新3要件の「我が国の存立が脅かされる」ような「明白な危険」があるとは言えず、したがって「存立危機事態」と認定することはできないはずです。それを可能だという中谷さんの答弁は、新3要件による「限定」が無意味だということを示しているのではないでしょうか。
⑮ 集団的自衛権行使のための「存立危機事態」、重要影響事態法発動のための「重要影響事態」、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態である「武力攻撃予測事態」の違いはどこにあるのでしょうか。いずれも、攻撃はされていないがその危険性があるというのであれば、個別的自衛権による「武力攻撃予測事態」に含まれるのではないでしょうか。
⑯ 「後方支援」であっても危険な場所にはいかないというのであれば、今回の法案でわざわざ「非戦闘地域」という限定を外したのは何故でしょうか。今までと変わらないのであれば、変える必要はなかったのではありませんか。法案に明記することを避けたのは「戦闘地域」にまで活動の範囲を広げることを意図しているからではありませんか。
⑰ 「現に戦闘が行われている地域」以外であれば、「後方支援」が可能だとされています。ということは、これまで戦闘が行われていた地域やこれから戦闘が行われる可能性のある地域でも活動するということになります。その場合でも自衛隊員のリスクが高まらないと断言する根拠はどこにあるのでしょうか。
⑱ 弾薬の補給が必要になるのは戦闘によって消費されるからです。その場所から「後方支援」を要請された場合、「そこは危険だから行けない」と断るのでしょうか。弾薬の補給や武器の運搬などを行っている際に戦闘が生じた場合、自衛隊だけが撤退できるのでしょうか。その結果、大きな被害が出るようなことはないのでしょうか。
⑲ 国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」など活動内容を拡大し、任務遂行のための武器使用基準を緩和した場合でも、これまで以上にリスクが高まることはないという根拠はどこにあるのでしょうか。住民に周りを取り囲まれ、任務遂行か困難になるような場合、威嚇射撃などを行うのでしょうか。誤って市民に犠牲者が出るようなことはないのでしょうか。
⑳ 今回の「安保法制」整備は「抑止力」を高めるためだとされています。その対象は北朝鮮や中国なのでしょうか。「抑止」ではなく「挑発」となり、かえって軍拡競争を強める危険性はないのでしょうか。また、ISのようなテロ組織に「抑止力」は働かず、かえって「米国の手先」として敵視され、テロの危険性を高めるのではないでしょうか。
さし当り、以上のような20の疑問を提起させていただきます。これらの疑問や問題点はこれまでの審議でも解明されたとは言えません。
国民が理解し、納得できるような形で説明されたわけではないからこそ、「説明不足だ」という意見が8割にも上るのです。これ以外にも、まだまだ多くの疑問があり、質疑で解明されなければならないでしょう。
質疑を打ち切って、特別委員会での採決を強行するような動きが伝えられていますが、とんでもありません。少なくとも、これらの疑問が解消されるまで、さらに審議を尽くすべきです。
与党と維新の党によって特別委員会の開会が強行され、明日にも採決がなされようとしています。安倍首相の独裁を許してはなりません。
民意よりもアメリカとの約束を優先する安倍従米政権の暴走を阻止するために、今こそ声を上げましょう。違憲の法案を通してはイケン、と……。
今日は、私も各党への要請のために国会に行く予定です。行動せず、後になって後悔することのないように……。