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7月21日(火) 「バカヤロー解散」があれば「バカヤローの解散」もある [解散・総選挙]

 いよいよ、衆院が解散しました。8月18日公示、30日投票の日程が確定したことになります。

 「本日、しゅうび(焦眉)の急となっていた解散を断行します。自民党はみぞうゆう(未曾有)の危機であり、選挙戦もじゅんぷうまんぽ(順風満帆)とはいかないと思いますが、このような事態はそうはんざつ(頻繁)にあるわけではありません。候補者は大きなかいが(怪我)をしないよう、政権党の伝統をふしゅう(踏襲)して奮闘してもらいたい。選挙戦のようさい(詳細)については幹事長から説明して欲しい」などという演説をしたんでしょうか、麻生自民党総裁は……。

 というのは冗談で、注目の両院議員懇談会では、「出席議員からは首相の退陣要求など表立った批判はなく、予定の1時間を待たずに終了した」そうです。中川秀直、加藤紘一、武部勤の3元幹事長は発言しませんでした。
 それは、そうでしょう。公認権をたてに事前にけん制する構えをみせ、「反麻生」の動きを封ずる見通しが立ったから、公開で開くことにしたのでしょうから……。
 なお、この場で麻生首相が、「行き過ぎた市場原理主義からは決別する」と述べたのは重要です。それが、小泉路線からの明確な「決別」を意味するのであればの話ですが……。

 午後6時から、麻生首相は解散に当たっての記者会見を行いました。小泉元首相のような一発逆転の演説を期待した向きもあったようですが、見事な空振りに終わりました。
 原稿や漢字の読み間違いはなかったようです。しかし、自己の不用意な発言への反省や自民党内の結束の乱れについてのお詫びから始めるのでは、意気が上がるわけがありません。
 麻生首相は、①景気の回復、②安心社会の実現、③約束が実現できない場合には責任をとる、という3つの約束を表明し、「安心社会実現選挙」と名付けました。ところが、その後のNHKの番組で、細田自民党幹事長は「政権を問う選挙」だと言っていました。選挙の命名くらい、総裁と幹事長とで足並みをそろえて欲しいものです。

 ところで、あなたなら、この解散をどう名付けますか。

 国民からすれば、「待ちに待った解散」でしょう。去年の秋から、やるやると言いながら、今日まで1年近く待たされてしまったのですから……。これで、「やるやる詐欺」状態が解消したのですから、麻生さんもホッとしたにちがいありません。
 その麻生さんからすれば、「追い込まれ解散」でしょうか。「本当は、こんな解散、したくなかったのじゃ」と言いたいところかもしれません。最悪の時期に、最悪の状態での解散となりましたから……。
 しかし、野党からは内閣不信任決議案や首相への問責決議案を出され、党内からは麻生降ろしを画策されました。結局、内外の攻勢によって解散から逃れることができなくなったというわけです。

 自民党からすれば、「自爆解散」でしょうか。各種の調査では、自民党の支持率は民主党の半分以下になっており、選挙での投票先ではもっと差が開いています。
 現有議席の半分以下に落ち込むという予想はまだましな方で、三桁を割ってしまうのではないかという見方さえあります。いかにして、この減り方を減らすか、が選挙での課題になってしまいました。
 「麻生さんの看板では当選できない」と考えての麻生降ろしだったはずです。その麻生降ろしが失敗し、麻生さんが交代させようとした細田幹事長は代わらず、加えて、古賀選対委員長は辞任したままでの選挙ですから、当選できない候補者が続出するのは当然でしょう。

 民主党からすれば、「飛んで火にいる夏の虫解散」かもしれません。麻生さんがグズグズしていたことが、民主党に幸いしました。
 追い風を受けている民主党からすれば、この絶好の機会を選んでくれた麻生さんに感謝状でも贈りたい気持ちでしょう。火の勢いが大きくなるのを待って、そこに飛び込もうとしているようなものですから……。
 しかも、自らガソリンを振りかけ、火勢を強めたのも麻生さんです。自民党役員・内閣改造を行うことができず、東国原宮崎県知事の担ぎ出しにも失敗し、国民の顰蹙を買いましたから……。

 とりわけ、タレント出身知事の人気にすがろうとしたのは大失敗でした。国民には、選挙目当ての悪あがきだと受け取られたからです。
 政権党が「お笑いタレント」出身知事に「笑いもの」にされたということになります。これこそ、「お笑い草」というべきでしょうか。
 東国原知事も、国会議員になりたかったのなら、自民党ではなく民主党から出ると言えば良かったんです。その程度の政治判断もできないのですから、もう少し、知事としての経験を積んで政治を勉強した方が良いのではないでしょうか。

 麻生首相のお祖父さんである吉田首相が53年に行った解散は、「バカヤロー解散」として知られています。その類推で言えば、今度の解散は「バカヤローの解散」ということになるかもしれません。
 吉田首相は、野党議員に「バカヤロー」と言って解散に追い込まれました。麻生首相は、野党議員に「バカヤロー」と言われて解散に追い込まれました。
 ちょっとの違いのように見えますが、大違いです。麻生首相としては、後世の歴史家によって、今回の解散が「バカヤローの解散」などと呼ばれないことを祈っているにちがいありません。

 でも、心配いりませんよ、麻生さん。華々しい惨敗によって選挙後に自民党がなくなってしまえば、多分、別の呼ばれ方をされるでしょうから……。
 「自民党解散解散」なんて、ね。

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