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3月27日(水) 自民党政治の混迷と野党共闘の課題―「受け皿」を作って政権交代を(その1) [論攷]

〔以下の論攷は『学習の友』No.848 、2024年4月号に掲載されたものです。2回に分けてアップさせていただきます。〕

 混迷を深める自民党政治
 
 「大山鳴動して鼠3匹」というところでしょうか。自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑です。検察の腰砕けにはあきれてしまいました。政治家では池田佳隆衆院議員が逮捕され、大野泰正参院議員が在宅起訴、谷川弥一衆院議員が略式起訴されたにすぎません。
 疑惑の渦中にあった塩谷立元文部科学相などの安倍派トップや松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、萩生田光一前政調会長、西村康稔前経産相、世耕弘成前参院幹事長の「安倍派5人衆」、二階派会長の二階俊博元幹事長らはおとがめなしとなってしまいました。
 自民党は「政治刷新本部」を設置して「中間とりまとめ」を発表しましたが、政治資金パーティーの禁止は運用面での取り組みにすぎず、禁止する法改正にまでは踏み込んでいません。企業・団体献金の禁止や連座制導入への言及もありません。
 また、自民党は全議員対象のアンケートを実施して調査結果を公表し、安倍派や二階派の議員らに対する聞き取り調査の結果も明らかにしました。アンケートによって不記載は85人、5億7949万円だったことが明らかになりましたが、誰の指示で、いつからどのように裏金作りをはじめたのか、そのお金を何に対してどのように使ったのかという核心部分は明らかにならず、「事実上のゼロ回答」と報じられました。
 聞き取りでも、裏金作りは約20年以上も前から始まっていたとされますが、詳細は明らかになっていません。一連の対応によって露呈したのは、自民党の自浄能力のなさです。自民党任せにせず、国会が真相解明に取り組む必要があります。
 野党は裏金作りが判明している衆院議員や参院議員83人の政治倫理審査会(政倫審)への出席を求めました。岸田首相をはじめ安倍派の幹部などが出席しましたが、自己弁護の言いっぱなしや虚偽答弁が可能な政倫審は、説明責任を果たしたという免罪符を手にして幕引きに利用されたにすぎませんでした。疑惑を深めただけで真相解明には結びつかず、参考人招致や罰則付きの証人喚問が必要になっています。

 次々に出てくる疑惑の数々

 自民党の「政治とカネ」をめぐっては、政治資金パーティーによる裏金作り以外にも、次々と新たな疑惑が生じています。政治資金収支報告書の訂正では、萩生田前政調会長が「不明」ばかりで大きな批判を浴びました。不記載額がトップだった二階元幹事長は、書籍代に3660万円も支出しており、政党から議員個人へのつかみ金となっている政策活動費が5年間で48億円という巨額に上っていることも判明しました。
 岸田首相自身にも、総理就任を祝うパーティーについての疑惑が浮上し、松野前官房長官については退任直前に官房機密費4660万円を自分に支出していたことが暴露されました。茂木敏充幹事長の選挙経費「二重計上」疑惑や甘利明元選挙対策委員長が全国を回って裏金を配っていた疑いなど、まさに「底なし沼」のような腐敗ぶりです。
 加えて、統一協会(世界平和統一家庭連合)との癒着についての新た疑惑も浮上しました。所管大臣である盛山正仁文科相が統一協会と関連する団体の集会に出席し、政策協定にあたる推薦確認書に署名していた写真が朝日新聞に掲載されたからです。これについては自民党の点検でも報告されていませんでした。
 盛山文科相は国会での質疑で「記憶にない」を連発し、岸田首相は「関係を断っている」と弁護していましたが、最近まで協会の友好団体の機関誌が送り付けられていました。立憲民主党は文科相の不信任決議案を衆院に提出しましたが、自民・公明・維新の多数で否決されています。
 この間、林芳正官房長官も推薦確認書を提示して署名を求められていたことや岸田首相も盛山文科相と一緒に写っていた協会幹部と同じ写真に写っているなど、統一協会との新たな接触も明らかになっています。まさに、際限のない癒着ぶりというほかありません。


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