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10月30日(金) 第3次安倍改造内閣―新3本の矢で目くらまし 新「富国強兵」政策を画策 [論攷]

〔以下の論攷は、『全国商工新聞』第3189号、10月26日付、に掲載されたものです。〕

 第3次(大惨事)安倍改造内閣が発足しました。一言で言って「意味不明」内閣です。その翌日の日経平均株価は181円下がって1万8141円になりました。新内閣発足に対する市場の反応は冷たいものでした。
 それもそうでしょう。最初から、期待されることを期待していないような顔ぶれですから。安倍首相は来年7月の参院選まで持てば良いと考えているのかもしれません。しかし、このような「お友達」ばかりをかき集めた陣容で参院選を乗り切れるのでしょうか。

 安倍首相は9月の自民党総裁選で再選され、党の役員と閣僚を変えて人身を一新させたいと思ったのでしょう。しかし、「無理に人事をやるタイミングではなかった」(10月8日付『朝日新聞』)という政府高官の声が伝えられているように、どうしてもやらなければならなかったわけではありません。
 事実、改造は小規模にとどまり、閣僚と自民党役員計24人のうち交代したのは10人にすぎません。しかも、主要閣僚の「幹」はほとんど残留し、代わったのは「枝葉」ですから、なぜ今やるのかが「意味不明」な改造だったということになります。
 新しい閣僚の顔ぶれもパッとしません。注目されるのは行革担当相になった河野太郎さんですが、さっそく反原発という主張を引っ込めようとしています。
 もう一人「目玉」とされているのが加藤勝信さんで「一億総活躍社会」の実現を担当するそうですが、これこそ「意味不明」の最たるものです。
 安倍首相は「自民党は人材の宝庫だ」と言っていますが、それならどんどん交代させればいいじゃありませんか。
 しかし、実際には、そうはいきません。政治資金面で問題のない自民党議員はほとんどいず、第2次改造内閣で3人の閣僚が辞任したように危なくて使えない人ばかりだからです。
 それでも改造を行ったのは、70人を超える「入閣待望組」を減らすだけでなく、戦争法案反対闘争で高まった「アベ政治」への反発を和らげたいという狙いがあったからです。そのために、突然「一億総活躍社会」というスローガンと「強い経済」「子育て支援」「社会保障」という「新3本の矢」を打ち出しました。
 そこには二つの「目くらまし」が意図されていたように見えます。その一つは、60年安保闘争後、所得倍増政策によって国民の支持を回復した池田内閣をまねた「目くらまし」であり、もう一つは、新しい「3本の矢」を示すことでアベノミクスの失敗から国民の目をそらすという「目くらまし」です。

 しかし、「一億総活躍」とは言っても、実際には日本の人口は1億2685万人ですし、それを十羽ひとからげに「活躍」させようというのは余計なお世話で、何が「活躍」なのかも不明です。2020年頃までに国内総生産(GDP)600兆円、20年代半ばに希望出生率1.8、20年代初頭に介護離職ゼロという目標はいずれも「絵に描いた餅」で現実離れしたものです。「的」が遠すぎて「矢」は届きません。
 第2次改造内閣で打ち出した「地方創生」や「女性の活躍推進」はどうなったのでしょうか。これが古臭くなったから「一億総活躍」というラベルに張り替えて目新しさを出そうとしただけではないでしょうか。
 しかも、達成年次は安倍首相の任期を越えています。目先を変えて期待を持たせ、来年の参院選さえ乗り切れば達成されなくても良いと思っているのかもしれません。
 国民も甘く見られたものです。アベノミクスの「3本の矢」で騙したうえに「新3本の矢」でもう一度、騙そうというわけですから。このような目論見を許してはなりません。「アベノミクス第2ステージ」は、経済成長によって得られた富を軍事力増強へとつぎ込む、新「富国強兵」政策の「第2ステージ」にほかならないのですから。

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