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9月25日(火) 派閥ボスが勢揃いした「背水の陣」内閣 [内閣]

 「もう、若い者には任せておけない」ということなのでしょう。今まで、陰に隠れてあれこれと指図していた派閥のボスが、前面に出てきて勢揃いしました。

 自民党役員に、伊吹、谷垣、二階、古賀の4人。内閣に、町村、高村の2人。それに、津島派会長代理の額賀さんを入れれば7人になります。入らなかったのは、福田さんと争って破れ、入閣を断った麻生さんと山崎さんだけです。
 昔の自民党の復活と言って良いでしょう。危機に瀕した自民党は、派閥ボスが先頭に立って総力戦を挑もうとしているようです。
 重厚にして手堅い布陣だと言えるでしょう。でも、この間のイメージチェンジのための努力は、全て水泡に帰すことになりました。

 この福田政権の発足によって、総選挙という国民の審判を受けていない政権が2代続くことになります。民主政治の基本、国民主権という憲法原理から言って、この状態は好ましくありません。
 早々に、総選挙を実施するべきです。福田さんは、総選挙によって、新政権の是非を国民に問うべきでしょう。
 総裁選期間中の発言では、福田さんは野党との「話し合い解散」を目指すような口ぶりでした。おそらく来年の春、解散・総選挙の実施と予算の円満な成立とを取引しようと考えているのでしょう。

 そうなれば、解散・総選挙は4月か5月になります。これは、現在想定され得る最も遅い場合ということになるのではないでしょうか。
 福田政権はそれまで持つのか、というのが大きな問題です。今秋の臨時国会と来年の通常国会前半という二度の国会を乗り切らなければならない福田政権に、それほどの耐久力があるのでしょうか。
 すでに、臨時国会に向けて、野党は政府・与党追及の材料を集め、戦略・戦術を練り上げたはずです。そのための時間は、十分すぎるほどありました。

 とりわけ注目されるのは、安倍前政権の命取りとなったインド洋での給油活動の問題です。安倍さんが慶応大学病院に逃げ込んでしまった後も、重要な事実が明らかになりました。
 第一に、国連でのアフガニスタンの国際治安支援部隊(ISAF)の延長決議に、それとは異質な米国主導の「不朽の自由作戦(OEF)」への謝意を挿入させるという工作が明らかになるという外交上の失敗です。政府や外務省は日本の貢献が認められたと牽強付会の主張を行っていますが、このような裏工作が国際社会の足並みを乱したことは明らかで、日本の面汚しだと言わざるを得ないでしょう。

 第二に、このような工作を行ったこと自体、海上給油に協力している「不朽の自由作戦(OEF)」には、小沢さんの言うように、国連のお墨付きがないということを示しています。そのことを自覚しているから、わざわざ「感謝決議」という形でお墨付きをもらおうと工作したわけです。
 しかし、それがかえって仇になりました。決議に賛成しなかったロシアは、はっきりと国際治安支援部隊(ISAF)の活動と「不朽の自由作戦(OEF)」とが異なっていること、前者は国連の活動だが後者はアメリカとそれに追随する諸国が勝手に始めたものにすぎないことを、明確に指摘したからです。
 結局、国連の活動ではない「不朽の自由作戦(OEF)」に協力するのは、筋が通らないという民主党の主張が裏付けられた形になりました。

 第三に、こうして、この二つの軍事作戦、つまり、アフガン国内で国連が実施しているISAFと、インド洋でアメリカなどが行っているOEFとが全く異なるものであることが明らかになっただけではありません。現地では、アメリカ主導のOEFは、国連主導のISAFを妨害する役割を果たしているということも明瞭になりました。
 このことは、すでに『毎日新聞』に掲載されたアフガニスタン武装解除日本政府特別代表などを務めた伊勢崎賢治東京外語大教授の発言を引用して、9月20日のブログ「『従米』のために日本の評判を傷つけた『害務省』」http://blog.so-net.ne.jp/igajin/2007-09-20で指摘しました。この座談会で、伊勢崎さんは、「今、現地では『不朽の自由作戦』の空爆による2次被害が深刻です」「イギリスやカナダ、ドイツは地方復興を真剣にやっている。そこで人心掌握に成功し始めているのに米国が空爆をして、また憎悪が増す。だから、『不朽の自由作戦』は自分たちの地域ではやるなと苦情を言っています。この問題はこれからさらに大きくなるでしょう。日本がインド洋で支援しているのは、一般人を殺しているこの作戦です」と語っています。
 このような「一般人を殺しているこの作戦」は直ちにやめるべきです。日本の給油停止は、そのための重要なきっかけになることでしょう。

 第四に、もし、給油が停止されインド洋での米軍の作戦が停止されれば、OEFの一環として実施され、「空爆による2次被害」に苦しめられているアフガンの人々だけでなく、イラクの人々をも救うことになります。というのは、給油された燃料がイラク攻撃にも使われていたことは、ほぼ確実だからです。
 これは明瞭な特措法違反ですが、ある意味では当然でしょう。アメリカにとって、アフガン攻撃もイラク攻撃も、ともに「テロとの戦い」であり、両者はほとんど区別されていません。
 作戦も一体ですから、艦船や航空機が両国の作戦に従事しているからといって、「それがどうした?」という気持ちなのでしょう。ペルシャ湾に展開する米空母エンタープライズのロナルド・ホートン艦長が朝日新聞記者のインタビューに応じて、05年当時、米軍揚陸艦ジュノーの艦長として「イラクの自由作戦(OIF)」の一環として、沖縄に駐留する海兵隊をイラク国内に投入するためペルシャ湾北部に展開した間、海自の補給艦から3回にわたって燃料、食料の補給を受けたと証言したのは、その良い例です。

 第四に、このようなイラク特措法違反の行為を隠蔽するために、国民に嘘の説明をしていた疑いも浮上してきました。その説明をしたのは、誰あろう、今回首相に選ばれた福田さんでした。
 03年2月、対イラク戦争開始直前の米空母キティホークに海上自衛隊の補給艦が間接的に給油していた問題で、防衛省は当初20万ガロンと国会答弁などで説明していた燃料の供給量を80万ガロンに訂正しました。これについて、当時の福田官房長官は会見で「キティホークの燃料消費は1日20万ガロンで、ほとんど瞬間的に消費してしまう。イラク関係に使われることはあり得ない」と述べていたのです。
 しかし、実際にはその4倍の80万ガロンもあり、「ほとんど瞬間的に消費してしまう」ような量ではありません。対イラク作戦に参加していた米空母キティホークへの給油を過小に見せるために、福田さんは「嘘」をついていたのでしょうか。

 以上の問題は、民主党など野党が追及するであろう材料のほんの一部にすぎません。年金問題や政治とカネなど、追求の範囲や矛先はさらに広く、多くなるにちがいありません。
 新しい役員や閣僚に「政治とカネ」の問題が出てこないように、代表質問への答弁で立ち往生して福田さんまで「俺も辞めたい」などと言い出さないように、自民党としては、祈るような気持ちでしょう。ボロ船で船出した「福田船長」のお手並み拝見というところです。


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