６月18日（金） 「小沢ファン？」からのコメントへの回答

　「小沢ファン？」と思われる方から、下記のようなコメントがありました。これについては、削除するのではなく、お答えすることにしましょう。

あなたが、犯罪者でもないのに小沢議員を悪意で非難して排除し、鳩山首相の政治を援助もせず、ただ批判をするだけでなにもしなかった結果、官僚に癒着したより悪い菅政権が生き残ったのです。マスコミと同様に、あなたにもこのような事態になった責任があるとお思いになりませんか。あなたが小沢議員を排除した結果をみると、失業者がさらに増え、低所得者に重い消費税が検討されるような悪い方に向かっていますが、あなたは偉そうに正しいこと言ったように思っているかもしれませんが、あなたの無思慮が結果的に悪いことをしていることにお気付きになりませんか。

　①「犯罪者でもないのに小沢議員」
　小沢さんは、残念ながら「犯罪者ではない」と断言できるような状況にはありません。今は、検察審査会で「起訴相当」であるかどうかが審査されている段階です。
　検察審査会での「起訴相当」の決定がなかった場合、また起訴されても裁判で無罪になれば、このように断言することができます。まだ、その結論が出ていないというのが、正確な状況認識でしょう。

　②「小沢議員を悪意で非難」
　私は、小沢さんについて「悪意」で「非難」したことはありません。もし、そのような文章があれば、具体的に示していただきたいと思います。
　もちろん、批判した文章はあります。それは、菅さんやその他の方を批判するときと同様、決して「悪意」からではありません。

③「小沢議員を……排除」
　私には、小沢さんを「排除」するような力はありません。事実の経過を見れば、小沢さんの辞任は自分自身の選択か、鳩山さんに詰め寄られての決断か、いずれかでしょう。
　もちろん、マスコミや世論の批判に耐えられなかった、あるいは、参院選を前にした内閣や民主党支持率の低下を憂慮したということはあるでしょうが、それに対して、私やこのブログが影響を与えたというのは、あまりにも過大評価でしょう。

④「鳩山首相の政治を援助もせず、ただ批判をするだけでなにもしなかった」
　私は政治の現状について発言しているだけです。どなたに対しても、具体的な「援助」を行っているわけではありません。
　「ただ批判するだけ」というのは、私のブログを読んでいない証拠です。鳩山政権に対しては「政権交代の前進面と鳩山政権の限界」（５月９日付「鳩山民主党政権の半年を採点する－参議院選挙では何が問われるのか」）の両面について書いていますから……。

⑤「マスコミと同様に、あなたにもこのような事態になった責任がある」
　菅新政権が登場し、自信を持って「より悪い」政策を実行しようとしていることに大きな責任を問われるのは、むしろ鳩山さんや小沢さんでしょう。菅さんが後継首相になったのは鳩山さんが辞めたお陰ですし、それがこれほど大きな支持率を達成できたのは「脱小沢」の演出によるからです。
　それは小沢さん自身のシナリオではないのかというのが、私の仮説です。少なくとも、小沢さんは、こうなったことに満足しているにちがいありません。「私自身は一兵卒として当面、参院選の勝利に向けて、少しでもお役に立てば微力を尽くしたい」と述べているのですから……。

⑥「マスコミと同様に、あなたにもこのような事態になった責任がある」
　「このような事態」が何を意味しているのか良く分かりませんが、もし、菅さんが首相になったことを指しているのであれば、その「責任」は菅さんを代表に選んだ民主党議員にあります。私は、それに対して全く「責任」を負う立場にはありません。
　また、菅新政権や民主党への支持率の「Ｖ字回復」については、もちろん「マスコミ」に「責任」はあると思います。しかし、私に「責任」を問うのは、前述のように、このブログへの過大評価でしょう。それほどに評価していただけるのは、有り難いことではありますが……。

⑦「あなたが小沢議員を排除した結果をみると、失業者がさらに増え、低所得者に重い消費税が検討されるような悪い方に向かっています」
　「失業者がさらに増え、低所得者に重い消費税が検討されるような悪い方に向かってい」く可能性が高いという認識は、共有できるものです。しかし、それが「小沢議員を排除した結果」であるというのは、どうでしょうか。
　鳩山政権時代に菅さんを副総理にしたのも、樽床議員が立候補したときに小沢グループを自由投票にしたのも、支持率のＶ字回復を生み出した「脱小沢」を演出したのも（多分？）、小沢さんです。つまり、菅さんの政策を批判するのであれば、その背後にいる小沢さんを問題にせざるを得ないのではないでしょうか。今回の「結果」は、私が小沢さんを「排除」（そんなことができるわけがない）したためではなく、小沢さん自身が身を引いたために生じたことなのです。

⑧「あなたは偉そうに正しいこと言ったように思っているかもしれません」
　私は常に「正しいこと」を言おうと思っています。誰でも、文章を書いて公表する場合はそうでしょう。
　「間違っているかもしれない」と知りながら書いて発表するのは、読者に対する裏切りですから……。それが「偉そう」であるかどうかは、受け取り方の問題にすぎません。
　これからも、「正しいこと」を書くように務めたいと思っています。それをどう受け取るかは、私の問題ではなく皆さんの側の問題です。
　
⑨「あなたの無思慮が結果的に悪いことをしていることにお気付きになりませんか」
　「無思慮」であることを私に納得させるだけの事実を示していただかなければ、この問いにお答えすることはできません。それが「結果的に悪いことをしている」ということを、気づかせるだけの具体的な記述を示してください。今後、気をつけることにしましょう。
　そもそも、このようなブログは、思いついたことをそのまま書くような気楽なものです。それほど推敲していませんから、「無思慮」であることを避けるためには書くことを止めなければなりません。
　「お前のブログは有害なので、もう書くな」ということなのでしょうか。それとも、「もっと、思慮深いブログを書け」ということなのでしょうか。そのどちらについても、お応えするのは容易なことではありませんが……。

コメント 12

五十嵐先生のブログには、職業別（産別？）の名乗りもよく似あいますね。なんだか、そんな気がします（笑）。ずいぶんと遅いコメントに・・・。

こちらも実は小沢ファンですが、自称「市井の民」氏のコメントに触れ、深い絶望と恐怖を感じました。というのは、この一文、

>あなたの無思慮が結果的に悪いことをしていることにお気付きになりませんか。

に思想の背景を想像したからです。五十嵐先生の論点を共有していないかも知れませんが。

ここでは「あなた」（五十嵐先生）と仮想的な「わたし」（「市井の民」氏）が、対立した者と設定されます。そして「あなた」は悪なので、自分の責任に気づいて改心（たぶん）し、「わたし」の側に降伏する必要があると・・・。
こうしてグラデーションと次元の差異は打ち捨てられ、ただ国民は小沢ファン（善）とアンチ・ファン（悪）の闘争する２グル-プに分類・整理されようとます。この二項対立の思想背景は、対象のスケールにかかわらず持ち込まれますので、結果、たえず世界を切り刻んでバラバラにしようと意図されます。
なぜなら、世界がそうなっている――二項対立を「真」とする考えは、ですから、すでに化石化したはずの冷戦構造を胎盤とし、いまもヘソの緒でつながっていると推察できます。先生やみなさまの目の汚しでしかないコメントを投稿させていただく理由です。

政権交代の国民的ドラマは現在進行中であり、あたかも二項対立がテーマの思想劇が上演されている、かのように受けとられる可能性があるかも知れません。しかし旧左右翼の二項思想、その一方が「正義」であって自分を「正義」に仮託する正義思想、を脱色しないでは、プラトン以来の西欧的、古典的な形而上学を克服できない方が多くいらっしゃるなら、旧世界がリピートして未来は到来しないでしょう。情緒豊かな日本人がいいのでは。
by 交通労働者 (2010-06-19 13:51) 

＞小沢さんは、残念ながら「犯罪者ではない」と断言できるような状況にはありません。今は、検察審査会で「起訴相当」であるかどうかが審査されている段階です。
＞検察審査会での「起訴相当」の決定がなかった場合、また起訴されても裁判で無罪になれば、このように断言することができます。まだ、その結論が出ていないというのが、正確な状況認識でしょう。

ということは、他人の住居に無断で侵入して、特定政党の主張ビラをばらまく人々が、逮捕され、刑法上の罪を問われる裁判が続いていますが、彼らも「犯罪者ではないと断言できるような状況にはありません」ということですね。

ちなみに、世間の多くまた近代法は、裁判での判決が確定しない前は「犯罪」とか「有罪」として扱わないことが原則のようですよ？
左翼国家のような近代法を無視する国やいまだに内ゲバのある組織などは違うルール化もしれませんが。

by あたぼう (2010-06-20 11:47) 

五十嵐仁先生

はじめまして。
いつも興味深く拝見しております。
匿名でのコメントをお許しください。

先生の反論に、１点だけ、どうしても気になる部分がありました。
上記のコメントと同様、「無罪推定の原則」の部分に触れていないところです。

前提として、自民党の議員への献金がほとんど問題とされていないなか、小沢氏とそれに関連する議員が逮捕されるのは、ほとんど異常ではないでしょうか。
検察と小沢氏とは、小沢氏が田中角栄氏の秘書だった頃からの確執があると聞きます。
また、検察も行政機関ですから、小沢氏の手法を快く思わないでしょう。
客観的にみれば、検察の恣意的な起訴である可能性が高いはずです。
そしてそれは、憲法上、現行法上、許されることではありません。
にもかかわらず、検察の公訴権の濫用を直接に問う立法措置がなされていないという問題があります。

そして、もちろん、政治的な言論ですから、疑いのある段階で批判することはありうるのですが、
今日、マスメディアの警察からのリーク報道によって、冤罪を多数生み出してきた歴史があり、社会問題になっています。
小沢氏の報道についても、マスメディアがあれだけのキャンペーンを貼ることに違和感を覚える人は多いのではないでしょうか。
もちろん、不正なカネの流れは許されることではありません。
しかし、今回の小沢氏に対する一連の流れについては、慎重に批判する必要があると思います。

五十嵐先生は私からすると大先生であり思想としても共感するところが多く、ブログについても大変な影響力があります。
私が上記に書いたようなことは当然認識していると存じます。
だからこそ、今回については、この部分への配慮がなされていないまま、反論なさったことが、非常に残念です。
by 通りすがりの大学院生 (2010-06-27 02:46) 

遅いコメントですが・・・五十嵐先生はどうも小沢さんに好感を持っておられないようで(親小沢でも反小沢でもないと仰ってますが)、何故なんでしょう？
実は私は、政治学者山口二郎氏や経済学者植草一秀氏のブログも読んでおります。95％くらい以上は共感できるのですが、しかし、どうしてもおかしい？と感じる一点が出て来ました。
山口氏は菅新政権の消費税増税提言を肯定しているのです。あれほど人権感覚の高い氏が、この点では生活者としての庶民の人権は眼中に入っておりません。菅氏の権力欲も、政治家には必要なものだと肯定しています。
植草氏は連日、菅首相の民主党政権を批判しています。民主党に勝たせたら危ない、消費税増税が強行されてしまう。普通に考えたら、消費税増税に一貫して反対して来た共産党を、となるのは論理の流れなのに、
やっぱり「９月に小沢一郎を」と主張します。

学者としての研究成果や理論とは無関係に、両人には民主党や小沢氏と心理的につながっているからだと思い当たりました。自分のバカ息子がどんなバカなことをしても、それが「バカなこと」に見えない親心のような心理を感じます。このような心理は乗り越えて、あくまで、客観的に考えてもらわないと困りますね。大変な結果を招きます。

五十嵐先生は共産党が好きなようで(私も好きですよ)、共産党の天敵、自民党は好いておられないと思います。自民党の臭いを引きずっている小沢氏も余り好いておられないように感じます。
昨年からの小沢氏にまつわる事件を、私も素人ながら、色々読んでみましたが、例えば、登記の時期をずらすことがよくあることなのか、それとも逮捕されるほど違法なことなのか？とか。「自民党の議員への献金がほとんど問題とされていないなか、小沢氏とそれに関連する議員が逮捕されるのは、ほとんど異常ではないでしょうか。」といった、客観情勢だけでなく、個々に当たって調べてみました。すると、やっぱり、検察はおかしいという結論になりました。検察の横暴独裁にはかねてから腹を立てていましたので、「やっぱり、ここでもやってるか」と益々腹が立ちました。
この点に関しては100％小沢氏に味方します。

五十嵐先生は自民党の臭いのきつい金権政治家、小沢氏には反小沢でないまでも、好感は抱けないのだと思います。その気持ちが小沢ファンを怒らせる言い方を無意識にしてしまうのだと思っています。

二項思考を否定されている方がいます。よくある思想だと思いますが疑問を持っています。本多勝一氏の「殺す側の論理」を最近読みましたが、そこで、山本七平氏が「人は、正義を振り回したトタンに、それは口に不正義を咥えたことになる」と本多氏に食ってかかっていました。私は日本的であるとされる「ケンカ両成敗」とか「調和」の方がおかしいと感じています。それこそ徳川封建幕府が統治のために編み出した思想だと感じています。


by NO NAME (2010-06-30 12:55) 

遅いコメントですが・・・五十嵐先生はどうも小沢さんに好感を持っておられないようで(親小沢でも反小沢でもないと仰ってますが)、何故なんでしょう？
実は私は、政治学者山口二郎氏や経済学者植草一秀氏のブログも読んでおります。95％くらい以上は共感できるのですが、しかし、どうしてもおかしい？と感じる一点が出て来ました。
山口氏は菅新政権の消費税増税提言を肯定しているのです。あれほど人権感覚の高い氏が、この点では生活者としての庶民の人権は眼中に入っておりません。菅氏の権力欲も、政治家には必要なものだと肯定しています。
植草氏は連日、菅首相の民主党政権を批判しています。民主党に勝たせたら危ない、消費税増税が強行されてしまう。普通に考えたら、消費税増税に一貫して反対して来た共産党を、となるのは論理の流れなのに、
やっぱり「９月に小沢一郎を」と主張します。

学者としての研究成果や理論とは無関係に、両人には民主党や小沢氏と心理的につながっているからだと思い当たりました。自分のバカ息子がどんなバカなことをしても、それが「バカなこと」に見えない親心のような心理を感じます。このような心理は乗り越えて、あくまで、客観的に考えてもらわないと困りますね。大変な結果を招きます。

五十嵐先生は共産党が好きなようで(私も好きですよ)、共産党の天敵、自民党は好いておられないと思います。自民党の臭いを引きずっている小沢氏も余り好いておられないように感じます。
昨年からの小沢氏にまつわる事件を、私も素人ながら、色々読んでみましたが、例えば、登記の時期をずらすことがよくあることなのか、それとも逮捕されるほど違法なことなのか？とか。「自民党の議員への献金がほとんど問題とされていないなか、小沢氏とそれに関連する議員が逮捕されるのは、ほとんど異常ではないでしょうか。」といった、客観情勢だけでなく、個々に当たって調べてみました。すると、やっぱり検察の方がおかしいという結論になりました。検察の横暴独裁にはかねてから腹を立てていましたので、「やっぱり、ここでもやってるか」と益々腹が立ちました。
この点に関しては100％小沢氏に味方します。

五十嵐先生は自民党の臭いのきつい金権政治家、小沢氏には反小沢でないまでも、好感は抱けないのだと思います。その気持ちが小沢ファンを怒らせる言い方を無意識にしてしまうのだと思っています。

二項思考を否定されている方がいます。よくある思想だと思いますが疑問を持っています。本多勝一氏の「殺す側の論理」を最近読みましたが、そこで、山本七平氏が「人は、正義を振り回したトタンに、それは口に不正義を咥えたことになる」と本多氏に食ってかかっていました。私は日本的であるとされる「ケンカ両成敗」とか「調和」の方がおかしいと感じています。それこそ徳川封建幕府が統治のために編み出した思想だと感じています。


by 小川真一 (2010-06-30 12:58) 

反論無用　黙って聞いてろ！
小沢幹事長（当時）や菅総理の党首対談拒否などをさして、そういう風に受け止める方もいるのでしょうね。
世の中色々いますね。
自分の意見と異なる意見や、自分の間違いを正す指摘には、全て削除で対応し、あげくにコメントを受け付けずに、特定政党への誘導を促すブログなんてのも、その類でしょうか。

少数意見の存在は大切ですが、少数意見の全てが正しいわけでもありません。まして、我が国の政党史をみてくれば、少数政党（国民の支持率が１％未満とか特定団体しか支持していないとかそういう政党のこと。とくに、連立政権をかき回すだけの集団などのこと。共産党はそうした政党とは明らかに違う相対的には真っ当な少数政党）の存在は、21世紀にマルクスとか人民国家とか非武装とかうたうが如きものでしょう。

消費税も満足に払わず、保護や援助に頼りきることになれた人達のワガママに振り回される愚民政治はもう御免です。
大同小異で消費税増税を含む財政立て直しを推進すること。できるだけ、日本経済を盛りたてる形で財政は立て直すこと。福祉とか基地は後回しで結構です。
と私は思いますね。
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