９月６日（月） 複雑な問題を分かりやすく、難しいことを易しく、そして何よりも面白く伝えたい

　昨日のブログへのコメントとして、土曜日の講演への感想を書いていただきました。ご満足いただけたようで、何よりです。

　私の話は「落語みたいでおもしろい」と書いてくださりました。大変な誉め言葉でして、そう受け取っていただいて、嬉しく思います。
　講演では、最低限のマナーとして、第１にレジュメを作成すること、第２に時間を守ること、第３に大きな声で話すことを心がけています。その上で、複雑な問題を分かりやすく、難しいことを易しく、そして何よりも面白く、興味や関心を持ってもらえるように伝えたいと思っています。
　人に話したり伝えたりする場合、何を伝えるかという内容は重要ですが、それと同じくらい、どのように伝えるかという伝え方の問題も大切だからです。相手にきちんと届き、受け取られるようでなければ、どのような内容であっても伝えたことにはなりませんから……。

　法政大学で「講義はされておられないのでしょうか」とのお問い合わせですが、残念ながら（というか、幸いにもというべきか）授業は受け持っていず、学生に直接話をする機会はありません。私のようなものが学生に話をすれば、「講義」どころか「抗議」されるかもしれませんし。などというのは、冗談です。
　ただ、社会学部は大原社会問題研究所と同じ法政大学の多摩キャンパスにあります。研究所は、図書館と同じ建物の５階にあり、学生だけでなく一般の方を含めてどなたでも利用でき、図書や資料を閲覧することができます。
　卒業論文の作成などでも大いに役立つと思いますし、実際に利用している学生も沢山おられます。また、10月には「三池争議と向坂逸郎」に関連する展示会やシンポジウムなどのイヴェントhttp://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/notice/miike.htmlなどもありますので、機会がありましたら、是非、顔を出してくださいとお伝え下さい。

　話は変わりますが、相変わらず『朝日新聞』は小沢さんへのネガティブ・キャンペーンに地道を上げています。今日の１面には大きく「『首相には菅氏』65％」という世論調査の結果が報じられていました。
　その２面には「新人議員　板挟み」という見出しで、１面からの続きで「多数派工作と世論の間で揺れる姿」が紹介されています。そして、その左下には、ご丁寧に、「小沢氏、政策でも支持劣る」という記事が出ています。
　「頼みの綱の『マニフェスト順守』『脱官僚』『景気・雇用対策』といった菅氏に対峙する主張の面でも支持が劣っている」というわけです。しかし、よくよく読んでみると、ここで書かれていることのほとんどは、１面で書かれていることの繰り返しにすぎません。

　つまり、今日の『朝日新聞』は、世論が「首相には菅氏」を望んでいることをデカデカと報じ、次に「多数派工作と世論の間で揺れる」新人議員の姿を間に挟み、彼らに対して小沢さんは「政策でも」支持が劣っているのだから「多数派工作」などに屈しないで「世論」に従うべきだと訴えているわけです。何という恣意的な紙面構成なのでしょうか。
　『朝日新聞』は極めて意図的に反小沢の世論誘導を行い、その「世論」を背景に、新人議員を説得しようとしているように見えます。このような姿勢は、『朝日新聞』だけでなく、多くのマスコミに共通しています。
　マスコミのあり方として、極めて問題のある報道姿勢だと思うのは私だけでしょうか。このような報道を続けていけば、新聞の権威と信頼性は低下し、IT化の下で深まりつつある「新聞の危機」を更に加速させることになるのではないでしょうか。

コメント 5

静岡大学名誉教授の前坂俊之氏の戦争報道→http://maechan.sakura.ne.jp/war/
などで、戦争中の日本のメディアの実体を読んで来ました。
戦争直後には朝日や毎日は総懺悔とかして、経営陣の総入れ替えなどがあり、
それなりに反省していたから一応許す気にはなっていたのですが、
ここに至ってまたメディアは戦時中と同じ状態に陥り、もう許す気はなくなりました。
五十嵐先生、日本のメディアに紳士的に意見を述べるくらいでは到底マトモな状態には戻らないと思いますよ。
あの大朝日がここまで低劣な新聞になるとは想像もしませんでした。戦時中あれほどの嘘を平気でつくことが
出来た根性が今、復活しておりますから、今のメディアの流す情報が嘘である可能性は限りなく大きいです。
自社の保身をかけて国民を平気で騙した体質が復活しております。植草一秀氏はメディア解体を訴えていますが、
私もそう思います。
朝日新聞に抗議の電話をすると、応対に出る中年のオッサンは一言も言い返さず黙って聞いています。反応がないので
「聞いてるのですか？」と確かめると「聞いている」と答える。一通り喋って話を終ろうとすると、待ってましたとばかり、
喜んで電話を切る。問題をマトモに考えようとしていません。読者からのうるさい電話を、忍の一字でやり過ごすことしか
考えていません。
五十嵐先生は、人間の資質よりも政策だと書かれたりして、人間性を問題にされないような姿勢がありますが、
私は人間性が全てだと判断しています。9月2日の代表選公開討論会ではメディアの質問者の人間性の劣悪さが
その喋り方に如実に出ていました。彼らはそれぞれの新聞社の幹部ですから、こういう劣悪な人間性をもった人物が
社を引っぱっているのですから、新聞の論調が劣悪になるのも当然だということが分かりました。
人間性が劣悪だということはどういうことか？その属性を並べますと、自分の利益だけを考える、他人の利益は平気で踏みにじる、
つまり、社の保身のためには国民大多数の命をも踏みにじるということ、その目的のため平気で嘘を付く、ありもしないことを
でっち上げる、パフォーマンスで大衆の目を騙す等々、菅首相も人間性が劣悪だと判断しましたが、こういう人間がどんな
立派な政策を喋っても意味がないのです。本気でやる気で喋っていないからです。彼が本気なのは総理の座に座り続けたい
という気持ちだけです。そのためには何をどう喋ったらいいか、それだけを真剣に考えています。
沖縄には海兵隊は要らないと繰り返し主張していたのに、それは彼の持論ではなかったんですね。政権を取るためだけに喋っていた
ということですね。だから、こういう人間は政策だと言って、今何を喋っていようと信用できないのです。
安部元首相などと同じく戦後生まれの軽い軽い人間の一人なんです。これに対し小沢氏は戦前生れの重い人間だと思います。
明治から戦前にかけては、重い政治家がいっぱいいたんですが、今は軽い軽い政治家ばかりになってしまったので、
彼が剛腕に見えるのでしょう。菅氏のような軽い人間が官僚を操るなんてとても出来ません。イギリスまで行って政治主導のやり方を
学んで来たのは彼だったはずですが、案の定官僚に操られてしまいました。官僚独裁を打破できる力を持っているのは、小沢氏しか
ないでしょう。ホントに彼しかいないなんて、日本は何という人材不足なんでしょうね(T_T)

今回は小沢氏に代表になってもらいたいので、彼に対する懸念を今ここでは書きたくないのですが、五十嵐先生は過去にこのことで書かれましたかね？
それは、彼が代表時代に政権を取ったらアフガンのISAFに参加したい。憲法違反ではないと発言し、世界11月号に書いたことです。
今は温和な顔をしてメディアに出ていますが、当時の顔はかなり挑戦的な顔をしています。官僚独裁打破、米国隷属打破、国民の生活が第一
は100％賛成ですが、余り平和志向ではないようですね。この点彼が首相になったら、監視制御せねばならないと思います。
長いコメント失礼しました。
by 小川真一 (2010-09-07 15:13) 

初めてコメントを書き込まさせてもらいます。

「朝日新聞」の姿は見ていて辛いものがありますね。
通常記事だけでなく、社説、特集、コラム等々総動員で叩きに狂奔している感じです。
菅さんをとことん評価するというより、小沢さんをどこまでも憎悪する傾向のほうが色濃く、あまり生産的とは言えません。
とにかく、一方への肩入れが度を越しています。
構造改革など新自由主義政策に親和的なときも、紙面のどこかにアリバイ的に別の意見をもつ記者の文章が載せられていたものです。
お節介な懸念かもしれませんが、仮に菅政権が続いた場合、きちんと「権力の監視」ができるのでしょうか？
コロッと態度を変える可能性もありますが、それはそれで新聞不信を高めることにつながると思います。
by 甲子園の猫 (2010-09-07 17:13) 

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