5月8日(水) 新著『追撃 自民党大軍拡・腐敗政治―政権交代のために』(学習の友社)の刊行にあたって [日常]
新しい本を出すことになりました。間もなく店頭に並ぶと思います。『追撃 自民党大軍拡・腐敗政治―政権交代のために』(学習の友社)という本です。
73歳になりましたから、もう本を書くことはないと思っていました。4年前の2020年に、同じ学習の友社から出していただいた拙著『日本を変える―「新しい政治」への展望』を最後だという思いで書いたものです。
しかし日本は変わらず、「新しい政治」への扉が開くことはありませんでした。もう、私の出番はないとあきらめかけていたところに、大きな転機が訪れました。自民党が裏金事件にさらされ、岸田政権が大きな危機に直面して政治転換のチャンスが訪れたからです。
『しんぶん赤旗』日曜版のスクープから始まったこの絶好のチャンスを生かせるかどうかに、日本の将来がかかっていると思いました。わが身を奮い立たせ、今一度、自民党政治の害悪と転換の必要性を世に問い、政権交代の可能性に賭けるべきではないかと考えたのです。後期高齢者近しとはいえ、まだそれくらいの力は残っているのではないかという自覚もありました。
立つべき時は今を置いてないと思い、力をふるって立ち上がりました。その結果として生み出されたのが本書です。私にとっては、これこそ最後の著書となり、後に続く人々に対して残すべき「遺言」のようなものとなるでしょう。
本書執筆の過程は、これまでの私の研究生活をそれなりに振り返るものともなりました。私は政治学と日本政治の研究を志した初めから、中曽根内閣以来の反憲法政治と対決し、「政治とカネ」の問題で小選挙区制や企業団体献金の廃止を訴え、構造改革など自民党政治が推し進める各種の「改革」に警鐘を鳴らし続けてきたからです。その批判や訴え、警鐘が無駄ではなかったということを、今日の政治の現実が示しています。
私の発言や批判が少しでも現実政治を動かすものであったなら、今日のような日本政治と自民党の惨状はなかったでしょう。「政治とカネ」をめぐる問題はすでに30年以上も前から田中金脈問題、リクルート事件、金丸脱税事件などをめぐって明らかだったからです。
この時に取り組まれた政治改革が、真に金権腐敗を正して政治を改革するものであったなら、今日のような裏金事件は起きず、自民党もこれほどの醜態をさらすことはなったにちがいありません。残念ながら、政治改革の課題は選挙制度改革へとゆがめられ、あろうことか小選挙区制と政党助成金の導入に道を開いてしまいました。危機に陥っていた自民党は息を吹き返し、長期政権の上に胡坐をかいておごり高ぶり、深く静かに腐り続けてきたのです。
振り返ってみれば、戦後憲法体制の下で解釈改憲路線に基づく「保守本流路線」を大きく転換したのは、中曽根政権の時からでした。中曽根首相が掲げた「戦後政治の総決算」は、それまでの自民党の「本流」路線を覆すことであり、反憲法政治へと舵を切ることでした。
このような「保守傍流右派路線」との対決が、その後の研究者生活のメイン・テーマとなりました。政治研究者として私が最初に書いた本は『戦後保守政治の転換―「86年体制」とは何か』(ゆぴてる社)です。1987年1月に本書を刊行し、5月に法政大学大原社会問題研究所に助教授として採用されました。目次は、以下のようになっています。
序章 戦後保守政治の現段階
第1章 <86年体制>のビジョン
第2章 保守政治の転換と日本の進路
第3章 保守政治転換の基底
終章 中曽根<86年体制>の展望
この時に戦後保守政治は大きく転換し、中曽根首相が豪語した<86年体制>という明文改憲を志向する「反憲法政治」によって平和国家は浸食され、今では大軍拡志向国家へと変貌しつつあります。これにストップをかけることが、私の人生に残された最後の戦いとなるでしょう。
今ようやく、そのチャンスが巡ってきたことを喜んでいます。悔いなき戦いによってせっかくのチャンスを生かしたいと願い、三つの補選で全敗して窮地に陥った岸田政権への追撃戦に立ち上がるべく、本書を刊行することにしました。岸田政権とともに自民党を政権の座から追い出す戦いに、皆さんが共に立ち上がっていただくことを願ってやみません。
73歳になりましたから、もう本を書くことはないと思っていました。4年前の2020年に、同じ学習の友社から出していただいた拙著『日本を変える―「新しい政治」への展望』を最後だという思いで書いたものです。
しかし日本は変わらず、「新しい政治」への扉が開くことはありませんでした。もう、私の出番はないとあきらめかけていたところに、大きな転機が訪れました。自民党が裏金事件にさらされ、岸田政権が大きな危機に直面して政治転換のチャンスが訪れたからです。
『しんぶん赤旗』日曜版のスクープから始まったこの絶好のチャンスを生かせるかどうかに、日本の将来がかかっていると思いました。わが身を奮い立たせ、今一度、自民党政治の害悪と転換の必要性を世に問い、政権交代の可能性に賭けるべきではないかと考えたのです。後期高齢者近しとはいえ、まだそれくらいの力は残っているのではないかという自覚もありました。
立つべき時は今を置いてないと思い、力をふるって立ち上がりました。その結果として生み出されたのが本書です。私にとっては、これこそ最後の著書となり、後に続く人々に対して残すべき「遺言」のようなものとなるでしょう。
本書執筆の過程は、これまでの私の研究生活をそれなりに振り返るものともなりました。私は政治学と日本政治の研究を志した初めから、中曽根内閣以来の反憲法政治と対決し、「政治とカネ」の問題で小選挙区制や企業団体献金の廃止を訴え、構造改革など自民党政治が推し進める各種の「改革」に警鐘を鳴らし続けてきたからです。その批判や訴え、警鐘が無駄ではなかったということを、今日の政治の現実が示しています。
私の発言や批判が少しでも現実政治を動かすものであったなら、今日のような日本政治と自民党の惨状はなかったでしょう。「政治とカネ」をめぐる問題はすでに30年以上も前から田中金脈問題、リクルート事件、金丸脱税事件などをめぐって明らかだったからです。
この時に取り組まれた政治改革が、真に金権腐敗を正して政治を改革するものであったなら、今日のような裏金事件は起きず、自民党もこれほどの醜態をさらすことはなったにちがいありません。残念ながら、政治改革の課題は選挙制度改革へとゆがめられ、あろうことか小選挙区制と政党助成金の導入に道を開いてしまいました。危機に陥っていた自民党は息を吹き返し、長期政権の上に胡坐をかいておごり高ぶり、深く静かに腐り続けてきたのです。
振り返ってみれば、戦後憲法体制の下で解釈改憲路線に基づく「保守本流路線」を大きく転換したのは、中曽根政権の時からでした。中曽根首相が掲げた「戦後政治の総決算」は、それまでの自民党の「本流」路線を覆すことであり、反憲法政治へと舵を切ることでした。
このような「保守傍流右派路線」との対決が、その後の研究者生活のメイン・テーマとなりました。政治研究者として私が最初に書いた本は『戦後保守政治の転換―「86年体制」とは何か』(ゆぴてる社)です。1987年1月に本書を刊行し、5月に法政大学大原社会問題研究所に助教授として採用されました。目次は、以下のようになっています。
序章 戦後保守政治の現段階
第1章 <86年体制>のビジョン
第2章 保守政治の転換と日本の進路
第3章 保守政治転換の基底
終章 中曽根<86年体制>の展望
この時に戦後保守政治は大きく転換し、中曽根首相が豪語した<86年体制>という明文改憲を志向する「反憲法政治」によって平和国家は浸食され、今では大軍拡志向国家へと変貌しつつあります。これにストップをかけることが、私の人生に残された最後の戦いとなるでしょう。
今ようやく、そのチャンスが巡ってきたことを喜んでいます。悔いなき戦いによってせっかくのチャンスを生かしたいと願い、三つの補選で全敗して窮地に陥った岸田政権への追撃戦に立ち上がるべく、本書を刊行することにしました。岸田政権とともに自民党を政権の座から追い出す戦いに、皆さんが共に立ち上がっていただくことを願ってやみません。
2024-05-08 06:54
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