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3月27日(日) 大津波による「原発震災」は「想定できない」ものではなかった [災害]

 今日の『毎日新聞』に興味深い記事が出ていました。「1100年前の教訓 軽視」という記事です。
 「貞観(じょうがん)地震」での津波を例に、経済産業省の審議会で危険性が指摘されていたのに、東電側が対策を怠っていたというのです。これについて、記事は次のように書いています。

>東京電力福島第1原発の深刻な事故原因となった大津波を伴う巨大地震について、09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたことが分かった。東電は「十分な情報がない」と対策を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじたことが前例のない事故の引き金になった可能性があり、早期対応を促さなかった国の姿勢も問われそうだ。
 09年6月、原発の耐震指針の改定を受け、電力会社が実施した耐震性再評価の中間報告書案を検討する審議会。869年に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観(じょうがん)地震」を、岡村行信委員(産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長)が「非常にでかいもの(地震)が来ているのが分かっている」と取り上げた。
 当初の報告書案はこの地震に触れていなかった。東電は「被害はそれほど見当たらない」と答えたが、岡村さんは、宮城県から福島県の広い範囲で浸水したという最新の研究から「納得できない」と追及。その後に提出された報告書案は「(貞観地震と同規模の揺れは)想定内」とし、現在の耐震構造で問題ないとの見方を示した。
……(中略)……
 東電の武藤栄副社長は25日の会見で「連動地震による津波は想定していなかった」「(貞観地震に対する見解が)定まっていなかった」と釈明。東電の対応に、岡村さんは「原発であれば、どんなリスクも考慮すべきだ。あれだけ指摘したのに、新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない」と話す。(以上、引用終わり)

 実は、『朝日新聞』2010年11月7日にも、注目すべき記事が出ていました。「室町時代 東北に大津波」という記事です。
 中味出しには「宮城など 地層に痕跡」「450~800年間隔で発生か」とあります。記事は、「貞観津波」と呼ばれる大津波についても、次のように書いています。

>室町時代、東北から関東の太平洋岸を巨大津波が襲った可能性があることが、産業技術総合研究所の調査で分かった。東北地方南部沖で起きたマグニチュード(M)8級の地震による津波らしい。この地域は9世紀にも国内最大級の津波の痕跡が確認されており、数百年間隔で巨大地震による津波が繰り返されている可能性がありそうだ。
 産総研によると、宮城県石巻市、山元町、茨城県日立市の地層から大津波で運ばれたとみられる砂などが見つかった。最大で海岸線から約1キロ内陸側で確認された。
 年代分析の結果は、1200~1650年とばらついたが、産総研海溝型地震履歴研究チームの宍倉正展チーム長は「室町初期(14世紀)前後が多い。分析精度も考えると同一の津波による痕跡とみられる」と話す。
 この海域では平安時代(869年)にもM8を超す大地震が発生、「貞観(じょうがん)津波」と呼ばれる大津波が起き、千人を超す死者が出たと古文書に記録がある。東北地方南部では5世紀や紀元前にも巨大津波があったとされ、450~800年間隔で繰り返されているとみられる。
 宍倉さんは「平安と室町の津波を起こした地震の震源が同じなら、今後も繰り返される現実味を増す。室町時代からの経過時間を考えれば、巨大地震はいつ起きても不思議ではないことになる」と話している。(以上、引用終わり)

 つまり、大地震は早くから「想定」されていたということです。今回のような事故に繋がる可能性も09年に指摘され、警告されていました。
 その警告を「軽んじ」、「対策を先送り」してきたのは、東電など原発推進勢力の側です。この意味でも、今回の大災害は「人災」であったと言うべきでしょう。
 「想定できない」「想定外」などという言葉による言い訳や責任のがれを許してはなりません。それどころか、09年の審議会で指摘されていたにもかかわらず、大津波による事故を「想定」しなかったことに対する責任も追及するべきでしょう。

 「想定できない」者に、大災害に対する対策を立てることはできません。もともと、大津波も、それによって生じるであろう大災害も、「想定」されていないのですから……。
 「想定できない」者に、対策マニュアルなどが準備できる筈がありません。東電などが、思ってもいなかった事態に慌てて、右往左往するばかりなのも当然です。
 このような事業者に「神の火」を委ねたのが間違いだったのです。東電には、もともと原発を作らせてはならなかったと言うべきでしょう。

 原発の推進を支えてきたのは、充分な根拠もなしに推進勢力が振りまいてきた「安全神話」でした。それによってマインド・コントロールされてしまったのは、そのような「神話」に寄りかかっていた原発推進勢力自身だったのではないでしょうか。

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