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1月30日(月) 韓国についてのいくつかの最新情報 [国際]

26日からの訪韓は大変な駆け足でしたが、それでもいくつかの最新情報を入手することができました。せっかく見聞きしてきたものですから、ここで紹介させていただきます。

 まず、皆さんの関心が高いと思われる朝鮮半島情勢についてです。金正日総書記の急死によって、その息子の金正恩が登場してきましたが、この北朝鮮の新しいリーダーについてどう思うか聞きしました。
 「良く分からない。韓国民も彼について特別の情報を持っているわけではなく、事態は安定している。これによって北朝鮮が新たな挑発的行動に出ると考えている韓国民はほとんどいないだろう」というのが、大方の答えでした。
 3日しか滞在しなかった私ですが、ほとんど緊張感のようなものは感じられませんでした。もっとも、一昨年の訪韓の際も、延坪島砲撃事件の直前(事件は、私が仁川空港から帰った翌日に起きました)だったにもかかわらず、その予兆は全く感じられませんでしたが。

 このようななかで、韓国では今年、総選挙(4月11日)と大統領選挙(12月19日)が実施される予定です。国会議員は4年任期で大統領は5年任期ですから、この2大国政選挙が重なるのは20年に一度しかありません。
 この国政選挙に向けた政治勢力の動向についても聞きました。ポイントは二つあるようです。
 その一つは、左翼勢力の統合に向けての動きです。そしてもう一つは、李明博大統領とその与党・ハンナラ党の左への移動です。

 左翼勢力内では、二つの統合の動きがありました。一つは民主統合党の結成であり、もう一つは統合進歩党の誕生です。
 民主統合党は昨年12月16日、第1野党の民主党と院外政党の市民統合党、それに韓国労総が合同して結成されました。代表最高委員は盧武鉉政権時代に首相を務めた韓明淑という女性の方です。
 この党は金大中元大統領や盧武鉉前大統領の流れを汲む政党だといって良いでしょう。ちなみに、盧武鉉大統領は、自殺以降、人気が高まっていて、もう一度なって欲しい大統領経験者の世論調査ではダントツで一位だそうです。

 もう一つの統合進歩党は民主統合党よりも左に位置する政党で、昨年12月5日に結成されました。合流したのは、民主労働党(民労党)と国民参与党(参与党)、進歩新党脱党派の新しい進歩統合連帯(統合連帯)の三つで、それぞれの勢力から共同代表が出ています。
 もともと、民主党はこれらの勢力とも一緒になろうとしたようですが、民主労働党の反対によって、結局、二つに分かれる形での新党結成になりました。民主労働党は民主労総に基盤を置いており、対抗するナショナルセンターである韓国労総と一緒になることを嫌ったのではないでしょうか。
 ただし、韓国労総の現会長は民主労総との関係改善を目指しており、昨年、民主労総から分かれた第3労総よりも民主労総に近いというのが、尹辰浩先生の解説でした。この第3労総は基本的にはカンパニー・ユニオンで、勢力も小さく、ほとんど影響力はないとのことです。

 ということで、大統領選挙でこの二つの左翼新党である民主統合党と統合進歩党が統一候補を出せるかどうかが最大の注目点です。そうすれば、政権交代の可能性は充分にあるというわけです。
 その統一候補に最も人気のある安哲秀ソウル大教授がなれば当選は確実だろうが、そうでなくても統一候補が実現すれば、ソウル市長選挙で野党候補を支持したように安教授は統一野党候補支持を表明するだろう。そうなれば当選の可能性は一挙に増大するというのが、尹先生の意見でした。
 総選挙でも、これらの左翼政党が勢力を増やす可能性は高いようです。地方の首長選挙で盧武鉉大統領が育てた若手のリーダーが当選し、米韓FTAへの農民層などの反発もあり、与党は苦戦するだろうというわけです。

 このような情勢に敏感に反応したからでしょうか。李明博大統領とハンナラ党の左への移動が始まっています。
 韓国の英字新聞で、李大統領が製造業での労働時間の短縮を発表したという記事を読みました。また、保守を前面に押し出してきた韓国の与党ハンナラ党ですが、大統領候補になると見られている朴槿恵元代表を先頭に、綱領から「保守」という用語を削除しようとしています。
 政治情勢が混沌としてくれば、日本では右に揺れ、韓国では左へのモメントが働くようです。そうしなければ、韓国では支持が得られないということなのでしょうか。

 そう思いながら、韓国からの帰りの飛行機で新聞を読んだら、石原、亀井、平沼の右翼ナショナリスト新党の動きが報じられていました。これに、「ハシズム」の頭目が加わるかどうかが注目されているというのです。
 同じ新党といっても、政治革新と民主主義を前に進めようという韓国と、それに逆行するような方向を強めようという日本とでは、方向が全く逆です。どちらの方が歴史の進歩に対応するものなのか、いずれその答えははっきりと出てくるにちがいありません。

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