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1月17日(金) 日本の「軍隊」もアメリカの軍隊もない平和な日本をめざすべきだ [自衛隊]

 またもや、悲惨な事故が起きました。瀬戸内海で全長178mもの巨大な自衛艦の輸送船「おおすみ」と衝突して7.6mの小さな釣り船「とびうお」が転覆し、4人が投げ出されて2人が亡くなるという海難事故です。

 事故の原因は何だったのか、どちらに問題があったのかは不明です。両者の位置関係はどうなっていたのか、どちらに回避義務があったのかなど、事実はこれから次第に明らかになることでしょう。
 しかし、素人である私からしても、何となく想像がつきます。巨大な輸送船が小さな釣り船の存在を軽視して無理やり前方を横切り、その航跡の渦に巻き込まれた釣り船が輸送船に衝突して転覆してしまったのではないかと……。
 輸送船はヘリ空母様式で甲板がせり出し、艦橋は右に寄っていますから、船の左舷下方は死角になります。小さな釣り船が衝突した跡が残っていたのは、まさにその左舷中央から後部にかけてだったのです。

 このような自衛艦による海難事故はこれで7回目になり、88年の潜水艦「なだしお」が引き起こした事故では30人が死亡、2008年のイージス艦「あたご」の事故でも2人が亡くなっています。今回の事故でも、2人の人が命を落としました。
 まさか「そこ退けそこ退け自衛艦が通る」ということで傍若無人な行動をとったわけではないと思います。しかし、図体がでかく態度もでかい軍艦には、しばしばそう指摘されるような問題がありました。
 このような事故が起きる度に再発防止が叫ばれ、どうしたら避けられるかが議論されますが、最善の策は軍艦をなくすことです。それが存在することによってどれほど安全が高まったかは不明ですが、それが存在したために安全が損なわれ34人の人命が失われたのは厳然たる事実なのですから……。

 ところで、この事故が発生した日の『東京新聞』1月15日付夕刊に、注目すべき記事が出ていました。沖縄国際大学講師の野添文彬さんへのインタビュー記事で、「72年 米が海兵隊撤退検討」「日本が維持主張 縮小機会失った」という見だしが付いています。
 「1972年の沖縄返還直後、米国防総省が沖縄を含む太平洋地域から海兵隊の撤退を検討していたことを示すオーストラリア外務相の公文書があることが分かった」というのです。この文書を発見したのが野添さんで、「米政府側の資料を見ると、73年7月の日米安保条約運用協議会で、防衛庁(当時)の久保卓也防衛局長は、第七艦隊、空軍、海兵隊はアジアにおける『機動戦力』であり、『目に見える証拠』として『海兵隊は維持されるべきだ』と主張した」と指摘しています。
 そして、「返還直後に沖縄の基地がもっと減る可能性があった。しかし、基地縮小の機会は失われ、日本政府の協力によって基地が維持されるという構図が、今日まで続いている」というわけです。

 なんということでしょうか。沖縄の海兵隊の撤退や縮小を阻んだのは、日本政府だったのです。
 沖縄の施政権が返還される前後に基地縮小のチャンスがあったのに、日本政府はそのチャンスを生かさなかったばかりか、それに反対していたというのです。沖縄の基地が縮小されずに維持されてきた最大の主犯は、米軍やアメリカ政府ではなく日本政府でした。
 「それまで米国務省内では、沖縄の海兵隊基地縮小の議論がなされていたが、基地を維持してやるから協力しろということに論理の転換が行われたといえる」との指摘もあります。「縮小」から「維持」への転換であり、「維持してやるから協力しろ」という論理による駐留経費の日本負担、すなわち「思いやり予算」に対する要求です。

 私は13日のブログ「沖縄名護市長選挙での稲嶺進候補の当選を訴える」で、「その後も米軍基地が存続し続けたのは日米両政府の怠慢の結果です。とりわけ日本政府は犯罪的なサボタージュに終始し、米軍基地の移設や撤去を米政府に強く求めるようなことはありませんでした」と書きました。しかし、日本政府は「サボタージュ」していたわけではなく、基地存続のために積極的に働きかけていたというのですから呆れてしまいます。
 まさに犯罪的であると言うべきでしょう。いや、「犯罪的」というより、沖縄県民に対して明確な犯罪を犯していたと言わなければなりません。
 そして、今また日本政府はこのような犯罪を犯そうとしています。米軍普天間飛行場の撤去・返還ではなく、辺野古への移設と新基地の建設を後押しすることによって……。

 このような日本政府の犯罪はきっぱりと断罪され、罰が与えられなければなりません。今回の名護市長選挙は、そのための絶好の機会になろうとしています。
 米軍基地の撤去を求める沖縄県民の明確な意思表示の機会として、この市長選挙を生かすべきでしょう。そのためにも、新基地建設のための辺野古沖の埋め立てに明確に反対している候補者の当選を勝ち取り、日本の「軍隊」もアメリカの軍隊も存在しない平和な日本と沖縄の実現に向けての第一歩にしようではありませんか。

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