4月29日(水) 民主党はフランス社会党の再生と中国の「国共合作」の歴史に学んで「民共合作」をめざせ [政党]
統一地方選挙後半戦が終了しました。前半戦と同様、この後半戦でも目立ったのは民主党の不振と共産党の躍進です。
後半戦の市区町村議選での結果は、以下のようになっています。
前回 今回 増減
共産 1030 1092 +62
自民 786 931 +145
民主 501 372 -129
公明 1258 1244 -14
維新 78
社民 104 89 -15
増減では共産党と自民党が議席を増やし、その他は減らしています。自共対決がさらに先鋭化したということができます。
最も多く増やしたのは自民党ですが、市区町村議にはもともと保守系無所属が多くいました。今回、自民党からの立候補という形で党派性を明確にした候補者が多かったということではないでしょうか。
これに比べれば、共産党の議席増は特筆される大きな意味があると言えます。得票増や投票率の増加も目立ち、上位で当選するケースも多く、都内では荒川区議選でトップ当選したほか、港区や新宿区、渋谷区、杉並区などでトップ3に入っています。
これに比べて、民主党の不振は目を覆うばかりです。129議席も減らして、共産党の3分の1ほどになりました。
首長選では候補者を立てられず、相変わらず自民党との相乗りするケースもありました。これで野党第1党だというのですから、その足腰の弱さは覆いがたいものがあります。
公明党が14議席減らしたのも注目されます。候補者を減らしたにもかかわらず「全員当選」できませんでしたが、それは集団的自衛権の行使容認などでの対応への批判が反映されているように思われます。
さて、統一地方選挙が終わって、後半国会ではいよいよ安保法制という戦争立法をめぐる対決が本格化することになります。戦争か平和か、という国政をめぐる重大問題が真正面から問われるわけです。
この問題でも、民主党が試練に直面しています。民主党は27日、安全保障総合調査会(会長・北沢俊美元防衛相)を開いて、新たな安全保障法制に関する党見解をまとめ、翌28日に正式に決定しました。
最大の争点だった集団的自衛権の行使の是非については、「専守防衛に徹する観点から、安倍政権が進める集団的自衛権の行使は容認しない」とすることで決着しています。しかし、当初案では「政府の新3要件に基づく集団的自衛権の行使は容認しない」というもので、「『容認しない』と言い切るべきだ」との意見も上がったために調整した結果、当面は容認しないものの、将来の行使容認には含みを残す表現となったそうです。
「今はダメだが、将来は分からない」というのでは、安倍政権の暴走に対決できるのでしょうか。民主党内には、「捨て身で安倍政権との対抗軸を示していかないと党が消えてしまう」との強い危機感が広がっているそうですが、それも当然でしょう。
統一地方選挙でも、3党合意の消費税増税、野田政権で参加を決めたTPP(環太平洋経済連携協定)の問題、同じく野田前首相が再稼働を認めてしまった原発問題、鳩山政権で元に戻してしまった沖縄県辺野古での米軍新基地建設問題などで、安倍政権への批判を示せない状況でした。これでは、安倍暴走政治に不安を抱く有権者の支持を集められず、安倍政権に反対する世論の受け皿になれなかったのも当然でしょう。
民主党は結党以来、最大の危機に直面しているという自覚を持つべきです。再生するためには、解党的出直しに向けて大きく舵を切らなければなりません。
このような出直しと今後の進路選択において参考になるのは、フランス社会党再生のプロセスと中国革命での国民党と共産党の統一戦線(国共合作)の結成です。いずれの場合も、共産党との連携に活路を見出したところが共通しています。
フランス社会党の場合、1968年の五月革命直後の総選挙で大敗し、従来の党を解消して左派連合を母体にした新たな社会党に移行することを決定します。1971年のエピネ大会で第一書記には共産党との連携を主張するミッテランが就任し、ユーロコミュニズム路線を推し進めていたフランス共産党と共同政府綱領を結んで1973年の総選挙で復調しただけでなく、1981年の大統領選挙で勝利しました。
中国革命での「国共合作」は1924年から27年までと、37年から45年までの2度にわたって国民党と共産党との間で結ばれた協力関係のことです。「第一次国共合作」は軍閥と北京政府に対抗する共同戦線で、「第二次国共合作」は日本軍による中国侵略に対抗するためのものでした。このような統一戦線の形成なしには、中国革命と抗日戦争の勝利もなかったでしょう。
民主党は何故、このような歴史的な成功事例に学ぼうとしないのでしょうか。右側に向けて開いているドアを閉め、左側のドアを開けさえすれば良いのです。
自民党と共通する政策を見直し、以前の民主党政権時代に犯した過ちをきっぱりと自己批判することです。自民党や維新の党との連携を主張する議員を排除することも必要です。
つまり、安倍政権との対決路線を明確にして共産党との連携を目指すべきなのです。これはフランス社会党におけるエピネ大会での転換であり、中国での「国共合作」になぞらえて言えば、民主党と共産党との連携=「民共合作」にほかなりません。
こう言うと、民主党の中には共産党と手を組めば支持が減るのではないかと心配する方もおられるでしょう。しかし、それは時代遅れの杞憂です。
共産党との連携はマイナスになるどころかプラスになるということが明確になってきました。それが、この間の選挙や世論調査で示されている現実の姿です。
安倍暴走政治に対する危機感が民主党や第三極を越えて共産党への期待を高めているという客観的な変化、共産党の側でも「一点共闘」や「国民的共同」を打ち出し、沖縄の県知事選挙や総選挙での小選挙区選挙、北海道知事選などにみられるように共同を重視した柔軟な対応を示しているという主体的な変化が生じています。民主党も、このような質的な変化によって生じた新たな局面を踏まえた対応を行うべきです。
後半国会で戦争立法など安倍暴走政治が本格的に始まろうとしている今、それにブレーキをかけるのかアクセルとなるのかが問われています。それをどのようにストップするのかという国民からの問いかけに応えられなければ、党再生などは不可能でしょう。
安倍首相の「一強多弱」状況を打開するためには、力を合わせるしかありません。暴走阻止のためには対決する方向を明確にして決意を固める必要があります。
どの世論調査をとってみても、個々の政策課題では安倍暴走政治に対する反対が多数であることは明瞭です。そして、この世論の動向と一番共通する政策を掲げているのが共産党なのです。
各種の選挙で共産党が躍進し、民主党が振るわない最大の要因がここにあります。民主党再生のためには、民意に沿った方向へと転換するしかなく、それは共産党と共に歩む道しかありません。
このような転換は、フランス社会党と同様に、党の再生だけではなく政権への道を開くことになるでしょう。社共統一戦線によるミッテラン大統領の当選という歴史に学ぶべきです。
中国における国民党と共産党との統一戦線に範をとって、「民共合作」による民主連合政権を展望しなければなりません。ここにしか日本を救う道はなく、民主党が再生して政権を奪還する可能性もないでしょう。
コンクリートだけでは十分な強度を保てず、鉄筋だけでは壁になりません。「民共合作」という「鉄筋コンクリート」のような統一戦線だけが、強固で幅広い民主的政権への道を開くことができるのです。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と申します。民主党の再生にとっていま何よりも必要なことは、解党的出直しのために「身を捨てる」ことではないでしょうか。
拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)刊行中。
購入ご希望の方は学習の友社http://blogs.yahoo.co.jp/gakusyu_1/folder/197776.htmlまで。
後半戦の市区町村議選での結果は、以下のようになっています。
前回 今回 増減
共産 1030 1092 +62
自民 786 931 +145
民主 501 372 -129
公明 1258 1244 -14
維新 78
社民 104 89 -15
増減では共産党と自民党が議席を増やし、その他は減らしています。自共対決がさらに先鋭化したということができます。
最も多く増やしたのは自民党ですが、市区町村議にはもともと保守系無所属が多くいました。今回、自民党からの立候補という形で党派性を明確にした候補者が多かったということではないでしょうか。
これに比べれば、共産党の議席増は特筆される大きな意味があると言えます。得票増や投票率の増加も目立ち、上位で当選するケースも多く、都内では荒川区議選でトップ当選したほか、港区や新宿区、渋谷区、杉並区などでトップ3に入っています。
これに比べて、民主党の不振は目を覆うばかりです。129議席も減らして、共産党の3分の1ほどになりました。
首長選では候補者を立てられず、相変わらず自民党との相乗りするケースもありました。これで野党第1党だというのですから、その足腰の弱さは覆いがたいものがあります。
公明党が14議席減らしたのも注目されます。候補者を減らしたにもかかわらず「全員当選」できませんでしたが、それは集団的自衛権の行使容認などでの対応への批判が反映されているように思われます。
さて、統一地方選挙が終わって、後半国会ではいよいよ安保法制という戦争立法をめぐる対決が本格化することになります。戦争か平和か、という国政をめぐる重大問題が真正面から問われるわけです。
この問題でも、民主党が試練に直面しています。民主党は27日、安全保障総合調査会(会長・北沢俊美元防衛相)を開いて、新たな安全保障法制に関する党見解をまとめ、翌28日に正式に決定しました。
最大の争点だった集団的自衛権の行使の是非については、「専守防衛に徹する観点から、安倍政権が進める集団的自衛権の行使は容認しない」とすることで決着しています。しかし、当初案では「政府の新3要件に基づく集団的自衛権の行使は容認しない」というもので、「『容認しない』と言い切るべきだ」との意見も上がったために調整した結果、当面は容認しないものの、将来の行使容認には含みを残す表現となったそうです。
「今はダメだが、将来は分からない」というのでは、安倍政権の暴走に対決できるのでしょうか。民主党内には、「捨て身で安倍政権との対抗軸を示していかないと党が消えてしまう」との強い危機感が広がっているそうですが、それも当然でしょう。
統一地方選挙でも、3党合意の消費税増税、野田政権で参加を決めたTPP(環太平洋経済連携協定)の問題、同じく野田前首相が再稼働を認めてしまった原発問題、鳩山政権で元に戻してしまった沖縄県辺野古での米軍新基地建設問題などで、安倍政権への批判を示せない状況でした。これでは、安倍暴走政治に不安を抱く有権者の支持を集められず、安倍政権に反対する世論の受け皿になれなかったのも当然でしょう。
民主党は結党以来、最大の危機に直面しているという自覚を持つべきです。再生するためには、解党的出直しに向けて大きく舵を切らなければなりません。
このような出直しと今後の進路選択において参考になるのは、フランス社会党再生のプロセスと中国革命での国民党と共産党の統一戦線(国共合作)の結成です。いずれの場合も、共産党との連携に活路を見出したところが共通しています。
フランス社会党の場合、1968年の五月革命直後の総選挙で大敗し、従来の党を解消して左派連合を母体にした新たな社会党に移行することを決定します。1971年のエピネ大会で第一書記には共産党との連携を主張するミッテランが就任し、ユーロコミュニズム路線を推し進めていたフランス共産党と共同政府綱領を結んで1973年の総選挙で復調しただけでなく、1981年の大統領選挙で勝利しました。
中国革命での「国共合作」は1924年から27年までと、37年から45年までの2度にわたって国民党と共産党との間で結ばれた協力関係のことです。「第一次国共合作」は軍閥と北京政府に対抗する共同戦線で、「第二次国共合作」は日本軍による中国侵略に対抗するためのものでした。このような統一戦線の形成なしには、中国革命と抗日戦争の勝利もなかったでしょう。
民主党は何故、このような歴史的な成功事例に学ぼうとしないのでしょうか。右側に向けて開いているドアを閉め、左側のドアを開けさえすれば良いのです。
自民党と共通する政策を見直し、以前の民主党政権時代に犯した過ちをきっぱりと自己批判することです。自民党や維新の党との連携を主張する議員を排除することも必要です。
つまり、安倍政権との対決路線を明確にして共産党との連携を目指すべきなのです。これはフランス社会党におけるエピネ大会での転換であり、中国での「国共合作」になぞらえて言えば、民主党と共産党との連携=「民共合作」にほかなりません。
こう言うと、民主党の中には共産党と手を組めば支持が減るのではないかと心配する方もおられるでしょう。しかし、それは時代遅れの杞憂です。
共産党との連携はマイナスになるどころかプラスになるということが明確になってきました。それが、この間の選挙や世論調査で示されている現実の姿です。
安倍暴走政治に対する危機感が民主党や第三極を越えて共産党への期待を高めているという客観的な変化、共産党の側でも「一点共闘」や「国民的共同」を打ち出し、沖縄の県知事選挙や総選挙での小選挙区選挙、北海道知事選などにみられるように共同を重視した柔軟な対応を示しているという主体的な変化が生じています。民主党も、このような質的な変化によって生じた新たな局面を踏まえた対応を行うべきです。
後半国会で戦争立法など安倍暴走政治が本格的に始まろうとしている今、それにブレーキをかけるのかアクセルとなるのかが問われています。それをどのようにストップするのかという国民からの問いかけに応えられなければ、党再生などは不可能でしょう。
安倍首相の「一強多弱」状況を打開するためには、力を合わせるしかありません。暴走阻止のためには対決する方向を明確にして決意を固める必要があります。
どの世論調査をとってみても、個々の政策課題では安倍暴走政治に対する反対が多数であることは明瞭です。そして、この世論の動向と一番共通する政策を掲げているのが共産党なのです。
各種の選挙で共産党が躍進し、民主党が振るわない最大の要因がここにあります。民主党再生のためには、民意に沿った方向へと転換するしかなく、それは共産党と共に歩む道しかありません。
このような転換は、フランス社会党と同様に、党の再生だけではなく政権への道を開くことになるでしょう。社共統一戦線によるミッテラン大統領の当選という歴史に学ぶべきです。
中国における国民党と共産党との統一戦線に範をとって、「民共合作」による民主連合政権を展望しなければなりません。ここにしか日本を救う道はなく、民主党が再生して政権を奪還する可能性もないでしょう。
コンクリートだけでは十分な強度を保てず、鉄筋だけでは壁になりません。「民共合作」という「鉄筋コンクリート」のような統一戦線だけが、強固で幅広い民主的政権への道を開くことができるのです。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と申します。民主党の再生にとっていま何よりも必要なことは、解党的出直しのために「身を捨てる」ことではないでしょうか。
拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)刊行中。
購入ご希望の方は学習の友社http://blogs.yahoo.co.jp/gakusyu_1/folder/197776.htmlまで。
2015-04-29 15:42
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