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7月20日(金)  『朝日新聞』調査も与党の過半数割れを予測 [参院選]

 何という、希望のもてる報道でしょうか。今日の『朝日新聞』朝刊の一面に掲載された「自公、過半数割れも 1人区で自民不振 参院選情勢調査」という記事のことです。

 この記事に付いている表を見ると、自民党の獲得議席は33~41~47、公明党は6~10~13となっています。つまり、最大でも、自民党は47で公明党は13ですから、合計60議席にしかなりません。過半数維持のための64議席には届かないということになります。
 「自公、過半数割れも」ではなく、本当は「自公、過半数割れ確実」という予測になっています。衝撃の大きさを考えて、『朝日新聞』は見出しを抑え気味にしたのでしょう。
 これに対して、民主党は50~57~63、共産党は2~4~7、社民党は1~2~3、国民新党は0~1~2、日本新党は0~1、諸派0、無所属4~6~8と予測されています。反与党の「風」は野党全体に吹いているというわけではなく、民主党に集中されているようです。

 この調査は、7月17~18日、全国の有権者を対象に電話で実施されました。ここから、興味深い事実が分かります。
 第1に、ここで示された基本的な傾向は、7月14~16日に実施された『読売新聞』の調査とほとんど変わっていないという点です。今回の参院選における与党過半数割れというトレンドは選挙戦が続く中でも基本的に変化していず、わざわざ投票日を1週間遅らせた効果は生まれていません。
 第2に、この調査は7月16日(月)の新潟県中越沖地震の後に実施されたものですが、地震の影響をうかがうことはできないという点です。一般に、大災害の勃発は政府・与党に有利になるとされ、それによる「潮目の変化」を期待する声もありました。安倍首相もそれを狙って地震発生当日に被災地入りするというパフォーマンスを演じたわけですが、空振りに終わったということになります。
 第3に、『読売新聞』が「与党過半数割れも、民主第1党の勢い」と報じ、『朝日新聞』も「自公、過半数割れも」と伝えたという点です。政府との距離や政治的立場が異なると見られている両紙が、調査時点が異なるにもかかわらず、ほとんど同じような結果となったわけで、その信憑性は高いということになります。

 今回の調査結果について、『朝日新聞』は「投票態度を明らかにしない人が選挙区で約5割、比例区で約3割おり、状況はまだ流動的だ」とし、「本社は来週、今回と同規模の終盤調査を実施する」と予告しています。
 しかし、この傾向は変わらないのではないでしょうか。自民党の劣勢は、時間が経てば経つほど強まるように思われます。
 というのは、「今回の参院選の大きな特徴は、有権者の関心が非常に高く、投票率が上がりそうな点だ」とされているからです。今日の『朝日新聞』の2面にある「投票率60%近い可能性」という記事に、そう書かれていました。

 この記事によれば、選挙に「大いに関心がある」という回答は43%で、「この質問を始めた95年以降、参院選に限ると最も高い」といいます。また、投票に「必ず行く」は73%で、「できれば行きたい」20%と合わせれば「93%が投票への意欲を示した」そうです。
 投票率が56.57%となった前回04年参院選で「必ず行く」は71%だったといいますから、これを2ポイント上回っています。つまり、投票率は前回を超える可能性が高いということです。
 私は7月18日のブログ「自民惨敗を予感させる『読売新聞』情勢調査」で、「おそらく、投票率が40%台であれば自民党は40議席台後半、50%台であれば40議席台前半、60%を超えれば30議席台になるのではないでしょうか」と書きました。もし、投票率が60%近くなるとすれば、自民党は「30議席台」に近づくということになります。

 しかも、このような関心の高さや高投票率の影響について、この記事は「自民に不利な要素が随所に見られる」と指摘しています。たとえば、「大いに関心がある」は民主支持層で62%なのに自民支持層では43%しかない、年金問題を「大いに重視する」人は40%で参院選にも「大いに関心がある」53%と高い、「大いに関心」が50代以上では50~60%と多いのに、05年総選挙で自民党勝利に貢献したと見られる20代では17%と際立って少ない、などの点です。
 つまり、「野党支持層を中心に選挙への関心が高ま」っているというのです。「自民に不吉な影が忍び寄る」というのが、この記事の結論でした。

 このような報道について、『週刊新潮』のように、「『安倍憎し』に燃える朝日」だから信用できない、「異様すぎる選挙報道」を行っているにちがいないと考える方がおられるかもしれません。しかし、そんなことはないのです。『読売新聞』の調査でも、同じような結果が出ているのですから……。
 読売新聞社は7月18日、インターネット利用者1000人を対象に実施した第5回参院選ネットモニター調査をまとめました。その結果もまた、「参院選に関心が高い人は民主に投票傾向」というものです。
 特に、「非常に関心がある」「必ず行く」と回答した人では、民主党への投票割合が自民党の2倍に達していました。参院選について「非常に関心がある」と答えた人は72%で6月中旬の第1回調査と比べて13ポイントも上昇し、「非常に関心がある」と答えた人の比例区の投票先は、民主45%、自民22%、公明、共産が各4%、社民、国民新、新党日本が各2%、投票に「必ず行く」が77%で、その投票先は、民主43%、自民21%、公明5%、共産4%、社民、国民新、新党日本が各2%となっています。

 このように、朝日新聞調査も読売新聞調査も、同じような傾向を示しています。このような傾向を、どう理解したらよいのでしょうか。
 『朝日新聞』の先の記事は、「今年は参院選と統一地方選が12年ごとに同じ年に行われる『亥年』。この年は政党の地方組織が春の地方選で疲れ、夏の参院選の投票率が低くなるといわれている。……それが今回はすっかり様変わりした形だ」と書いています。しかし、私は、決して「様変わり」していないと思います。
 というのは、「地方組織が春の地方選で疲れ」るのは自民党についてであり、「夏の参院選の投票率が低くなる」のも、主として保守系の場合だからです。この低投票率のあおりを受けるのは自民党ですから、したがって、苦戦するのも自民党でした。

 今回の参院選でも、自民党支持層についていえば、選挙への関心も投票意欲も高くはありません。先に紹介した朝日新聞調査では、選挙に「大いに関心がある」は自民党支持層で43%しかなく、民主支持層の62%より20ポイントも低くなっています。
 また、読売新聞調査では、選挙に「非常に関心がある」と答えた人の比例区の投票先は、自民が22%で、民主45%の半分以下です。投票に「必ず行く」という人の投票先も、自民は21%で、民主43%の半分以下になっています。
 これは選挙への関心が高い人や投票に必ず行く人の中での民主党支持が高いということではなく、民主党を支持している人々が選挙への関心を高め、投票に強い意欲を持っているということなのではないでしょうか。つまり、自民党支持者については、やはり「亥年現象」は生きており、参院選への関心も投票意欲も高くはありませんが、民主党などの野党支持者については、このような現象は見られず、それが全体としての投票率の上昇や野党への支持増大に結びついているということだと思われます。

 ただし、選挙の事前調査には「アナウンスメント効果」と言われるものがあります。「当選確実」と言われれば、「自分くらい入れなくても大丈夫だろう」と考え、「あと一歩」と報道されれば、「応援してやろう」という心理が生まれるものです。
 有権者の心理としては、自分の票を有効に活用したいと思うからでしょう。その心理はよく分かります。
 「与党が苦戦している」と言われれば、「あまりお灸を据えても」と思うかもしれません。「野党が有利だ」とされれば、「自分が投票しなくても」と考えるかもしれません。

 しかし、「水に落ちた犬を打て」という魯迅の言葉があります。仏心を起こして手加減すれば、後で手痛いしっぺ返しを食らうかもしれません。
 手を抜いてはなりません。まだ、実際に「水に落ちる」かどうかさえ、分からないのですから……。
 ここで手を抜いたら、また噛みつかれるかもしれません。89年の参院選や98年の参院選で自民党は手痛い「お灸」を据えられたはずなのに、その後もほとんど反省せず、このような日本を作ってしまったのですから……。

 ということで、明後日の22日(日)、私は期日前投票に行くことにします。政府・与党の思惑によって29日(日)とされた投票日の党略的延長を認めたくないからです。
 それに、新潟県中越沖地震で期日前投票のための投票所が一部閉鎖されたように、この1週間、何があるか分かりません。今回の選挙だけは、何があっても、私のこの1票を無駄にしたくありませんから……。


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コメント 2

サブちゃん

>一般に、大災害の勃発は政府・与党に有利になるとされ、・・・・・

あくまでも「一般に」でしょうね。
今回の原発被災は同様の状況が全国にあるので、今後、政治問題化するのは必至でしょう。柏崎刈羽に「警告」を発していたIAEAの調査団も入ってくることになりましたし、政府の失点は明らかです。早ければ、選挙期間中にも全国から火の手が上がるでしょう。そうなると、ますます安倍政権には不利ですね。
楽しみがまた一つ増えました。

それよりも、今後の政局・政界展望ですね。
安倍が退陣しても自公政権の国会運営は極めて困難になるはずです。
また、投票日以降のアメリカや中国の動向もありますから、麻生と公明党の間で蜜月関係が継続できるのかどうかも疑問です。
むしろ、小沢の与党工作などが発端となって政界再編の流れが再燃してくるように思います。

当分激動するのでしょうね。
「敵失」によって三極構造へと転換出来たら幸運だと思います。
楽しみ、楽しみwww
by サブちゃん (2007-07-20 21:36) 

chii

気になったことですが3割近くの投票所で繰上げで投票時間を短縮するそうですこれってなんだかおかしいと思いませんか。開票なんて次の日にまとめてやっても誰も困りませんよね。開票の都合だけでこんなことしてもいいのでしょうか。でもどこの新聞でも大きく取り上げていません。
by chii (2007-07-21 04:02) 

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