12月12日（金）　構造改革継承派が「生活安心保障」の勉強会だなんて：五十嵐仁の転成仁語：SSブログ

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12月12日（金）　構造改革継承派が「生活安心保障」の勉強会だなんて　[政局] [編集]

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　拙著『労働再規制－反転の構図を読みとく』（ちくま新書）刊行中。240頁、本体740円＋税。
　ご注文はhttp://tinyurl.com/4moya8またはhttp://tinyurl.com/3fevcqまで。
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　2008年の世相を表す「今年の漢字」に「変」が選ばれたそうです。首相の交代など政治の変化や世界的な金融情勢の変動などが理由だといいます。
　確かに、福田前首相から麻生首相へは「変」な交代ではありました。これで、解散・総選挙があり、政権も代わっていたらピッタリだったんですが……。

　昨日、アメリカの新聞社の日本特派員から日本語での電話による取材がありました。この日に結成された自民党生活安心保障勉強会について、意見を聞かせて欲しいというわけです。
　今日の午前中、以前からの約束で、『北海道新聞』の記者が研究所に訪ねてきました。若者と雇用に関する新聞連載についての取材のために、わざわざ北海道から上京されたのだそうです。
　午後には、『朝日新聞』の福岡本部の記者の方から、研究所に電話がかかってきました。九州北部や中国地方などで「派遣切り」が相次いでいることについての取材です。

　これらは、政治と労働の危機がかつてなく深まっていることの反映でしょう。このようななかで、拙著『労働再規制』が主張した「労働再規制」の必要性が多くの方に理解されるようになってきたということかもしれません。
　日本の政治と労働が、新自由主義的政策の跳梁跋扈によって脆弱化を極めたそのときに、国際的な金融危機が襲いかかりました。政治は漂流し、労働は崩壊しつつあります。
　麻生首相の下で政治が危機への対応能力を失っているというところに、本当の危機があるというべきでしょうか。一番なるべきではないときに一番なっては困る人が政治のトップリーダーになってしまった点に、日本の不幸が集約されているように思われます。

　金融・経済危機の嵐にもまれて、麻生内閣は沈没寸前です。以前の三つの自民党内閣の末期を重ねたようなかつてない危機に陥っているからです。
　一つ目は森内閣です。失言・暴言で国民の信頼を失い、支持率を急落させました。
　二つ目は橋本内閣です。財政再建と景気対策の間で政策的にブレてしまい、参院選で大敗して辞任しました。
　そして、三つ目は宮沢内閣です。自民党内部が分裂して不信任案を可決され、新党の結成、政権交代という経過をたどりました。

　麻生首相の失言や暴言のレベルや内容は、森元首相を上回っています。政策的なブレや前言撤回の多さは、橋本元首相以上です。
　自民党内部の流動化と亀裂も拡大しています。アメリカの新聞社は、生活安心保障勉強会が新党になるかどうかに関心があったようですが、それは今後の推移如何でしょう。
　このグループの結成には、福田内閣から麻生内閣へと続く政策転換によって、構造改革継承派が自民党内で孤立しかかっているという事情があります。構造改革によって国民生活を破壊してきた人々が、小泉さんを先頭に「生活安心保障」のための勉強会を立ち上げるなんて、これほどのブラックジョークもないように思うのですが……。

　民主党にも困ったものです。これほどの危機にある自民党を追い込むこともできず、改正新テロ特措法を成立させてしまうなんて……。
　政策を政局の具に使ったり、敵失を待ったりするというのは間違っています。本腰を入れて、正攻法で麻生内閣の倒閣に突き進んでもらいたいものです。

　ところで、今日の夕方、都立大学塩田ゼミの大先輩に当たる竹前栄治先生から電話がかかってきました。拙著『労働規制』を読まれた（朗読してもらった）そうです。
　特に、経済財政諮問会議や規制改革会議内での議論の紹介が参考になったと評価して下さいました。また、今後、労働問題はますます重要になるから頑張りなさいと励ましていただきました。ありがとうございます。
　竹前先生の所に「サンデー・プロジェクト」のクルーが撮影に訪れ、占領期の労働政策について取材されたそうです。今度の日曜日にでも、放映されるかもしれません。

2008-12-12 18:35 nice!(0) コメント(1) トラックバック(0)