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4月30日(金) やっと大マスコミに現れてきた普天間基地の「国外」移設案 [在日米軍]

 「テニアン島 『普天間歓迎』」「経済効果狙い誘致決議」

 やっと出てきましたね、このような記事が……。これは、『朝日新聞』4月29日付で報じられたものです。
 『東京新聞』4月28日付1面下のコラム「筆洗」にも、次のような指摘がありました。「まだ遅くない、かどうか微妙だが、妙案がない以上、今からでも『国外』で腹をくくってはどうか」というものです。

 ……すっかり“国内問題”になってしまったが、政府にとって、この問題の本来の交渉相手は米国のはずだ。しかも、三月の世論調査によれば、移設先として最多の回答を集めたのは「国外」なのである▼米国は猛反発しようが、あの後段がなく端(はな)から「国外」に的を絞っていれば、政府は少なくとも本来の「日本対米国」の構図で、世論の後押しも受けた交渉ができたろう。まだ遅くない、かどうか微妙だが、妙案がない以上、今からでも「国外」で腹をくくってはどうか▼かりそめにも国民が決断した歴史的政権交代で最初に誕生した首相だ。“国内問題”に終始し、肝心の米国には、国民の本音ひとつ言えぬまま詰め腹を切らされることになってはいかにも惨めではないか。鳩山さんが、ではない。われわれ国民が、である。……

 『朝日新聞』は「テニアン島」の誘致決議を紹介し、『東京新聞』は、「国外」案で米国と交渉してはどうかと提案しています。ようやく、「国外・県外移設」を求める沖縄県民の願いに添った論調が現れてきたようです。
 しかし、まだ及び腰で、「腹をくくってはどうか」という程度のものにすぎません。本当なら、「腹をくくれ」と書いて欲しいところです。
 『朝日新聞』の記事にしても、掲載されたのは国際欄の8面です。確かに、「テニアン島」は外国ですが、「普天間」は沖縄の基地で、この日の『朝日新聞』の一面には「辺野古に桟橋滑走路」「徳之島へ最大1000人の部隊移転も」「普天間、首相案固まる」という記事が出ていたのに……。

 普通なら、1面の記事の横や2面に出してもおかしくないものです。それが、あまり目立たない8面に出ているのは何故でしょうか。
 理由は、おそらく、あまり目立たせたくないからなのでしょう。『朝日新聞』の考えている解決案は、「国外」ではなく「県外」にすぎないからです。
 同じ『朝日新聞』29日付の朝刊の社説「普天間移設―首相、遅すぎた南の旅へ」は、次のように書いていました。「本格的な解は、……『本土』を探ることにある」というのです。

 「県外」を模索することはいいとしても、沖縄と同様、戦後の一時期、米国に占領された歴史を持つ徳之島で、米軍基地に抵抗感が強いのは当然である。そういう徳之島を安易に「県外」と位置づける発想に、そもそもの疑問を禁じ得ない。本格的な解は、時間と大変な労力をかけてでも「本土」を探ることにあるのではないか。

 これで、問題は解決するのでしょうか。「本土」で受け入れ可能で、地元の合意が得られる場所などあるのでしょうか。
 もし、『朝日新聞』がそのような候補地に心当たりがあれば、そのような「本格的な解」について、具体的に提案するべきではないでしょうか。そのような対案もなしに鳩山首相を批判する「発想に、そもそもの疑問を禁じ得ない」と言わなければなりません。
 朝日の社説子は、「本格的な解は、時間と大変な労力をかけてでも『国外』を探ることにあるのではないか」と書くべきだったと思います。そして、東京新聞のコラム「筆洗」子と同様に、「妙案がない以上、今からでも『国外』で腹をくくってはどうか」と提案すべきだったのではないでしょうか。

 先に紹介した『朝日新聞』の「テニアン島 『普天間歓迎』」という記事は、「だが、日米両政府内では『非現実的』との見方しか聞かれない」として、いくつかの問題点を挙げています。しかし、辺野古桟橋方式の現行修正案と比べて、一体どちらが「非現実的」なのでしょうか。
 たとえば、「最大の課題は、沖縄を海兵隊の拠点とすることを前提とした米軍再編計画自体の抜本的見直しが必要になる点だ」といいます。抜本的に見直せばいいじゃありませんか。そもそも「沖縄を海兵隊の拠点とする」という「前提」自体が間違いなのですから……。
 「先端通信設備や学校などのインフラをゼロから整備するのは非常に不経済。生活の質を確保するのも容易ではない」という意見も紹介されています。アメリカ軍の部隊の駐留経費やインフラの整備、生活の質の確保は、アメリカ自身が行うべきもので、沖縄の人々の土地を奪い、日本国民の税金を使ってやってきたこと自体が間違いなのです。このような意見が出ないようにするためにも、“米軍引き留め効果”を生み出している「思いやり予算」は廃止されなければなりません。

 さらに、驚くべき理由も示されています。「ほかにも米軍の懸念材料として、広島、長崎に原爆を投下した爆撃機が発進したテニアンへの移転は、日本の国民感情を刺激しかねない▽環境影響調査など準備にさらに時間がかかる、ことなどが挙げられている」というのです。
 敗戦間近の地上戦で多くの県民が犠牲となった沖縄に広大な基地を置いていること、都市のど真ん中に基地があって常に危険にさらされていることが、「日本の国民感情を刺激しかねない」とは考えないのでしょうか。「広島、長崎に原爆を投下した爆撃機が発進したテニアン」であればこそ、日米関係に突き刺さった最大のトゲを抜き、沖縄の人々の苦しみを和らげるために役立つことは、大きなプラスになるのではないでしょうか。
 普天間基地の移設を受け入れれば、「テニアン島」という名前の印象も好転するにちがいありません。それは、「日本の国民感情を刺激しかねない」どころか、和らげることになると思いますが、いかがでしょうか。

 「準備にさらに時間がかかる」と言うにいたっては、呆れてものが言えません。アメリカの主張する辺野古埋め立ての現行案なら、すぐに実施できるとでも考えているのでしょうか。それを修正した桟橋案なら、「非現実的」ではなく、「準備にさらに時間がかかる」ことはないとでもいうのでしょうか。
 どうして、これまで現行案が実施できなかったのか、胸に手を当てて考えていただきたいと思います。日米両政府が合意し、沖縄県知事が受け入れ、地元の名護市長も賛成派だったにもかかわらず、それは実現できませんでした。
 その理由は、はっきりしています。鳩山首相の言うとおり、「辺野古の海が埋め立てられることは自然に対する冒涜と感じる。受け入れるという話はあってはならない」からです。では、貴重な珊瑚礁のある海に数千本の杭を打ち込んで桟橋を建設し、そのうえに滑走路を建設する「杭打ち桟橋(QIP)」方式なら、「自然に対する冒涜」にならないというのでしょうか。

 鳩山首相は、5月4日に沖縄を訪問するそうです。現行修正案という県内たらい回しに反対する沖縄県民の抗議の声に包まれるにちがいありません。
 どうせ努力するなら、初めから無駄だと分かっているようなことはやめるべきです。説得に向かうなら、沖縄ではなくアメリカでしょう。
 「妙案がない以上、今からでも『国外』で腹をくくってはどうか」と、『東京新聞』が書くとおりです。「本格的な解」は、時間と大変な労力をかけてでも「国外」を探ることにしかないのですから……。

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コメント 5

NO NAME

まったく同感。
by NO NAME (2010-04-30 07:49) 

医療労働者

一刻も早く、鳩山さんはじめ、岡田さん、北沢さんたちに腹をくくってもらいたいものです。
閣僚たちは「外遊」などしている場合ではありませんよね。
by 医療労働者 (2010-04-30 10:55) 

1930産

たった一つの軍事基地さえ自由に動かせない安保条約とは一体何なんですか。奴隷制度とどこが違うのか。これではいったん有事のときには国が滅びるのは明らかです。日本のマスコミは、政治家の個人的金銭問題を大事件のように連日取り上げますが、肝心の国辱条約については全く触れません。軍部を無条件に応援し続けた戦前、戦中の新聞と何ら変わりません。マスコミはまず自己批判から始めてもらいたい。そして自分らの祖父母を殺し、苦しめたことに加担した責任を目に見える形でとってもらいたい。
by 1930産 (2010-05-01 07:58) 

isao-pw大城 勲

普天間基地問題で鳩山政権の迷走が非難され鳩山総理の指導力不足、責任論が高まっていますが昨年9月の政権交代後も霞ヶ関の官僚機構が従来通りの実務権限を維持し、経験の浅い閣僚、政務三役が既得権益を維持しようとする官僚機構に翻弄されて問題の本質を見誤り、官僚が提示する誤った情報を基に判断せざるを得ない状況では迷走を繰り返すのも必然です。
普天間問題での対米交渉でも自民党政権での対米従属と利権絡みで米軍再編計画に関与して来た官僚に頼っていては政権交代に伴う新たな日米関係を構築する事は不可能であり米国側の意向に阿る結論に至る事も必然です。
防衛省、外務省の実務交渉に臨む官僚は沖縄米軍基地の無期限自由使用を前提として普天間代替施設でのオスプレイ運用に配慮して編隊飛行訓練で必要な最大値として1600m滑走路を目論んでいる。これは米国がSACO合意でも米軍再編ロードマップでも明言して来た「戦闘機の運用は想定せず」の歯止めを外して空母艦載機の運用を可能にしヘリとは桁違いの轟音を発生させる。SACO合意で普天間の辺野古移設を受け入れた(故)岸本元名護市長と稲嶺前知事の受け入れ条件は15年使用期限と基地使用協定での運用機種制限が前提であったが日本政府に無視され北部振興策との取引で基地受け入れを迫られて来た。
鳩山政権が現時点で米国との合意を求めるにはSACO合意で辺野古移設を決めた際に米軍の求めた要件、ヘリ部隊と連動するKC-130空中給油機の運用可能な1300m滑走路と港湾施設が必要である。
沖縄県民の理解を得るには目先の誤魔化しでは無く本質的な日米関係の包括的な見直しで在沖海兵隊及び陸軍グリーンベレー等の地上部隊を全面撤退させ、沖縄本島周辺の訓練施設を全面返還させる為に使用期限の交渉を米国と直ちに開始すべきである。
最終ゴールは米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の全面返還こそ沖縄の負担軽減であるが鳩山政権は総理を始め閣僚、政務三役の無知に付け込む官僚機構の頑迷な妄言に操られて問題の本質を見誤り出口の見えない迷路を彷徨っていると言わざるを得ない。
by isao-pw大城 勲 (2010-05-06 00:28) 

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