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5月6日(木) 鳩山首相は「戦艦大和」になってしまった [在日米軍]

 5日間のご無沙汰でした。皆様、連休はいかがだったでしょうか。

 今年の連休は、「高遠長」の傾向だそうですが、私は絵に描いたような「安近短」でした。30日(金)に、研究所から自宅まで歩いたのが、唯一の運動です。
 「外出」といっても、横浜の叔父さんの家にご機嫌伺いに行ったくらいで、「遠く」には行きませんでした。レジャーと言えば、毎日、阪神-巨人戦、阪神-中日戦を見て、騒いでいたくらいです。
 この連休中に、阪神タイガースは巨人に3連勝し、やっと首位に躍り出ました。と思ったら、巨人戦で燃え尽きてしまったようで、元気なく、中日に2連敗してしまいました。

 毎年、5月4~5日は、南浅川にかかる陵東橋の周辺で「長房ふれあい端午まつり」が行われます。八重桜が咲き誇る川の周辺に鯉のぼりを立てるのですが、今年は普通ののぼりが目立ちました。
 鯉のぼりを集めるのが、難しくなっているのでしょう。青空を吹き渡る薫風に勢いよく泳ぐ鯉のぼりは勇壮で、いかにも春らしい景色で大好きなのですが……。
 この祭りにも、ちょっとだけ顔を出しました。以前、町会の役員をやっていたときには、焼きそばを焼いたりしたものです。

 あとの時間は、ひたすらパソコンに向かい、法律文化社から出す予定の新著の原稿を書き続けていました。もう少しで終わります。
 政治学の入門書で、大学1~2年生を対象にしたものです。できるだけ分かりやすく、と心がけて書きました。夏休み明けの頃に刊行されるかもしれません。
 日本の政治は、今、大きな転換期にあります。それを理解し、少しでも良い方向に変えていくために、この新しい本が役立つことを願っています。

 ところで、この連休中、普天間基地の移設問題で、進展がありました。というより、鳩山首相は動き回りましたが、ますます膠着状態に陥ってしまったと言った方がよいかもしれません。
 鳩山首相は「戦艦大和」になってしまったようです。見通しもないのに、沖縄に向けて突っ込んで行ったからです。
 そして、「大和」と同じように、「撃沈」されてしまいました。全く、ガッカリです。命をかけた腹案が、こんなものだったなんて……。

 「後手ばかりで、成算があるとは思えない。どう動いても、手は尽くしたという言い訳が透ける。そもそも沖縄で安保を説く前に、この島の重荷を米国に説くのが先ではないか。その上で、駐留米軍の見直しについて話し合うべきではないのか▼こんな時に本音を言い合うための「同盟」であろう。……命がけと言うなら、沖縄と徳之島の子どもたちのためにかけてほしい。ゆめゆめ米国の代理人として、あてもなく南の島を訪ね歩くことなかれ。それでは子どもの使いである。」

 これは5月5日付の『朝日新聞』一面下の「天声人語」です。ようやく、このような記述が現れるようになりました。
 『朝日新聞』の「天声人語」が、「五十嵐仁の転成人語」に近づいてきたというところでしょうか。でも、こんなことは誰だって分かることです。
 分かっていないのは、鳩山首相と側近の大臣連中だけでしょう。早く、気がついてもらいたいものです。

 それにしても、鳩山さんは、本気で現行案を修正した桟橋案が最善だと思っているのでしょうか。一部を徳之島に移設すれば、地元の理解が得られると、本気でそう考えていたのでしょうか。
 「このことを学べば学ぶにつけて、やはりパッケージとして、すなわち海兵隊のみならず、沖縄に存在している米軍の存在全体の中での海兵隊の役割というものを考えたときに、それがすべて連携をしていると。その中での、抑止力というものが維持できるんだという思いに至ったところでございます」と、鳩山さんは言っていました。そのような「思いに至」らせたのは誰なのでしょうか。
 『朝日新聞』5月4日付に、「米軍がいなくなったら、日本を守るものがいなくなる。現実的じゃない」という意見が報じられていました。移設されるのは普天間基地の部隊だけであって米軍全体がいなくなるわけではないこと、問題になっている普天間基地の米軍は日本を守るためにあるのではないこと、軍事力によっては平和と安全は守られないことが、全く理解されていない発言です。

 桟橋案について、地元の名護市と沖縄県の理解を得ることはできませんでした。部分移設先の徳之島も反対しています。
 連立政権内では、与党の社民党がはっきりと反対を表明し、アメリカも受け入れ困難との態度です。鳩山さんが命をかけると言った腹案は、実現不可能です。
 こうなると、道は二つしかありません。責任を取って辞めるか、別の実現可能な案(例えば、テニアンなどへの国外移設)を採用するか。

 それとも、「地元が反対したからダメでした」と、頭を掻いて居座るつもりなのでしょうか。それでは、沖縄県民はもとより、国民が許さないでしょう。

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コメント 5

西岡三郎

いつもながら的確な情勢分析に敬服いたします。
ただ、先生の最近の一連の議論には「抑止力」としての在日米軍に焦点を当てた論旨が多く、侵略的な攻守同盟としての日米軍事同盟の本質を抉り出して、だから日米安保条約はいらないんだ、だから沖縄や日本本土の米軍基地は不要であり危険なんだとの論旨の組み立てが見られません。
日米同盟=侵略的な攻守同盟であり、憲法改悪と「戦争のできる国づくり」への一連の動きの根源がそこにあるのだという攻勢的かつ積極的な観点からの論考を期待します。
by 西岡三郎 (2010-05-06 09:47) 

村井

外国人参政権問題の時もそうでしたが、普天間基地の閉鎖と海兵隊の移転問題でも、何かと言えば「中国の脅威」を口にして、「尖閣列島が取られてもいいのか」「沖縄が中国領になるぞ」等と言い、議論を受け付けない人が(私の周囲だけかもしれませんが)多すぎるような気がします。そういう人々が「民主党はもうだめだ」等と口走るのを見ると、私もこの国の未来を見放したくなります。
2005年の衆議院選挙の時マスメディアに踊らされて小泉氏の自民党に投票した人々を、私はバカと思い、バカがこんなにもいることに絶望しそうになりましたが、次の参議院選挙で(『みんなの党』あたりが票を集めて躍進し与党が過半数割れして)また同じ思いを味わうことになるのではないかと心配です。
by 村井 (2010-05-06 11:04) 

isao-pw大城 勲

普天間基地問題で鳩山政権の迷走が非難され鳩山総理の指導力不足、責任論が高まっていますが昨年9月の政権交代後も霞ヶ関の官僚機構が従来通りの実務権限を維持し、経験の浅い閣僚、政務三役が既得権益を維持しようとする官僚機構に翻弄されて問題の本質を見誤り、官僚が提示する誤った情報を基に判断せざるを得ない状況では迷走を繰り返すのも必然です。
普天間問題での対米交渉でも自民党政権での対米従属と利権絡みで米軍再編計画に関与して来た官僚に頼っていては政権交代に伴う新たな日米関係を構築する事は不可能であり米国側の意向に阿る結論に至る事も必然です。
沖縄県民の理解を得るには目先の誤魔化しでは無く本質的な日米関係の包括的な見直しで在沖海兵隊及び陸軍グリーンベレー等の地上部隊を全面撤退させ、沖縄本島周辺の訓練施設を全面返還させる為に使用期限の交渉を米国と直ちに開始すべきである。
最終ゴールは米軍地上部隊の全面撤退と訓練施設の全面返還こそ沖縄の負担軽減であるが鳩山政権は総理を始め閣僚、政務三役の無知に付け込む官僚機構の頑迷な妄言に操られて問題の本質を見誤り出口の見えない迷路を彷徨っていると言わざるを得ない。
by isao-pw大城 勲 (2010-05-06 14:34) 

北朝鮮の魚雷攻撃と米韓が判断 哨戒艦沈没で韓国紙報道

北朝鮮の魚雷攻撃と米韓が判断 哨戒艦沈没で韓国紙報道
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100506/kor1005060904001-n1.htm

第二次朝鮮戦争が勃発するようですが、
この場合、日本はどのような立場をとればよいのでしょうか。
by 北朝鮮の魚雷攻撃と米韓が判断 哨戒艦沈没で韓国紙報道 (2010-05-06 14:43) 

bogus-simotukare

北朝鮮の魚雷攻撃と米韓が判断 哨戒艦沈没で韓国紙報道さん

そもそも政府の公式発表があったわけでもなく、ご紹介の新聞記事がどこまで信用できるか疑問です。
また今回の事件が仮に北のテロだとしても戦争には発展しないでしょう。韓国にとってリスクが大きいですから。
過去にも青瓦台襲撃事件(朴大統領暗殺未遂)、ラングーン事件(全大統領暗殺未遂)、大韓航空機爆破事件と北のテロはありましたが、それらは全面戦争には発展しませんでした。
今回の事件が北のテロだとして日本が取るべき態度はまず「報復戦争反対」でしょう。国連による追加制裁など、より平和的な手段で解決に望むべきです。
by bogus-simotukare (2010-05-06 19:44) 

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