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5月7日(土) 自公政権よりはましだが新自由主義と決別していない [論攷]

〔以下のインタビューは、兵庫県保険医協会の機関紙『兵庫保険医新聞』4月25日付(第1620号)に掲載されたものです。〕

評議員会特別講演「鳩山政権を診断する」
五十嵐仁教授にプレインタビュー
自公政権よりはましだが新自由主義と決別していない

―鳩山内閣の支持率が急落していますが、先生が成績を付けるとしたら何点でしょうか。

 60点でしょうか。過半数を超えているのは、自公政権よりはましだと思うからです。自民党の下野は100点満点ですが、代わりに政権を担った民主党には良い点数をあげられません。
 それでも、八ッ場ダムの建設中止や48ダムの一時凍結、中小企業金融円滑化法案の成立、生活保護の母子加算復活、「ワンストップサービス」の実施や「公設派遣村」、子ども手当と高校授業料の無償化、「日米密約」の暴露などは、自公政権では不可能でした。かろうじて合格点というところでしょう。

―鳩山政権は「新自由主義」と決別したといえるでしょうか。

 決別する方向に進んでいますが、不徹底だと思います。
 鳩山首相は市場原理主義を批判していますし、国民新党の亀井代表の郵政問題担当相への就任や日本郵政株式売却凍結法成立など、構造改革の「本丸」の見直しが進められています。労働者派遣法の改正も、「抜け穴」だらけとはいえ、基本的には「労働再規制」の方向です。
 しかし、「事業仕分け」の仕分け人に福井秀夫政策研究大学院大学教授などの規制緩和論者も横滑りしているように、「新自由主義」の害悪に対する総括が不十分であり、決別したとは言えません。

―デフレ経済が続き景気が低迷しています。財政赤字も大きく、社会保障に財源をまわすのは無理なのでしょうか。

 安心して働き生活できるように、雇用と生活を直接支援することが必要です。家計が豊かになり、将来に希望がもてて安心してお金が使えるようにならなければ景気は良くならず、デフレ経済からも脱出できません。
 そのためには、大企業と資産家に対して増税し、庶民への再分配を可能とするような税制改革が必要です。過去10年間で200兆円以上も増えて2倍強になった大企業の内部留保をはき出させ、証券優遇税制などの資産家優遇を改めれば、社会保障に財源をまわすことができるようになります。
 あるところから取れば、ないところにまわすことができるのは当然です。

―医療や福祉の財源として消費税が再び浮上しつつあります。消費税増税は避けられないのでしょうか。

 消費税は庶民に冷たい逆累進性という毒を含んだ「劇薬」です。それは社会保障制度の持続可能性を支える「安定した財源」を生み出すかもしれませんが、貧困化と格差を今以上に拡大し、社会を破壊するでしょう。社会保障制度が持続できても、社会が持続できなくなっては何にもなりません。
 必要なのは、新自由主義の下で拡大した税制における逆累進性を反転させ、富める者から貧しい者へと富を再分配し、貧困や格差を解消するのに役立つような税制改革です。消費税の増税は、全く逆の効果を生むだけです。

―私たちは労働組合と共同することが大事だと思っていますが、そうしたネットワークは可能でしょうか。

 ネットワークとは“絆”です。それは可能であるだけでなく、必要であると思います。
 新自由主義や「三位一体の改革」の下で破壊されてしまった地域社会を再建することは急務であり、そのためには社会的な力の再生が必要です。志を持った個人や社会集団、労働組合などが手を取り合い、知恵と力を出し合うことによって「新しい公共」を生み出すことが必要でしょう。
 問題に気がついた人がまず立ち上がり、同じように立ち上がった人々と力を合わせるべきです。日本再生の希望は、そこにしかありません。

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前原国交相「消費税上げて法人税下げないと勝てない」

 前原誠司国土交通相は7日午前の閣議後記者会見で、消費税率引き上げを巡り「必要性は以前から主張しており、議論から逃げることはない。消費税を上げて法人税を下げないと、国際競争に勝てない」との認識を示した。

 消費税率引き上げの前提としては「税金の無駄遣いをなくす努力は緒についたばかり。公益法人や独立行政法人の仕分けや見直しをすれば予算の組み替えが可能で、二重行政の弊害もなくせる」と指摘した。
by 前原国交相「消費税上げて法人税下げないと勝てない」 (2010-05-07 13:19) 

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