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9月14日(水) 連合はエネルギー政策の転換で、イニシアチブの発揮を [論攷]

〔以下の論攷は、『東京革新懇ニュース』第365号(9月5日付)に掲載されたものです。〕

 3月11日に勃発した福島第1原子力発電所の過酷事故は、労働組合や労働運動にとっても、そのあり方が問われる大きな問題を提起するものでした。とりわけ、連合にとって、この事故は深刻な反省を迫られるものでした。

会社と一体で原発推進

 というのは、連合は会社と一体となって原発推進の立場に立つ東電労組や電力総連を傘下に置き、しかも、連合自身、原発の推進に向けてエネルギー政策の舵を切ったばかりだったからです。
 たとえば、電力総連は2010年の第30回大会で「プルサーマルの推進、核燃料サイクルの確立を含め、原子力発電の推進は、エネルギー安定供給、地球環境問題への対応の観点において、極めて重要な課題です。私たちは、労働組合の立場から労働界をはじめ国民各層への理解活動を強化していかなければなりません」という方針を打ち出していました。電力会社といったいどこが違うのか、と言いたいような方針です。
 このような傘下単産による「理解活動」もあって、連合は原発推進へと舵を切ることになります。2010年8月に連合は中央執行委員会で「エネルギー政策に対する連合の考え方」を採択し、「現在計画中の原子力発電所の新増設については、地域住民の理解・合意と幅広い国民の理解を前提に、これを着実に進める」との方向を打ち出しましました。

「凍結」では不十分

 そしてその半年後、未曾有の「原発震災」が福島を襲い、このような路線を維持することは不可能になります。連合は4月20日の中央執行委員会で従来の政策を「凍結する」としましたが、それでは不十分でしょう。原発に依存する社会のあり方やエネルギー政策を転換するために、労働組合はイニシアチブを発揮しなければなりません。

原発の停止、省エネルギー社会、ディーセントワークを

 福島第一原発で放射能漏れの防止と沈静化のために働いている人々の健康と安全を守り、被曝の危険にさらされるような労働を不必要とするために、できるだけ早く全ての原発を廃止するべきです。
 震災や節電を口実とした非正規労働者の解雇や人員削減を許さず、省エネルギー社会にむけてワークシェアリングによる労働時間の短縮を図り、雇用を増大させなければなりません。長時間労働を是正し、過労死や過労自殺のないディーセント・ワークに支えられた新しい社会を目指すチャンスとするべきです。
 このようにして、人間らしい労働と生活を実現することこそ、労働組合が果たすべき本来の役割です。連合は原発推進に一度は転じてしまった誤りを深く反省し、エネルギー政策の転換に向けての指導性を発揮するとともに、ディーセントワークの実現に向けての本格的な取り組みを始めてもらいたいものです。

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