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1月12日(木) 消費増税の「一体改革」でもマスコミは犯罪的な歴史を繰り返そうというのか [マスコミ]

 「この休み癖がすぐに直りますかどうか……」と、前回のブログで書きました。どうも、直らなかったようで、またしばらく更新を休んでしまいました。
 そのお陰もありまして、自治体政策セミナーと韓国での二つの講演のレジュメとパワーポイントの作成を終わりました。東京革新懇総会での講演のレジュメはまだですが、まあ、これは何とかなるでしょう。

 しかし、この講演の準備をしていて痛感しましたが、新年を迎えたにもかかわらず日本の政治と労働の現状は酷いものです。とても、新しい年に向けての希望を語れるような状況ではありません。
 昨年の3月11日に東日本大震災に見舞われ、それに福島第1原発の過酷事故が続きました。その翌年である今年は、「復興元年」ということになります。
 しかし、その「復興」は遅々として進んでいません。未曾有の大災害を好機とし、「人々が茫然自失としている間に急進的な社会的・経済的変革を進めるという手口」(ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』)が、ここでも試みられているかのようです。

 とりわけ、急を告げているのが消費増税をめぐる動きでしょう。野田首相は、「不退転の決意」で増税を実現すると言い、「ネバー、ネバー、ネバー・ギブアップ」と叫び、テレビも新聞も、消費増税の大合唱に加わりました。
 『読売』『朝日』『毎日』『産経』『日経』の全国紙5紙は政府の増税方針を応援し、与野党協議に応ずるべきだと野党を批判する異様な光景が展開されています。権力を監視し、過った政策を批判するジャーナリズムとしての本分はどうなったのでしょうか。
 しかも、世論調査では消費増税への反対論が増え続け、現在では賛否が逆転しました。マスコミは世論の動向に反する形で政府を応援していることになります。

 かつて、新聞など日本のマスコミは国民に戦争をたきつけ、侵略戦争に協力するという過ちを犯しました。原子力政策でも、原発の「安全神話」を振りまいて国民を騙す片棒を担いできました。
 今また、消費増税に反対する国民をしかりつけ、政府の増税政策を応援するという間違いを犯しつつあります。消費税を増税しても、長期的には税収増にならないのではないか、社会保障との一体改革という触れ込みでも、社会保障の充実には結びつかないのではないか、デフレと大震災で疲弊した経済や産業に大打撃を与え、かえって財政再建を遅らせてしまうのではないか、消費増税、復興増税、TPP参加などによって中小企業や農業・漁業は壊滅し、地方は崩壊してしまうのではないか、税収増を図るためには、消費税より大企業や富裕層への増税の方が効果的ではないか、などという不安や疑問にマスコミはきちんと答えてきたのでしょうか。
 全国紙5紙などのマスコミは、日本の財政危機を救い社会保障を安定させるためには税収増が必要だ、そのためには消費増税しかないと思い込み、他の選択肢は目に入らないという視野狭窄に陥ってしまいました。国民をたきつけて戦争協力という過ちを犯した戦前と同じような症状を呈しつつあると言うべきでしょう。

 「改革」と言えば、それだけで善であり正しいかのように思われがちです。しかし、すでに何度も指摘したように、政治改革や構造改革は「改革」の名の下に国民をミス・リードし、日本の政治と経済・社会をぶっ壊してしまいました。
 この時も、全国紙などのマスコミは「改革」の応援団としての役割を演じ、大きな間違いを犯したのです。今度の社会保障と税の「一体改革」においても、その犯罪的な歴史を繰り返そうというのでしょうか。

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